🇬🇧 Cozy Powell (コージー・パウエル)

レビュー作品数: 1
  

編集盤

The Best Of Cozy Powell (ヴェリー・ベスト・オブ・コージー・パウエル)

1997年

 イングランド出身のドラマー、コージー・パウエル。本名コリン・フルックス。1947年12月29日生まれ、1998年4月5日没(享年50歳)。レーサーへの転向を考えるほどの車好きで、飲酒運転でかつ時速167kmのスピードを出していたところ、中央分離帯に激突して事故死。若くしてこの世を去りました。
 コージーはハードロック界の渡り鳥として知られています。ジェフ・ベック・グループで名を上げ、レインボーでの活躍を機に数多くのハードロックバンドに参加し、力強いドラミングで名盤に仕立て上げてきました。実はコージーのソロ活動を薦める目的ではなく、彼のキャリアを整理する目的で本作のレビューを書いています。笑

 さて本作は、彼のソロ作品1st『Over the Top』、2nd『Tilt』、3rd『Octopuss』の活動を収めた作品となります。ドラマーのソロ作品ってどんなものだろう?と疑問に持ちますが、出来上がった作品はフュージョン寄りのインストゥルメンタル中心の作品でした。コージーの持ち味は存在感のあるパワフルなドラムですが、ゲストに豪華な面々を呼んでいて、決してドラムだけを聴かせる作品に留まっていません。豪華ゲストの奏でるバンドサウンドを引き立てつつ、時には張り合う、そんな立ち位置でドラムを叩いています。ゲストメンバーは、ギターにはゲイリー・ムーアやジェフ・ベック、ベースにはクリームのジャック・ブルース、キーボードにはディープ・パープルのジョン・ロードや、レインボーのドン・エイリー等の名前が並びます。書き切れていませんが、他にも数多くのゲストプレイヤーが参加しています。

 ビートルズを手掛けたジョージ・マーティン作曲の「Theme One」で始まりますが、キーボードの華やかなサウンドがメインで、それを引き立てる非常にパワフルなドラムを聴かせてくれます。また、「The Loner」の哀愁漂う楽曲が渋くてよいですが、この渋さを演出する泣きのギターはハンブル・パイのクレム・クレムソンの演奏。哀愁を漂わせる楽曲では、ゲイリー・ムーアがギターを弾く「Sunset」も中々良い感じです。彼の持ち味であるダイナミックなドラムを楽しむのであれば、チャイコフスキーの「序曲1812年」をアレンジした「Over The Top」がスリリングな演奏。疾走感溢れる「The Blister」も強烈なツーバスを聴かせ、緊迫感があって楽しませてくれます。また、「Octopuss」も3rdアルバムの表題曲なだけあって強烈。この楽曲はドラムが主役を演じていますね。

 フュージョン作品としてはかなりスリリングで楽しめますが、ハードロックバンドでのキャリアを知っていると、ボーカリスト不在が物足りなくも感じます。ソロ作品については、彼の参加したバンド作品をひと通り聴いた後でも良いかと思います。

The Best Of Cozy Powell
Cozy Powell
 
 

関連アーティスト

 第2期ジェフ・ベック・グループに参加。

 
 2nd『虹を翔る覇者』から4th『ダウン・トゥ・アース』まで参加。
 
 2nd『神話』に参加。
 
 6th『スライド・イット・イン』に参加。
 
 
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