🇺🇸 Aerosmith (エアロスミス)

レビュー作品数: 6
  

スタジオ盤

Toys In The Attic (闇夜のヘヴィ・ロック)

1975年 3rdアルバム

 米国マサチューセッツ州ボストン出身のハードロックバンド、エアロスミス。1970年の結成から2020年現在に至るまで一度も解散せずに続いているご長寿バンドで、全世界で累計1億5千万枚以上を売り上げています。スティーヴン・タイラー(Vo/Key)、ジョー・ペリー(Gt)、ブラッド・ウィットフォード(Gt)、トム・ハミルトン(B)、ジョーイ・クレイマー(Dr)の5人組で1973年にデビューを果たしますが、結成時点ではブラッドではなくレイモンド・タバーノが短い期間在籍していました。
 1973年に1st『野獣生誕』でデビューを果たし、翌年の2nd『飛べ!エアロスミス』でロングヒット。そしてジャック・ダグラスのプロデュースによる本作は全米11位まで上昇しました。

 表題曲「Toys In The Attic」で幕開け。ヘヴィに暴れ回る爽快な疾走ロックンロールです。トムのヘヴィなベースがうねりまくり、勢いのある楽曲に気持ちの良いグルーヴをもたらします。「Toys, toys」のコールの反復も耳に残りますね。続く「Uncle Salty」は泥臭くてルースなロックンロール。気だるいものの、ノリは心地良いですね。「Adam’s Apple」はグルーヴ全開の楽曲で、ベースがブイブイ唸ります。パワフルでヘヴィながらも、カラッとした陽気さも感じられます。そして代表曲「Walk This Way」。後にヒップホップグループのRun-D.M.C.と共演して大ヒットする名曲です。また、このオリジナルバージョンはバラエティ番組『踊る!さんま御殿』で使用されていたので耳馴染みのある方もいるでしょう。イントロのドラムからワクワクさせ、そしてロック界でも屈指の名ギターリフが耳に残りますね。メタリックなベースもカッコ良い。スティーヴンはまくし立てるように早口でひとしきり歌い、「Like this!」で間奏に繋げる場面はスカッと爽快。エアロスミスでも最高クラスの名曲です。「Big Ten Inch Record」はフレッド・ワイスマンテルというR&B歌手の楽曲カバーです。古びたロックンロールをノリノリに奏で、軽やかなピアノも良いアクセントになっています。
 ここからはレコード時代のB面。アルバム後半は「Sweet Emotion」で幕開け。どよーんと怪しげな雰囲気で、グルーヴの効いたファンクっぽい楽曲です。中盤のヘヴィなギターリフが印象的。終盤はリズムを変えて、ダンサブルな演奏を繰り広げます。「No More No More」はアコギとエレキの絡む爽やかなイントロで始まる、明るくカラッとしたロックンロール。軽やかなピアノも晴れやかな楽曲の雰囲気を引き立てます。でも意外とリズム隊は骨太でどっしりしていますね。続く「Round And Round」はヘヴィで粘っこい楽曲です。スティーヴンはシャウト気味の激しい歌唱で、重低音が強烈に響き、泥臭くて混沌とした雰囲気を醸し出します。ラスト曲「You See Me Crying」は前曲とは真逆で、ピアノやオーケストラが鳴り響く、綺麗でメロディアスなバラードです。スティーヴンのソウルフルな歌が哀愁を誘い、オーケストラがドラマチックに引き立てます。

 名曲「Walk This Way」がとにかくカッコ良い。「Sweet Emotion」もライブの代表曲で、エアロスミスでも欠かせない1作でしょう。

Toys In The Attic
Aerosmith
 
Rocks (ロックス)

1976年 4thアルバム

 本作はエアロスミス最高傑作に挙げられることの多い作品です。1970年代のエアロスミス作品では最もヒットし、全米3位を獲得。この頃には日本でも知名度を得て、キッスクイーンらとともに3大バンドとして括られたりしたようです。

