🇯🇵 RCサクセション (アール・シー・サクセション)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

シングル・マン

1976年 3rdアルバム

 忌野清志郎率いる日本のロックバンド、RCサクセション。1968年に結成しました。忌野清志郎(Vo/Gt)、林小和生(リンコ・ワッショー。後に小林和生名義; B/Vo)、破廉ケンチ(Gt/Vo)の3人組です。
 デビュー当初はフォークロック路線で活動していて、フォーク路線に電気楽器を導入したのが本作です。プロダクションで揉めて、レコーディングからリリースまで2年かかった上、当初のセールスは芳しくなくてすぐ廃盤になってしまったそう。1980年代に入って、RCサクセションの大ブレイクとともに本作の再評価が進み今では傑作として高い評価を得ています。なお、契約の都合でクレジットされていませんが、ドラムは西哲也によるもの。

 オープニング曲「ファンからの贈り物」はグルーヴ感の強いファンキーな楽曲です。泥臭さもありながらブラスセクションやサックスに彩られて華やかで、ローリング・ストーンズを想起させます。途中コーラスパートではファルセットで歌っています。続く「大きな春子ちゃん」は林小がボーカルを取る1曲。ゆったりとしたアコースティックかつジャズっぽい雰囲気で、ウッドベースが心地良い。「やさしさ」は序盤と終盤優しい雰囲気ですが、豹変する中盤が強烈。忌野が強烈なシャウトを発して、それに合わせて演奏もヘヴィかつカオスな感じになります。中々スリリング。そして「ぼくはぼくの為に」は躍動感のあるノリノリなロックンロール。忌野のしゃがれたパワフルな歌唱がカッコ良いですね。「レコーディング・マン (のんびりしたり結論急いだり)」は短いインストゥルメンタル。環境音で始まった後、実験的なサウンドを鳴らします。そして「夜の散歩をしないかね」ではピアノと落ち着いたベース、ドラムがジャジーでメロウな演奏を展開。忌野の渋い歌声がよく似合います。
 アルバム後半は「ヒッピーに捧ぐ」で幕開け。バンドのために尽力したスタッフの突然の死を悼む楽曲で、忌野の悲痛に満ちた切ない歌唱に目頭が熱くなります。そして泣き喚く終盤には思わずもらい泣きしてしまいます。「うわの空」はゆったりとしたフォークソング。メロディアスなサビメロをストリングスが盛り上げていきます。続いて「冷たくした訳は」は陽気な楽曲で、カントリー色が漂う演奏を華やかなブラスで彩ります。そして人気曲の一つ「甲州街道はもう秋なのさ」。スローテンポでアコースティックなサウンドに哀愁たっぷりの歌が乗り、しゃがれた歌唱が秋の切ない季節感を想起させます。中盤はブルージーで泥臭い。ラストの「スローバラード」はRCサクセション初期の名曲として名高い楽曲です。透明感のあるピアノイントロに始まり、メロディアスなバラードを展開。ブラスやストリングスが楽曲を引き立て、盛り上がる演奏とともに感情たっぷりの歌唱で魅せてくれます。

 R&B色の強いファンキーな楽曲とフォーキーでしっとりした楽曲が入り混じっています。シンプルなフォーク曲はメロディアスでしみじみとします。

 そして本作リリースの翌年からRCサクセションは5名編成へと変わり、グラムロック路線に転向。そこで人気を獲得していくことになります。

シングル・マン+4
(SHM-CD)
RCサクセション
 
 

ライブ盤

RHAPSODY

1980年

 RCサクセション人気に火をつけた、彼らの傑作として名高い名ライブ盤です。本作より少し前から、化粧をしてグラムロック的な出で立ちで活躍していきます。忌野清志郎(Vo/Gt)、小林和生(B/Vo)、仲井戸麗市(Gt/Vo)、新井田耕造(Dr)、Gee2wo(Key/Gt)による黄金時代のラインナップが揃ったほか、サポートとして小川銀次(Gt)、梅津和時(Sax)が参加。なお、2005年には本作に9曲を追加した完全版『RHAPSODY NAKED』もリリースされていますが、オリジナル盤をレビューします。

