🇯🇵 SUPERCAR (スーパーカー)

レビュー作品数: 5
  

スタジオ盤

スリーアウトチェンジ

1998年 1stアルバム

 青森県出身のオルタナティヴロックバンド、SUPERCAR。全作曲を手掛ける中村弘二(Vo/Gt)、全作詞を担う いしわたり淳治(Gt)、紅一点のフルカワミキ(Vo/B)、そして田沢公大(Dr)による4人組で、1995年に結成しました。1997年にシングル「cream soda」でデビューした彼らはナンバーガールや くるり らと並んで’97の世代とも呼ばれます。
 バンドのセルフプロデュースとなる本作はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインライド等のシューゲイザーの影響が色濃い作品です。全19曲78分という凄まじいボリュームですが、300曲ほどあるストックから厳選を重ねてなおこのボリュームなのだそうです。しかも多くは一発録りだとか。

 アルバムはシューゲイザーの名曲「cream soda」で開幕。轟音ギターをかき鳴らしつつも清涼感たっぷりで、青春を感じさせる歌詞も相まってcream sodaのタイトルがぴったりです。アップテンポの激しい演奏に、輪郭のぼやけた中村のボーカルスタイルがまた爽やかなんですよね。続く「(Am I) confusing you ?」は躍動感に溢れる楽曲で、パワフルなドラムとベース、そしてツインギターは轟音を奏でます。騒がしいのに清涼感があるのは、中村の声質によるところも大きいでしょう。「smart」はヘヴィな重低音を轟音で鳴らすイントロから陰りがあり、そして田沢の爆烈ドラムが楽曲をパワフルに支えます。演奏だけならかなり重たいですが、エフェクトをかけて消え入りそうなボーカルによって重さが和らぐというか、程良いバランスに仕上がっている印象です。一転して「DRIVE」はアコギを掻き鳴らす軽快なギターポップで、これも名曲ですね。フルカワがボーカルを担当し、可愛らしい声でポップなメロディを歌います。演奏スタイルを変えても一貫して爽やかです。「Greenage」は再び歪んだギターを鳴らして轟音であたりを埋め尽くします。中村の気だるげなボーカルが空間に広がりますが、この歌メロも魅力的でなんとなくストーン・ローゼズを想起させます。「u」はブリットポップ風の壮大なイントロですが、音が割れんばかりの爆音をぶちかまします。非常にノイジーなサウンドに埋もれそうになりながらも、甘く気だるげなボーカルに癒やされます。「Automatic wing」はまったりとメロウで落ち着いた楽曲です。ゆったりとしたボーカルに揺られながら、ドリーミーで幻覚的な感覚に襲われます。続いて「Lucky」はフルカワと中村がボーカルを交互に交わすデュエット曲。輪郭はぼやけつつも浮き上がって明瞭に聴こえるボーカルは、分厚い演奏に埋もれないようにミックス調整+ボーカルの重ね録りもしているのでしょうか。「333」はノイジーな演奏が爽快なロックンロール。フルカワの歌は若干ヤケクソ気味だったり、サビメロではキュートだったりと魅力的です。「TOP 10」は中村の歌が霞むほどの轟音ですが、彼らの奏でるノイズはあまり不快じゃないんですよね。「My Way」は疾走感溢れるドラムが炸裂し、ダーティなギターが唸ります。そしてキャッチーな歌メロも清涼感たっぷりで、とても気持ち良いんですよね。「Sea Girl」はツインギターがカラフルでキャッチーな旋律を奏でますが、演奏はかなり暴力的です。でもそこにフルカワの可愛らしい高音ボーカルが乗っかると、不思議とポップ感が大きく増すんです。「Happy talking」はスカンスカンと抜けるスネアが独特。フルカワのボーカルが素朴でポップなメロディを歌い、癒やされます。「Trash & Lemmon」はエフェクトを駆使してエンジンのような花火のような(?)ギターの音色が特徴的で、ゴリゴリしたベースも際立ちます。そして中村のボーカルにエフェクトをかけて執拗に反復し、幻覚症状を見せてきます。そして「PLANET」はオルタナ的なバンド演奏にストリングスを加えています。アンニュイな歌唱でメロディアスな歌を歌います。そこまで轟音ではありませんが、サビでは隙間なく音で埋め尽くして情報過多な印象。「Yes,」は6/8拍子のゆったりとしたリズムなのに、音が割れんばかりの轟音で圧倒します。そこに澄んだフルカワの歌が入ることで清涼感が加わります。「I need the sun」はリズミカルなドラムを軸に、重低音と高音ギターが心地良い空間を作ります。そして音像のぼやけた中村の歌を幾重にも重ねて、幻想的な感覚を生み出しています。「Hello」は趣向を変えてマッチョなベースリフで幕開け。隙間を作ったりノイジーになったりと緩急ある演奏は疾走感に溢れ、パンキッシュでカッコ良いです。そして中村とフルカワのボーカルが代わる代わるにキャッチーなメロディを歌います。アルバムを締め括るラスト曲は「TRIP SKY」。13分近い大作です。ゆったりとしたテンポで奏でられる楽曲はオルタナ特有の寂寥感を纏いながら、ときに轟音にまみれて隙間なく音で埋め尽くします。4分半くらいで一区切りがあった後、ノイジーな演奏が延々と反復しながら、そこに幻覚的なボーカルも加わってトリップ感を生み出していきます。スケール感もありますが、ちょっとくどいかも…。

