🇯🇵 レミオロメン

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

ether[エーテル]

2005年 2ndアルバム
 

 山梨県出身のロックバンド、レミオロメン。メンバーは全作詞と大半の作曲を手掛ける藤巻亮太(Vo/Gt)、そして前田啓介(B)と神宮司治(Dr)で、小中高の同級生だそうです(前田のみ高校中退)。高校時代にバンドを結成していたものの進学とともに一旦解散、藤巻が大学3年のときに前田と神宮司に再び声を掛け、2000年にバンドを結成しました。バンド名はメンバーそれぞれが好きな文字を持ち寄り、藤巻がレディオヘッドのレ、神宮司が彼女と自分の名前から取ったミオ、前田が路面電車のロメン、これらを組み合わせてレミオロメンとなりました。2003年にインディーズでミニアルバムリリース後、同年中にメジャーデビューを果たしています。
 シングル「3月9日」のヒットを受けて、同楽曲を収録した本作は2005年3月9日に発売されました。また同日に武道館ライブも敢行しています。先行シングルのリリースもあったため、全12曲のうちシングル曲/カップリング曲が6曲を占めています。収録シングルの途中から小林武史がプロデューサーに就いています。

 アルバムは「春夏秋冬」で幕開け。ストリングスで彩られた歌はのどかでメロディアスな印象ですが、バンドサウンドを期待して聴いたらストリングス全開で「あれ?」と思いました。時折アクセントとしてスペイシーなシンセが入ります。続く「モラトリアム」はパンキッシュな疾走曲。ロックバンドらしいバンドサウンドが全面に出た勢い溢れる演奏で、聴いているとスカッとしますね。「春景色」も緊張感のある演奏。テンポの速いドラムが荒っぽく刻み、ベースもブイブイ唸りを上げます。藤巻の歌はASIAN KUNG-FU GENERATIONっぽい。「アカシア」はノスタルジーや切なさが漂います。ギターが柔らかくて優しい。「永遠と一瞬」はイントロから暗く幻想的な雰囲気ですが、歌が進むと優しく温かい顔も見せてくれます。「深呼吸」はイントロのギターから良い感じ。落ち着いてゆったりとリラックスした曲調に乗せて、「もう少し力抜いて」「もう少し自由になって」の歌詞にほっと癒やされます。「ドッグイヤー」は独特のギターリフが耳に残ります。凝ったリフに比べると歌は比較的素朴な印象。オルガンの味付けが地味に好みです。「五月雨」は打ち込みのビートがダンサブルですが、全体的に張り詰めて暗い雰囲気。生ドラムにバトンを渡すと、張り詰めた空気はそのままに疾走し出します。「コスモス」は程良い疾走感が爽やかなアップテンポ曲。グロッケンやストリングスが楽曲を彩ります。「3月9日」。メンバー3人共通の友人の結婚を祝った楽曲だそうで、卒業ソングの定番ですね。「粉雪」(次作『HORIZON』収録)とともにドラマ『1リットルの涙』に起用されました。藤巻の歌メロをフィーチャーしたような演奏は音数少なく素朴な印象を受けますが、感情たっぷりに歌うサビメロではしっかり盛り上げ、ドラマチックに仕上げます。「南風」は跳ねるようなビートを刻むドラムやベースラインが爽快な、リードシングルです。ストリングスがちょっと派手な気がしますが、明るい曲調で元気を貰えますね。ラスト曲「海のバラッド」はピアノだけのしっとりとした始まりから、じわりじわりと盛り上がっていきます。メロディアスな歌が魅力的ですね。

 「3月9日」の素朴なイメージで聴きましたが、小林武史の影響が大きくストリングスが目立つ(悪い意味で鼻につく)気がします。とは言え正統派ロック曲もあり、「ロックバンド」レミオロメンとしてのファン人気が高い1作です。
 次作『HORIZON』は「粉雪」の大ヒットでオリコン1位も獲得しますが、大衆ポップ化を遂げたことで一部の初期ファンは離れ、新規ファンも長くはついてこずという状況だったようです。

ether[エーテル]
レミオロメン
 
 
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