🇬🇧 Queen (クイーン)

レビュー作品数: 12
  

スタジオ盤①

Queen (戦慄の王女)

1973年 1stアルバム

 クイーンは全世界で3億枚以上を売り上げる英国の国民的ロックバンドです。フレディ・マーキュリー(Vo/Key)、ブライアン・メイ(Gt/Vo)、ジョン・ディーコン(B)、ロジャー・テイラー(Dr/Vo)の不動の4人組で1971年に結成しました。1991年にフレディが亡くなった後、残されたメンバーのうちブライアンとロジャーを中心に、クイーン+ポール・ロジャース、クイーン+アダム・ランバートと、ゲストボーカルを招きながら活動を継続しています。

 本作はジョン・アンソニー、ロイ・トーマス・ベイカー、クイーンのプロデュース。
 「Keep Yourself Alive」で開幕。ほどよい疾走感が気持ちの良い1曲です。美しいコーラスワークや、ブライアンのギターオーケスオレーション等、クイーンらしさと言える要素が詰まった佳曲です。「Doing All Right」はピアノの美しい音色とフレディの優しい歌唱から、ゆったりした曲だと勘違いしますが、中盤で加速。緩急ある面白い楽曲です。「Great King Rat」では荒々しいギターと躍動感のあるドラムにハードロックを感じつつ、フレディの歌唱はその荒さを和らげて聴きやすいものにしています。「My Fairy King」はイントロにディープ・パープルっぽい感じがしますが、シャウトには持っていきませんね。イントロが終わると美しいピアノをバックにゆったりした楽曲を展開、ラストで加速します。
 アルバムは後半に入り、ヘヴィなギターがカッコいい「Liar」。これが本作で一番好みかな。コーラスワークで彩って「Liar」を連呼するので耳に残る楽曲です。アコギが主体の「The Night Comes Down」はジョンのベースが際立っています。「Modern Times Rock ‘N’ Roll」で疾走ロックンロールを奏でますが、ボーカルを取るのはロジャー。2分足らずの短いナンバーですが気持ち良い。ヘヴィな「Son And Daughter」、3連のリズムが独特な「Jesus」と続いて、ラスト曲は「Seven Seas Of Rhye」。短いインストゥルメンタルですが、この楽曲を気に入ったのか、次作ではボーカル付のアレンジで再録されています。

 粗削りな部分もありますが、エネルギーに満ち溢れた快作です。英国では批判的な評価でしたが、日本ではそのキャッチーなサウンドに加えて、メンバーがイケメンということもあってか早くから人気を博していました。

Queen (2011 Remastered Deluxe Edition)
Queen
 

Queen II (クイーン II)

1974年 2ndアルバム

 白と黒をコンセプトに据えたコンセプトアルバムです。アルバムジャケットも表裏で白と黒を基調としたアートワークが採用され、また、White Side/Black Sideと名付けられたレコードA面とB面でそれぞれメドレーを聴かせます。楽曲によりプロデューサーが異なりますが、ロイ・トーマス・ベイカー、ロビン・ジェフリー・ケーブルとクイーンがプロデュースに関わっています。

