🇩🇪 Can (カン)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Monster Movie (モンスター・ムーヴィー)

1969年 1stアルバム

 カンはドイツ(当時西ドイツ)のケルン出身のロックバンドです。ドイツ人のイルミン・シュミット(Key)、ホルガー・シューカイ(Gt)、ヤキ・リーベツァイト(Dr)、ミヒャエル・カローリ(Gt)と、米国人のデヴィッド・ジョンソンの5人で1968年に結成。デヴィッドは同年中に脱退しますが、同じ頃に米国人のマルコム・ムーニー(Vo)が加わります。
 本作は自主レーベルからリリースした1stアルバムで、500枚制作して2週間で完売。後にリバティ・レコードが原盤を買い取って再リリースし、その際に強烈なインパクトを放つ巨大ロボットのようなジャケットに差し替えられました(配信版は当たり障りのないジャケットで物足りない感じがします…)。

 「Father Cannot Yell」。時代を10年先取りしたサウンドがとにかく衝撃的です。テクノポップのような電子音、ミニマルと呼ばれる単調なフレーズを反復するリズム隊(でもこれが徐々にテンション高めてスリリングになるんです)、ヘタクソなボーカル、ノイジーにかき鳴らして雑音のようなギター。パンクがまだ存在しなかった時代の楽曲ですが、パンクを通り越してポストパンク/ニューウェイヴに通じる音楽性なんです。ヒリヒリとしたサウンドはとてもカッコ良い。続く「Mary, Mary So Contrary」は哀愁漂うメロディアスな楽曲。粗削りで完成度は高くないですが、しんみりとした雰囲気は中々良い感じ。続く「Outside My Door」はブルージーなギターとハーモニカが特徴のオーソドックスなチューン。…なのですが、投げやりでメロディ無視のマルコムのボーカルがとにかく突出して凄まじいインパクトで、後にセンセーションを巻き起こすセックス・ピストルズ/PILのジョン・ライドンのよう。パンキッシュな歌があまりに強烈です。
 そしてレコードB面は20分に渡る大作「Yoo Doo Right」。英国プログレのような構成美は無くて、太鼓のようなプリミティブなドラムに乗せて呪術めいたボーカルで淡々と進行。笑 途中から少しメロディが出てきますね。歪んだギターやスペイシーなサウンドで起伏が出てくると、原始的なリズム隊は躍動感を増してどんどんスリリングになっていきます。8分過ぎるとスリルは減退し、マルコムが淡々と語り、そしてまたメロディが出てきて…。その後はプリミティブなリズム隊の単調な反復がときに心地良く、ですが長くて冗長でもあります。しゃがれた歌が再び加わると「私は一体何を聴いてるんだ?」といった気分に。ダレる部分はあるものの、魅力もある不思議な楽曲です。

 ポストパンクを10年先取りしたパンキッシュで先進的な音楽性がとにかく衝撃的。プログレの文脈よりもパンク/ニューウェイヴの文脈で聴いた方が楽しめそうです。

Monster Movie
Can
 
 
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