🇬🇧 Duran Duran (デュラン・デュラン)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

Duran Duran (デュラン・デュラン)

1981年 1stアルバム

 デュラン・デュランは1978年にイングランドのバームンガムで結成されました。初期はメンバーチェンジが激しかったようですが、サイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ジョン・テイラー(B)、アンディ・テイラー(Gt)、ロジャー・テイラー(Dr)の5人でメンバーが固まってメジャーデビュー。ちなみにテイラーが3人いますが、3兄弟ではなく3人いずれもが血縁関係のない他人だそうです。
 テクニック面よりも、メンバー全員がイケメンというルックス面で注目が集まり、当初はアイドル的な扱いを受けていたようです。時代を感じるジャケットも、メンバーのルックスを前面に押し出していますね。

 コリン・サーストンのプロデュース作。デヴィッド・ボウイの『ヒーローズ』やイギー・ポップ『ラスト・フォー・ライフ』のエンジニアを務めた人で、デュラン・デュランをニューロマンティックのスターに仕立て上げたのは、彼の手腕も大きいと思います。
 カメラのシャッター音から始まる「Girls On Film」。ドラムがダンサブルなリズムを刻み、小気味よいソリッドなギターのカッティングが心地よさを倍増させます。メロディも耳に残るキャッチーさがあって、とても聴きやすいですね。続いてデビューシングルでもある「Planet Earth」。ひたすら反復されるベースやキーボードが心地よく、そして聴いていると身体が自然に動き出すのはリズミカルなドラムやシーケンサーのせいでしょうか。「Anyone Out There」はポストパンク的な冷たいギターを感じつつ、やはりダンサブルで心地よい。シーケンサーが少し不快な音を立てつつも、疾走感がとても爽快な「Careless Memories」。音の作り方はニューウェイヴですが、雰囲気はハードロック的ですね。シンセサイザーがダークで幻想的な雰囲気を作るシリアスな「Night Boat」、ヘヴィで暗さも持ちながら、ダンスビートも失っていない「Friends Of Mine」等の佳曲が続きます。ラスト曲は「Tel Aviv」ですが、ストリングスを用いた実験的なインストゥルメンタルをラストに持ってくるのが意欲的ですね。タイトルほどの中東感はありませんが、聴き心地の良い1曲です。

 前半に固まったキャッチーな楽曲群はなかなか魅力的で、次作の大成功の布石を感じさせます。

Duran Duran
Duran Duran
 
Rio (リオ)

1982年 2ndアルバム

 ジャケットアートはパトリック・ナゲル氏のデザイン。このジャケットはそこまで惹かれなかったのですが、限定ジャケットが存在するようで、そちらの方が魅力的に感じました。パトリック・ナゲルの他の作品を調べてみたら、浮世絵を洋風にアレンジしたような、スタイリッシュな作品がいくつも出てきて、不思議な魅力を感じます。

 本作は、前作同様にコリン・サーストンのプロデュース。
 オープニングを飾る「Rio」は、イントロから高揚感を煽られます。めっちゃカッコいい。テクノポップ全開なサウンドを奏でる煌びやかなキーボードとタイトなドラムの裏で、グルーヴィなベースとソリッドなギターが対照的です。そしてメロディアスな歌が耳に残ります。時代を感じるサウンドも、一周回ってまた新しいでしょうか。間奏のサックスもカッコいいです。続く「My Own Way」はダンサブルな楽曲です。メタリックなギターがカッコいい。コーラスがメロディアスな雰囲気を奏でる「Lonely In Your Nightmare」を挟んで、名曲「Hungry Like The Wolf」。ピコピコと鳴るチャラいキーボードをよそに、ハードロックばりの強烈なドラムが響きます。メロディもポップで、とても聴きやすい1曲です。間奏での女性の吐息が色っぽい。そして「Hold Back The Rain」は小気味よいドラムがダンサブルなビート感を生み出しています。ベースも良い感じ。明るくてノリが良く、炭酸を飲んだような爽快さがあります。「New Religion」で少しダークな雰囲気を纏ってきます。この楽曲ではメタリックなベースが主軸となっていて、そこにギターのカッティングも良い具合に味付けしてくれるので、グルーヴ感が凄まじくカッコいい1曲です。「Last Chance On The Stairway」はメロディ重視のノリの良い1曲です。このダンサブルなビートを生み出しているのはリズム隊のおかげでしょう。「Save A Prayer」は少し神秘的な雰囲気も醸し出しています。シンセサイザーが幻想的な空気を作り出す中、主張の激しいベースが現実に引き戻してくるような感じです。そしてラスト曲「The Chauffeur」ではシンセサイザーが暗く不穏な雰囲気を作り出します。これまでのポップな楽曲群が嘘のように、ダークな一面を見せます。歌い方にデヴィッド・ボウイロキシー・ミュージック等のグラムロックからの影響を感じさせます。

 キャッチーでポップな楽曲の宝庫。そしてダンサブルな楽曲は聴いていてとても気持ち良い。どの楽曲も魅力的なものばかりで、ニューウェイヴを代表する名盤です。

Rio (Collector’s Edition)
Duran Duran
 
Seven And The Ragged Tiger (セヴン&ザ・ラグド・タイガー)

1983年 3rdアルバム

 アレックス・サドキンを新たなプロデューサーとして迎えた本作は、デュラン・デュラン唯一の全英1位獲得作品です。シングルカットした楽曲が全て全米10位以内に入るなど、英米でヒットしたデュラン・デュラン最大のヒット作です。

 名曲「The Reflex」で幕開けです。シングルカットされ、全米全英それぞれで1位を獲得しました。キャッチーでダンサブルな点ではこれまでの作品の延長なんですけど、シンセサイザーが緊張感を持たせながら洒落た雰囲気を作り出していて、大人びた感じです。これがカッコいい。続いてサビがキャッチーでメロディアスな「New Moon On Monday」を挟んで、「(I’m Looking For) Cracks In The Pavement」ではオリエンタルで妖艶な雰囲気が漂います。この音作りが好みです。続いて「I Take The Dice」では、サビで暗さというか色気というか、なんとも言えないメロディが魅力的です。緊張感漂う産業ロック的なナンバー「Of Crime And Passion」では間奏のベースがカッコいい。派手で少しダークなキーボードが印象的な「Union Of The Snake」、続いて哀愁のあるキャッチーなメロディラインが印象的な「Shadows On Your Side」は疾走感もあってスリリングな楽曲です。インストゥルメンタル「Tiger Tiger」を交えて、「The Seventh Stranger」はラスト曲ですがなんか暗い…。

 メロディラインなのか音作りなのか、どことなく昔のJ-POPに似ていて、親近感が湧くと共に時代を感じさせます。そして全体的にシリアスさ・ダークさがエッセンスとして加えられていて、キャッチーでメロディアスな楽曲の中に少し緊張感があって、引き締まるような感じがあります。

Seven And The Ragged Tiger
Duran Duran
 
 
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