🇨🇦 Rush (ラッシュ)

編集盤

Gold

2006年

 ラッシュの1st『閃光のラッシュ』から12th『ホールド・ユア・ファイア』までの楽曲群からセレクトされた2枚組ベスト盤です。既発の2種類のベスト盤を融合したような内容になっていて、Disc1は『Retrospective I』というベスト盤から「Something For Nothing」を「Working Man」に差し替えたもの、Disc2はまんま『Retrospective II』というベスト盤をそのまま採用。
 100点満点の突出した名盤は少ないものの、どの作品も高水準で甲乙つけがたい作品がとても多いラッシュ。そんな各作品に散らばった素晴らしい名曲たちが、本作で中々うまい具合にセレクトされています。ラッシュの名曲を纏めて聴きたいときに役立ちそうだと思い購入しました。
 
 
 Disc1はベスト盤『Retrospective I』とほぼ同内容で、1st『閃光のラッシュ』から7th『パーマネント・ウェイヴス』までのハードロックからプログレ化、そしてプログレ全盛期までの楽曲が散りばめられています。組曲「2112」はフル収録ではなく序盤だけなのが惜しいですが、ベスト盤の収録時間的に致し方ないでしょう。
 ラッシュの代表曲「The Spirit Of Radio」で幕開け。アレックス・ライフソンのテロレロ鳴るギターから、明るいメロディを奏でて歌が始まります。キャッチーな歌メロにノリの良い演奏は爽快ですが、間奏に唐突なリズムチェンジを挟んだりレゲエパートがあったりと5分の楽曲の中で変化に富んでいます。「The Trees」はアコギ主体の落ち着いた演奏でしっとり始まりますが、途中からドライブ感のあるバンド演奏へと変わります。ゲディ・リーの甲高い歌とブリブリ重低音を鳴らすベースが対照的。変拍子を多用したテクニカルな演奏で、中盤は哀愁を感じさせますが終盤は晴れやかなトーンです。続く「Freewill」はラッシュで最初の頃に好きになった1曲で愛着があります。ゲディの甲高い歌声は慣れるまでハードルが高くて、そんな中この楽曲はキャッチーで聴きやすかったんですよね。アレックスの耳に残るギターリフ、ゲディのキャッチーな歌とイエスばりのゴリゴリベース、歌メロパートではリズミカルな変拍子を刻んで間奏では手数の多いドラムを叩くニール・パートのドラムなど、魅力たっぷりの名曲です。そして「Xanadu」は11分に渡る大作で、本ベスト盤では最長の1曲。ゆったり穏やかなパートでは鳥のさえずりをSEに流すくらいのどかなのですが、ギターが高らかに鳴り響くと始まりの合図。耳に残るリフを刻みながら爽快に駆け抜けます。パーカッシブなドラムも印象的。再び穏やかになった後は更にヘヴィな爆走パートが待ち受けます。この強烈な緩急がとてもスリリングで、高い構成力で11分の長さを感じさせない名曲に仕上がっています。カッコ良い演奏に惹かれますが、メロディアスな歌も中々良いんですよね。一転して「Bastille Day」は一気に武骨な印象に。骨太でエッジの効いたロックンロールで、ゲディもシャウト気味に歌います。元々ハードロックバンドだった最初期のスタイルも残るものの、ややテクニカルな楽曲構成で後の飛躍が垣間見えます。「By-Tor And The Snow Dog」は8分半の大作。序盤は弾けるように爽快な歌メロパートがとてもキャッチーな印象ですが、中盤はピリピリと緊迫した空気で非常にスリリングな演奏が繰り広げられます。終盤はブルージーなギターをはじめメロウで落ち着いた印象で、ラストは序盤のパートを反復して爽やかに終えます。「Anthem」はイントロからヘヴィなギターとベースがグイグイきて、高速ドラムもスリリング。その後テンポは落とすものの、シャウト気味の歌やメリハリのある演奏で楽しませてくれます。続いて名曲「Closer To The Heart」。ライブでは観客が大合唱するという、ゲディの歌をフィーチャーしたメロディアスな1曲です。でも途中から加速を加えてドライブ感のある爽やかな演奏も、歌に負けず魅力的です。
 そして7パートから成る組曲「2112」からは「2112: Overture」「2112: The Temples Of Syrinx」という序盤の2パート、7分弱を収録。スペイシーでSFチックな出だしから惹き込まれます。そして骨太なハードロックを繰り広げてリズムチェンジの嵐。とてもスリリングです。歌メロパートでは甲高い声でシャウトし続け、一方ゴリゴリしたベースやバタバタとしたドラムなどヘヴィな重低音を響かせ驀進します。ここまででも魅力は伝わりますが、やはりフルバージョンが聴きたいですね。
 そして10分の「La Villa Strangiato」は、個人的に「YYZ」にも匹敵する最強インストゥルメンタルです。緊張感に満ち溢れ、高い技術力を見せつける演奏はなんと一発取りなのだそう。ギターとシンセがスリリングな掛け合いを繰り広げる裏でベースはゴリゴリ唸り、細かく刻むドラムも緊張感を煽る煽る。中盤静かなパートが訪れますが徐々に緊張は高まり、6分手前くらいからの白熱した演奏に打ちのめされます。フュージョンばりの超絶テクニックでとてもカッコ良いです。「Fly By Night」は晴れやかな雰囲気で、キャッチーな歌メロが耳に残る佳曲です。思わず口ずさみたくなります。
 ここから2曲はニール加入前の、ジョン・ラトジーがドラムを叩いていた頃の楽曲です。「Finding My Way」レッド・ツェッペリン直系のハードロックを奏で、ゲディの歌唱もどことなくロバート・プラントを意識したような雰囲気。爆音ベースが特徴的です。「Working Man」も泥臭くてヘヴィなハードロック曲。アレックスのギターソロをはじめ、間奏での自由奔放な演奏がスリリングです。
 