 オープニング曲「Back In The Saddle」はイントロから強い緊張が張り詰めます。そんなスリリングなイントロをスティーヴン・タイラーの強烈なシャウトで切り裂き、グルーヴ感のあるヘヴィな演奏を展開。ちなみに6弦ベースを弾くのはジョー・ペリー。ゾクゾクするほどカッコ良くて痺れる1曲ですね。「Last Child」はトム・ハミルトンの這うようなベースがうねる、スローでファンキーな楽曲。ギターリフも怪しげな雰囲気です。全体的に重低音が効いていてどんよりしていますが、ブラッド・ウィットフォードのギターソロが悠々と高音を弾く様が爽快です。続く「Rats In The Cellar」は爽快な疾走曲です。ツインギターによるヘヴィなギターリフ、そして勢いを演出するジョーイ・クレイマーのドラムが爽快。ハイテンションの長尺な間奏もスリリングで魅力的です。そして「Combination」ではミドルテンポのヘヴィロックを展開。グルーヴのある演奏に、スティーヴンとジョーのツインボーカルがハモります。終盤はドラムがダイナミックになって徐々にテンポアップ。スリリングに楽曲を締め括ります。
 ここからアルバム後半。「Sick As A Dog」はカラッと陽気、アメリカンなハードロックを繰り広げます。楽曲の展開は割と単調ですが、キャッチーなメロディが魅力的。また、時折聴こえるアコギの音色が爽やかです。なおジョーがベース、トムがギターに持ち替えているのだそう。続いて「Nobody’s Fault」はイントロで幻想的な音響に浸っていると、突如強烈にヘヴィなリフで蹂躙してきます。スティーヴンは終始シャウト気味のパワフルな歌唱で、演奏はヘヴィにうねるため心地良いグルーヴが効いています。そのまま続く「Get The Lead Out」はダーティでファンク色の強い楽曲です。横ノリの強烈なグルーヴが心地良い。「Lick And A Promise」はジョーイの軽快なドラムで幕を開ける疾走ロックンロール。ギターリフが泥臭くて、速いのにやけに粘っこい印象も受けます。最終曲「Home Tonight」はバラード。スティーヴンの感情たっぷりの歌唱が哀愁を誘います。終盤のギターソロも味があって中々魅力的です。

 前作の「Walk This Way」ほど突出した楽曲はないものの、良曲揃いでアルバム全体の完成度が高く、聴きごたえがあります。エアロスミスはまずはこれから聴いてみると良いでしょう。

 本作の後からメンバーの薬物乱用が悪化し、メンバーの関係にも亀裂が入ります。1979年にはジョーが、1981年にはブラッドがそれぞれ脱退。エアロスミスはしばらく低迷期を過ごすことになります。

Rocks
Aerosmith
 
Permanent Vacation (パーマネント・ヴァケイション)

1987年 9thアルバム

 1984年にバンドはジョー・ペリー(Gt)、ブラッド・ウィットフォード(Gt)と和解し、デビュー時のラインナップが復活しました。そしてヒップホップグループRun-D.M.C.による「Walk This Way」のカバーにスティーヴン・タイラーとジョーが参加し、これが大ヒット。勢いづいたエアロスミスはボン・ジョヴィを大ヒットに導いたブルース・フェアバーンをプロデューサーに迎え、同バンドにヒット曲を提供したデズモンド・チャイルドを共同作曲者に起用し本作を制作しました。そんな本作はエアロスミス復活の狼煙を上げた作品で、ここから第二期黄金期の幕開けとも言われます。

