🇯🇵 GRAPEVINE (グレイプバイン)

レビュー作品数: 5
  

スタジオ盤

Lifetime

1999年 2ndアルバム

 大阪府出身のロックバンドGRAPEVINE、通称「バイン」。1993年に結成して2022年現在に至るまで一度も解散せず、そしてコンスタントに作品をリリースし続けています。バンド名は、マーヴィン・ゲイの「I Heard It Through The Grapevine (悲しいうわさ)」が由来だそうです。
 西川弘剛(Gt)、西原誠(B)が中心となり、そこに田中和将(Vo/Gt)と、1994年に亀井亨(Dr)が加わって4人体制で活動を始めますが、メンバー全員作曲ができ、作詞は田中が行うというスタイルを貫きます。1997年にミニアルバム『覚醒』でデビューし、翌年にフルアルバム『退屈の花』をリリース。そしてシングル「スロウ」や「光について」等で注目を浴びたGRAPEVINEの最大ヒットとなるのが本作『Lifetime』です。本作やそれ以降もしばらく根岸孝旨がプロデューサーを務めます。

 オープニング曲は「いけすかない」。ブルージーな要素とオルタナ的な雰囲気を両立した演奏に乗る、田中の歌唱は気だるげで、そして達観したような哀愁があります。メランコリックなサビメロが良い。そして名曲「スロウ」。重厚で歪んだイントロを経た後に音数を減らし、田中の歌を力強いリズム隊が支えます。そして憂いのある歌メロは、サビでは悲痛なほど哀愁たっぷりで、更に透明感のあるキーボードにより儚く切ない雰囲気を強めます。これが涙を誘う素晴らしい楽曲なんです。続く「SUN」はアコギとリズム隊が心地良く絡み合って、優しい歌唱も相まってほのぼのとしつつも、そこはかとなく哀愁があります。そしてサビでは一転してノイジーな演奏が重低音を唸らせ、吐き捨てるような歌唱も攻撃的。緩急が極端な楽曲です。そして「光について」は「スロウ」と双璧をなす名曲です。憂いに満ちたイントロを経て、歌が始まるとアコギのスカスカな音から徐々に楽器を増やして盛り上げます。メランコリックな歌メロも魅力に溢れていて、サビメロの哀愁たっぷりな歌唱には込み上げてくるものがあります。楽曲後半を彩るオルガンの味付けも良い感じ。「RUBBERGIRL」は2分程のインストゥルメンタル。ローファイな音質で、ダンサブルでノリの良いロックを展開します。「Lifework」はスローテンポの楽曲で、ブルージーな演奏に乗る田中の歌唱はレッド・ツェッペリンのロバート・プラントっぽいような気もします。続く「25」は躍動感のある楽曲で、亀井のアグレッシブなドラムが3拍子を刻みます。ギターも切れ味抜群。演奏はアッパーだし歌唱もパワフルですが、哀愁あるメロディはGRAPEVINEらしさでしょうか。なお間奏ではブルースハープを鳴らして渋さも出しています。「青い魚」はフォークシンガーの金延幸子のカバー曲ですが、メロウでブルージーな演奏は他の楽曲ともよく馴染んでいます。演奏が1970年代初頭の雰囲気。「RUGGERGIRL No.8」はマッドチェスター的な、ダンサブルなインストゥルメンタル。元々長編のセッションだったものを「RUBBERGIRL」と本楽曲で分けたそうです。次曲のイントロ的なポジションに収まっています。続けて「白日」。GRAPEVINEファンに人気の高い楽曲です。アップテンポな演奏において、西原のベースがゴリゴリと力強くて心地の良いグルーヴを刻みます。躍動感があって爽快ですが、メロディはどこか陰りがあって焦燥感をも抱きます。「大人 (NOBODY NOBODY)」はローファイでチープな音質に仕上げていて、アコギが心地良いリラックスした雰囲気の1曲です。そして「望みの彼方」ではバンド演奏が戻ってきますが、重厚なイントロと隙間だらけのAメロの対比が緩急あります。ゆったりとしていて心地良いグルーヴに揺られながら、メロディアスな歌に浸れる楽曲です。最後は「HOPE (軽め)」で、ルースな演奏に気だるい歌唱で進行、ブルースロック的な雰囲気たっぷりですが、サビは強烈なシャウトも交えてアグレッシブです。30秒ほどの空白を交えて、最後の最後にアコギによる即興演奏が流れます。