 
 Disc2はベスト盤『Retrospective II』と同内容で、8th『ムーヴィング・ピクチャーズ』から12th『ホールド・ユア・ファイア』までのシンセポップ期中心の楽曲が収められています。超名曲「YYZ」は欠くため(意図的に外した?)、これは最高傑作『ムーヴィング・ピクチャーズ』で補完しましょう。
 まずは「The Big Money」。シンセポップ期の中でもずば抜けてキャッチーで、わざとらしく華やかで過剰なシンセが際立ちます。シンセだけでなく、キャッチーな歌メロや骨太なベースなど、マルチプレイヤーのゲディが大活躍。ノリノリのアップテンポな曲調もあり、1曲目に向いた爽快な名曲です。続く「Red Barchetta」はラッシュでも5本の指に入る名曲。コード進行が心地良い楽曲で、ゲディの甘い歌メロも魅力的です。そして中盤はリズムチェンジして変拍子を用いた演奏でも楽しませてくれます。テクニカルかつポップで大好きです。「Subdivisions」はイントロからシンセが鳴り響きますが、重厚な雰囲気で緊張が張り詰めます。やはりゲディが目立ちますが、ニールのテクニカルなドラムも負けていません。「Time Stand Still」はエイミー・マンをゲストボーカルに招いており、彼女の澄んだコーラスが楽曲に大きな魅力を与えます。ひんやりとした質感の中に強いポップ色を持つ心地良い1曲ですが、バックの演奏は中々テクニカルで、終盤は変拍子を混ぜたりしています。続く「Mystic Rhythms」はプリミティブなパーカッションが印象的。派手なシンセはエキゾチックというか神秘的な雰囲気を漂わせています。「The Analog Kid」は疾走感のある楽曲で、シンセ色が強いDisc2収録の楽曲群の中では比較的シンセ色が薄く、アレックスのギターが活躍する1曲です。終盤ではメタリックなギターを聴かせ、ドライブ感のあるベースと火花を散らします。そして「Distant Early Warning」はスリリングな名曲。全体的に過剰装飾気味のシンセが鳴り響いているのに、何故か華やかさよりも高い緊張が勝り、ピリピリとした空気。そんなスリリングな演奏に魅せられますが、シリアスながらキャッチーさも兼ね備えた歌メロも魅力的なんです。カッコ良い1曲です。「Marathon」は人生をマラソンに喩えたラッシュ流の応援歌。疾走感のある演奏は聴いていると元気が出ます。リズム隊の演奏は淡々と駆け抜けるようで、そしてメロディアスなサビメロはドラマチック。これをBGMに走ったら元気を貰えそうですが、変速に加えて変拍子を駆使したトリッキーな後半は走り辛そうです。笑 「The Body Electric」は力強いドラムが特徴的。そして「ワンゼロゼロ、ワンゼロゼロ、ワン」のフレーズが強く耳に残ります。「Mission」はゆったりとしたメロウな歌を聴かせると、少しテンポを上げてポップなメロディを聴かせます。円熟味を感じるのですが、間奏はプログレ時代にも引けを取らないテクニカルでリズムチェンジの嵐。「Limelight」はDisc2では数少ない(?)アレックスの活躍が目立つ1曲。シンセポップ期へ完全移行するとギターが引っ込んでしまうので、ハードなギターが刻むこの楽曲は貴重かも。笑 ゴリゴリベースやテクニカルなドラムも際立ちますが、見せ場は演奏だけでなくて、キャッチーな歌メロも聴きやすくて魅力です。そして名曲「Red Sector A」。全体的にシリアスで緊張が張り詰めています。重厚なシンセは暗く冷たい雰囲気を助長し、ゲディの歌もピリピリとしています。スリリングでカッコ良いです。「New World Man」はレゲエのリズムを取り入れたリズミカルな演奏が心地良いのですが、浸っていると途中から加速して爽快な展開に。キーがもっと高ければポリスっぽいかも。続いてラッシュの代表曲の一つ「Tom Sawyer」。スペイシーなイントロから惹き込まれます。楽曲はゆったりとした雰囲気を醸しつつも、演奏は複雑な変拍子を刻みながらビートの間隔を狭めていって、終盤は非常にテクニカルかつスリリングです。魔女のように甲高いゲディの声は初めて聴いたとき苦手意識が強かったですが、慣れるとこのキャッチーな歌メロは強く耳に残ります。「Force Ten」はイントロとアウトロにメタルパーカッションを導入。焦燥感を煽る、疾走感のある演奏は爽快。勢いよく駆け抜け、そして時折リズムチェンジを交えて高い緊張を維持しています。
 