 「Heart’s Done Time」はイントロからじわりじわり盛り上げ、スティーヴンのシャウトでテンションを一気に上げます。重厚感があってギラついている、グラムメタルなサウンドを展開します。終盤はシャウトしっぱなし。「Magic Touch」は、ジョーイ・クレイマーが響かせる、エコーがかったドラムが1980年代ですね。ノリの良いビートに乗せて、ヘヴィなギターとメロディアスな歌メロを聴かせます。続く「Rag Doll」はリズミカルでグルーヴ感抜群のビートを軸に、ダンサブルなロックンロールを繰り広げます。これに合わせて語感の良い歌が爽快でヤミツキになりますね。途中から加わるホーンがゴージャスです。「Simoriah」は疾走感のあるストレートなロックンロール。ポップで毒気のないキャッチーなメロディとスティーヴンの歌がミスマッチというか、あまりエアロスミスらしくないような気もします。「Dude (Looks Like A Lady)」はゴージャスでファンキーなロックンロール。ホーンが賑やかですね。強烈なグルーヴ感のある演奏に、ひたすら反復する歌やコーラスなどが耳に残ります。全米14位のヒットシングルで、人気の高い代表曲です。「St. John」はリズミカルで洒落たドラムに、ブルージーで怪しげな重低音がズシンと響きます。ノリは良いのですが、サウンドは結構ヘヴィですね。全体的に低い音ですが、ギターソロだけ高らかに高音キーで聴かせます。「Hangman Jury」の序盤はアコギが主体。とはいえ爽やかではなくむしろブルージーで泥臭いですね。そして途中から電化したバンドサウンドに変わりますが、泥臭さはそのままで、ブルースハープなど渋い要素が詰まっています。「Girl Keeps Coming Apart」はノリが良くて、弾けるような躍動感に満ちた爽快な1曲です。リズム隊、特にトム・ハミルトンのベースが強烈なグルーヴを生み、そしてブラスセクションが華やかに飾り立てます。ド派手ですがスカッとします。続いて全米3位を獲得した大ヒットシングル「Angel」。メロディアスなバラードで、メロディアスな旋律と哀愁に満ちたスティーヴンの歌声が魅力的です(スティーヴン自身はこの楽曲を嫌っているようですが…)。分厚いサウンドで、サビではストリングスが盛り上げます。コテコテの売れ線バラードですが、中々良いです。そして表題曲「Permanent Vacation」。イントロのギターリフが耳に残る、ノリが良くて楽しげなロックンロールです。アメリカンなカラッとした陽気さが感じられ、途中聞こえるトロピカルで南国リゾートを想起させる音色も「Permanent Vacation」のタイトルにピッタリです。「I’m Down」ビートルズのカバー。旧き良きロックンロールが展開されます。曲調はアルバムの流れで浮いていますが、演奏スタイルはゴージャスなアルバムの作風に合わせています。ラスト曲はインストゥルメンタル「The Movie」。全体的に混沌とした雰囲気で、序盤に一瞬日本語が聞こえます。途中から音はヘヴィになりますが、音が渦巻くようなサイケな感覚は続きます。

 ボン・ジョヴィ大ヒットの立役者を制作陣に招いて作られた本作は、ギラついてゴージャスな作品に仕上がりました。1970年代エアロのファンからは「ポップになった」と賛否両論のようですが、エアロスミス大復活の契機となった記念すべき1作です。

Permanent Vacation
Aerosmith
 
Pump (パンプ)

1989年 10thアルバム

 前作で復活したオリジナルラインナップ…スティーヴン・タイラー(Vo/Key)、ジョー・ペリー(Gt)、ブラッド・ウィットフォード(Gt)、トム・ハミルトン(B)、ジョーイ・クレイマー(Dr)の5人はここから完全に固定化され、2020年現在までメンバーチェンジすることなく続いています。そして前作を大ヒットに導いたプロデューサーのブルース・フェアバーンや、デズモンド・チャイルドといった外部ライターを続投。全米5位を獲得したほかトップ10入りシングルを3曲も生み、従来のエアロスミスらしさも取り戻し、今作で完全復活を果たしました。