 オルタナとブルースロックを組み合わせたようなスタイルで、諦念のある楽曲に時折ブルージーなギターやオルガンで味付け。アルバム全体ではミドルテンポの哀愁ある楽曲が多く、13曲入りのボリュームもあって聴きごたえのある1枚です。

Lifetime
GRAPEVINE
 
Here

2000年 3rdアルバム

 前作『Lifetime』から僅か10ヶ月のスパンでリリースされた本作は初期GRAPEVINEの作品群でも特にファンの評価が高い印象があります。本作後に西原誠(B)が病気療養のため一時離脱して次々作後には正式脱退してしまいますが、西原がレコーディングにフル参加した最後の作品でもあります。

 オープニングを飾る「想うということ」は、爽やかだけど切ない印象を受ける荒っぽいイントロで幕開け。歌が始まると一気に素朴なサウンドへと変わり、歌メロも相まって寂寥感が強まります。そして哀愁のサビメロに向けてノイジーな演奏で彩り、感傷的な気分になりますね。続く「Reverb(Jan.3rd Mix)」は、先行シングルのアルバムミックス版。田中和将の攻撃的な歌唱でイントロもなく始まり、バックのグランジーな演奏も力強くて、グルーヴの強い西原のベースも魅力的です。でもアグレッシブなように見えて、Bメロからサビにかけてメランコリックに急変。哀愁のサビメロに乗せて「迷わせて 迷わせて 我を忘れるほど甘く」の切ない歌唱が強く耳に残るんです。素晴らしい名曲です。「ナポリを見て死ね」はブンブン唸るベースを皮切りに、鈍重でノイジーなイントロで開幕。ファンクのようなグルーヴの強い楽曲をスローテンポで展開しますが、サビはグルーヴを取り払ってゆったりとした印象です。歌唱は粘っこい感じ。「空の向こうから」はオールドロックやブリットポップっぽい趣の1曲。西川弘剛のブルージーなギターが、どこか懐かしい雰囲気を加えます。爽やかだけど哀愁を纏ったサビメロが切ないですね。続いて「ダイヤグラム」はアコギを弾きながら憂いたっぷりの歌を歌います。途中バンド演奏が加わるとダウナーな印象を増し、そしてサビメロは哀愁に満ちています。後半はストリングスが楽曲を味付けして、そんな演奏に合わせて感情たっぷりのドラマチックな歌唱を聴かせます。スケール感のある楽曲です。「Scare」は亀井亨のスコンと爽快なドラムを皮切りに、ファンキーで泥臭い、ダンサブルなロックを展開します。ノリノリで楽しい演奏に乗る田中のご機嫌な歌はレッド・ツェッペリンのロバート・プラントを彷彿とさせます。中々好みの楽曲です。一転して「ポートレート」は少しレトロな風合いで、メランコリックでダウナーな空気を纏っています。ダイナミックなドラムが特徴的なBメロを経て、メロディアスなサビは「光について」にも少し似た空気感で、サビを聴き終えると晴れやかな印象に変わります。ブルージーなギターソロも良い感じ。「コーヒー付」は終始ファルセットで歌います。落ち着いた雰囲気でリラックスでき、僅か1分半の小曲ですがアルバムの中での緩衝材になっています。続く「リトル・ガール・トリートメント」は力強くダイナミズムのあるドラムや暗い雰囲気のギターなど、重厚で貫禄ある空気が立ち込めます。緊張が張り詰めていますが、そんな中切なく叫ぶサビメロには感傷的になりますね。「羽根」は渋さと軽快さを同居させた楽曲で、胸がキュッとなるようなキャッチーで切ないサビメロが魅力的です。シングル曲としてはやや地味な印象もありますが、アルバムにはよく馴染んでいます。そしてタイトル曲「here」。3拍子を刻む楽曲で、ノイジーなイントロと静かなAメロの対比で緩急をつけます。途中トリッキーな演奏でフックをかけたりしながら、サビはシャウト気味の歌唱含めてとても力強いです。少し空白を挟んで、ラスト曲「南行き」ローリング・ストーンズばりのルースで陽気なブルース・ハードロックです。泥臭いギターにパワフルだけど気だるいリズム隊、ブラスやゴスペルっぽいコーラスワークの彩り。このダルくて緩い空気がとても心地良いです。

