🇬🇧 Killing Joke (キリング・ジョーク)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

Killing Joke (黒色革命)

1980年 1stアルバム

 キリング・ジョークは英国ロンドン出身のポストパンクバンドで、インダストリアルロックの代表的バンドとして知られます。ゴシックロックにも大きな影響を与えました。ジャズ・コールマン(Vo/Key)、ポール・ファーガソン(Dr)、ジョーディー・ウォーカー(Gt)、ユース(B)の4人で1978年に結成。
 本作はバンドのセルフプロデュース。攻撃的なジャケットアートもカッコ良いですね。

 オープニング曲は「Requiem」。ピンク・フロイドのファンだというコールマン、怒鳴るような歌声はロジャー・ウォーターズを意識しているのかもしれません。ノイジーでダウナーなサウンドに、踏み締めるようなずっしりとしたリズムが耳に残ります。「Wardance」は出だしから強烈なエフェクトがかかった咳払いで非常に強いインパクト。そこから始まる終始メタリックなベースが非常にカッコ良いです。エフェクトで歪みまくったボーカルの怒鳴り声は好き嫌いがはっきり分かれそうですが、何故かやみつきになります。続く「Tomorrow’s World」は神秘的なキーボードと対照的に、バキバキ唸るベースと力強いドラムによるリズム隊がとにかく強烈で、反復するフレーズが耳に残ります。ノイジーにかき鳴らすギターは若干埋もれ気味で、また歌心のない単調なメロディも、リズム隊を引き立てるかのようです。「Bloodsport」はインストゥルメンタル。出だしの荒々しいギターから一瞬ハードロックを想起させますが、直後にダンサブルでグルーヴィなサウンドが展開されます。でも無機質でもある。
 レコードB面の開幕「The Wait」はメタリカがカバーしたことで有名な楽曲。メタリックなリフが非常にカッコ良く、そしてリズム隊の強烈なグルーヴにノックアウト。ヘヴィメタルではありませんが、ずっしりとした重たさを強く感じます。煽り立てるような緊迫感がとてもスリリングです。続く「Complications」も緊迫した雰囲気でスリル満点。反復されるリズムや「complications」の連呼が強い中毒性を生みます。続く「S.O.36」はスローテンポで不穏な空気が漂います。ファーガソンのドラムの一撃は重たい。やはり同じフレーズの反復で中毒性が強いです。ラスト曲「Primitive」はユースのベースが唸る。ギターは飾りで、ベースがメインといっても良いでしょう。抜群のグルーヴ感です。

 ノイジーなギターと、そしてパワフルなリズム隊の作る強烈なグルーヴ感。全体的に重たい雰囲気でキャッチーさは少ないですが、リフの反復などにより中毒性の高い楽曲の数々は魅力的です。聴けば聴くほどその楽曲の虜になります。

Killing Joke
Killing Joke
 

What's THIS For...! (リーダーに続け!)

1981年 2ndアルバム

 キリング・ジョークの2ndアルバム。プロデューサーにはポリスやフィル・コリンズの大ヒットで知られるヒュー・パジャムと、いくつかのポストパンクバンドを手掛けたニック・ラウネイの両名を迎えています。