 White Sideと名付けられたレコードA面は、ブライアン・メイの曲が中心。ギターオーケスオレーションの短いインスト曲「Procession」で始まり、繋がるように「Father To Son」へ流れていきます。前半は穏やかで美しいのですが、中盤から荒々しいハードロックパートに変わり、とてもスリリングです。また終盤で美しいパートが戻ってきます。そして続く「White Queen (As It Began)」はしっとりと陰鬱な雰囲気。でもコーラスワークはとても美しい。アコギが小気味良い「Some Day One Day」はブライアンがボーカルを取ります。牧歌的で心地よい1曲です。一転してヘヴィな「The Loser In The End」はロジャー・テイラーがボーカルを取ります。ロジャーの曲はなんか独特。笑
 Black Sideと名付けられたレコードB面は全てフレディ・マーキュリーの作曲。怒濤のメドレーが圧巻です。「Ogre Battle」は鮮烈なコーラスで始まったあと、逆再生を用いたイントロがトリップ感を生みます。高揚感を煽るノリの良いヘヴィなサウンドに乗せて、コーラスワークをうまく活用したキャッチーな歌を聴かせます。そのまま続く「The Fairy Feller’s Master-Stroke」も疾走感があって心地よい。ファルセットとコーラスワークを多用した愉快な歌メロは、テンポの良さもあって一気に聴かせます。続く「Nevermore」はピアノの美しい音色を主体に、優しくメロディアスな歌を披露します。「The March Of The Black Queen」では少し重厚な雰囲気。しかし徐々にテンポアップして、リズムチェンジを加えて場面転換の忙しいプログレ的な1曲です。「Funny How Love Is」ではコーラスの海に溺れそうな賑やかさ。明るくポップな1曲です。そしてラスト曲「Seven Seas Of Rhye」は1st『戦慄の王女』収録の同名楽曲のアレンジ。ボーカルが加わっている点に違いがありますね。煌びやかなキーボードにヘヴィなサウンドで、でもノリの良さも持ち合わせている。爽快な気分を与えたまま、このアルバムを終えます。

 多重録音してまるで楽器のようなコーラスワークに圧倒されますが、このコーラスワークがとても心地よい。ギターも多重録音でオーケストラのよう。前作からあったアプローチは本作において完成し、クイーンらしさと呼べるサウンドを確立しました。こうしたサウンドのおかげで、ヘヴィさもあるもののキャッチーさが際立ち、万人に受け入れられるサウンドに仕上がっています。特にBlack Sideのメドレーは圧巻で、最高傑作に上げる人も多い、素晴らしい傑作です。

Queen II (2011 Remastered Deluxe Edition)
Queen
 

Sheer Heart Attack (シアー・ハート・アタック)

1974年 3rdアルバム

 心臓発作を意味するタイトル。なおタイトルを冠した「Sheer Heart Attack」は本作には収録されず、『世界に捧ぐ』で日の目を見ることになります。ロイ・トーマス・ベイカーとクイーンのプロデュース。

 オープニングを飾る「Brighton Rock」は疾走曲。フレディ・マーキュリーのファルセットから始まります。疾走感を生み出すドラムと、中盤の高速ギターが良い感じ。そしてクイーンの代表曲と呼べる「Killer Queen」。指パッチンから始まるメロディアスな歌はCMなどでもお馴染みですね。モエ・エ・シャンドン(高級シャンパン)片手にマリー・アントワネットのように振る舞い、フルシチョフとケネディ(米ソ冷戦下のそれぞれの国のリーダー)を仲直りさせるような、「男殺しの女王」たる魅力的な女性をたたえる歌詞となっています。コーラスやギターサウンドも気持ち良い、超名曲です。続く「Tenement Funster」はアコギ主体のダークな楽曲。ロジャー・テイラーが渋い歌声で歌います。そのまま続く「Flick Of The Wrist」はフレディにボーカルを譲りますが、ダークで怪しい雰囲気はそのまま。でもコーラスによって、暗く重たい楽曲でも聴き苦しさがないんです。「Lily Of The Valley」も前曲から繋がっています。ピアノ主体の優しい楽曲です。「Now I’m Here」で軽快なロックンロールを聴かせます。メロディがキャッチーで、聴いていて楽しい。
 レコードでいうB面、アルバム後半は「In The Lap Of The Gods」で始まります。強烈なコーラスと、おどろおどろしい雰囲気。ダークで怪しさ全開の1曲ですが、中盤からの美しいコーラスに救われます。そして後半のハイライト「Stone Cold Crazy」。クイーンにしてはかなりヘヴィな1曲で、疾走感も凄まじい。ヘヴィメタルバンドのメタリカもカバーした、HR/HM界への影響も大きい1曲です。一転して「Dear Friends」では優しい癒しの歌を聴かせます。1分強の短さですが、美しいコーラスに惹かれます。ジョン・ディーコン初作曲の、爽やかでほのぼのとした「Misfire」を挟み、ミュージカルっぽいコミカルな「Bring Back That Leroy Brown」で楽しい気分にさせます。「She Makes Me (Stormtrooper In Stilettoes)」は、アコギに乗せて讃美歌のような幻想的なコーラスを聴かせます。そしてラスト曲「In the Lap Of The Gods Revisited」はB面1曲目と同じようなタイトルはついていますが、メロディは異なります。歌を主軸においていて、ラストのコーラスなんてとても感動的です。でも、最後の最後の爆発音には笑ってしまいますが。