 アップテンポ曲はほとんどありませんが、哀愁の中に爽やかさがあり、オールドロックの懐かしさもあって心地良いです。アルバムジャケットのように晴れやかな印象。比較的バラエティに富んでいますが、散漫にならずバランス良く纏っています。

Here
GRAPEVINE
 
another sky

2002年 5thアルバム

 前作『Circulator』制作中はリーダーである西原誠(B)がジストニアの治療のため一時離脱しており、西原不在時はプロデューサーの根岸考旨がベースを代行していました。本作の一部楽曲でも根岸がベースを弾いていますが、西原は本作で復帰。ですが病気の再発により西原は本作リリース翌月に脱退することになり、結果的に本作はオリジナルメンバー4人での最後の作品となりました。

 「マリーのサウンドトラック」で幕開け。アコースティックな演奏に気だるい歌を乗せて、スローテンポのメロウな楽曲を展開します。途中からエレキギターも鳴らしますが、ドリーミーでサイケな感覚をもたらします。ゆったりと漂うような心地良い気だるさが支配します。続く「ドリフト160(改)」は疾走感のあるアップテンポ曲です。亀井亨のスコンと軽快なドラムに支えられて勢いのある楽曲は、シンセによる味付けもされてキャッチーな仕上がりです。「飲まれてしまえばいい」の連呼は一緒に口ずさみたくなりますね。「BLUE BACK」も躍動感のあるご機嫌な楽曲です。ドライブ感があるリズム隊にアグレッシブなギターと歌が組み合わさり、爽快な仕上がりです。更にサイケなオルガンが味付けして、気持ちの良いサウンドを奏でます。「マダカレークッテナイデショー」はグルーヴの強いベースがファンキーなノリを生み出します。これもオルガンがレトロな味付けをして良い感じ。そしてタイトルにも象徴されるように語感の良い歌詞が独特な印象ですが、モーパッサンの作品名が散りばめられているそうです。「それでも」は優しいアコギと渋いギターがまったりとした空気を醸し出します。穏やかだけど諦めのような切なさ、寂しさが感じられます。「Colors」は3拍子のゆったりとしたリズムに乗せて揺られる1曲。西川弘剛のメロウで渋いギターが、田中和将のメランコリックな歌を引き立てます。そして「Tinydogs」は、淡々としていますが妙に不安感を煽るひりついた演奏、抑揚少なめの歌メロなどレディオヘッドっぽいと思いました。後半の暴力的な間奏もスリリングです。「Let me in〜おれがおれが〜」はダーティでグルーヴ抜群の演奏が心地良いです。終始攻撃的な歌唱ですが、リズミカルな演奏に揺られて躍動感の強さが印象に残ります。続く「ナツノヒカリ」は、ギターの質感が1980年代英国ロックの持つ内省的な雰囲気がありますが、力強いリズム隊やあっけらかんとした歌は爽やかさを生み出しています。「Sundown and hightide」は躍動感溢れるリズム隊が爽やかさを生み出しますが、陰りのある歌メロが感傷的な気分を誘います。そして「アナザーワールド」は特にファン人気の高い楽曲です。ややエキゾチックな風合いのイントロを経て、哀愁たっぷりの田中の歌をフィーチャーした演奏ではグルーヴ感の強いベースが際立っている印象です。切ないメロディで歌われる、諦念のような歌詞も沁みますね。最後の「ふたり」は諦めのような、穏やかな切なさが漂います。渋くしんみりと浸れる1曲です。

