🇯🇵 ナンバーガール

レビュー作品数: 4
  

スタジオ盤

SCHOOL GIRL BYE BYE

1997年 1stアルバム

 福岡県出身のオルタナティヴロックバンド、ナンバーガール(通称ナンバガ)。1997年にデビューした同期のくるりやSUPERCARらと並んで「’97の世代」(「97年組」とも)と呼ばれ、後の邦楽ロックシーンに大きな影響を与えたバンドの一つです。メンバーは向井秀徳(Vo/Gt)、田渕ひさ子(Gt)、中尾憲太郎(B)、アヒト・イナザワ(Dr)の4人組で、1995年に結成しました。
 地元福岡で精力的にライブ活動を行い、福岡のインディーズレーベルより本作をリリース。彼らのルーツの1つにピクシーズからの影響があるようで、ノイジーな楽曲に絶叫ボーカル、ローファイ気味な音質などが特徴的です。

 オープニング曲は7分近い代表曲「omoide in my head」。ダイナミズム溢れるイナザワのドラムで幕を開けます。荒々しくパンキッシュな演奏は切れ味抜群。シャウト気味の向井の歌よりも演奏のボリュームが大きく、躍動感のあるノリの良い楽曲展開で楽しませます。ライドらシューゲイザーもルーツにあるようです。続く「大あたりの季節」はイントロのカッティングから爽やかですね。キャッチーなメロディに中尾のぶっといベースが響き渡ります。やる気のない下手なボーカルはブリットポップっぽくもあります。「センチメンタル過剰」は田渕と向井のギターが絡み合い、ベースがブリブリ唸って、太鼓を叩くようにパワフルなドラムをぶちかまします。歌よりも、勢い溢れる爽やかな演奏に魅せられますね。「September Girlfriend」は音が割れるくらいにパワフルで荒々しい演奏がスリリング。音質はかなり悪いですが、溢れんばかりのエネルギーに満ちた楽曲はダイナミックで破壊力満点です。続いて、パンクのゴッドファーザーイギー・ポップの名を冠した「IGGY POP FAN CLUB」。お気に入りのレコードを彼女に聴かせたら笑われたという歌で、歌詞にイギー・ポップの名前は出てきませんがレコードがそれだったのでしょう。歌は気だるくルーズですが、キレのある演奏がリード。力強く踏みしめるようなリズミカルな演奏が気持ちの良いノリを生み出しています。「水色革命」は爽やかでパンキッシュなアップテンポ曲。荒っぽくて切れ味抜群の演奏ですが、対照的に歌はやや脱力系ですね。ギターやドラムがガチャガチャと乱雑に鳴り、中尾の図太いベースが唸りに唸って楽曲を支えます。「渚にて」は1分のインストゥルメンタル。ギターとドラムの掛け合いが爽快な、リズミカルな楽曲です。「SUMMER of California ’73」はヘヴィに引き締まったカッコ良い演奏をバックに、ぽつりぽつりと短いフレーズを気だるく歌うギャップで楽しませます。続く「mini grammer」は緊張感溢れるスリリングな疾走曲です。高いテンションの張り詰めた演奏は凄まじくヒリヒリしていますが、どこかやる気のない向井のボーカルが緊張を若干和らげます。8分近い大作「我起立唯我一人」は「アイスタンドアローン」と読みます。やや混沌としたイントロをベースが纏め上げ、ゆったりとしたテンポでドラムと合わせて力強く楽曲を支えます。気だるげな向井の歌は、サビではとてもテンション高く激しくなります。そして最後に「4 track Professional」。音割れ気味の荒っぽいドラムを中心に、破壊力溢れる演奏と歌を繰り広げます。音質がかなり悪いですが、ぶん殴ってくるかのように非常にパワフルな楽曲で圧倒します。