 ハードロック色が強いですが、クイーンの特色である節操のない音楽的な雑食性が本作において既に見られます。特に超名曲「Killer Queen」は必聴です。

Sheer Heart Attack (2011 Remastered Deluxe Edition)
Queen
 

A Night At The Opera (オペラ座の夜)

1975年 4thアルバム

 初の全英1位を獲得した大ヒット作。前作に引き続き、ロイ・トーマス・ベイカーとクイーンのプロデュース。

 混沌としたイントロで始まる「Death On Two Legs」はハードロックナンバーです。ただ、コーラスによってヘヴィさは和らいでいます。ミュージカルのようなコミカルな小曲「Lazing On A Sunday Afternoon」を挟んで、ロジャー・テイラーがボーカルを取る「I’m In Love With My Car」。コーラスで派手に仕上がっています。そしてジョン・ディーコンの名曲「You’re My Best Friend」。ほのぼのとした雰囲気で、ポップなメロディセンスが光ります。ジョンの弾くエレピも良い感じ。優しさに満ち溢れています。続くカントリー調の「’39」はブライアン・メイ作ですが、優しく牧歌的な雰囲気はそのまま継続。この連続する2曲に癒されます。そしてハードな「Sweet Lady」が続きます。変拍子のため妙なフックがあります。そして「Seaside Rendezvous」ではピアノが軽やかな愉快な1曲です。歌メロはキャッチー。
 アルバムは後半に入り、8分強の大作「The Prophet’s Song」。プログレ的な1曲で、少しオリエンタルなエッセンスを加えた怪しさを感じます。中盤のフレディ・マーキュリーの一人多重コーラスが強烈。そのまま続く「Love Of My Life」はフレディの美しい歌声がフィーチャーされています。サウンドがコミカルな雰囲気の「Good Company」を挟んで、クイーン屈指の超名曲「Bohemian Rhapsody」。全英9週連続1位を記録したシングルで、英国民に愛されている楽曲です。2002年に行われた「英国史上最高のシングルは?」というアンケートでは、ビートルズやジョン・レノンを抑えて堂々1位に輝きました。大きく3つのパートが組み合わさった楽曲で、「ママ、人を殺しちゃったよ」と嘆きのバラードパート。ピアノをバックに、フレディの感情的な歌唱でしっとりと聴かせます。続いてフレディ、ブライアン、ロジャーの3人の声を重ねに重ねて、約200人分のコーラスを表現したオペラパート。これが鳥肌ものです。よくこんなことを思いつくなぁ…。そして終盤はブライアンのギターがインパクトのあるハードロックパートと、1曲の中で様々に変化します。隙のない素晴らしい名曲です。そしてラスト曲「God Save The Queen」は、英国国歌をブライアンのギターソロで聴かせて終わります。

 とにかく「Bohemian Rhapsody」が凄い。この1曲のためにあるといっても過言ではありません。

A Night At The Opera (2011 Remastered Deluxe Edition)
Queen
 

A Day At The Races (華麗なるレース)

