🇺🇸 Bon Jovi (ボン・ジョヴィ)

レビュー作品数: 4
  

スタジオ盤

Slippery When Wet (ワイルド・イン・ザ・ストリーツ)

1986年 3rdアルバム

 ボン・ジョヴィは米国ニュージャージー州出身のハードロックバンドです。ジョン・ボン・ジョヴィ(Vo/Gt)、デヴィッド・ブライアン(Key)の知り合い二人でライブ活動をしており、1983年頃アレック・ジョン・サッチ(B)、ティコ・トーレス(Dr)が加わり、最後にリッチー・サンボラ(Gt)が加わって1984年にデビューしました。

 さて本作は、全世界で3,000万枚売れたというボン・ジョヴィの大ヒット作となります。ブルース・フェアバーンのプロデュースで、彼は本作のほか低迷していたエアロスミスを大復活させたり、AC/DCの『レザーズ・エッジ』やイエスの『ラダー』等、数々の名盤をプロデュースしています。また楽曲制作にデズモンド・チャイルドを起用し、彼の貢献もあったか「Livin’ On Prayer」と「You Give Love A Bad Name」という大ヒット曲が生まれました。
 なおオリジナルのジャケットアートは女性の胸部が写ったものですが、過激だとかデザインがメンバーに不評だとかで差し替えられました。日本盤は差し替え前のジャケットになります。

 本作は「Let It Rock」で開幕。デヴィッドの弾く煌びやかなオルガンから、ド派手なヘヴィメタルが展開されます。コーラスがキャッチーで、ヘヴィなサウンドに親しみやすさを生みます。リッチーのギターソロも凄まじい。しかしそんなオープニング曲が霞むのは続く2つの超有名曲があるから。「You Give Love A Bad Name」はイントロなしでサビから入りますが、ジョンの叫びに分厚いコーラスで歌われるのはキャッチーなメロディで、思わず口ずさんでしまいます。程よく憂いを帯びたメロディアスな歌が、ヘヴィなサウンドに引き立てられ、とてもカッコ良い楽曲です。そして本作のハイライト「Livin’ On Prayer」。「ウワゥワゥウウ」という音のインパクトがありますが、この音を出しているトーキング・モジュレーターを用いた楽曲では最も有名な1曲ではないでしょうか。そして歌メロもキャッチーで耳に残ります。なお、本作の歌詞の中に出てくるトミーとジーナのカップルは、他の楽曲でも何度か登場します。続いて「Social Disease」はド派手な1曲で、ヘヴィメタルに似つかわしくないホーンの音色には笑ってしまいます。「Wanted Dead Or Alive」はアコギが主体となってミステリアスな雰囲気を作ります。タイトルの連呼で歌メロも耳に残りやすいですね。「Raise Your Hands」は疾走感に溢れたノリの良いロックンロール。リフも印象的ですが、それ以上にタイトルを連呼する分厚いコーラスが強烈なインパクトです。派手だけど爽快です。続く「Without Love」はポップ全開で、爽やかですがどこか切ないメロディがベタですね。「I’d Die For You」は緊迫感に満ち溢れた楽曲で、ハードな演奏に影のあるメロディが展開されます。終盤のティコのドラムが何気に好みです。「Never Say Goodbye」は名バラード。ベタですがメロディが良くて、ゆったりとした演奏がメロディを引き立てます。最後の「Wild In The Streets」は日本盤のタイトル曲。疾走感抜群の爽快なロックンロールです。アルバムの締めはとても爽やかです。

 ド派手でキャッチーな楽曲に満ちていて、かなり取っつきやすいです。ボン・ジョヴィの入門盤としては勿論、ハードロック入門盤としても向いていると思います。

Slippery When Wet (Remastered)
Bon Jovi
 

New Jersey (ニュージャージー)

1988年 4thアルバム

 前作に引き続きブルース・フェアバーンによるプロデュースで、本作も世界的な大ヒットとなりました。全世界で1800万枚以上を売り上げ、日本では年間アルバムチャートの1位を獲得。メンバーも前作に引き続きジョン・ボン・ジョヴィ(Vo/Gt)、リッチー・サンボラ(Gt)、デヴィッド・ブライアン(Key)、アレック・ジョン・サッチ(B)、ティコ・トーレス(Dr)。
 アルバムジャケットがカッコいいですね。タイトルは自身の出身地を冠しています。

