🇬🇧 Orange Juice (オレンジ・ジュース)
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
1982年 1stアルバム
ネオアコの代表的なバンドとして知られるスコットランド出身のポストパンクバンド、オレンジ・ジュース。エドウィン・コリンズ(Gt/Vo)とアラン・ダンカン(B)が、前身バンドとなるニュー・ソニックスを1976年に結成したのが始まりです。そこにジェームズ・カーク(Gt/Vo)とスティーブン・ダリー(Dr)、脱退したアランの代わりに加入したデヴィッド・マクリモント(B)を加えて1979年にオレンジ・ジュースに改名しました。同時代のパンクバンドよりも、バーズやヴェルヴェット・アンダーグラウンドのような1960年代のバンドに強い影響を受けているそうです。さて本作はオレンジ・ジュースのデビュー作にして、ネオアコの好盤として知られます。アダム・キドロンのプロデュース。
オープニングを飾るのは「Falling And Laughing」。主張の強いベースとビート感のあるドラムによりリズム隊は躍動感溢れており、小気味良いギターが爽やかな感じに仕上げます。歌メロは哀愁とポップさをうまく両立していますが、ボーカルスタイルはちょっと癖があります。続く「Untitled Melody」はメロウで憂いのある楽曲ですが、ドラムマシンの使用かそれっぽい音加工をしたのか、ドラムが妙に軽くて浮いています。「Wan Light」は明るくポップな1曲。キャッチーなメロディラインに加えて、ブラスやハンドクラップを用いた演奏はノリ良く賑やかで、ウキウキとした気分にさせてくれます。「Tender Object」は冒頭こそリラックスして南国ムードですが、そこにタッタカタッタカと高揚感を煽るドラムに輪郭のくっきりしたベース、小気味良いギターに早口な歌で程良いスリルを与えてくれます。終盤の軽快でスリリングな演奏が聴きどころですね。そして「Dying Day」はオルガンやホーン等を装飾に用いつつ、躍動感あるリズム隊がグイグイ牽引します。メロディアスですが勢いがあり、爽快なポップ曲です。レトロ感のある「L.O.V.E. Love」はR&B歌手アル・グリーンのカバー曲。懐かしさのあるメロディを、コーラスやブラスを用いて盛り上げます。「Intuition Told Me (Part 1)」は1分ほどの小曲で、アコギと歌とコーラスというシンプルな構成で優しく聴かせます。後半跳ねるようなピアノが加わって気持ち良い。続いて「Upwards And Onwards」は素朴なポップ曲といった趣で、跳ねるようなリズム隊に甘いメロディが心地良い1曲です。ピアノが良いアクセント。「Satellite City」は強靭なベースが楽曲を牽引します。ビート感の強いドラムもあってノリノリで、更にブラスが楽曲を引き立てます。「Three Cheers For Our Side」は小気味良く躍動感あるパートと、ミドルテンポでゆったりとしたパートを交互に繰り返します。リズムチェンジで速さが頻繁に変わりますが、ポップセンスがあって意外に聴きやすいです。そして「Consolation Prize」は組曲のようになっています。前半は南国のようなリラックスムードを作り出すギターが優しいですね。後半はキンキンとしたギターを中心に、躍動感溢れる雰囲気へと変わります。「Felicity」は軽快なアップテンポ曲。跳ねるような演奏にポップなメロディが魅力的です。終盤の速弾きは爽快。そして最後に「In A Nutshell」。アコースティックでまったりとした空気が優しいですね。コーラスにゴスペルっぽさも感じられます。
ジャケットアートのように爽やかでキラキラとしていて、ブラスの多用で賑やかポップに仕上げています。少しレトロな感じのポップセンスも中々良い感じ。
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