1976年 5thアルバム

 タイトルもジャケットも、前作と対になるような作品です。前作の路線を更に推進したような作風に仕上がっています。マイク・ストーンとクイーンのプロデュース。

 ノリの良いロックンロールナンバー「Tie Your Mother Down」で始まります。でもオープニング曲には少し弱い印象。続く「You Take My Breath Away」は美しいコーラスで始まったあと、ピアノをバックに哀愁漂う歌を静かにしっとりと聴かせます。「Long Away」では明るく温もりに溢れた雰囲気。ブライアン・メイのボーカルは優しいですね。派手さはありませんが、良い楽曲だと思います。「The Millionaire Waltz」は文字通りワルツ。何でも取り入れてみるクイーンの無節操さは留まることを知りません。笑 中盤は唐突なハードロックパートも用意されていて、展開が目まぐるしいワルツです。ブライアンのギターオーケスオレーションが美しい1曲です。アップテンポの「You And I」はメロディアスでポップな1曲。楽曲から、なんか青春っていうイメージが湧きます。
 アルバム後半に入り、本作のハイライト「Somebody To Love」。アカペラで始まり、分厚いコーラスによってキャッチーなメロディが歌われます。コーラスがやけに強烈で、耳に残るんですよね。ヘヴィな「White Man」、ポップで展開の忙しい「Good Old Fashioned Lover Boy」に続き、ロジャー・テイラーが歌う「Drowse」。ロジャーには珍しく、ロックンロール曲ではなくしっとりと聴かせる楽曲です。そしてラスト曲「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」は湿っぽい1曲です。タイトルの「手を取り合って」のとおり、サビでは日本語で歌う、日本人的には嬉しい1曲ですね。

 分厚いコーラスによって彩られたメロディアスな楽曲が多く人気の高い作品です。…が、個人的にはややパンチ力に欠ける気がしていてあまり聴かない1作でもあります。

A Day At The Races (2011 Remastered Deluxe Edition)
Queen
 

News Of The World (世界に捧ぐ)

1977年 6thアルバム

 英国でパンクが猛威を振るっていた1977年に出された本作は、英国内の音楽シーンを意識してか比較的シンプルな仕上がりとなっています。
 前作に引き続きマイク・ストーンとクイーンのプロデュース。ジャケットアートはSF好きのロジャー・テイラーの案で、SF画家フランク・ケリー・フリースのイラストを採用しています。

 オープニング曲は「We Will Rock You」。クイーンと言えばこの1曲を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ブライアン・メイの作。ドンドンチャ、ドンドンチャのリズムにフレディ・マーキュリーが一人歌う。コーラスも良い感じに高揚感を煽りますね。2分の短い楽曲ですが、非常にインパクトのある1曲です。続く楽曲は「We Are The Champions」で、これまた言わずと知れたクイーンの有名曲。メロディアスな楽曲で、フレディの作。ゆったりとしたテンポで力強く歌い上げます。サビを飾る分厚いコーラスが感動的。この2曲だけでお腹一杯になりそうですが、続く楽曲も優れたものばかりなのが本作の魅力です。「Sheer Heart Attack」では雰囲気を変えて、気持ち良いくらいに快走します。ブライアンのハードなギターがカッコいい。『シアー・ハート・アタック』のアウトテイクでようやく日の目を見ましたが、ハードロック色が強く、本作において刺激的な良いアクセントとなっています。ロジャー作の名曲ですが、ロジャーではなくフレディがボーカルを取っています。続く「All Dead, All Dead」ではピアノを主体に静かな歌を聴かせます。しっとりとした雰囲気の楽曲です。「Spread Your Wings」は切ないバラード。フレディの歌う哀愁あるメロディが刺さります。ジョン・ディーコン作の楽曲ですが、彼の作曲の中は「Another One Bites The Dust」に次ぐ傑作ではないでしょうか。「Fight From The Inside」はロジャーがボーカルを取ります。ロジャーはハードロック志向が強いですね。ベースが際立つヘヴィな1曲です。
 アルバム後半に入り、「Get Down, Make Love」は変な感じの楽曲。メロディアスではないのに、フレディの歌が妙に耳に残ります。SFチックな間奏が非常にサイケデリック。「Sleep On The Sidewalk」はブルージーなロックンロール。ブライアンがボーカルを務めます。続く「Who Needs You」はシンプルなアコースティックサウンドをバックに、ゆったりとした雰囲気。過剰なコーラスからも解放され、シングルに良いと思える佳曲です。「It’s Late」は始まりはシンプルですが、サビはコーラスによって飾られてドラマチック。ほどよく哀愁を醸し出すメロディアスな名曲。一瞬だけ爆走するというスリリングさを合わせ持った、強烈なインパクトを持つ1曲です。ラスト曲は「My Melancholy Blues」。ピアノを主体に、ジャジーでメロウな演奏。大人びた雰囲気の演奏でしっとりとした歌は切ないながらも優雅な気分にさせてくれます。