 ジャケットの青色のように、序盤は躍動感のある「ドリフト160(改)」と「BLUE BACK」が牽引しますが、中盤はやや中だるみする印象も…。
 ちなみに本作レビューをしている2022年5月現在、リリース20周年を迎えた本作の再現ツアーが行われています。

another sky
GRAPEVINE
 
イデアの水槽

2003年 6thアルバム

 田中和将(Vo/Gt)、西川弘剛(Gt)、亀井亨(Dr)の3名体制となったGRAPEVINE。2001年よりライブサポートを務める金戸覚(B)と高野勲(Key)をレコーディングに迎えて、正式メンバーではないものの実質5名体制のように活動することになります。
 変わったのはメンバーだけではありません。本作は根岸考旨の手を離れてメンバーによるセルフプロデュース作となります。そしてメンバー全員が作曲できるものの、本作ではメロディメイカー亀井の作曲割合が大幅に増えました(12曲中10曲が亀井作)。そんなGRAPEVINE転換期にある本作は、鋭さを増して攻撃的な作風です。ジャケットとアルバムタイトルも好みです。

 オープニングを飾るのは名曲「豚の皿」。冷徹なピアノに不安を煽るようなボーカルスタイルはまるでレディオヘッドのよう。そして1分過ぎてから豹変し、恐ろしく暴力的な表情を見せますが、再び冷たいピアノを鳴らして暗く不安な雰囲気へとより戻したり。感情の起伏が激しいスリリングな楽曲です。続く「シスター」は切れ味のあるギターをかき鳴らし、田中が吐き捨てるように攻撃的な歌唱を見せます。テンポも速い楽曲は焦燥感を煽り、ひりついていますね。よく動き回るベースもカッコ良い。冒頭2曲ともに殺気立っていますが、流れを変えるシングル曲「ぼくらなら」はミドルテンポのバラード。GRAPEVINEらしいメロディアスな旋律はキャッチーで、ゆったりと心安らぐ反面、切なさにも満ちていて魅力的です。メロディラインが素晴らしく、また西川のギターも良いです。「ミスフライハイ」は疾走感溢れるスリリングな楽曲です。カッティングが気持ち良いギター、グルーヴ感抜群のうねるベースが特に爽快ですが、電子的なノイズによる装飾で疾走感が更に際立つような気がします。間奏ではドラムがトリッキーなリズムを刻んでフックをかけてきます。「11%Mistake」はベースリフで始まる1曲で、亀井のドラムが渋くジャジーな雰囲気を作り出します。ファルセットを用いたコーラスはR&B風ですが、地声での歌メロはやや攻撃的な印象。メロウで落ち着いた雰囲気を保っているのに、楽曲が進むと意外とノイジーになります。7分を超える「SEA」はスローテンポでゆったりと穏やかな空気。静かな演奏にピアノが映えますね。そしてメランコリックな歌が感傷的な気分を誘います。楽曲に浸って揺られていると、中盤以降ギターがノイズを増したりエフェクトをかけて、幻覚的な景色を見せます。そして「Good bye my world」。轟音でオルタナ的なイントロからダウナーな歌へ。どんどん沈んでいきますが、メロディアスなサビとノイジーな演奏で持ち直して緩急をつけます。間奏のギターはノイジーなのにエモーショナルで、感情を揺さぶります。「suffer the child」での田中は歌唱法を変えて、ソウルフルな雰囲気です。シンプルで武骨なバンドサウンドはロックンロールや旧いハードロックを想起させ、泥臭いですがノリが良くて気持ち良いですね。「アンチ・ハレルヤ」はミニマルなフレーズの反復やシンセサイザーの活用に少しニューウェイヴっぽさがあり、アップテンポで比較的キャッチーです。アルバムの中では少し異質ですが、後半のアクセントとしてちょうど良いですね。そしてシングル曲「会いにいく」は寂寥感のあるメロディアスな楽曲。オルタナ的な演奏に乗る歌は哀愁があり、間奏の切ないギターは感傷的な気分を誘います。「公園まで」は比較的からっとしていますが、やはり彼ららしい哀愁は纏っていて、エンディングっぽい雰囲気が漂っています。最後の「鳩」は躍動感あるドラムに乗せて、陽気な演奏を繰り広げます。後半はハンドクラップも加わってノリノリ。でも田中の歌はかなりアグレッシブで、時折吐き捨てるようなシャウトも見せます。パワフルなロック曲ですね。