 9分を超える「よォーこそ」でライブの幕開け。「リンコ・ワッショー」と紹介された小林がグルーヴ感たっぷりのベースを刻みながら、ギターが加わってドライブ感を増します。歌ではライブに来てくれた感謝の意と、愉快なメンバー紹介をしています。とてもワクワクさせてくれます。続いて「エネルギー OH エネルギー」。新井田の疾走感あるドラムで始まるノリの良いロックンロール。力強くて爽快です。「ラプソディー」はサウンドはシンプルですが、グルーヴ感の強いスローテンポな1曲です。シャウト気味の感情たっぷりなサビメロ、それを彩るメロウなサックスが色気たっぷりです。そしてリズミカルなビートから「ボスしけてるぜ」へ。ニューウェイヴ感覚も取り入れたノリの良い演奏に乗る歌は、給料を上げてくれと上司に懇願するやり取りをコミカルに描います。「エンジェル」はアコースティックギターがしんみりときた雰囲気を醸します。アコギ、ピアノのフレーズや哀愁具合がローリング・ストーンズの「Angie」っぽいです。しんみりとした空気を変えるのは「ブン・ブン・ブン」。力強い演奏にブラスセクション等の華やかさを加えています。時折メンバーの野太いコーラスが加わり、ライブならではの楽しげな雰囲気が伝わってきます。そして「雨あがりの夜空に」はRCサクセション屈指の名曲と名高い楽曲です。ダンサブルなビートに乗せて、ノリの良いキャッチーなロックを展開。元々は愛車の故障を歌った曲ですが、酷い下ネタのようにも聴こえますね。
 そしてここからはアンコール。「上を向いて歩こう」は坂本九のカバー曲ですが、パワフルで疾走感溢れるロックンロールに仕上がっていて、原型を留めていません。笑 おどけた愉快な歌唱や、悠々としたギターソロも含めてとても楽しそうです。ラスト曲は「キモちE」。パワフルなベースに軽快なピアノ、ノリの良いサックスなど、賑やかで愉快なロックンロールを繰り広げます。耳に残るキャッチーな歌も良いですね。

 勢いに満ちた序盤から高揚感を煽られ、でもしんみり聴かせる楽曲も優れています。ノリが良くて楽しい名ライブです。

RHAPSODY
RCサクセション
 
 

編集盤

EPLP

1981年

 本作はRCサクセション初のベスト盤です。電気楽器を用いるようになってからのシングルA面B面曲が収録されていて、オリジナルアルバムとほぼ被らないことから、実質オリジナルアルバムと同等の扱いを受けているそうです。

 レコードA面、アルバム前半はシングルA面曲が並びます。まず「わかってもらえるさ」は3人編成時代の楽曲ですが、破廉ケンチは鬱状態でほとんどギターが弾けなかったため、忌野清志郎がギターも兼任しています。ギターとピアノがレトロなサウンドを奏でています。「ステップ!」は5人編成になってからの楽曲ですが、演奏はメンバーではなくスタジオミュージシャンによるものだそうです。小気味良いギターがカントリーっぽくも、ブラスやストリングスに彩られた楽曲はとても賑やか。過剰装飾気味で、ちょっと時代を感じますね。そして「雨あがりの夜空に」はRCサクセションの名曲。ノリの良い演奏にキャッチーな歌が魅力的です。忌野の愛車の故障を題材にしつつも、男女関係を思わせる歌詞はちょっと下品ですね。「ボスしけてるぜ」はGee2woの弾くシンセやシーケンサーがニューウェイヴ的ですが、それ以外はシンプルでリズミカルなロックを展開。そしてボスへ給料アップをねだる歌詞はコミカルな感じで中々面白いです。「トランジスタ・ラジオ」はイントロで仲井戸麗市がハードなギターを聴かせますが、全体的にはポップロックに仕上がっています。シンセに彩られて程よく柔らかく、キャッチーな歌メロも魅力的。
 ここからはレコードB面、シングルのカップリング曲が並びます。3人時代の「よごれた顔でこんにちは」は小気味良い演奏に、時折バロックポップのようなノスタルジックな要素を交えています。続いて「上を向いて歩こう」は坂本九の名曲を大胆にロックンロールアレンジしたカバー曲。軽快なピアノが楽曲に躍動感を与え、ノリの良い演奏は高揚感を煽ります。そしてしゃがれ声の忌野のボーカルも楽しそうで、聴いていて明るい気持ちになります。「君が僕を知ってる」はリゾート気分のまったりとした演奏で、アコギやパーカッションが心地良いですね。そして「キモちE」はパワフルなロックンロール。力強くキレのある演奏はノリノリで、それに加えてキャッチーな歌メロが爽快です。口ずさみたくなりますね。最後は「たとえばこんなラブソング」。気だるくルースな演奏を、賑やかにホーンが彩ります。低音が気持ち良く響くんですよね。

 年代順に並べたベスト盤で、3人編成時代の楽曲が多少浮いている以外は違和感なく聴けます。忌野清志郎の歌は魅力的ですね。

EPLP
RCサクセション
 
 
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