 「We Will Rock You」と「We Are The Champions」という超名曲を収録しながらも、この2曲が突出することなく馴染んでいるという全楽曲の奇跡的なレベルの高さ。本作はクイーンの最高傑作候補の一角です。個人的にはこれか『ジャズ』で迷うところ。非常に出来が良い傑作です。

News Of The World (2011 Remastered Deluxe Edition)
Queen
 

Jazz (ジャズ)

1978年 7thアルバム

 タイトルに『Jazz』と冠していますが、音楽のジャズではなくて、「くだらない話」という意味での単語だそうです。確かにジャズっぽい要素は全く見られませんね。
 プロデューサーには『オペラ座の夜』以来のロイ・トーマス・ベイカーを招いています。

 「Mustapha」は中東音楽に影響を受けていますが、昇華することなくそのまま取り込んだような感じ。「イブラヒム」と「アッラー」と「ムスタファ」を連呼するだけの、ギャグみたいな楽曲です。でも強烈なインパクトがあって結構好みだったりします。「Fat Bottomed Girl」はキャッチーな楽曲で、コーラスワークも効果的に活用してポップな仕上がりになっています。「Jealousy」はピアノ主体のしっとりとした1曲です。哀愁があって、とてもメロディアスな楽曲。所々出てくるシタールのような音色がアクセントになっていますが、アコギにピアノ線を引いてシタールっぽい音に編集加工しているのだそう。続く「Bicycle Race」はとても有名な1曲ですね。コーラスワークで始まり、軽快なリズムに乗せてキャッチーで愉快な歌メロ。キャッチーさに埋もれてますが、さりげなくリズムチェンジによる場面転換が激しい1曲です。そして中盤では自転車のベルがチリンチリン鳴り響くという、演出のユニークさ。面白い1曲です。「If You Can’t Beat Them」も前曲に引き続きノリの良い楽曲です。前曲があまりにもキャッチーなため埋もれがちですが、これもなかなかにキャッチーな良曲です。3連のリズムが印象的な「Let Me Entertain You」は少しヘヴィで、後にデビューするアイアン・メイデンをなんとなく想起させます。影響を与えているのかなぁ?
 アルバム後半は「Dead On Time」でスタート。高速ギターと高揚感を煽るドラムが気持ち良い、疾走感の溢れる1曲です。フレディの噛みそうな早口も疾走感を掻き立てます。続いて「In Only Seven Days」ではアコギとピアノが美しい音色を奏でます。中盤を彩るエレキギターも美しい。「Dreamers Ball」もアコースティック色の強い楽曲です。ゆったりとした雰囲気で、目まぐるしく変化するアルバムにひとときの休息を与えます。「Fun It」はディスコブームに1曲。ドラムにビート感があってダンサブルです。ロジャー・テイラーとフレディがボーカルを取ります。ブライアン・メイが歌う「Leaving Home Ain’t Easy」を挟んだ後、クイーン1、2を争う超名曲「Don’t Stop Me Now」へ。フレディのピアノ弾き語りで始まったあと、コーラスが加わるとともに加速。ベースもいますが、主に軽快なピアノとタイトなドラムによって作られる疾走感がとても気持ち良い。終盤登場するギターは荒っぽくもご機嫌な感じ。聴いていてワクワクする、素晴らしい1曲です。そしてラスト曲「More Of That Jazz」はヘヴィなサウンドをバックに、ロジャーが歌います。ロジャーのハスキーな声はメタリックな楽曲によく合うんですよね。最後はアルバム収録曲を繋ぎ合わせて走馬灯のように…は自然に流れていかず不自然さも残りますが笑、個性的なアルバムを半ば強引に纏め上げて終わります。