 中盤までは暗い雰囲気が立ち込め、そしてひりつくような楽曲も多いです。尖っているものの、魅力のある名盤です。

イデアの水槽
GRAPEVINE
 
Sing

2008年 9thアルバム

 7th『déraciné』から11th『真昼のストレンジランド』まで、長田進が長期間GRAPEVINEのプロデューサーを務めることになりますが、本作はそのちょうど真ん中にあたります。渋さを増した落ち着いた作風で、内省的な楽曲も多いです。

 アルバムは表題曲「Sing」で幕を開けます。鉄琴が優しくも哀愁を誘い、そして穏やかな演奏には円熟味がありますね。心地良い浮遊感を誘う演奏に浸りながらも、田中和将の歌唱はぽっかり空いたような虚しさがあって切なさを誘うんです。美しさすら感じられる、本作でも突出した名曲だと思います。「CORE」はエフェクトをかけたギターが残響凄まじく、トム・ヨークのような歌唱も相まってレディオヘッドのよう。そしてグルーヴ感の強いベースと、力強くも淡々としたドラムが焦燥感を煽ります。空虚とひりついた感覚の同居した、不安を煽るスリリングな1曲です。続く「Glare」はイントロで高揚感を煽っておきながらも、歌が始まると一気に音数を減らして、ダウナーな雰囲気で突き落とします。そこからメランコリックな歌メロで切なくさせるんです。メロディが特に良いですね。「ジュブナイル」は躍動感のある楽曲で、冒頭3曲続いた暗い空気にメリハリをつけます。とは言え決して明るいわけではなく、むしろメロディには哀愁が漂いますが、ロック感のある演奏に救われます。「Two」は円熟味があり、メロディアスな旋律でしんみりとしています。渋い哀愁がたまりません。「また始まるために」は淡々と刻むギターに、田中の明瞭な歌声をフィーチャー。静かなタイプの楽曲かと思いきや、間奏で強烈なノイズに呑み込まれます。そして歌が始まると演奏はクリアになり、特に中盤〜後半の西川弘剛のギターは透明感があります。「鏡」はストリングスも活用。ローファイ的な亀井亨のドラムによる気だるい雰囲気に加え、キラキラとしたドリーミーな感覚も持ち合わせています。続く「女たち」は程よく気だるくてリズミカルな演奏が心地良い、旧き良きロックといった趣です。ブルージーだけど躍動感もあるというか。田中の歌い方が大きく変わって少し違和感。そして終盤のアクセントとして光る「フラニーと同意」。ガレージロックのように粗雑で、大人しめなアルバムの中では一際インパクトがあります。パワフルなギターリフ、ゴリゴリベースに爆裂ドラムが、破壊力満点の荒々しくてカッコ良い演奏を繰り広げます。「スラップスティック」はドラムとキーボードが特徴的で、若干ニューウェイヴの香りがします。そしてメロディアスな歌を、円熟味を増した優しい歌唱で歌い上げます。「超える」は力強くて爽やかなイントロで始まります。ですが歌が始まると諦めのような寂しさも漂い、全体的にエンディング感があります。哀愁がある中で、2番でのベースがやけにファンキーですね。ラスト曲「Wants」はアコギに乗せた歌メロが憂いたっぷりで、そしてフルートやダイナミックなドラムがサビに向けて高揚感を煽ります。歌はしんみりとしているものの、2番以降の演奏は力強くて頼もしいです。

 歌唱スタイルを変えたこともあり、円熟味を大きく増しました。スルメ盤としてファン人気の高い作品です。

Sing
GRAPEVINE
 

 
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