 オープニングを飾るのは「Lay Your Hands On Me」。イントロから煽るかのようなコールで盛り上げたあと、荘厳なオルガンとともにジョンの歌が始まります。そしてメタリックなサウンドを展開。サビメロは口ずさみたくなるようなキャッチーさがあります。そして本作のハイライト「Bad Medicine」。とてもキャッチーなメロディは、どこかで耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。ボン・ジョヴィはドラッグとは無縁のクリーンなバンドですが、「お前の愛は悪い薬だ」とドラッグの代わりに愛に溺れる歌なのでした。「Born To Be My Baby」は軽快で爽快感に溢れる楽曲です。しかしサビは哀愁漂うメロディ。間奏のギターソロも良いですね。続いてバラード「Living In Sin」。序盤はしっとりと大人しく、そして徐々に盛り上げていくベタな展開。ですがメロディが良いですね。「Blood On Blood」はイントロからギターがギュインギュイン唸ります。軽快なドラムが勢いをつけて爽やかな印象を作りますが、電子ピアノと哀愁あるメロディが少し切なさを感じさせます。メロディや叫び方がどことなくU2を想起させます。「Homebound Train」は音が詰まってヘヴィでとてもパワフル。列車がガタゴト進むかのようです。泥臭いブルースをド派手なヘヴィメタルに仕立て上げたような楽曲です。続いてバラード曲「Wild Is The Wind」。哀愁漂うメロディを、渋い感じに力強く歌います。1分半に満たない「Ride Cowboy Ride」はノイズまみれのチープなテープ録音のような音質で、アルバムの流れにひと息。バラード「Stick To Your Guns」を挟んで、またも壮大なバラード「I’ll Be There For You」。メロディアスで聴きやすいですし、単曲では感動的なのですが、バラード続きなのは…うーん。続く「99 In The Shade」ではテンポアップして、ノリノリのロックで疾走します。最後に「Love For Sale」はおまけのような1曲。デモテープのような仕上がりですが、小気味良いサウンドは西部劇のようで楽しげです。

 泥臭さが前面に表れています。泥臭さが加わっても、前作に引き続きド派手でキャッチーなので取っつきやすいです。但しバラードばかりでクドいので、正直飽きが来るのも早かったり…。

New Jersey (Remastered)
Bon Jovi
 

Have A Nice Day (ハヴ・ア・ナイス・デイ)

2005年 9thアルバム

 にこちゃんマークのジャケットアートが印象的な1作。ジョン・シャンクスをプロデューサーに迎えて2004年に一度完成させていましたが、リリースを延期し、新たにリック・パラシャーをプロデューサーに迎えて4曲を追加して翌年リリース。本作においてカントリー歌手ジェニファー・ネトルズとデュエットを果たしていますが、デュエット曲「Who Says You Can’t Go Home (Duet Version With Jennifer Nettles)」が、ロックバンドで初めて米国のビルボード・カントリーチャートで1位を獲得しました。

 表題曲「Have A Nice Day」で開幕。アコギの音で爽やかに始まるかと思いきや、直後に音圧の強いサウンドに圧倒されます。爽やかさとヘヴィさを両立したパワフルな楽曲で、メロディに口ずさみたくなるようなキャッチーさがあります。とてもカッコ良い1曲です。「I Want To Be Loved」はガラガラとした声のようなトーキング・モジュレーターが印象的。サウンドはヘヴィですが、1980年代のような派手さは控えて、哀愁漂うメロディを引き立てます。続くバラード曲「Welcome To Wherever You Are」はアコースティックな雰囲気で展開。サビを盛り上げる演奏はハードですが、あくまで歌メロが主体という印象。円熟味を感じさせるジョン・ボン・ジョヴィの歌声が、メロディの良さと相まってしんみりとさせてくれます。「Who Says You Can’t Go Home」は爽やかな1曲。ハードなカントリーロックといった印象で、聴いていると明るい気分になれます。ラストの「It’s alright」の連呼はキャッチーですね。続く「Last Man Standing」は疾走感に溢れるロックンロール。イントロや間奏で聴けるリッチー・サンボラのギターがカッコ良く、緊迫感のある演奏がスリリングです。哀愁漂うバラード「Bells Of Freedom」でじっくり聴かせた後、ストリングスに彩られた哀愁を帯びた「Wildflower」が続きます。「Last Cigarette」はアップテンポ曲。ヒュー・マクドナルドのベースとティコ・トーレスのドラムが力強くもノリの良いリズムを作り上げます。サビはストリングスが飾りますが、ハードな演奏がメイン。気持ちの良い楽曲です。「I Am」は憂いを帯びた少しダークなメロディ。サビの切ない歌唱はぐっときます。メリハリのある力強いドラムが爽快な「Complicated」に続き、「Novocaine」は控えめな序盤から徐々に盛り上げていくアップテンポ曲。メロディは平坦な印象ですが、軽快な演奏が心地良いです。「Story Of My Life」はピアノから突如ハードな演奏に切り替えて、爽快なハードロックを展開。爽やかにアルバムを締めます。
 なお米国盤では前述のデュエット曲「Who Says You Can’t Go Home (Duet Version With Jennifer Nettles)」が付きますが、欧州盤、英・豪・亜盤、日本盤でそれぞれ異なるボーナストラックが付属するようです。

