🇬🇧 Elvis Costello (エルヴィス・コステロ)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

My Aim Is True (マイ・エイム・イズ・トゥルー)

1977年 1stアルバム

 イングランドはリヴァプール出身のミュージシャン、エルヴィス・コステロ。本名デクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナス、1954年8月25日生まれ。エルヴィスはエルヴィス・プレスリーから、コステロは祖父の姓から取った芸名です。英国でキング・エルヴィスと言えばエルヴィス・コステロの方を指すのだとか。それくらいに偉大なミュージシャンです。
 父親はジャズミュージシャンで、幼少時はビートルズ等を好んで聴いたそうです。初期はパンク的な感覚に溢れていて(パンクというよりパブロックといった方が適切かもしれませんが)、「怒れる若者」と言われていたそうです。そのため本サイトではパンクロック/ガレージロックに位置づけます。コステロの容姿はロックンロールミュージシャンのバディ・ホリーを彷彿とさせる…というようなレビューも見たことがありますが、容姿だけでなく音楽性も、旧き良きロックンロールに回帰している気がします。
 ニック・ロウのプロデュース。いくつかのサポートミュージシャンを招き、その中には後に結成するアトラクションズのメンバー、スティーヴ・ナイーヴ(Key)も含まれています。

 「Welcome To The Working Week」でアルバムは開幕。1分半にも満たない短い楽曲ですが、コステロの歌うキャッチーなメロディと、爽やかなサウンドで一気に惹き込まれます。「Miracle Man」はブルージーな楽曲です。サウンドは古臭いのですが、メロディが良いので魅力を放っています。「No Dancing」は少し哀愁のあるメロディが特徴的。続く「Blame It On Cain」はブルース全開。サウンドだけなら古臭いのに、今の時代でも自然と聴けるのはメロディの良さ故でしょう。そして本作のハイライト「Alison」。哀愁の名バラードです。しっとりとしたサウンドにメロディアスな歌で、コステロの歌声が染み渡ります。メロウなギターも味があります。なお本アルバムのタイトル『My Aim Is True』は本作の歌詞から。続いて「Sneaky Feelings」はグルーヴ感のある楽曲。円熟味のある演奏ですが、その中に心地良いノリの良さがあります。
 レコード時代のB面オープニングは「(The Angels Wanna Wear My) Red Shoes」。爽やかな印象のアップテンポ曲です。続く「Less Than Zero」はデビューシングルで、録音環境はあまり良くありません。ブルージーで渋いですが、展開に起伏があって惹き込まれます。「Mystery Dance」は旧き良きロックンロール。2分に満たない楽曲で、演奏のテンポの速さとコステロの平坦な歌い方がパンクっぽいですね。ブルージーなロックンロール「Pay It Back」を挟んで、「I’m Not Angry」は影のあるメロディが印象的。炸裂するアグレッシブなドラムや、影のあるギターの音色がなかなか良いです。ラスト曲は「Waiting For The End Of The World」。ラストにしてはやけに淡々としています。力強いドラムが印象的。
 またボーナストラック「Watching The Detectives」、これが中々良いのです。レゲエのリズムを取り入れた楽曲で、アルバムの流れだと少し浮いていますが、気だるくも心地良いサウンドに癒されます。

 パンクのようなローファイなサウンドに、キャッチーで普遍的なメロディ。コステロはとても良い曲を書きます。ボーナストラック込でも40分にすら満たず、でさくっと聴ける手軽さも良いですね。

My Aim Is True
Elvis Costello
 

This Year's Model (ディス・イヤーズ・モデル)

1978年 2ndアルバム ※Elvis Costello & The Attractions (エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ) 名義

 エルヴィス・コステロは本作より自身のバンド、アトラクションズを率いることになります。スティーヴ・ナイーヴ(Key)、ブルース・トーマス(B)、ピート・トーマス(Dr)をアトラクションズとして迎えました。前作に引き続きニック・ロウのプロデュースで、前作よりもバンド演奏を重きに置いてロック色の強い仕上がりになっています。全英4位を獲得しました。ジャケットアートが印象的です。

 「No Action」で開幕。疾走感に溢れる楽曲です。2分満たないですが、キャッチーなメロディは耳に残ります。続いて表題曲「This Year’s Model」。うねるベースと躍動感のあるドラムが印象的。コステロの歌は粘っこい感じがします。「The Beat」はオルガンが古臭さを放っています。歌メロも、キャッチーですがどこか怪しい感じ。そして、やはりリズム隊が秀逸で聴き浸ってしまいます。そして本作のハイライト「Pump It Up」。リズム隊の強烈なビートが耳に響きます。歌メロは平坦で一本調子な感じもありますが、このノリの良いサウンドに勝手に乗せられます。「Little Triggers」は一転してスローテンポでメロウな楽曲。湿っぽいメロディをじっくり聴かせます。ジャジーな雰囲気で、ピアノが良い味を出しています。「You Belong To Me」はノリノリのロックンロールで爽快。
 アルバム後半は「Hand In Hand」で開幕。歌メロをフィーチャーしていて、キャッチーでポップなメロディが魅力的です。歌を盛り上げる演奏も躍動感に溢れています。怪しげな「(I Don’t Want To Go To) Chelsea」を挟んで、キャッチーなメロディが爽快な「Lip Service」。ひと昔前の邦楽にも通じるキャッチーで取っつきやすい楽曲です。「Living In Paradise」はコミカルな雰囲気もありますが、サビ辺りでは少し緊張感があります。メロディアスで良い。「Lipstick Vogue」はドラムソロから始まる、疾走感と緊迫感に溢れる楽曲。コステロもまくし立てるように歌います。ドラムがとてもスリリングですが、ベースも負けていません。凄まじい緊張感です。ラスト曲は「Night Rally」。とてもメロディアスで、サビへの盛り上げ方もベタですが良い楽曲です。
 またボーナストラックとして「Radio Radio」が付きますが、これがキャッチーな楽曲で良いのです。サウンドは古臭さもありますが、キャッチーな歌メロが爽やかです。うねるベースも楽しませてくれます。

 演奏が生み出すダイナミズムが魅力的です。前作の「Alison」ほどに突出した楽曲はないですが、アルバム全体にキャッチーな楽曲が詰まっています。

This Year’s Model
Elvis Costello
 
 
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