 
 プログレ期選曲には物足りなさが残るものの、これに加えて『西暦2112年』、『フェアウェル・トゥ・キングス』があれば名曲は網羅できそうです。シンセポップ期は「YYZ」が無い以外はかなり満足度の高い選曲です。トータルでは中々良いベスト盤でしょう。

Gold
Rush
 
 

Boxセット

Sector 1
2011年
外装:
内容:
価格:
総合:
 
収録作品
評 価 タイトル 商品情報
40点 Rush (閃光のラッシュ) 1974年 1stアルバム
70点 Fly By Night (夜間飛行) 1975年 2ndアルバム DVD-Audio付
35点 Caress Of Steel (鋼の抱擁) 1975年 3rdアルバム
80点 2112 (西暦2112年) 1976年 4thアルバム
70点 All The World’s A Stage (世界を翔けるロック) 1976年 ライブ盤

 
 ラッシュのBoxセット第1弾で、『閃光のラッシュ』から『西暦2112年』までの、ハードロックからプログレ路線の完成までを辿ることができる作品です。オリジナルアルバム4枚+ライブ盤1枚の組み合わせです。収録作品のレビューは重複のため割愛しますが、本作ではデビューからプログレバンドとして大成するまでの過程を辿ることができます。とは言え、正直『西暦2112年』だけ押さえておけばよいかなという感じもします。『Sector 2』と『Sector 3』があったら、3Box合わせて買っておきたいですけどね。