 楽曲は無節操さを極めて、アルバムは統一感がなく取っ散らかっている印象が強いですが、無節操な雑食性はクイーンらしさそのもの。収録された個性的な楽曲群は魅力に溢れています。個人的にはこれか『世界に捧ぐ』が最高傑作だと思っています。

Jazz (2011 Remastered Deluxe Edition)
Queen
 

The Game (ザ・ゲーム)

1980年 8thアルバム

 オリジナルアルバムでは全米での最大ヒット作品で、唯一の全米1位獲得作品です。ラインホルト・マックをプロデューサーに迎えています。

 オープニング曲「Play The Game」はフレディ・マーキュリーの美しい声が特徴的な1曲です。そしてそれ以上に驚きなのは間奏でのSFチックなサウンド。これまでシンセサイザーは使わずに、多重録音等のアイディアで対応してきましたが、大胆なシンセサイザー導入に驚きます。続く「Dragon Attack」は演奏に主眼がおかれています。歌の間はひたすら短いフレーズを反復しますが、中盤のドラムソロからのベースソロ、ギターソロという流れが良い。そのまま続けて次曲「Another One Bites The Dust」が始まります。ジョン・ディーコン作の最高傑作でしょう。ディスコブームに乗ったこの楽曲は、低音でリズムを刻むベースがとてもカッコよく、ビート感のあるドラムがダンサブルな雰囲気を作り出します。歌はキャッチーで耳に残ります。「Need You Loving Tonight」もジョン作。カラッとしていて爽やかです。「Crazy Little Thing Called Love」も前曲の雰囲気をそのまま引っ張っています。「愛という名の欲望」という邦題で知られるこの楽曲はビートルズっぽい雰囲気も感じます。
 後半「Rock It (Prime Jive)」は、ゆったりとした曲調にフレディが感情的に歌います。しかしそのゆったりとした雰囲気を突如ぶち壊して、ロジャー・テイラーの歌とともにシンセサイザーを少し加えたロックンロールが始まります。ロックンロールと言えばロジャーの作ですね。続く「Don’t Try Suicide」ではレゲエのエッセンスを取り入れています。ハンドクラップが愉快。ブライアン・メイ作でボーカルも努める「Sail Away Sweet Sister」はメロディアスな1曲。湿っぽい雰囲気で、ブライアンの歌が染み入る良曲です。美しいコーラスワークのせいかチャイムの音が入るからか、なんとなくクリスマスっぽい雰囲気を感じます。続いてロジャー作の「Coming Soon」。明るい雰囲気で湿っぽさを掻き消します。メロディアスで聴きやすい。そしてラストはブライアン会心の作「Save Me」。アコースティックサウンドでしっとり聴かせますが、サビではエレキギターやコーラスが加わってドラマチック。泣きそうになります。間奏の演奏も良いんですよね。

 4人ともが作曲できるものの、これまで作曲面で貢献してきたのは主にフレディとブライアンでした。しかし本作においては残る2人、特にジョンの活躍がめざましい1作となりました。癖の強い楽曲は息を潜め、比較的シンプルな仕上がりで勝負する作風です。LAメタルとかヘヴィメタル系のようなジャケットですが、そこまでヘヴィなサウンドではありませんのでご安心を。

The Game (2011 Remastered Deluxe Edition)
Queen