🇬🇧 Bruce Dickinson (ブルース・ディッキンソン)
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
1998年 5thアルバム
イングランド出身のミュージシャン、ブルース・ディッキンソン。フルネームはポール・ブルース・ディッキンソンといいます。1958年8月7日生まれ。ヘヴィメタルバンドアイアン・メイデンのボーカリストとして活躍するだけでなく、アストライオス航空ではパイロットを務め、ワールドツアーではエド・フォース・ワンと呼ばれるチャーター機を操縦。メンバーや機材を乗せて世界を飛び回ります。また実業家としての側面もあり、アイアン・メイデンブランドのビールを製造販売するビール醸造所の経営にも携わります。
1981年にアイアン・メイデンに加入して活躍、そして1990年よりソロデビューします。本作はアイアン・メイデンを一時的に脱退していた時期にリリースした作品で、何故選んだか忘れましたがこれだけ持っていました(ジャケットに惹かれたのか、エイドリアン・スミス参加だからか?)。そのジャケットアートは、画家ウィリアム・ブレイクの『蚤のゴースト』という作品だそうです。プロデューサーにはギタリストも兼任するロイ・Zが就きました。そしてアイアン・メイデン時代の盟友エイドリアン・スミス(Gt)と、エディ・カシラス(B)、デヴィッド・イングラム(Dr)が演奏陣としてブルースをサポート。またゲストとしてグレッグ・シュルツ(Key)、アーサー・ブラウン(Vo)が参加しています。ソロでもヘヴィメタルを展開しますが、オルタナを取り入れたか、本家よりも鈍重でモダンな仕上がりです。
オープニング曲は「King In Crimson」。キング・クリムゾンではないんですね。笑 本家アイアン・メイデンよりも低いチューニングで重たいギターが這うようにうねります。ミドルテンポでヘヴィなこの楽曲は、メロディもダーティな雰囲気で、悪カッコ良い感じです。表題曲「Chemical Wedding」もイントロからダーク。歌が始まると音数を減らして、どよーんとエキゾチックで怪しげな雰囲気が漂います。グルーヴ重視のオルタナメタルを取り入れている感じですが、ブルースのメロディアスな歌唱はやはりアイアン・メイデンなんですよね…感動的です。そして悲壮感溢れるギターソロも中々魅力的。「The Tower」はドラムが軽いノリですが、リズムギターはヘヴィ。ギターソロに時折メイデンの血を感じますが、弾いているのはエイドリアンでしょうか。そして、キャッチーでメロディアスな歌メロは結構耳に残ります。「Killing Floor」はダーティな楽曲。時折切れ味抜群のギターが刺さりますが、全体的には這うように重たく、そしてグルーヴィです。サビでの吐き捨てるような攻撃的なシャウトが強烈。実にカッコ良い。続いて8分超の大作「Book Of Thel」。陰鬱でブルージーに始まりますが、突如アグレッシブな演奏へと激変するイントロがあまりにカッコ良い。アイアン・メイデンでは聴けないタイプの楽曲ですね。ブルースの歌も攻撃的。中盤リズムチェンジ後の演奏も破壊力満点で強烈です。「Gates Of Urizen」は憂いのあるアルペジオをはじめじっくり聴かせる楽曲です。陰のあるサビメロを感情たっぷりに歌い、その後のギターソロのコンボで切ない気分にさせます。「Jerusalem」はアコースティックな雰囲気でこじんまりと始まりますが、徐々に盛り上がっていきます。中世的な心地良いサウンドにブルースの歌が伸びやかに響きます。後半はメタル色を前面に出して壮大に。なかなかの良曲です。「Trumpets Of Jericho」はリズミカルでアップテンポ気味ですが、ギターリフはとてもヘヴィですね。所々中東風のフレーズを聴かせます。「Machine Men」も力強く重たい演奏です。気が引き締まるような印象です。そしてラスト曲「The Alchemist」。序盤は加工されたボーカルとSEでサイケじみていますが、その後はメロディアスな歌をしっかりと力強く歌い上げるので聴き入ってしまいます。
アイアン・メイデンをうっすら感じる場面もありますが、より重厚感がありダーティな印象。本家とは違った魅力を見せるカッコ良い作品です。
本作の翌1999年に、ブルースとエイドリアンは本家アイアン・メイデンに再合流。以降はアイアン・メイデンでの活動が主になりますが、ソロとしては2005年に6th『ティラニー・オブ・ソウルズ』をリリースしています。
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本家バンド活動。ボーカリストとして活躍。
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