 「Young Lust」は鈍重なイントロから突如疾走する、爽快なロックンロールです。ノリの良いドラムにご機嫌なベース、そして楽しげに歌うスティーヴンのボーカルはスカッと爽やかですね。オープニング向きの良曲です。そしてラストのドラムロールの途中でそのまま続く「F.I.N.E.」。躍動感溢れるノリノリなロックンロールで、骨太なサウンドに乗るワイルドなボーカルがカッコ良い。「Going Down/Love In An Elevator」はゴリゴリなベースを軸に、横ノリのグルーヴィな演奏を繰り広げます。思わず手拍子したくなるようなノリの良さ。間奏ではジョーとブラッドのギターの掛け合いが見せ場ですね。サイケで色っぽい演出も交えつつ、リズミカルな演奏で楽しませます。そして歌メロもキャッチーで、ひたすら反復するフレーズは耳に残ります。続いて「Monkey On My Back」もゴリゴリのベースがグルーヴィで、そしてジョーイのドラムがスカッと爽快。ノリの良いロックンロールを繰り広げます。ジョーの弾くスライドギターも印象的。「Water Song/Janie’s Got A Gun」は大人しく静かなスタートを切りますが、徐々に盛り上がりテンションを上げていきます。後半はメランコリックな歌メロを聴かせつつ、ノリの良い演奏を繰り広げます。「Dulcimer Stomp/The Other Side」はメドレーで、トラッド色の強いアコースティックなインストゥルメンタル「Dulcimer Stomp」でほっこりさせます。途中楽曲の雰囲気が大きく変わって、次曲「The Other Side」はホーンが飾り立てる賑やかでノリの良い楽曲に。途中ジョーのご機嫌なギターソロが聴きどころです。2曲の性質がかなり違うので、あえてメドレーにしなくても良かったかもしれませんね。「My Girl」はノリの良いロックンロールで、爽やかでストレートな楽曲です。続いて「Don’t Get Mad, Get Even」はとてもブルージーで土臭い、楽曲。音数少なくて非常に渋く、そしてルースな雰囲気ですが、途中からゴージャスな演奏に変わってビックリ。「Hoodoo/Voodoo Medicine Man」はプリミティブで怪しげな序盤から、グルーヴの効いたダンサブルなロックンロールへと様変わり。ノリが良い演奏はカッコ良く、スティーヴンのシャウト気味の歌唱も絶好調で楽しげです。ラストはバラード曲「What It Takes」。そこまで派手な演奏ではなく、純粋にメロディの良さで勝負している感じ。程よい哀愁と渋さで、心地良くて懐かしい印象を受けます。

 前作からのキャッチーさも保ちつつ、元々の持ち味だったワイルドさや下品な感じもバランス良くブレンドした名盤に仕上がりました。ファンからも人気が高い名盤です。

Pump
Aerosmith
 
Get A Grip (ゲット・ア・グリップ)

1993年 11thアルバム

 ブルース・フェアバーンをプロデューサーに招いた3部作の3作目。エアロスミス初の全米1位を獲得した作品で、全世界で2000万枚以上売り上げる最大ヒット作となりました(米国内の売上に限って言えば『闇夜のヘヴィ・ロック』が若干上回っています)。1992年に一度出来かけていたのですが、質にこだわるため全ての楽曲を作り直したのだとか。