 歌よりもバンドサウンドを重視した、躍動感溢れるパワフルな楽曲の数々。音質の悪さが気になりますが、彼らの勢いやエネルギーをうまくパッケージした佳作です。

SCHOOL GIRL BYE BYE
ナンバーガール
 
SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT

1999年 2ndアルバム

 インディーズとなる前作『SCHOOL GIRL BYE BYE』の後、ナンバーガールは地元福岡から東京へと上京。シングル『DRUNKEN HEARTED』のリリースを経て、東芝EMIと契約することに。本作はメジャー1st、通算2作目のアルバムです。プロデューサーの加茂啓太郎が発掘育成に携わり、メジャー化して丸くなるどころか、むしろ更に研ぎ澄まされて切れ味抜群の激しい演奏で楽しませてくれます。代表曲「透明少女」を収録しています。

 「タッチ」はアヒト・イナザワの「殺・伐!」というコールで幕開け。シャウト気味に歌う向井秀徳のパワフルなボーカルが埋もれるほどの、迫力のバンド演奏。骨太なベースに一撃が重たいアグレッシブなドラムと、ダイナミックな演奏がカッコ良くて魅力的です。続いて「PIXIE DÜ」。ナンバーガールが影響を受けたピクシーズ、そして歌詞に出てくる「ミネアポリス」出身のハスカー・ドゥがタイトルの由来でしょう。カミソリのように鋭いギターに「ドドッ ドドッ ドッ」とドラムが凄まじい。緊張感に満ちたスリリングな楽曲です。「裸足の季節」はイナザワのコールを皮切りに始まる疾走感溢れるパンキッシュな楽曲です。向井の激しい歌ですら埋もれる大音量の暴力的なサウンドで暴れ回ります。「YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING」は田渕ひさ子と向井のギターが複雑に絡み合います。そして盛り上がる場面では向井の絶叫がスリリング。「桜のダンス」はイントロからダーティで暴力的。中尾憲太郎のベースがゴリゴリと唸りを上げます。続く「日常に生きる少女」は激しく鳴り響くドラムをかき分けてギターが突き進みます。前半は躍動感のある楽曲ですが、後半はテンポダウンし、少しだけまったりとした感じがあります。「狂って候」は大迫力のドラムを軸にしたダイナミズム溢れるスリリングな楽曲で、シャウトする歌すら霞む爆音の演奏がカッコ良いです。そしてナンバーガールの代表曲「透明少女」。切れ味抜群のギターをはじめ、躍動感に満ちて爽やかな印象です。演奏は轟音だし、向井の歌唱も激しいのですが、爽快感に溢れています。メロディも比較的キャッチーですね。「転校生」はリズム隊がキレッキレで殺気に満ちており、メロディアスな歌メロよりも目立つ演奏に魅せられます。中盤リズムチェンジを交えて緩急付けつつ、再び爆走する展開もスリリング。ラスト曲は「EIGHT BEATER」。冒頭1分ほど、チューニングをしながら歪んだ音をブオーンと響かせるだけの時間が流れますが、そこから破壊力のあるロックを繰り広げます。重低音が唸りを上げ、炸裂音だらけのドラムに絶叫ボーカルと、凄まじいエネルギーを放ちます。

 ナンバーガールは文学性の高さも一定の評価を受けているのですが、歌をかき消すくらいの大音量の演奏がダイナミックかつスリリングで楽しめます。

SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT
15th Anniversary Edition (2CD)
ナンバーガール
SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT
ナンバーガール
 
SAPPUKEI

2000年 3rdアルバム

 デイヴ・フリッドマンをプロデューサーに迎えて制作された作品です。前作よりもボーカルが前面に出てきて、バランスの取れたサウンドになりました。とは言え破壊力は衰えるどころか増しており、キレッキレの鋭い演奏と激しい絶叫で圧倒します。

