🇬🇧 Bloc Party (ブロック・パーティ)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Silent Alarm (サイレント・アラーム)

2005年 1stアルバム

 ブロック・パーティは英国ロンドンで結成されたバンドで、ポストパンク・リバイバルの担い手として知られます。ナイジェリア出身のケリー・オケレケ(Vo/Gt)とラッセル・リサック(Gt)が1998年に出会い意気投合、その後ゴードン・モークス(B/Key)、マット・トン(Dr)が加わってバンドを結成しました。2003年にフランツ・フェルディナンドの前座に抜擢され、ブレイクのキッカケとなります。そして2005年にデビュー作となる本作をリリースしました。ポール・エプワースによってプロデュースされた本作は全英3位を獲得し、ヨーロッパでも9ヶ国で10位以内を記録するなど大ヒットしました。

 オープニング曲「Like Eating Glass」からインパクト大。ギターが作り出すピンと張り詰めた緊張、そこにダイナミックなドラムが割り込んできます。このドラムが非常にカッコ良い。そして始まるケリーの歌は、遠くまで響き渡るような伸び伸びとした感じ。唸るベースやキラキラとしたキーボードもこの楽曲を魅力的なものにしています。続く「Helicopter」が本作のハイライト。カミソリのように鋭利なギターに、手数の多いドラムが暴れ回り、引き締めるベースもとてもカッコ良い。そんなサウンドに乗せたケリーの歌はヒップホップの要素も取り込んで独特のノリを生み出します。抜群のグルーヴ感で、また鋭利なサウンドとは対照的に、包み込むようなコーラスワークによって浮遊感もあります。「Positive Tension」はベースとドラムが楽曲の核を作り、これだけでも聴きごたえがあります。シンセサイザーがスペイシーなサウンドを奏で、ケリーがヒップホップ的な歌を乗せるという、色々ミックスされている楽曲です。終盤の緊張感溢れる展開がカッコ良い。「Banquet」は細かく刻むギターとグルーヴィなベース、そして淡々としつつも抜群のリズム感を生み出すドラムが中毒性のあるサウンドを作ります。とにかくノリが良い。「Blue Light」はしっとりとした楽曲です。静かに始まり徐々に盛り上げる展開が良い。続く「She’s Hearing Voices」はドラムが爆音で弾ける…凄まじいビート。ギターはノイジーに掻き乱し、ひたすら反復する歌とベースが中毒性を生み出します。これは圧倒されます。「This Modern Love」は無機質な感じで始まります。例えるならモノクロの世界。そこから少しずつ色を足していくかのように、後半に向かうにつれて明るく色鮮やかな楽曲へと変わっていきます。とても爽やかで、少し切ないメロディが良い。「The Pioneers」はひんやりとした感覚に力強いドラムが、どこか初期U2にも通じます。歌声は全然違いますけどね。スリリングな1曲です。「Price Of Gas」は焦燥感を掻き立てるような強烈なリズム隊と、細かく刻むギター。シンセが煌びやかに彩りますが、リズム隊のせかせかした感じに煽られます。「So Here We Are」はメロディアスなギターが癒し、柔らかなコーラスが包み込むような、浮遊感のある楽曲です。でもドラムは相変わらず忙しいですが…。「Luno」がまた強烈なグルーヴ感のある1曲です。リズム隊が煽る煽る。疾走感は爽快というより、煽り運転されてるかのような焦りを覚えます。そして後半ギターがザクザクと切り込んでくる。とてもスリリングです。「Plans」はギターがアンビエント系のような音を響かせます。しかしスリリングなリズム隊によって癒し曲にはさせない。ノリの良い1曲です。ラスト曲「Compliments」は珍しく(?)ドラムが大人しく、音響を聴かせるポストロック的(ポストパンクではなく)な、幻想的な1曲です。

 凄まじい緊張感とグルーヴ感に満ちた楽曲群。特にマット・トンのドラムが強烈で、彼のドラムによって非常にスリリングな楽曲に仕上がっています。

Silent Alarm
Bloc Party
 
 
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