🇯🇵 CYTOKINE (サイトカイン)

レビュー作品数: 1
  

同人作品:東方アレンジ

VOICE BLINDED COLOR

2010年 17thアルバム

 CYTOKINEは、イラストレーターの蒲焼鰻(兄)とサウンドを手掛ける隣人(弟)の兄弟による同人サークルです。2005年頃から活動を開始し、2006年から東方アレンジ楽曲を手掛けています。2011年からは、東方アレンジは隣人の個人サークルZYTOKINE(ツァイトカイン)名義で発行され、CYTOKINEは蒲焼鰻によるイラストを中心としたサークルへと変わります。阿呆な私はしばらく「シトキネ」と間違って読んでいましたが汗、「サイトカイン」と読みます(余談ですが、最近は「サイトカインストーム」という言葉を耳にすることも増えましたね)。
 本作は夏のコミックマーケット78で頒布されました。蒲焼鰻の描く古明地こいしのジャケットアートに惹かれてジャケ買いしたのが本作との出会いでした。当時の私はダンスミュージックはほぼ聴かない・知らないジャンルでそれほど聴いていなかったと思いますが、本作の中毒性が後からじわじわ効いてきて、結果として長らく聴き続けているお気に入りの東方アレンジ作品になっています。クオリティが高くて中毒性があるダンスミュージックが揃っているので、ダンスミュージックに抵抗のない方にとっては私のようにジワジワではなく即効性があるのではないでしょうか。

 「Taboo Silence Dolls」を除く全編曲を隣人が手掛けています。
 1曲目の「stray whisper taker」は綾倉盟をボーカルにフィーチャーした「アリスマエステラ」のアレンジ。強烈なビートを刻むエレクトロニックな楽曲と、対照的に、触れたら壊れそうな儚げなボーカルのギャップが、強い中毒性を生み出しています。繊細な歌声によるキャッチーなメロディラインを堪能する間もなく、速くて強いビートが焦燥感を煽り立ててスリリングです。
 続く「arise ancient music」は「東方妖々夢 ~ Ancient Temple」のアレンジ。前曲よりは落ち着いて静かな雰囲気ですが、楽曲はダンサブルです。ボーカルを務めるSYOがメランコリックに歌いますが、原曲譲りのメロディアスな旋律とSYOの儚い歌声がよく合っています。
 「ラストリモート」をアレンジした「until curtain falls」。A~YAがボーカル担当し、歌は英語詞です。強めのビートを刻むユーロビートっぽい演奏は強烈。メロディよりもビートが強くて原曲が分かりづらいですが、サビメロで馴染みのある良メロディが出てきます。
 「シンデレラケージ ~ Kagome-Kagome」をアレンジした「宵闇の 影を切り取る 言の葉の」は、Nana Takahashiをボーカルにフィーチャー。テンポが速くてビートも強烈ですが、Nana Takahashiのボーカルは上手くて、強烈な演奏すらバックに追いやるくらいの存在感があり、メロディアスな歌を聴かせます。
 ここから4曲はakiがボーカルを務めます。「black invokes black」は「厄神様の通り道 ~ Dark Road」のアレンジ。サンプリングしたドラムの強烈なビートを軸に据え、時折ノイジーなギターが楽曲を引き立てます。akiの声はかなり癖がありますが、この楽曲については原曲を踏襲したサビメロと歌声、強烈なビートの組み合わせがうまくマッチしています。
 続いて「メイドと血の懐中時計」をアレンジした「hands declare signs」。4つ打ちのビートに乗せてノスタルジックな歌を披露。原曲の面影が薄くて、またアレンジにおいても他の楽曲のように毒性が強くないので、本作では埋もれがちな楽曲です。
 「悲しき人形 ~ Doll of Misery」をアレンジした「Taboo Silence Dolls」は、本作で唯一Syrufit (同人サークルStudio “Syrup Comfiture”の主宰) が編曲しています。ひたすら反復するミニマルなフレーズや、歌詞にも見られる反復が特徴的です。
 「stars dislike night」は「スカイルーイン」のアレンジです。高速のビートを刻む演奏に、癖の強い歌声による存在感のある歌メロ。でも前半の楽曲よりはやや弱い感じか。
 そしてラスト曲「LIGHTS in the BABEL -Syrufit Remix」は、A~YAの英語ボーカルをフィーチャーした「感情の摩天楼 ~ Cosmic Mind」のアレンジ。歌声をバリバリに加工し、ビートを優先したダンサブルな演奏もメロディが見えず原曲が全く分かりませんが、原曲の力にほとんど頼らず、リズミカルで中毒性の強い演奏と歌で魅せてくれます。

 サークルとして固定のボーカリストを持ちませんが、ボーカリストによる差異がさほど気にならず、むしろ強烈なビートでメリハリのある演奏が牽引します。何だかんだ手に取る回数の多いお気に入りの作品です。

VOICE BLINDED COLOR
CYTOKINE
 
 
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