 「BRUTAL NUMBER GIRL」はアヒト・イナザワの「論・客・用・無し!」のコールで幕を開け、同氏のズシンと響く破壊力抜群のドラムが楽曲を力強く支えます(むしろ壊してる?笑)。とにかくパワフル。続く「ZEGEN VS UNDERCOVER」はメランコリックなメロディに、向井秀徳の「ヤバイ さらにやばい バリヤバ」が耳に残りますね。そしてマシンガンのようなドラムに合わせて怒鳴り声で「バリヤバイ」。福岡出身ゆえの博多弁ですが、バリヤバイでGoogle検索するとナンバーガールが上記に出てくるくらい、とても強いインパクトですね。「SASU-YOU」は疾走感のある楽曲で、緊張が張り詰めてとてもスリリングです。銃弾のようなドラムの雨霰に、キンキンとしたギターがつんざき、向井の歌もシャウト気味です。「URBAN GUITAR SAYONARA」はイントロでピアノが冷たく暗い雰囲気を醸しますが、すかさずヘヴィなバンド演奏が覆い尽くします。歌が始まると中尾憲太郎の太いベースが唸りを上げたり、田渕ひさ子のリードギターも魅力的ですね。楽曲展開は複雑な感じです。そして「ABSTRACT TRUTH」は破壊力抜群のドラムが強烈。グルーヴ感のある楽曲で、ヘヴィながらもノリの良さを感じられるのですが、後半はテンポアップして暴力的な演奏で爆走。向井の絶叫系ボーカルもスリリングです。「TATTOOあり」もテンション高い楽曲で、向井の怒鳴り声のような歌にパワフルな演奏でぶち壊します。途中にレゲエを取り入れたようなリズミカルでノリの良い演奏を挟んで、また終盤に向けて加速し攻撃力が高まっていきます。ラストはキンキンつんざくギターが強烈。続いて表題曲「SAPPUKEI」。音数減らして、何かあるとリスナーの意識を向けさせると、徐々に疾走感を帯びてきます。不穏に唸るベースやトリッキーかつ暴力的なドラムがヒリヒリとした強い緊張を生み出しています。「U-REI」は開幕ノイジーなサウンドを繰り広げるものの直後大人しくなり、ノリの良いリズムでラップ風のミクスチャーロックへ。中盤から加速して勢いに満ち溢れています。「YARUSE NAKIOのBEAT」はギターが官能的で気だるい音色を奏で、哀愁のメロディで切なくさせます。でも盛り上がる場面では破壊的なドラムが楽曲をぶち壊すほどの大音量で暴れています。イナザワのコールで始まる「TRAMPOLINE GIRL」はダイナミズムに溢れた、力強くて爽快な楽曲です。ドラムと向井のボーカルがパワフルに弾けます。ラスト曲「BRUTAL MAN」はパンキッシュな疾走曲。中尾の図太いベースが楽曲に恐ろしいほどのスリルを与え、焦燥感を煽り立てます。カッコ良い。

 切れ味が更に鋭くなり、演奏は高い緊張が張り詰めます。とてもスリリングな名盤です。

SAPPUKEI
15th Anniversary Edition (2CD)
ナンバーガール
SAPPUKEI
ナンバーガール
 
NUM-HEAVYMETALLIC

2002年 4thアルバム

 前作に引き続きデイヴ・フリッドマンをプロデューサーに起用し、2度に渡る渡米を経て完成しました。ダブなどの音響処理を取り入れつつ、よりヘヴィになった緊張感溢れるサウンド。そこに民謡などの「和」の要素を取り入れた傑作に仕上がりました。
 向井秀徳(Vo/Gt)、田渕ひさ子(Gt)、中尾憲太郎(B)、アヒト・イナザワ(Dr)。ナンバーガールは1995年からこの4人で変わらず続いていましたが、中尾が脱退を希望したため、4人のうち1人でも欠けたら続けられないとの判断でナンバーガールは2002年9月に解散を発表。本作がラストアルバムとなりました。