 音は轟音にまみれているのに、メロディのおかげか中村とフルカワの声質のおかげか、清涼飲料水のように爽快な楽曲が詰まっています。キャッチーで爽やかなのでムネヤケするほどではありませんが、ボリュームが多すぎるのが少しだけ玉に瑕でしょうか。でも名曲揃いです。

スリーアウトチェンジ
10th Anniversary Edition (2CD)
SUPERCAR
スリーアウトチェンジ
SUPERCAR
 
JUMP UP

1999年 2ndアルバム

 デビュー当初は地元在住ミュージシャンとして青森県を拠点に活動していましたが、1999年に上京。そして前作から約1年ぶりとなる本作をリリースします。轟音ギターは少なくなり、シンセサイザーを導入した実験的なアプローチもいくつか見られます。なお、全編を通してプチプチとしたレコードノイズがかけられています。

 アルバムは「Walk Slowly」で幕開け。シンセを用いたスペイシーな音をバックで奏でつつ、フルカワミキと田沢公大のリズム隊2人が力強いバンドサウンドを鳴らします。そして途中途中で歪んだ轟音ギターが楽曲をカッコ良く引き立てるんです。続く「Sunday People」もスペイシーな効果音が飛び交い、エレクトロニカへのアプローチが垣間見えます。でも弾けるようなリズミカルなドラムをはじめバンド演奏は健在。そして中村弘二の爽やかなボーカルを、フルカワの透明感あるコーラスで飾ります。「Jump」は落ち着いたトーンのアコギと、淡々とした無機質なリズムパターンによって少し暗い印象があります。中村の囁くような優しい歌声は、単調な楽曲に合わさって不思議とサイケデリックな感覚を生み出しています。「My Girl」はアコギをはじめとした優しくゆったりとした演奏に、メロディアスな歌を気だるげに歌います。激しくもないし比較的シンプルなギターポップながら、心地良さと陶酔感が得られる魅力的な1曲です。「Wonderful World」はフルカワが歌う楽曲で、囁くような歌声と優しいメロディラインに癒やされますね。アコギを主軸とした落ち着いた演奏ですが、スペイシーな効果音を鳴らして不思議な感覚もあります。「Love Forever」は透明感のあるギターと重厚なピアノが組み合わさったゆったりとした演奏に揺られながら、中村の優しい歌声もあってドリーミーな心地良さ。でもメロディには哀愁も漂います。そして「Tonight」は落ち着いてメロウな演奏に、フルカワがキュートな歌声でアンニュイに歌います。いしわたり淳治の書く語感の良い歌詞もあってか歌が心地良くて、骨太なベースもあってフルカワの魅力が引き立つ1曲ですね。「Skyphone Speaker」は久々のノイジーなギターが聴けます。でも序盤はミックスのせいか遠くから聞こえるような感じで、途中から轟音サウンドに化けます。ゴリゴリしてスリリング。「Low-down (Live Scene)」は単調でリズミカルなドラムを軸として、ボソボソと聴き取れないような声で歌っています。そして「Talk Talk」は静と動の対比が強い楽曲です。全体的にゆったりと漂うような落ち着いた印象ですが、メロディアスなサビメロだけは轟音で引き立て、まばゆい光景が浮かびます。前作のシューゲイザー的な色合いが濃い良曲です。最後の「Daydreamer」はエレクトロニックなイントロに圧倒され、でも歌が始まるとアンビエントなピアノが支配する落ち着いた楽曲へと変貌。幻想的で寂しい風景、そこに時折無機質なリズムトラックを交えます。

