🇩🇪 Einstürzende Neubauten (アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Kollaps (コラプス (崩壊))

1981年 1stアルバム

 インダストリアル界隈では絶大な支持を得るドイツの実験的バンド、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン。こういう長い名前って声に出して読みたいですね。笑 ちなみにバンド名を和訳すると「崩壊する新建築」で、このバンド名が決まった直後に、第二次大戦後の新建築であるベルリン・コングレスホールの崩落事故という象徴的な出来事が起きたのだとか。
 西ドイツ(当時)の西ベルリン出身で1980年に結成。ブリクサ・バーゲルト(Vo/Gt/Key)とN.U.ウンルー(Perc)を中心に、ベアテ・バルテル(B)、グートルン・グート(Key)の女性陣2名が短期間ながら参加。バルテルとグートの後任としてマルチプレイヤーのアレクサンダー・ハッケ(Gt/Key)が、翌年にはF.M.アインハイト(Perc)が加入。ただハッケは本作レコーディング参加していないのか、バーゲルト、ウンルーとアインハイトの3名がクレジットされています。セルフプロデュース作。
 金属片や建設機材を用いたメタルパーカッション等の自作楽器が彼らの最大の特徴ですが、始めた理由は「貧しさのあまりN.U.ウンルーがドラムを売り払ってしまったから」という偶然の産物なのだとか。また、目玉おやじのようなバンドロゴも強いインパクトを与えます。

 オープニング曲「Tanz Debil」から衝撃的。ノイズが聞こえ、バーゲルトの沸々としたドイツ語のボーカル。そして始まるガチャガチャと不快な金属音。耳をつんざく強烈なノイズは売れ線とはまるで正反対で、聴く人をかなり限定します。「Steh Auf Berlin」はキュイーンというドリル音が衝撃。その後は一斗缶か何かをドラムに見立てて高速で叩き、これが不思議なビートを生み出します。そして大音量すぎて音が割れた絶叫が響きます。耳障りなのですが、金属を高速で叩くビートは不思議な中毒性があります。「Negativ Nein」は水のポコポコした音がしばらく鳴りますが、突如絶叫。その後怒りに満ちたシャウトが続きます。パンクです。「U-Haft-Muzak」はバックで「ドンッ」という音を淡々と刻み続け、そこに金属音やシャウトなどが現れては消えていきます。それまでの楽曲に比べると静かですが、とても不気味です。1分足らずの「Draußen Ist Feindlich」も前曲同様、静寂に淡々と無機質なドラム(に代わる金属音)が響き渡ります。そのトーンで「Schmerzen Hören」も続きますが、ノイジーな金属音とシャウト気味の歌(メロディはありません)が違っていますね。続く「Jet’m」はシンセやシーケンサーを活用した1曲。ですがかなり音質が悪いです。
 アルバムは後半に突入。表題曲「Kollaps」は8分に渡る楽曲で、排気音のようなノイズが響き渡り、突如プリミティブな演奏が始まります。無機質な演奏にメロディのない怒りに満ちた歌はパブリック・イメージ・リミテッドを想起させます。衝撃度は薄いものの、本作ではこれが一番好みかな。「Sehnsucht」は鍵盤が憂いを帯びた音色を奏で、鬱々として不気味な雰囲気。聴いていると病みそうです。僅か20秒の「Vorm Krieg」を挟んで続く「Hirnsäge」。スッカスカな演奏ですが、不快なノイズと金属の打楽器が不気味な緊張感を生み出します。そしてバーゲルトの怒りに満ちたシャウトもスリリング。「Abstieg & Zerfall」はプリミティブなメタルパーカッションをはじめ、どこか呪術的な雰囲気に満ちています。ラストは僅か11秒の「Helga」で、ホワイトノイズからアナウンサーのような声が聴こえてすぐ終わります。

 ノイズに強い耐性を持つ人でないと、冒頭3曲の非常に強烈な洗礼は耐えられません。ですが、それを乗り越えると実験的な面白い楽曲も現れます。あまりに衝撃的で斬新な試みなので、後発への強い影響力も納得です。

Kollaps
Einstürzende Neubauten
 
Zeichnungen Des Patienten O. T. (患者O.T.のスケッチ)

1983年 2ndアルバム

 マーク・チュン(B)がメンバーが加わり、ブリクサ・バーゲルト(Vo/Gt/Key)、N.U.ウンルー(Perc)、F.M.アインハイト(Perc)、アレクサンダー・ハッケ(Gt/Key)とチュンの5名体制が確立。1994年のチュン脱退まで、しばらくこのラインナップが続きます。
 タイトルやジャケットアートから病んだ雰囲気がありますが、音楽も同様で精神を蝕みそうな不気味さが支配します。

 アルバムは「Vanadium-I-Ching」で幕開け。メタルパーカッションが奇怪な金属音で興味を引きます。初っ端スッカスカの演奏は徐々に楽器が増えていき、緊迫感を増していきます。ブンブンとベースのように唸るヘヴィな重低音もド迫力ですね。スリリングですが、不可解な演奏はだんだんリズムが見えてきて中毒性を増します。続く「Hospitalistische Kinder / Engel Der Vernichtung」は時計のような無機質な音に乗せて、子どもの声など様々な効果音が不気味に響き、破裂音のようなノイズをバックにバーゲルトの歌(というより説教臭い語り)が乗ります。とにかく不気味で、聴いていると精神を病みそうです。「Abfackeln!」はドリルのような音にメタリックなベースがスリリングな1曲で、強い緊張感に満ちています。そして響き渡るバーゲルトのヤケクソなシャウトがパンキッシュですね。中々カッコ良いです。「Neun Arme」は沈み込むような楽曲で、強烈にエコーがかった演奏が暗い水の中のような雰囲気。ベースがどよーんと幻覚的に響きますが、そこにエッジの鋭いメタルパーカッションが刺さります。誰もいない場所で無機質に機械の待機音だけが響くような「Herde」を挟んで、「Merle (Die Elektrik)」。電源を入れてブーンと鳴るような音に、ノコギリのようにエッジの鋭い金属音が時折耳をつんざきます。
 アルバム後半の1曲目であるタイトル曲「Zeichnungen Des Patienten O.T.」。これが攻撃的な1曲で、静寂にバーゲルトの怒りに満ちたシャウトが響き渡り、途中からメタリックなリズムビートにガラスの割れるような音などが加わって、焦燥感を煽ります。とてもスリリングです。僅か10数秒の「Finger Und Zähne」がプチプチっとノイズを立てると、続く「Falschgeld」は唸るような重低音が不気味に響きます。うめき声のような歌も薄気味悪いですね。「Styropor」は不気味なダンスチューン。工業的で不快なノイズを用いながらも、ノリの良いビートを奏でています。続く「Armenia」は不穏な静寂が張り詰めた空気を生み出します。後半突如うめき声が響き、ホラー映画のような雰囲気です。ラストに唐突に訪れる無音が恐ろしい。ラスト曲「Die Genaue Zeit」は無機質なノイズが不気味な反復を繰り返し、単調ながら邪悪な雰囲気が漂います。そして終盤に向けて暴力的なギターなど様々な楽器が増え、歯を削るような音などで精神をえぐってきます。

 前作よりも聴ける形に纏まっていて、それでいてスリリングです。ですがホラー映画のような不気味さが全編を支配し、聴く人を選ぶという点ではあまり変わらないかもしれません。

Zeichnungen Des Patienten O. T.
Einstürzende Neubauten
 

 
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