 アルバムは「Intro」で幕開け。咆哮をバックにプリミティブなパーカッションやスティーヴン・タイラーのラップ風の歌唱、そして「Walk Thip Way」のギターリフが出てきたりと混沌とした雰囲気です。途中から突如キレのある演奏が始まり、いつの間にか「Eat The Rich」が始まっていたことに気付かされます。ジョーイ・クレイマーのパワフルなドラムと、トム・ハミルトンのグルーヴィなベースによる力強いリズム隊。そして歌も攻撃的でまくし立てるような雰囲気。スリリングでとてもカッコ良い楽曲ですが、ラストはゲップで終わるという。笑 続く表題曲「Get A Grip」もキレ味抜群。メタリックで強烈なグルーヴを持ち、とてもファンキーです。スティーヴンは高音でシャウト気味に歌います。「Fever」は疾走感に溢れる爽快な楽曲です。楽曲を引き締めるヘヴィなリフ、うねりまくるベースに駆け足気味のドラムがスカッとします。速いですが根底にあるのは楽しげなロックンロールで、エアロスミスらしい良曲ですね。「Livin’ On The Edge」は序盤は牧歌的な雰囲気ですが、途中から力強いバンド演奏が楽曲を引き締めます。特にジョーイのドラムが力強く大地を踏みしめます。歌メロやマンドリンの音色に郷愁を感じさせつつ、ハードロックな演奏は重厚で壮大な雰囲気に仕上げます。終盤はスケール感があります。「Flesh」はプリミティブなドラムが響く中で、スペイシーな効果音やジャングルのようなSEと、イントロは混沌とした雰囲気。そこからヘヴィな演奏が切り込んで始まるため中々スリリングです。ノリノリの演奏で、特にギターリフがカッコ良いですね。続く「Walk On Down」はジョー・ペリーがボーカルを取る1曲で、気だるくてグルーヴの効いた楽曲です。途中からテンポアップしてノリノリの演奏に。間奏ではジョーが長尺のギターソロを披露します。「Shut Up And Dance」もグルーヴィでノリの良い楽曲で、跳ねるようなビートが爽快でダンサブル。悠々としたギターソロも印象的です。続いてバラード「Cryin’」。泥臭い雰囲気とブラスセクションの賑やかさが同居するイントロを経て、哀愁を醸す歌メロへ。力強くも切ない歌唱を、分厚い演奏が盛り上げます。「Gotta Love It」はトムのベースが強烈にゴリゴリ唸る、ファンキーな1曲。ベースソロの見せ場もあります。「Crazy」はゆるっとした落ち着いた雰囲気のバラード。スティーヴンの切ない歌唱が良いですね。ジョーのメロウなギターソロも際立つ1曲です。続く「Line Up」はレニー・クラヴィッツとコラボした楽曲で、共同作曲のほかゲストボーカル参加もしています。ノリの良い明るいロックンロールで、途中からホーンが賑やかに盛り上げます。「Amazing」はピアノが哀愁を誘う、しんみりとして切ないバラードです。イーグルスのドン・ヘンリーがコーラス参加。本作にはバラードが3曲収録されていますが、その中でも最も哀愁が強く、そして魅力的な楽曲です。終盤はジョーのギターソロとともにスティーヴンが熱くシャウトします。ラストはインストゥルメンタル「Boogie Man」。残響がちょっと不気味な、静かな演奏で幕を閉じます。

 アルバム序盤の持つパワーはとても強烈で、代表的なバラードも盛り沢山。ですが15曲入りで詰め込み過ぎな感はあり、途中若干だれる場面も…。全体的にはキャッチーな楽曲が多く、取っつきやすい作品でしょう。

Get A Grip
Aerosmith
 
 

編集盤

Devil's Got A New Disguise: The Very Best Of Aerosmith (エアロスミス濃縮極極ベスト)

2006年

 エアロスミスのベスト盤はいくつも出ていますが、「I Don’t Want To Miss A Thing」(邦題「ミス・ア・シング」)が入っていて1枚ものの手軽なベスト盤を探した結果、これに辿り着きました。
 2006年はスティーヴン・タイラーが喉の治療で、トム・ハミルトンが食道癌の治療に専念していたこともあり、新しいオリジナルアルバムを断念して本ベスト盤の制作に至ったそうです。レーベルの垣根を超えてセレクトされた楽曲群ですが、発売国によって曲目や曲順が異なるようで、本レビューは国内盤となります。日本ではオリコン週間8位を記録。