 全11曲約51分と、ボリューミーだった前作よりはコンパクトに収まった本作。疾走感・清涼感や轟音ギターはかなり減退し、前作のようなシューゲイザーを求めると肩透かしを喰らいますが、代わりにメロディの良さを引き立てたメロウな楽曲が多いです。2ndにしてだいぶ大人になった印象です。

JUMP UP
SUPERCAR
 
Futurama

2000年 3rdアルバム

 タイトルの『Futurama (フューチュラマ)』とは1939年の米国ニューヨーク万博においてGM社が出展した「20年後の米国都市を再現」したジオラマのことで、SFの描く未来観に大きな影響を与えた展示だそうです。ニューヨークでレコーディングされエレクトロサウンドに大きくアプローチした近未来的な作風ということで、Futuramaをタイトルに選んだのでしょうか?
 次作と並んで最高傑作の呼び声も高い本作は、全16曲75分とボリューミーな作品に仕上がっています。楽曲は「Blue Subrhyme」だけは田沢公大が作曲に挑戦していますが、それ以外は作曲 中村弘二、作詞 いしわたり淳治というこれまで通りの分業体制で制作されています。

 オープニングを飾るのはインストゥルメンタル「Changes」。つんざくギターと無機質な電子音が交差し、そこにダンサブルなビートが加わると演奏はノリノリです。スペイシーな感覚で楽しませつつ、終盤はノイジーなサウンドでメリハリを付けます。続く「PLAYSTAR VISTA」では緩急が極端なグランジっぽいバンド演奏を繰り広げますが、スペイシーなシンセサイザーが加わっているのが初期とは違いますね。反復する電話の呼出音も、楽曲の中毒性を増すのに一役買っています。そんなバックの演奏もあって、中村の歌は幻覚的な印象です。「Baby Once More」はヒップホップ的な単調なリズムパターンを取り入れつつも、弾けるようなパーカッションと心地良いギターがバンドらしさというか、人間味や温もりを保ちます。歌はひたすら反復しトリップ感を生み出します。「White Surf style 5.」はダンサブルな打ち込みとトリップ感のあるシンセを、轟音ギターや爆音ドラムで上書きするように蹂躙していく爽快な楽曲です。エレクトロニカとロック的なバンド演奏を融合させており、スリリングで魅力的。実にカッコ良いです。「Star Fall」は前曲から繋がっていて、調子外れのシンセがひたすらミニマルなフレーズを反復するので不思議と中毒性を生みます。中村の気だるげな歌がゆったりと揺られて漂うかのよう。「Flava」は浮遊感溢れるシンセと無機質な打ち込みを軸に、気だるいボーカルがサイケデリックな感覚を生み出して心地良いです。そのまま続く「SHIBUYA Morning」はインストゥルメンタル。冒頭は鉄琴が独特ですが、そこからは淡々とした打ち込みを鳴らしつつもトリップ感のある演奏を展開します。終盤、レトロゲームのような電子音を鳴らすと、そのまま「Easy Way Out」へ。荒く歪んだギターと炸裂するドラムが気持ちの良い、リズミカルな楽曲です。シンセに彩られていますが、ノイジーでグランジ風のバンド演奏も味わえます。「Everybody On News」はスペイシーなシンセが終始トリップ感を演出。フワフワとした空間で、キャッチーなフレーズが小気味良く刻みます。中盤以降はフルカワミキの弾くグルーヴィなベースが気持ち良い。続いて「Karma」は疾走感のあるチープな打ち込みと4つ打ちビートが気持ち良いです。そこにノイジーなギターを鳴らして、爽快でダンサブルな楽曲に仕上げました。シンセのおかげでトリップ感も強いです。「FAIRWAY」はイントロからキャッチーで魅せられますが、元々はシングル曲で、前後をアルバム曲と繋がるように加工されています。ノイジーかつダンサブルな大音量の演奏をバックに、中村とフルカワの囁くような声によるデュエットが、浮遊感たっぷりでとても気持ち良いです。「ReSTARTER」はエフェクトの強いギターと電子音が、スペイシーで浮遊感溢れるサウンドを演出。でも田沢の武骨な爆音ドラムが炸裂し、地に足ついたサウンドとなるよう強引にメリハリを付けます。とても爽快な演奏がメインで、歌は楽器のように溶け込んでいます。そんなハイテンションから一転して、「A.O.S.A.」は一気にトーンダウン。ドラムがどっしりと支えつつ、物思いに耽るようなメランコリックでアンニュイな雰囲気に満ちています。でも幻覚的に揺られるような感覚もあって心地良い。「New Young City」はギターをかき鳴らしつつも分厚いシンセがオーケストラっぽく彩ります。そして哀愁のあるゆったりとした演奏と歌が、包み込むように全体に広がります。海の中で揺られるような感覚を抱きます。「Blue Subrhyme」は重厚で貫禄のあるリズム隊をバックに、エフェクトのかかった中村のボーカルや電子音による演出が、強烈にサイケデリックな感覚を生み出します。酔いそうなほどユラユラしています。最後は「I’m Nothing」。打ち込みにアンビエントなシンセを鳴らしており、オルタナ的なギターがミスマッチ。でも不思議と気持ち良くて、透明感のある楽曲にゆったりと浸ることができます。

