Easy Star All-Stars (イージー・スター・オール・スターズ)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Ziggy Stardub (ジギー・スターダブ)

2023年

 イージー・スター・オール・スターズは、アメリカのレゲエ音楽レーベルEasy Star Recordsに所属するアーティストが集まったプロジェクトです。2003年にピンク・フロイドの『狂気』をレゲエ/ダブアレンジしたのをキッカケに、レディオヘッドビートルズなどなど、様々なレゲエカバーを行っています。そして本作はデヴィッド・ボウイのグラムロック名盤『ジギー・スターダスト』をレゲエ/ダブ風にアレンジしたものになります。

 「Five Years」では英国のレゲエバンド、スティール・パルスをフィーチャーしています。イントロからゆったりとしつつ、とても強烈なグルーヴを放ちます。声質は違うものの歌い方は原曲にかなり寄せていて、違和感なく聴けます。「Soul Love」ではモーティマーをフィーチャー。リズミカルな演奏に、優しいトーンのボーカル、バックで薄っすら聴こえるコーラスワークがドリーミーな感覚を誘います。間奏のサックスもオシャレです。続く「Moonage Daydream」は本作の先行シングル。ナオミ・コーワンが魅力的な歌声で歌い、ラッシュのアレックス・ライフソンがギターを弾いています。浮遊感たっぷりですが、同時にレゲエ特有の強烈なグルーヴでも楽しませてくれます。そして「Starman」も先行シングル。レゲエの大御所マキシ・プリーストをフィーチャーしています。スカのようなリズミカルなホーンが心地良く、そしてボーカルスタイルも魅力的ですね。原曲の良さという補正もありますが、このアレンジも素敵で大好きです。「It Ain’t Easy」はサモリー・アイが歌います。パーカッションやベースが強調されていてレゲエ感が強く、リズムに心地良く揺られます。ホーンを取り入れたりして華やかですね。「Lady Stardust」はサンダブという新鋭レゲエバンドが参加。冒頭オシャレなピアノを取り入れつつ、ゆったりとリズミカルなレゲエを展開します。「Star」はカールトン・リヴィングストンをフィーチャー。若干テンポが速めで、スカのようなドタバタ感があります(ドラムは大人しいですが)。アルバムの流れに緩急つけてくれます。「Hang On To Yourself」はフィッシュボーンと、ジョニーゴー・フィギュアが参加。打ち込みに加えてラップ調の歌で、レゲエというよりヒップホップな感じです。原曲を結構崩していて、本作でもやや異色。「Ziggy Stardust」はUKの男女混成バンド、スキンツが参加。ザラッとしたギターに中性的なボーカルは原曲の雰囲気に近いものの、全体的にはトロピカル風味の演奏で気持ちの良いアレンジです。「Suffragette City」はエクスパンダーズが参加。軽快なノリが気持ちの良いスカアレンジに乗せて、ボーカルの声質・歌唱がデヴィッド・ボウイにかなり似ていて、違和感なく聴ける1曲です。「Rock ‘N’ Roll Suicide」はソウルシンガー、メイシー・グレイが参加。ゆるっとしたテンポに加えてトロピカルな演奏に、ハスキーボイスを乗せます。これも途中まで原曲を崩したアレンジですが、後半にホーンやストリングスが加わって原曲の雰囲気が出てくると一気に引き締まります。
 原作『ジギー・スターダスト』はここまでですが、本作『ジギー・スターダブ』はまだ続きます。「Five Years Dub」はスティール・パルスのアレンジに、更にダブアレンジが施されています。強いエフェクトによってトリップ感があるものの、12弦ギターやストリングスはクリアで美しい。「Moonage Daydream Dub」はうごめくようなベースに、エフェクト強めの歌などによりトリップ感が強烈ですね。アウトロはストリングスだけ残って悲哀を感じます。「Lady Stardust Dub」では、ドラムやべーすの輪郭はハッキリしているものの、ボーカルに強い残響処理がかかって脳内でこだまするかのよう。そして最後に「All The Young Dudes」。カースティ・ロックが歌います。レゲエ特有のリズミカルな演奏に、色気のあるメロディアスな歌が魅力たっぷりです。

 原作の雰囲気を保ちながらもリズムはレゲエ風という一風変わった試みですが、これがまた魅力的なんです。グルーヴ感たっぷりなので気持ち良いですね。

Ziggy Stardub
Easy Star All-Stars
 
 

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