🇬🇧 England (イングランド)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Garden Shed (枯れ葉が落ちる庭園(ガーデン・シェッド))

1977年 1stアルバム

 イングランドはプログレ衰退期に登場したプログレバンドです。1975年にマーク・イボットソン(Dr)を中心に結成し、いくつかのメンバーチェンジを経て、マーティン・ヘンダーソン(B/Vo)、ジェイミー・モーゼス(Gt/Vo)、ロバート・ウェッブ(Key/Vo)を加えた4人で活動を始めます。携帯できるようにと半分に切断されたメロトロンを用いたのが特徴だったそう。その後オリジナルメンバーのイボットソンが脱退して、ジョード・リー(Dr/B)に交代しています。
 1977年に発表された唯一作となる本作はジェネシスイエスを足して2で割ったような音楽性で、叙情的な音楽を展開。しかしパンク全盛期という逆風には勝てず、商業的な成功は得られず1978年に解散しました。

 オープニング曲「Midnight Madness」は7分に渡ります。叙情的な雰囲気はジェネシスっぽいですが、スコンスコンと抜けるビル・ブラッフォード似のドラムや、陽気なコーラスワークなんかはイエスっぽくもある。ポップな雰囲気ですが、全体的に音が篭もっているせいで、少しレトロで古黴びた印象を与えます。終盤の盛り上げ方はドラマチックで中々良く、エキセントリックなボーカルに一瞬ピーター・ガブリエルがチラつきます。続く「All Alone」は2分足らずの小曲。ウェッブの美しいピアノにメロディアスな歌でゆったりと浸らせてくれます。そして13分に渡る大作「Three Piece Suite」は本作のハイライト。鳥のさえずりのSEで始まりますが「Close To The Edge」ではなく笑、秋がよく似合うメランコリックなメロディを展開して切ない気分にさせます。古びたオルガンを鳴らしながらコーラスワークを駆使した歌で、レトロで幻想的な雰囲気を作り出します。スティーヴ・ハケットに似たメロディアスなギターに魅せられていると、6分過ぎた辺りからテンポアップ。メロトロンが憂いを帯びた空気を作りつつ、硬質なベースと軽快なドラムが躍動感を生み出します。少しトリッキーで複雑なリズムを刻みながら場面転換、目まぐるしく変化していきます。終盤は細かなフレーズを反復して、哀愁漂う歌で締め。中々聴きごたえのある大曲です。
 「Paraffinalea」は比較的色鮮やかでポップな雰囲気があります。ですがどこか憂いを帯びています。ジェネシスのカバーかと思うくらいに似たオリジナル曲ですね。「Yellow」では12弦ギターが心地良い音を奏でます。全体的に穏やかで、美しいシンフォニーを聴かせてくれます。コーラスワークを駆使した歌は牧歌的な雰囲気。そして最後に控えるのは16分半の大作「Poisoned Youth」。本作中最もヘヴィな楽曲です。ドラムソロで幕を開け、ベースが重低音を響かせます。序盤からダークかつヘヴィに展開。4分頃から囁くような歌が始まり、そこからテンポアップしていきますが同時に緊張も高まっていきます。緊張がピークに達すると一瞬穏やかさが訪れますが、再びヘヴィさが垣間見えます。9分過ぎからメロトロンをバックにバタバタとしたドラムを聴かせて一息つくと、そのあと悲壮感溢れるオルガンや荒々しいギターが絶望感を演出。ヘヴィさが去ると12分手前辺りから途端に穏やかで牧歌的なパートが訪れます。このまま穏やかに終わる…ことはなく、ラストに向けてスリルを増して盛り上がっていきます。全編を通して緊張を強いてくるため、聴き終えた後は結構疲れます。

 そこかしこにジェネシスの影響を強く感じられる本作は、バンド名が示すように英国らしい哀愁漂う叙情的な佳作です。デビューが5年早かったらもっと評価されたかもしれませんね。

Garden Shed
England
 
 
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