 表題曲が強烈ですが、佳曲が揃っていて聴きごたえがあります。演奏はハードですがゴージャスさは控えていて、またアコギの音色がハードな演奏に良いアクセントを加えてくれます。

Have A Nice Day
Bon Jovi
 
 

編集盤

Greatest Hits (グレイテスト・ヒッツ)

2010å¹´

 ボン・ジョヴィのベスト盤。米国盤、インターナショナル盤、日本盤でそれぞれ収録曲が微妙に異なります。私の手元のCDは曲目をみるとインターナショナル盤のようなので、こちらをレビューします。なお本項で取り上げる1枚組とは別に、2枚組の『アルティメット・コレクション』も存在します。

 オープニングを飾るのはボン・ジョヴィの代表曲「Livin’ On Prayer」。トーキング・モジュレーターを用いてワウワウ唸る音が強烈な印象ですね。リッチー・サンボラのギターやティコ・トーレスのオルガンがド派手ですが、ジョン・ボン・ジョヴィの歌うメロディはキャッチーで、ヘヴィなサウンドなのに取っつきやすいです。続く「You Give Love A Bad Name」も、コーラスによってキャッチーな歌メロが強烈。また、ギターやシンセの派手さに注意がいきがちですが、ティコ・トーレスのパワフルなドラムやアレック・ジョン・サッチの暴れ回るベースも魅力的です。「It’s My Life」も大ヒット曲なので有名ですね。これを聴くと、なかやまきんに君が真っ先に思い浮かびます。笑 非常にヘヴィでパンチのきいた重低音から始まる、渋くてメロディアスな歌。とてもカッコ良い1曲です。歌詞には「Livin’ On Prayer」でも出てきたトミーとジーナのカップルが再登場します。「Have A Nice Day」はゴージャスさは控えてアコギも用いられています。でもハードさは倍増していて、特にパワフルなドラムを中心にメリハリのある強烈なサウンドに圧倒されます。「Wanted Dead Or Alive」はテンポダウンしてアルバムの流れに緩急をつけます。オリエンタルな雰囲気でゆったりしていますが、後半のドラマな盛り上げ方は流石。「Bad Medicine」はヘヴィなサウンドとは対照的に、口ずさみたくなるようなポップなメロディが魅力です。「We Weren’t Born To Follow」は当時最新作の『ザ・サークル』より。前曲との対比もあってか円熟味を感じます。「I’ll Be There For You」は、哀愁漂うメロディをじっくり聴かせるバラード。ベタですが壮大な展開は感動的です。カウントから始まる「Born To Be My Baby」はノリの良い楽曲かと思えば、シリアスで緊迫感があります。メロディが良いですね。渋いバラード曲「Bed Of Roses」でしっとりとした歌を聴かせた後は、爽やかなカントリーロック調の「Who Says You Can’t Go Home」。本作収録版ではありませんが、ジェニファー・ネトルズとのデュエットバージョンは米国で大ヒットしたのだとか。続く「Lay Your Hands On Me」はゴージャスなヘヴィメタル時代の楽曲で、キャッチーなメロディとド派手なサウンドで圧倒します。でもアルバムの流れでは浮いてるかも。「Always」は名バラード。ヘヴィなサウンドにせず、逆にピアノ主体のサウンドにストリングスを加え、美しいメロディで勝負しています。ジョンの切ない歌唱が響く、とても美しくて泣ける1曲です。「In These Arms」はベースラインが魅力的です。そして何より、キャッチーで明るくも少し切なさを帯びたメロディが素晴らしい。聴き終えた後、幸福感に満たされます。
 ここから2曲は未発表曲。「What Do You Got?」は円熟味のあるソフトなロックといった感じ。派手さはなくなり地味ではありますが、優しい楽曲は聴き心地が良いです。ラスト曲「No Apologies」はEDMのような、コールドプレイのようなカラフルなサウンド。ぎらついたヘヴィメタル時代とは違うけど色鮮やかな感じです。

 ボン・ジョヴィの名曲が詰まっています。名盤と名高い『ワイルド・イン・ザ・ストリーツ』と『ニュージャージー』からの収録が多いですね。ハードだけどキャッチーな楽曲の数々。正直、個人的にはボン・ジョヴィはこれ1作品で十分と思っていたり…。

左:2枚組のThe Ultimate Collection。
右:本項でレビューした1枚もののInternational Edition。

Greatest Hits: The Ultimate Collection
(Deluxe Edition) (2CD)
Bon Jovi
Greatest Hits (International Edition) (1CD)
Bon Jovi
 
 
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