 エレクトロサウンドを取り入れつつも、轟音ギターなどのバンドサウンドとの融合がバランス良いです。時折見せる気持ちの良い疾走感や、揺さぶられるようなサイケデリックな感覚を堪能できます。

Futurama
SUPERCAR
 
HIGHVISION

2002年 4thアルバム

 前作と並び、最高傑作に挙げられることの多い本作は、映画『ピンポン』のタイアップも相まってSUPERCARの最大ヒットとなりました。前作のエレクトロサウンドを押し進め、よりテクノ色の強い作品に仕上がっています。前作はギターもそこそこに残していましたが、本作はギターの比率がかなり少ないです。

 オープニングを飾るのは「STARLINE」。強烈なビートがダンサブルな感覚を生み出し、そこにサイケなシンセやストリングスを用いて色鮮やかに着色します。中村弘二の歌声はエフェクトがかかって楽器のようです。「WARNING BELL」は無機質な打ち込みに温もりのあるアコギを組み合わせて人間味を加えます。全体的にはスペイシーなシンセが飛び交い、楽器のようなボーカルも浮遊感を加えます。続いて「STORYWRITER」はアニメ『交響詩篇エウレカセブン』のタイアップ曲。スコンと軽快なドラムに透明感のあるギター、ゴリゴリと骨太なベースが織り成すバンドサウンドが爽快です。中村の清涼感あるボーカルも魅力的ですね。冒頭のグリッチのようなデジタルな演出や、時折聴かせるシンセでアルバムの雰囲気に馴染ませていますが、初期のような疾走感あるロック曲を聴かせてくれます。「AOHARU YOUTH」は田沢公大とフルカワミキの安定したリズム隊に支えられてリズミカルですが、どこかアンビエントな雰囲気も感じられる序盤。そして中盤辺りから音量を上げてテクノっぽさを増します。多重ボーカルが幻覚的ですね。「OTOGI NATION」はテクノ色が強いですが、よく動くベースが良い味を出しています。メインボーカルは中村ですが、フルカワのコーラスも耳心地が良いです。そして「STROBOLIGHTS」は映画『ピンポン』の挿入歌で、ピコピコしたテクノポップ的な楽曲です。フルカワが英語のような発音で歌いますが、歌詞を読むと「2愛+4愛+2愛+4愛−sunset…」とあり、いしわたり淳治の言葉遊びが洋楽っぽく聴かせているんですね。「I」はボーカルのピッチを上げて超高音キーで歌います。反復も相まってトリップ感が強いです。続く「YUMEGIWA LAST BOY」は映画『ピンポン』の主題歌です。ノリノリでダンサブルな打ち込みに、浮遊感の強い近未来的なシンセサイザー。そして歌やコーラスも恍惚に浸るような気持ち良さが得られます。「NIJIIRO DARKNESS」は落ち着いたトーンのテクノ曲で、序盤はダウナーな感が強いです。幻覚的なコーラスワークを経て、ストリングスやシーケンサーなど様々な音色が不穏な緊張を高めていきます。そしてラスト曲「SILENT YARITORI」はダンスビートが脈打ち、スペイシーなシンセで彩ります。中村とフルカワのデュエットが幻覚的で心地良い浮遊感を加え、トリップ感で満たされます。

