🇺🇸 Evanescence (エヴァネッセンス)
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
2003年 1stアルバム
エヴァネッセンスは米国アーカンソー州出身のゴシックメタルバンドで、エイミー・リー(Vo/Key)とベン・ムーディー(Gt)を中心に結成しました。デヴィッド・ホッジス(Key/Vo)を迎えて3人体制で、サポートメンバーを起用しながら制作された本作。なおリリース前にホッジスは脱退しています。デイヴ・フォートマンによるプロデュースされた本作は全世界で1500万枚以上を売り上げ、華々しいデビューを飾りました。
ジャケットを飾るエイミーが印象的ですね。バンドロゴもカッコ良いです。
オープニング曲は「Going Under」。ディストーションの効いた、非常にヘヴィでノイジーなサウンド。しかしエイミーの歌は対照的に、メロディアスで妖艶な印象です。続く「Bring Me To Life」は本作のハイライト。美しくも不安を煽る儚げなピアノに乗せて、冷たくも美しい歌声。そこからノイズが加わって重たく激しくなっていきます。エイミーの美しいメロディに交わるポール・マッコイのラップが良いアクセントとなっています。大仰でドラマチックな楽曲展開はいかにもメタルらしいですね。「Everybody’s Fool」はひんやりとした雰囲気のイントロから重厚なリフで攻めます。コーラスワークは神々しさもありますが、哀愁のメロディのせいか冷たく寒々しい感じがします。「My Immortal」は序盤3曲のヘヴィなサウンドは去り、ピアノとストリングスが主体の、美しいメロディを聴かせる1曲です。「Haunted」はタイトルからも推測できるような、おどろおどろしさが全体を覆っています。妖しげなメロディと重厚なリフが不穏な空気を増長します。続く「Tourniquet」は不穏な雰囲気を引き裂くキャッチーなギターに明るさを感じますが、歌が始まると不穏さを取り戻します。エイミーの歌はどこか不安感を煽るのです。間奏の少しトリッキーなリズムが印象的。「Imaginary」はイントロのストリングスが不安を煽り、続いてヘヴィなリフが押しつぶしてきます。歌が始まるとノイジーなサウンドは控え、影があるけれども美しいメロディで魅せますが、セオリーどおり(?)終盤は大仰なサウンドで盛り上げます。「Taking Over Me」も、他の曲同様にノイジーなリフと美しくも哀愁のあるメロディの対比が凄まじい。ドラマチックです。続いて「Hello」は、冷たいピアノに暗く悲しげな歌が響きます。派手に飾らないため、シンプルに美しい1曲です。「My Last Breath」はギターリフにゾクッと鳥肌が立ちます。デジタルサウンドやストリングスを取り入れつつも、ギターだけは王道をゆく重厚なヘヴィメタルです。何気に終盤のドラムも凄いんですよね。そしてラスト曲は「Whisper」。ヘヴィなリフだけ聴くと、ラストではなく中盤くらいの楽曲のような雰囲気。キャッチーさを兼ね備えたサビメロは哀愁を漂わせつつも美しいです。
飛び抜けた名曲「Bring Me To Life」のラップのせいか、当時は女性版リンキン・パークとも呼ばれたそうです。全体的にバリバリのゴシックメタルで、美しくも冷徹な雰囲気に覆われています。常に不安感を煽るアルバム全体の暗い雰囲気があまり好みではないものの、単曲では良い楽曲も多いです。
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