 同時発売のBoxセット『Sector 2』と『Sector 3』と合わせると、ジュラルミンケースのような見た目になります。折角なら3Box買いたいと思わせる戦略にまんまと乗せられて揃えちゃいました。笑 ですがジュラルミンケースのような金属パーツが付いているわけではなく、金属パーツ模様のホイルシール加工された紙箱なので少し残念だったり。外箱側面には若かりしアレックス・ライフソン。今は横に広がってしまいましたが笑、この頃はイケメンですね。
 各作品は紙ジャケで、廉価盤のようなペラい紙ではなく、厚手でしっかりとした作りになっています。いずれも保護スリーブもデフォルトで付属していたと思いますので、別買いは不要です。歌詞と写真がいくつか入ったミニブックレットが付属。『夜間飛行』のみDVD-Audioが付属しますが、なぜ傑作『西暦2112年』ではないのか…。
 価格は2019年2月現在、やや高騰気味。このあとのBoxの方が価格に見合う価値があると思います。

 ラッシュの初期を辿るアルバム群。『西暦2112年』だけは必聴ですが、あえてBox買いするなら『Sector 2』と『Sector 3』を揃えてからで良いかと思います。その『西暦2112年』、本作のあとに40周年記念盤なる最新リマスターが出てたりします…。

Sector 1
Rush
 
Sector 2
2011年
外装:
内容:
価格:
総合:
 
収録作品
評 価 タイトル 商品情報
90点 A Farewell To Kings (フェアウェル・トゥ・キングス) 1977年 5thアルバム DVD-Audio付
85点 Hemispheres (神々の戦い) 1978年 6thアルバム
80点 Permanent Waves (パーマネント・ウェイヴス) 1980年 7thアルバム
100点 Moving Pictures (ムーヴィング・ピクチャーズ) 1981年 8thアルバム
80点 Exit…Stage Left (ラッシュ・ライヴ~神話大全) 1981年 ライブ盤

 
 ラッシュのBoxセット第2弾で、『フェアウェル・トゥ・キングス』から『ムーヴィング・ピクチャーズ』までの、ラッシュ最盛期と呼べるプログレ期を堪能することができる作品です。同時発売の『Sector 1』や『Sector 3』と同様、オリジナルアルバム4枚+ライブ盤1枚の組み合わせです。ラッシュはだいたい4枚タームで音楽性が変わり、そしてその節目節目でライブ盤を出してくれるので、Boxの収録作品が綺麗に分かれるんですね。

 『Sector 1』でもレビューのとおり、3Box揃えるとジュラルミンケースのような見た目になりますが、外箱は金属ではなくホイルシール加工された紙箱です。側面にはゲディ・リー。この写真ではかけていませんが、よくサングラスをしており、その見た目は魔女のよう。甲高い声だけでなく、ルックスも魔女っぽいんですね。笑 凄まじいテクニックを披露するゲディは、練習の鬼と呼ばれる努力家だそうです。
 収録された各作品は厚手のしっかりとした紙ジャケで、いずれも保護スリーブ付。『フェアウェル・トゥ・キングス』のみDVD-Audioが付属します。また、歌詞と写真を収録したミニブックレットも付属。

 収録された各作品のレビューは重複のため割愛しますが、この時期はラッシュ最盛期とも呼べる脂の乗った時期。ラッシュを気に入った方は是非とも押さえておきたい作品がこのBoxで概ね網羅されています。そしてこのBoxを買うと、外箱の中途半端さが気になって『Sector 1』と『Sector 3』を合わせて買いたくなるというトラップに嵌まるという。笑

 2019年5月現在、価格はやや高騰から再び落ち着いたようです。5000円くらいなら買いだと思います。個人的にはよく聴く作品群が収録されており、満足のいく買い物でした。…が、最近個別に40周年記念盤が出始めていて、また買い直したくなる…。

Sector 2
Rush
 
Sector 3
2011年
外装:
内容:
価格:
総合:
 
収録作品
評 価 タイトル 商品情報
65点 Signals (シグナルズ) 1982年 9thアルバム DVD-Audio付
90点 Grace Under Pressure (グレイス・アンダー・プレッシャー) 1984年 10thアルバム
80点 Power Windows (パワー・ウィンドウズ) 1985年 11thアルバム
60点 Hold Your Fire (ホールド・ユア・ファイア) 1987年 12thアルバム
75点 A Show Of Hands (ラッシュ・ライヴ~新約・神話大全) 1988年 ライブ盤

 
 ラッシュのBoxセット第3弾で、『シグナルズ』から『ホールド・ユア・ファイア』までの、シンセポップ期の作品を網羅したBoxです。他の2Boxと同様に、オリジナルアルバム4枚+ライブ盤1枚を収録。