 アルバムは「The Fall Of Because」で開幕。ジョーディー・ウォーカーのざらついたノイジーなギター。そしてそれ以上に強烈なポール・ファーガソンのダイナミックなドラムと、ユースのヘヴィなベースによる強靭なリズム隊が圧倒してきます。ジャズ・コールマンは相変わらず、メロディはあまりなくて叫ぶような歌。ダークで凄まじい緊迫感に満ち溢れたスリリングな1曲です。続く「Tension」もパワフルで野性味のあるドラムが強烈。ドラムが圧倒しますが、バキバキ唸りを上げるベースもカッコ良い。ひたすら反復するリズムが中毒性を生み出します。歌は何気にキャッチーです。「Unspeakable」はダークな雰囲気の中でタムを叩くドラムが暴れ、ディストーションの効いたギターが掻き乱します。グルーヴィなリズム隊とは裏腹に、暗くダウナーな雰囲気は不安を煽り、長く聴いていると病みそうです。「Butcher」はボーカルも含めて歪められ、ノイジーな楽曲です。やはりダウナーな雰囲気で焦燥感を煽ります。
 アルバム後半に入り「Follow The Leaders」は邦題のタイトル曲。テクノポップ風味のノリの良いダンサブルなサウンドです。打ち込みに加えてダイナミックなドラムが、嵐のような怒涛のリズムを刻みます。でもコールマンの反復する歌は、キャッチーさではなく病んでいる印象を与えます。強い中毒性を持った楽曲です。続いて「Madness」はシンプルながら力強いリズム隊に支えられ、コールマンが叫ぶ。反復するリズムは無機質で、とても不気味です。「Who Told You How?」はアフリカ音楽を取り入れたか、プリミティブなリズムが特徴的。ジャングルのような喧騒をノイジーな雑音で表現していて、野性味を感じさせようとしているのに機械的で無機質なアンマッチが不気味。ラスト曲「Exit」はテンポアップして、強烈な緊張感を放ちます。煽り立てるようなパワフルなドラムの上で暴れるベース、そして切れ味の鋭いギターが切り刻み、叫び気味のボーカルが説き伏せる。圧巻のラスト曲です。

 強靭なリズム隊が生み出す抜群のグルーヴ感は変わらず、しかしダウナーな楽曲は精神を病みそうな、焦燥感を煽り立てます。異様な緊張感がありますが、クセになる中毒性があります。

What’s THIS For…!
Killing Joke
 
Night Time (暴虐の夜)

1985年 5thアルバム

 ニューウェイヴ化したキリング・ジョーク。先鋭的な側面を弱め、歌も聴きやすくなって取っつきやすさが増しました。ジャケットもメンバー写真になり、親しみを感じさせます(ちとダサい…)。とは言え彼ららしい病的な雰囲気は内包しています。
 本作のラインナップはジャズ・コールマン(Vo/Key)、ジョーディー・ウォーカー(Gt)、ポール・レイヴン(B)、ポール・ファーガソン(Dr)。バンドとクリス・キムゼイによる共同プロデュースです。

 オープニングを飾るのは表題曲「Night Time」。ノイジーだけども、とてもダンサブルなサウンドでキャッチーさがあります。でもリフの反復がそう思わせるのか、一見ポップな中に闇を抱えている感じは残っています。「Darkness Before Dawn」はリズム隊の強烈なグルーヴを強調した楽曲。焦燥感を煽るような、ダークで緊迫した雰囲気は彼ららしいですね。続く「Love Like Blood」はバンドの代表曲です。レイヴンのメタリックなベースリフが強烈に耳に響きますが、哀愁が漂う歌メロはメロディアスで、またディストーションは効いているもののメロウなギターが歌を支えています。彼らの強みである強靭なリズム隊にもメロディが負けておらず、キャッチーで聴きやすい印象です。「Kings And Queens」はハードポップ的な1曲で、キャッチーでノリノリです。異様に存在感があるベースが彼ららしいですね。笑
 アルバム後半「Tabazan」は初っ端から、荒い息遣いに強烈なエコーをかけるという演出で強いインパクト。そこからベースとドラムが力強いリズムを刻み、ダークなギターと病み気味のボーカルが乗っかって怪しげな雰囲気を作ります。後半の展開もかなり病んでいて、強い不安感を覚えます。「Multitudes」はマッチョでカッコ良いベースリフに乗せて、哀愁を帯びた歌メロもなかなか良い。続く「Europe」は反復するリズムに中毒性があり、とは言え場面展開もうまく混ぜて聴きやすさも意識しているようです。そしてラスト曲「Eighties」は個人的に本作のハイライト。米国大統領に扮して演説するかのようなPVが印象的です。リフが秀逸で、ニルヴァーナの「Come As You Are」はこの楽曲をパクったという噂もありますね。攻撃的ですがキャッチーさもある名曲です。

 ノリ良くキャッチーな楽曲が増えて一見取っつきやすいようでいて、でもよく聴くと闇を抱えた癖のある作品です。

Night Time
Killing Joke
 
 
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