🇬🇧 Gang Of Four (ギャング・オブ・フォー)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Entertainment! (エンターテイメント!)

1979年 1stアルバム

 ギャング・オブ・フォーはイングランドのポストパンクバンドです。ジョン・キング(Vo)、アンディ・ギル(Gt/Vo)、デイヴ・アレン(B/Vo)、ヒューゴー・バーナム(Dr/Vo)の4人で結成したこのバンドは、新聞で見つけた「文化大革命四人組(Gang Of Four)」からバンド名を取って名乗ったそうです。
 文革四人組から取ったバンド名に相応しい(?)、共産党よろしく真っ赤なジャケットが鮮烈なインパクトを与えています。このジャケットはジョンとアンディによるデザインだそうです。また右下の3枚の絵は、赤ら顔の人物と白顔の人物が手を取り握手をしています。一見すると微笑ましい光景ですが、そこに添えられた文章を読むと、好意的なインディアンとそこに付け入ろうとしているカウボーイであることが補足されているという…。

 本作はロブ・ウォーをプロデューサーに迎えて制作されました。カッティングを多用した鋭利なカミソリギターが特徴的で、ザクザクと切り込んでくるサウンドがとにかくカッコいい。政治的な歌詞も特徴のようです。

 アルバムは「Ether」で開幕。デイヴのグルーヴィなベースに始まり、ヒューゴーの手数の多いドラムとアンディの鋭いギターが切り込んできます。激しい演奏とは対照的にジョンの歌は冷めています。続く「Natural’s Not In It」もザクザクと切り刻む鋭いギターがカッコ良く、ギターだけで全編を引っ張る力があります。躍動感のあるドラムも心地良いリズム感を生み出していて、良い仕事をしています。「Not Great Man」はグルーヴ感に満ちたベースが作るファンキーな雰囲気が特徴的。続いて前半のハイライト「Damaged Goods」。この攻撃的な疾走曲は、切れ味抜群のギターとファンキーなベース、タイトなドラムが作るサウンドがひたすらカッコ良い。歌はローテンションですが、終盤はコーラスも含めて印象に残る歌を披露します。続くはタイトなサウンドの「Return The Gift」は、比較的キャッチーな歌メロが印象的です。「Guns Before Butter」はトリッキーなドラムと、上に乗っかる楽器のリズム感が微妙にズレているのか、妙な違和感を覚えます。好き勝手にガチャガチャしてる感じ。
 アルバム後半は「I Found That Essence Rare」で幕開け。本作で最も聴きやすい楽曲です。切れ味抜群のメタリックなギターに、縦横無尽なベース、タイトなドラムが作り出す心地良い疾走感。そして口ずさみたくなるようなキャッチーな歌メロは耳に残ります。「Glass」はイントロからサウンドがカッコ良いのですが、メロディは少しひねた感じで独特です。どことなくテレヴィジョンに通じる雰囲気。続く「Contract」はうねるベースと、緩急自在のダイナミックなドラムがカッコいい。とてもスリリングな1曲です。「At Home He’s A Tourist」では即興かのような探り探りのギターで始まります。でも安定したリズム隊のおかげで徐々にノリノリに。「5.45」では哀愁あるメロディを奏でます。序盤は寂寥感というべき静かながら漂う哀愁、そして後半に向かうにつれ、哀愁はそのままに攻撃性は徐々に強まり、スリルを増していきます。ベースが強烈なインパクト。ラスト曲「Anthrax」はディストーションの効いた、歪みまくったノイジーなギターが衝撃的です。今でこそ他のバンドでも耳にする音ですが、当時のバンドではかなり革新的ではないでしょうか。そしてベースとドラムが淡々と同じフレーズを繰り返すという、終始実験的な楽曲です。

 硬質なギターと、ファンクの影響を受けたリズム隊による、ヒリヒリする攻撃的なサウンド。スカスカですが、シンプルに超攻撃的なサウンドは強烈なインパクトを残します。面白い作品です。
 当時はそこまでのヒットはしなかったそうですが、後進への影響が大きく、オルタナ勢にはギャング・オブ・フォーからの影響を公言するバンドも多いです。また2000年代のポストパンク・リバイバルのムーブメントにおいては、いくつかのバンドがこの作品に通じる楽曲でヒットしており、本作は時代を先取りしすぎた音楽だったのかもしれません。

Entertainment!
Gang Of Four
 

Solid Gold (ソリッド・ゴールド)

1981年 2ndアルバム

 ファンク色の増した本作。冷たく切れ味の鋭いギターは残しつつもリズム隊にもスポットを当てたようです。前作のような疾走感は損なわれ、重く暗くて緊張感は強烈。そんな変化は本作の評価を二分しています。ちなみに長らく廃盤だったそうです。

 「Paralysed」で開幕。ゆっくりとしたテンポながら、相変わらず切れ味抜群で冷たく鋭利なアンディ・ギルのギターと、歌というより語っているようなジョン・キングの声が印象的です。「What We All Want」は躍動感のあるヒューゴー・バーナムのドラムと、グルーヴ感のあるデイヴ・アレンのベースによるリズム隊が、淡々としつつも力強いリズムを刻みます。そして金切音のようなキンキンとした金属的なギターが強烈。「Why Theory?」はファンキーなリズムに、冷淡なボーカルがひたすら反復するのが印象的です。「If I Could Keep It For Myself」も前曲の雰囲気を保ちつつ、あまりに凄まじい緊迫感を放っています。反復する力強いリズム隊に警告音のようなギター。攻撃的なボーカルも強烈です。「Outside The Trains Don’t Run On Time」は比較的テンポの速い楽曲。ファンキーなベースとギターがノリの良いサウンドを奏でつつ、不安にさせる緊迫感が漂います。
 アルバム後半に入り「Cheeseburger」。重たい楽曲が並ぶ本作においては、相対的に陽気な雰囲気(とはいっても攻撃的なサウンドには変わりありません)。「The Republic」は暗鬱な雰囲気ながらも、マッチョなリズム隊と鋭利なカッティングが強烈。「In The Ditch」はダイナミックなドラムや、ベースソロなどリズム隊を特にフィーチャーしていてカッコ良い。歌は相変わらず冷たく淡々としています。冷淡な「A Hole In The Wallet」を挟んで、ラスト曲は「He’d Send In The Army」。炸裂音にカッティングを乗せて、ヘヴィなファンクを展開します。後のミクスチャーロックにも通じる気がします。

 攻撃的だけど疾走感のあった前作とは異なり、暗鬱で淡々としつつも攻撃的で緊迫しています。その変化が受け入れがたいのと、ぱっとする楽曲に欠けることもあって、個人的にはそれほど好みではありません。

ソリッド・ゴールド
Gang Of Four
 
 
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