 ファンキーな「Dude (Looks Like A Lady)」でアルバムの幕開け。ブラスセクションが飾り立て、1980年代という華やかな時代を感じさせます。賑やかでノリの良い楽曲ですね。続く「Love In An Elevator」はトムのゴリゴリベースが強烈なグルーヴを生み、とてもノリの良い演奏を繰り広げます。そしてスティーヴンの歌うメロディはとてもキャッチーで耳に残るんですよね。楽しい楽曲です。「Livin’ On The Edge」は牧歌的なイントロで始まりますが、力強い演奏で盛り上げてスケール感を増していきます。そしてエアロスミス屈指の名曲「Walk This Way」。イントロからジョー・ペリーの弾くギターリフにワクワクさせられます。跳ねるようなジョーイ・クレイマーのドラムに、グルーヴ抜群のベースも爽快でとてもファンキーです。そして、スティーヴンの早口でまくし立てるような歌が強烈でカッコ良いですね。ヤミツキになる大好きな1曲です。「Cryin’」はバラード。ブラスを用いたイントロは派手派手ですが、ギターは結構ブルージーです。売れ線バラードですが流石にメロディは良く、歌には強い哀愁が漂います。「Jaded」は新録曲を除くと一番新しい楽曲で、若干トリッキーなリズムが特徴的。爽やかさの中に哀愁が漂います。
 そしてここからはバラードを連発。「Crazy」はゆったりとしたバラードで、優しい演奏にスティーヴンの切ない歌唱が映えます。ジョーのメロウなギターソロも味があって良いですね。「Angel」はメランコリックな歌メロが切ない。ボン・ジョヴィっぽいギラついた感じのバラードですが、売れ線ライターのデズモンド・チャイルドとの共作&プロデューサーにブルース・フェアバーンという、ボン・ジョヴィ大ヒットの立役者とのタッグなので致し方なしですかね。「Amazing」イーグルスのドン・ヘンリーがゲスト参加。ピアノが強く哀愁を誘い、渋くて魅力的なバラードです。メロディが良いんですよね。「The Other Side」で一旦バラードの流れを断ち切ります。華やかなブラスにグルーヴィなリズム隊がノリノリの演奏を繰り広げます。ジョーのギターソロもご機嫌ですね。
 ここから初期の楽曲群が並びます。「Dream On」は再びバラードで、デビューアルバム収録曲。1973年の作で他の楽曲ほどギラついてはおらず、スティーヴンの歌い方も全然違いますね。楽曲には終始強烈な哀愁が漂っています。「Sweet Emotion」はファンキーな楽曲でグルーヴに満ちており、そして泥臭いリフが印象的。「Draw The Line」は爽快なロックンロールで、明るくキャッチーなメロディと耳に残るヘヴィなリフが特徴的です。終盤はスティーヴンが狂ったようなシャウトを披露。
 そして一気に時代が飛んで1990年代の楽曲へ。「Falling In Love (Is Hard On The Knees)」は頭サビの出だしがパワフルですね。相変わらずホーンが華やかに飾り立てます。「Pink」はイントロのブルースハープが渋い雰囲気。そして終始ベースが強烈に唸ります。続いて名曲「I Don’t Want To Miss A Thing」。スティーヴンの娘リヴ・タイラーが主演を果たした映画『アルマゲドン』のテーマ曲で、エアロスミスといえばこの楽曲がとても有名ですね。これを聴きたいが為に本作を手に取りました。笑 イントロで重厚なオーケストラを聴かせた後、美しくも哀愁に満ちた魅力的な歌メロへ。スティーヴンの感情たっぷりの歌唱がとても染み入るんです。ダイアン・ウォーレンという外部ライターの楽曲ですが、上手いことアレンジを施してエアロスミスの楽曲にしていますね。
 そしてここからが新録曲。「Sedona Sunrise」は結構渋めの楽曲です。スライドギターが落ち着いた雰囲気を醸し出します。続いて表題曲「Devil’s Got A New Disguise」は元々『パンプ』の頃の未完成アウトテイク「Susie Q」と呼ばれる楽曲を改題して仕上げたものです。キレのある骨太なロックンロールで、ハードロックバンド然としたノリの良い楽曲です。こういうタイプの楽曲をもう少し多く収録して欲しかったところ。

 1970年代よりも1980年代後半からの第二期黄金期の楽曲から多くセレクト。ハードロックバンドなのに意外とバラードが多い選曲で、通しで聴くとちょっとクドいかも。

Devil’s Got A New Disguise: The Very Best Of Aerosmith
Aerosmith
 
 
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