 表題曲となる「NUM-HEAVYMETALLIC」は、イナザワの「気をつけ!妄想人類諸君の発展を願って 万歳!万歳!万歳!」の奇抜かつ強烈なコールで幕開け。そしてヘヴィなノイズが鳴り響き、ダブのような音響処理を施した超ヘヴィなドラムと怪しげなギターが魅力的な楽曲を展開。テンポは遅いものの非常に重たくて、とてもカッコ良くてトリップ感の強い楽曲です。そして民謡のような「和」を感じさせるイナザワの歌に向井のラップが絡んで、更に独特の雰囲気を醸します。続く「INUZINI」はゴリゴリしたベースに爆竹のように炸裂するドラムがイントロからパワフル。疾走感に溢れ爆走するパート、そしてスローテンポの歌メロパートを経て、再びアグレッシブに爆走するスリリングな展開。また和風メロディを奏でる田渕のギターも印象的です。「NUM-AMI-DABUTZ」もイントロからカッコ良い。全楽器が一体となってヘヴィかつリズミカルなフレーズを刻むと、中尾のヘヴィなベースをはじめとして跳ねるようにファンキーなグルーヴを聴かせます。ノリの良い演奏に乗せて向井がラップを披露。歌にメロディが無い分、抜群のグルーヴに溢れる演奏に魅せられます。「Tombo the electric bloodred」はイナザワのヘヴィかつ速いドラムに煽られて焦燥感を掻き立てられるスリリングな疾走曲。暴力的なドラムやベース、そして切れ味鋭いギターに乗せて、向井の歌も怒鳴るようなシャウトでキレッキレです。アグレッシブに爆走しています。一転して「delayed brain」では落ち着きを見せ、メロウな演奏は心地良い気だるさが支配します。サビではフレーズを反復する向井の歌もトリップ感を演出。でも終盤に向けてドラムはトリッキーかつパワフルに、そしてギターはキンキンとし始め、徐々に荒ぶってきます。続く「CIBICCOさん」は中尾の暴れまくるベースソロで幕開け。向井の怒れるボーカルも含めて、序盤は緊張感に溢れるスリリングな楽曲を繰り広げます。中盤で楽曲の雰囲気を変え、ヘヴィなサウンドはそのままに深みというか渋さが出てきます。「MANGA SICK」はヘヴィメダル的なギターリフが切れ味抜群です。ゴリゴリとしつつ、スパッとした潔さもある鋭利な疾走サウンドで、ヘヴィですがスカッと爽快です。そして「FU・SI・GI」はスロー〜ミドルのゆったりテンポの楽曲でヘヴィな演奏を聴かせます。向井のシャウトが強烈。中盤は超スローにテンポダウン、そしてまたテンポを戻し、終盤には超加速していきます。かなりカオスな楽曲。続く「性的少女」は中尾のベースを軸に跳ねるようなグルーヴを効かせます。リズミカルで気持ちの良い演奏は、サビメロではヘヴィに暴れます。「Frustration in my blood」はギターが切れ味抜群。ミドルテンポかつ比較的隙間の目立つ曲ですが、ベースとドラムが加わると一音一音がヘヴィ過ぎてかなり響きますね。そして途中でテンポアップしたり、ノイズを放ちながら向井の超絶シャウトで高揚感を煽ります。最終曲は「黒目がちな少女」。穏やかな曲調なのに、金属質なノイズや絶叫で全く穏やかではありません。笑 途中から歌やギターを無視して好き勝手叩く力強いドラムが場を荒らし、強烈なシャウトに残響処理を重ねて更にヘヴィに仕立て上げます。

 強烈なインパクトを放つ表題曲からスリリングな楽曲の嵐。ナンバーガール最高傑作でしょう。
 2002年の解散後、向井とイナザワはZAZEN BOYSを結成、イナザワはそこからVOLA & THE ORIENTAL MACHINEを結成します。田渕や中尾はそれぞれスタジオミュージシャンとして活動、中尾はプロデューサー業も兼任。そして17年の時を経て、満を持して2019年にナンバーガールは再結成を果たしました。ライブ活動を中心に活動を再開しています。

NUM-HEAVYMETALLIC
15th Anniversary Edition (2CD)
ナンバーガール
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