🇯🇵 岡本仁志 (おかもと ひとし)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

a first fine day

2002年 1stミニアルバム
 

 岡本仁志は京都府京都市出身のミュージシャンです。6月12日生まれ。1999年よりGARNET CROWのギタリストとして活動を始める傍ら、2000年にはシングル『First fine day』でソロデビュー。またソロデビューを機に「岡本仁」名義から現在の「岡本仁志」に改めました。翌年にもシングル『Sweet×2 Summer Rain』を発表、これらを収めたアルバムを2002年にリリースするに至ります。
 宅録スタイルで全ての楽器を岡本自身が演奏、全ての作曲と「Interlude – click me」の作詞も手掛けます。それ以外の作詞はGARNET CROWのメンバー AZUKI七が担当しています。

 開幕「Interlude – click me」は僅か1分足らずの楽曲です。ノイズ混じりのダンサブルなサウンドに、岡本の英語詞が乗ります。そして「First fine day」、これが本作のハイライトで、個人的には岡本のソロ曲で一番好きな楽曲です。素朴なサウンドで晴れやかな雰囲気が温かく、ポップなメロディを届ける岡本の甘い歌声も心地良いんです。全体的にふわふわと浮遊感に溢れるものの、強烈なグルーヴを響かせるベースが演奏を引き締めます。これが結構カッコ良い。「手遅れな再開」は強調されたリズムパターンが印象的。気だるげな歌は良くも悪くも自己主張が少なくて楽器のようで、それゆえに淡々と反復するリズムがひたすら耳に残ります。「Res-no」はややハードでノイジーなイントロを弾きますが、歌が始まると演奏は哀愁が漂ってきます。憂いに満ちた岡本の歌は切ないですね。中々の良曲です。「Sweet×2 Summer Rain」はシングル曲。躍動感のあるポップな楽曲ですが、どこか湿っぽさがあります。終盤だけは包み込むような分厚い演奏で多幸感が得られます。「STRAY BEAST」はローファイ志向なサウンドを展開。サビまでは抑揚も少なく淡々と進行します。サビはノイジーなギターを鳴らすものの、全体的にトーンの低い楽曲です。「翼」は後半のハイライト。イントロからちょっと怪しげでまどろむようなサウンドで引き込んできます。夜のネオンライトが似合いそうな雰囲気。そして滑舌の悪い歌はメランコリックなメロディを引き立てます。良曲だと思います。そしてラスト曲「First fine day (GO! GO! remix)」は原曲とはまるで別物の、遊び心に溢れたダンスリミックスです。エコーが掛かったアンビエント風の幻想的なサウンド、そこに加工された歌声と打ち込みのリズムトラックがダンサブルな要素を強調します。サビでは重低音を響かせ強烈なグルーヴを味わうことができます。

 1990年代オルタナロックの流れを汲む、等身大の作品です。本家GARNET CROWとは違った音作りですが、ポップセンスがあって、甘い歌声も魅力的です。

a first fine day
岡本仁志
 
FF/REWIND

2004年 2ndミニアルバム

 GARNET CROWではライブを通じて「おかもっち」の愛称で呼ばれるようになった岡本仁志。同レーベルのアーティストへの楽曲提供なども行うようになりました。
 2年ぶりのソロ作となる本作は前作と異なり、ノイジーで歪んだギターが前面に出たロック色の強い作品です。タイトルの『FF/REWIND』は早送り/巻き戻し再生の意味で、字面で選んだのだとか。ちなみに本作だけはiTunesにないのですが、カバー曲の版権で引っ掛かっているのでしょうか。

 オープニング曲「LOST CHILD」は、イントロのカッティングで高揚感を煽ったあと弾けるような躍動感を見せます。AZUKI七の書くどこか冷めた歌詞は、子供心を無くして大人になったという意味で「LOST CHILD」でしょうか。「正しけりゃいいのか 悪人たおしてくヒーロー」のフレーズが強い印象を残しています。続く「no matter what」バッドフィンガーのカバー曲。原曲は1970年のものですが、ここで聴けるカバーは1990年代以降の音というかノイジーで躍動感のあるアレンジで、正直原曲よりも好みだったりします。跳ねるようなドラムやオルガンなどの味付けも良い感じ。「Telepathy」は同レーベルのアーティスト岸本早未への提供曲のセルフカバー。憂いのある楽曲です。前2曲に比べるとパッとしない印象は否めませんが、ラストに渋いギターソロが聴けるのが良い。「Autumn Sky」は8分の6拍子を刻む楽曲で、グランジ風の歪んだギターが力強い音を響かせます。ですが岡本の歌は切なさに満ちていて、じっくりと浸れるタイプの楽曲ですね。「Click Me Pt.2」は1分半の短いインストゥルメンタルです。ダンサブルなサウンドで、ラジオの合間に流れるジングルを少し長くしたような雰囲気。続く「静寂の間に」は憂いのある湿っぽい楽曲。サビで音数を減らして静寂を感じさせますが、間奏はノイジーなギターを鳴らしています。「It’s only love」はグランジ風のポップ曲。リズミカルな演奏はサビで弾けます。甘い歌声に合わせて、グランジと言うにはヘヴィさはやや控えめなものの、それでもメリハリのある演奏で楽しませてくれます。最後の「sphere」は海を漂うかのようにゆったりとしていて、またエフェクトを掛けてぼんやりとした歌が幻想的です。歌メロパートにおいてはピアノがアクセントになっていて、アウトロではピアノがストリングスと絡んで美しくも憂いを帯びた演奏を聴かせます。

