🇯🇵 Superfly (スーパーフライ)
レビュー作品数: 5
スタジオ盤
2008年 1stアルバム
Superflyは愛媛県出身の音楽ユニットです。2004年に松山大学にて、越智志帆(Vo)と多保孝一(Gt)の2人で結成。2007年にメジャーデビューを果たし、その半年後に多保がコンポーザー・アレンジャーとして裏方に回ることになり(2014年まではSuperflyに積極的に関与)、Superflyは越智のソロプロジェクトとして歩み始めます。
ジャニス・ジョプリンに強く影響を受けた越智と、ローリング・ストーンズやフリートウッド・マックらに影響を受けた多保、そしてユニット名Superflyはカーティス・メイフィールドの同名曲から採用。そんなオールドロックに強く傾倒した彼らの音楽性はJ-POPと1960〜70年代洋楽を融合したような雰囲気で、また邦楽シーンにはあまり見られない越智のパワフルでソウルフルな歌唱も存在感を放ちます。
最大のヒットシングル「愛をこめて花束を」等を収録した本作は2週連続オリコン1位を獲得しました。蔦谷好位置のプロデュース。
オープニング曲「Hi-Five」は華やかなホーンやパワフルなドラムがキャッチーです。そして力強い演奏に負けない越智のパワフルな歌唱も特徴的です。続く「マニフェスト」はオールドロックの香りが漂います。音数は少ないながらもロックの楽しさを伝えてくれる爽快な演奏と気持ちの良いビート。そしてそんなシンプルな演奏でも十分とばかりに、非常にパワフルな越智の歌唱は強い存在感を放ちます。「1969」は優しく温もりのある演奏に乗せて、ウッドストックフェスの映像を観たときの心象を語っています。オルガンの味付けが優しくて心地良い。そして「愛をこめて花束を」は最大のヒットとなったSuperflyの代表曲です。ウェディングソングとしても定番ですね。多保が16歳の頃から温めていた楽曲で、越智が自身で歌うに際して追加作詞。優しい歌メロをストリングスが飾り立てて盛り上げます。ドラマチックな名曲ですね。続く「Ain’t No Crybaby」は渋みのある演奏に、少しダーティな雰囲気の歌唱。そしてサビに向かうにつれホーンなどが加わって賑やかになります。「Oh My Precious Time」はリラックスしたムードの演奏にどこか哀愁が漂います。メロディアスな歌は古くて懐かしい香りがします。「バンクーバー」はアコースティックな編成で始まり、小気味良い演奏から徐々に楽器が増えて力強くなっていきます。全体的にリズミカルで心地良い感じ。そしてメロディは少し影がありますが耳に残るキャッチーさがあります。個人的には本作では「愛をこめて花束を」に次いで好みです。そして「i spy i spy」は豪州のロックバンドジェットとコラボした1曲で、Superfly×JET名義で発表。スッカスカな演奏ですが、時折骨太なギターが唸りを上げ、力強いビートで楽しませます。歌メロもキャッチーで耳に残りますね。「嘘とロマンス」は本作で最もテンポの速い楽曲で、ノリの良いロックンロールです。日本語歌詞ですが昔の洋楽のようで、音は洗練されていますが中身は古臭いロックンロールを奏でます。古臭いとか昔のと表現したものの、聴いていると楽しい楽曲です。「愛と感謝」は明るいトーンの楽曲。力強い歌唱に加えて後半は分厚いコーラスと、歌をフィーチャーしている印象です。そして続く「ハロー・ハロー」はデビューシングル。歌唱や演奏は力強いですが、ピアノの味付けやメロディアスな旋律のおかげかノスタルジーを感じます。アルバム終盤に相応しい名曲です。「Last Love Song」はピアノ伴奏と越智の歌だけのシンプルな楽曲で、しっとりと聴かせます。全体的に優しいトーンですが、楽曲が進むにつれてソウルフルな側面も出てきます。ラスト曲「I Remember」は3拍子の心地良い1曲。イントロからオールドロック風で嬉しいですね。そしてサビメロでは力強いソウルフルな歌唱を披露、圧倒的な歌唱力に驚かされます。終盤はゴスペルっぽさも出てきて壮大です。
全体的に明るく、ロックの楽しさが伝わってきます。邦楽ファンだけでなく、ローリング・ストーンズや同時代のオールドロックファンにもオススメです。
2009年 2ndアルバム
Superflyの2ndアルバムで、前作に続き2作連続オリコン1位を獲得。私がSuperflyを聴き始めたのは本作からでした。シングルは4枚(両A面含むと5曲)が収録されており、中でも「Alright」と「やさしい気持ちで」が出色の出来ですが、名曲揃いで全体的な水準が高い名盤です。