 各収録作品のレビューは重複のため割愛しますが、この時期はシンセサイザーをバリバリ活用しています。華やかな1980年代のロックシーン、そんな時代の流行を取り入れています。プログレッシヴロックバンドとして人気のラッシュですが、自分達らしさは失わずに時代の流行をうまく取り入れて常に変化していますね。長尺で複雑怪奇な楽曲などを追い求める「(進歩をやめた)型どおりのプログレ」ではなく、ラッシュは文字どおり「進歩的なロック」という意味でのプログレバンドだと思うんです。まあ、型どおりのマンネリプログレバンドも時に魅力的ですけどね(イエスとか)。

 外箱の側面にはニール・パートの写真。写真では立派な髭を蓄えていますね。360度囲う要塞のようなドラムに囲われてテクニカルなドラムを披露するニールは、ロック雑誌の人気投票でも上位にランクインする人気ドラマーです。そしてラッシュの大半の楽曲の歌詞も彼によって書かれており、SFや社会風刺などテーマは多岐に渡ります。
 各作品は厚手の紙ジャケで保護スリーブ付。『シグナルズ』のみDVD-Audioが付属します。また歌詞と写真を収めたミニブックレットが付属。この辺の仕様は他の2Boxと同じですね。

 実は本作Boxを購入して初聴きとなる作品がほとんどでしたが、名盤『グレイス・アンダー・プレッシャー』と『パワー・ウィンドウズ』に出会えたことが大収穫でした。結構良い作品が多く、価格も、収録内容を考えれば値段相応だと思います。

Sector 3
Rush
 
The Studio Albums 1989-2007
2013年
外装:
内容:
価格:
総合:
 
収録作品
評 価 タイトル 商品情報
35点 Presto (プレスト) 1989年 13thアルバム 2013年リマスター
60点 Roll The Bones (ロール・ザ・ボーンズ) 1991年 14thアルバム 2013年リマスター
90点 Counterparts (カウンターパーツ) 1993年 15thアルバム 2013年リマスター
80点 Test For Echo (テスト・フォー・エコー) 1998年 16thアルバム 2013年リマスター
70点 Vapor Trails – Remixed (ヴェイパー・トレイルズ) 2002年 17thアルバム 2013年リミックス
50点 Feedback (フィードバック) 2004年 EP 2013年リマスター
55点 Snakes & Arrows (スネークス・アンド・アローズ) 2007年 18thアルバム 2013年リマスター

 
 ラッシュ後期作品を纏めた廉価Boxで、『プレスト』から『スネークス・アンド・アローズ』までを収録しています。『Sector 1』~『Sector 3』と合わせれば、『クロックワーク・エンジェルズ』以外の全てのオリジナルアルバムを網羅できます。

 各収録作品のレビューは重複のため割愛しますが、いずれも2013年リマスターだそう。『ヴェイパー・トレイルズ』はリミックス盤で、該当作品のレビューにも書きましたが、オリジナルミックスにメンバーが不満を持っていたため、この度改めてミックス調整したのだとか。

 『Sector 1』~『Sector 3』と違って廉価Boxのため、パッケージ自体はチープです。コンパクトな外箱に、各作品はペラペラの紙ジャケット。そこにCDが裸の状態で入っているので、保護スリーブは別買いした方が良いかもしれません。なお、各作品の歌詞が1冊に纏まったブックレットが付いています。

 価格は収録内容を考えればお買い得でしょう。ただ2019年5月現在、少しずつ高騰が始まっているようです。最悪デジタル音源という選択肢もあるので買い急ぐ必要はないですけどね。
 全盛期を過ぎた後期作品群ではありますが、それでもクオリティは高く、キャリア通して高いクオリティを保っていたんだなと驚かされます。個人的には『カウンターパーツ』が大きな収穫でした。ラッシュはまずは前期~中期の名盤群を聴くのをオススメしますが、その上でラッシュ作品をコンプリートしようと思ったときには最適な、お手軽廉価Boxです。

The Studio Albums 1989-2007
Rush
 
 
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