 テクノとしては完成度は高く、キャッチーでノリノリです。でもSUPERCARの魅力の一つである轟音バンドサウンドやノイジーなギターがほとんど無くなり、少し寂しい気もします。

HIGHVISION
SUPERCAR
 
ANSWER

2004年 5thアルバム

 ナカコーこと中村弘二(Vo/Gt)、ジュンジこといしわたり淳治(Gt)、ミキちゃんことフルカワミキ(B/Vo)、コウダイこと田沢公大(Dr)。デビューから変わらぬ4人で活動を続けてきたSUPERCARは、本作を最後のオリジナルアルバムとして、翌年解散することになります。解散理由は明確にされていませんが、一説によるとサウンド重視の中村・フルカワと、歌詞を重視するいしわたりの間での不仲が原因ではないかと言われているようです。
 さてラストアルバムとなる本作ですがエレクトロサウンドは多少落ち着き、バンドサウンドが戻ってきました。全体的にベースの音量が大きめでグルーヴィです。

 「FREE HAND」で幕開け。プリミティブなパーカッションに加えて骨太なベースが、リズミカルで心地良い演奏を繰り広げます。前作のようなシンセは残りますが、荒いギターが戻ってきました。「JUSTICE BLACK」はぶっといベースが主軸となり、フツフツと衝動を抑えつつ、時折キンキンとつんざくギターが爆発してメリハリをつけます。続く「SUNSHINE FAIRYLAND」はファンキーな1曲。グルーヴィな演奏は色気たっぷりなのに、中村の甘く透明感のあるボーカルは純粋さがあります。「WONDER WORD」は原始的なパーカッションと、近未来的なシンセサイザーが対照的ですね。反復するボーカルをはじめ幻覚的な演出でサイケデリックな感覚を強く抱きます。「BGM」はエレクトロニックな楽曲で、独特のリズムパターンでフックをかけてきます。楽曲には大きな起伏がないものの、ひたすら反復するためトリップ感が強くて中毒性があります。「DISCORD」はローファイな音質で、冷たい鍵盤に無機質な打ち込みと暗い雰囲気です。徐々に楽器が増えてダンサブルな感覚を伴いますが、終盤はリズム隊が焦燥感を煽り、ノイズもあって不穏です。そんな張り詰めた空気を変える「HARMONY」。まったりとメロウで優しいギターに、メロディアスな歌で癒やしてくれます。「RECREATION」は透明感のあるギターがノスタルジックな雰囲気を醸し出し、甘く優しい歌メロにもどこか哀愁が漂います。後半は躍動感が増し、切なくも爽やかな印象。「GOLDEN MASTER KEY」はダンサブルで軽い打ち込みと、郷愁を誘うメロディアスで深みのあるピアノのミスマッチ感が印象的ですね。気だるげなボーカルがゆったりと漂い、ひたすら反復する演奏で別世界へと誘います。「THE WORLD IS NAKED」はエレクトロニックにエキゾチックな感覚を取り入れて、サイケのような強い幻覚を見せます。そして「SIREN」は8分を超える大作。冒頭でギターとベースがユニゾンして、渋く貫禄を見せます。ドラムもオシャレですね。ジャジーな演奏は中盤でリズムチェンジして、ブルージーで暗く沈んでいくよう。そして終盤に向けて緊張が張り詰め、スリリングになっていきます。「LAST SCENE」は諦めのような切ない哀愁が漂い、SUPERCARというバンドの終わりを暗示するかのよう。最後の「TIME」は電子ピアノが暗く冷たい雰囲気を醸し出します。フルカワが歌いますが、テンション低い演奏と同様にダウナーでアンニュイな感じです。ラストはチクタクと時計の針を刻むような無機質な音だけが残り、虚しい気分にさせます。

 ミニマルを取り入れてサイケデリックなトリップ感があります。ただし突出した楽曲には欠け、やや小ぶりな印象は否めません。

 解散後も再結成が期待されるものの、田沢は2014年より音楽界を引退して地元へ帰っていることや、未だに中村といしわたりの不仲が噂されることから、再結成は難しそうです。

ANSWER
SUPERCAR
 
 

関連アーティスト

 「’97の世代」の同期。両バンド解散後、中村弘二とフルカワミキ、元ナンバーガールの田渕ひさ子らとLAMAを結成。

 
 いしわたり淳治が初期作品をプロデュース。
 
 
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