 前作よりもギターを堪能できる作品で、オープニング2曲が好みです。特に「no matter what」は原曲よりも好み。

FF/REWIND
岡本仁志
 
Now Printing...

2010年 3rdミニアルバム ※SUPER LIGHT名義
 

 本家活動のGARNET CROWがデビュー10周年で賑わう頃、本家のフルアルバム『parallel universe』と同時発売されたソロアルバム第3弾。何曲かは本家のライブセットリストにも組み込まれたため、GARNET CROWファンにも認知度のある作品ではないでしょうか。メンバーの中村由利からは「6年ぶりに7曲入りですか。1年に1曲(笑)」といじられていたのが印象に残っています。
 久しぶりのソロで心機一転の意味もあったのか、岡本仁志名義ではなくSUPER LIGHT名義でのリリースとなります。アレンジ力は大きく向上し、等身大だった1stの頃に比べるとかなりスケールアップした印象です。相変わらず全ての楽器を一人でこなす宅録スタイルを貫きますが、「joyride (Re:ASAP)」のドラムだけはゲスト参加の車谷啓介が叩いています。

 オープニング曲「Lose My Breath」が出色の出来で、本家のライブでも披露されました。デジタル色全開の、遊び心に溢れたダンスロックを繰り広げます。ガチャガチャしたパンキッシュなジャケットアートのイメージがぴったり。ノリ良く弾けたグルーヴィな演奏に乗せて、エフェクトを掛けたボーカルは詰め込み気味の歌詞を早口かつ、どこか冷めた風に歌います。カッコ良さと心地良さが同居した楽曲ですね。「Tonight」はアコースティック主体のまったりとして柔らかな、前曲とは真逆のサウンド。このギャップを埋めるためか、序盤や途中途中でボーカルに強めのエフェクトがかかっています。落ち着いた雰囲気です。続いて名曲「海鳴り」。海を漂うかのように、包み込むような雄大なサウンドが心地良い。メランコリックなサビメロは分厚い演奏で盛り上げます。岡本の甘い歌声もありますが、このメロディが良い感じ。「Dime La Verdad」は僅か1分半の哀愁に満ちた楽曲です。スペイン語のタイトルが示すようにラテンフレーバーが漂います。「with great force」はハードなイントロからドラマチックな雰囲気を醸し出しますが、歌が始まると意外と音数が少なくギャップを感じます。サビではグランジばりにノイジーなギターを轟かせ、本作中最もヘヴィな音を聴かせますが、シャウトに走ることなくメロディアスな歌を丁寧に歌っています。「joyride (Re:ASAP)」は1stシングル『First fine day』のB面曲のリミックス。ダーティなイントロから魅力的で、そこから疾走感に溢れる爽快な演奏を繰り広げます。キレのあるハードな演奏は勢いがあり、キャッチーな歌メロも楽しませてくれます。「All Fall Down」は寂寥感のあるゆったりとしたサウンドが憂いを誘いますね。加工されたボーカルに加えて英語詞で歌っています。この楽曲はメロウなギターが魅力で、アクセント程度にしか現れませんが、これが味があって良い感じ。

 キャッチーな楽曲が詰まっていて、ソロアルバム3作では最も取っつきやすい作品です。個人的には飾らない感じの1stも捨てがたいですが、GARNET CROWファンには本作がオススメできます。

 2013年に本家のGARNET CROWは解散。その後も同レーベルのアーティストへの楽曲提供やライブへのゲスト参加など、細々と活動は続いていますが、2020年現在に至るまで新たなソロ作は出ていません。

Now Printing…
SUPER LIGHT
 
 

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 本家ではギタリストとして活躍。

 
 
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