オープニング曲「Alright!!」はパワフルなアップテンポ曲。ブラーの「Song 2」のような爽快なドラムで幕を開け、多保孝一の印象的なギターリフが絡んでいきます。ノリの良い骨太な演奏に負けないくらいに越智志帆の歌唱もパワフルで、サビでは凄まじい歌唱で圧倒します。とてもカッコ良いですね。「How Do I Survive?」は、彼らが敬愛するローリング・ストーンズのようにルースで心地良いロック曲。ギターとか似通っています。気だるげな演奏に乗る歌メロはキャッチーで、サビメロも耳に残ります。続く「Searching」は心地良い演奏にどこか憂いを感じます。エコーがかったボーカルはメロディも相まって幻影のような、どこかミステリアスな雰囲気もあります。「My Best Of My Life」はシングル曲で、ピアノ伴奏と優しい歌だけのシンプルな構成から徐々に盛り上がっていく名バラード。メロディラインが美しいだけでなく、メロディアスなサビをストリングスが彩るベタな演出も感動的です。「恋する瞳は美しい」はグルーヴ感抜群のダンサブルな楽曲。ダンスチューンでありながら爽快なスネアのおかげでロック色も残し、違和感はありません。CMソングになったこともあり、サビメロだけが強く印象に残っていますが、ダーティな演奏も結構カッコ良い。そして「やさしい気持ちで」は「めざましテレビ」のタイアップ曲。個人的には同番組を観なくなる直前の、最後の思い出曲なので、聴くたび懐かしい気持ちになります。ストリングスとギターが奏でる晴れやかなイントロから癒やされますね。ゆったりとした歌は温かくて包容力があり、かと思えばサビでは得意のソウルフルな歌唱を聴かせます。大好きな名曲です。「Bad Girl」はローリング・ストーンズばりの気だるげで楽しいロックンロール。洋楽カバーに日本語歌詞を乗せたんじゃないかってくらい、旧き良きロックを再現しています(多保作曲・越智作詞の完全オリジナルです)。ご機嫌なピアノも良い感じ。「アイデンティティの行方」もオールドロック風のギターで幕を開けますが、歌が始まるとダンサブルなR&Bっぽい。「誕生」はキャッチーなギターリフで幕を開ける爽快なアップテンポ曲。キレのあるドラムが力強いビートを刻み、ベースもブリブリと唸り、そして越智の歌もパワフル。ノリの良い楽曲で楽しませてくれます。「See You」は軽快なピアノに華やかなホーンで盛り上げます。賑やかな演奏に合わせてサビメロはキャッチーですが、サビ以外の歌メロは憂いを感じさせます。続いて「春のまぼろし」は哀愁に満ちた1曲。メランコリックで切ないメロディを、優しく包容力のある歌唱で届けます。「Hanky Panky」はノリの良いロックンロール。ストーンズ風の演奏でミック・ジャガーが歌いそうな楽曲です。笑 時折ホーンが華やかに飾る演出も、1970年代ロックンロールといった趣で良い。ラスト「愛に抱かれて」はアコギの音色が優しい、穏やかな楽曲です。メロディアスな歌が癒やしですね。
名曲揃いでSuperfly入門盤に向いています。個人的には『Force』に並ぶ傑作です。
2010年 10thシングル
シングル10作目を記念した本作は豪華な仕様となっています。Disc1のシングル4曲はいずれもタイアップが付くという力の入れようで、どれも名曲(むしろタイトル曲の「Wildflower」が一番弱いかも笑)。そして本作の目玉はDisc2の洋楽カバー集。Superflyのルーツとなるオールドロックを纏めて聴けるのがアツいです。
ちなみにSuperfly公式は本作をシングル扱いしていますが、オリコンは5曲入り以上をアルバムと定義してアルバム扱いで集計されており、オリコンアルバムチャートで週間1位を獲得しています。
タイトル曲「Wildflower」はブルースロック的な渋いギターで幕開け。越智志帆の歌は優しいトーンで始まりますが、サビメロでは圧倒的な歌唱力を見せつけます。そして続くのはSuperfly最強の名曲「タマシイレボリューション」。ワイルドなロック曲で、本作をぐいぐい牽引するパワーに満ちています。野性味のあるドラム・パーカッションに、うねりまくるグルーヴィなベース、そして高揚感を煽る華やかなホーンが盛り上げます。越智の歌もパワフルな演奏を上回るほどエネルギッシュ。2010 FIFAワールドカップのテーマ曲に採用されましたが、アドレナリンが溢れ出る本楽曲はサッカーの応援歌としてピッタリです。「Free Planet」はヘヴィなオルガンやドラムがハードロック的なイントロを披露。そしてノリノリの疾走気味な演奏はディープ・パープルや同時代のハードロックバンドを想起させます。ここまでの3曲は3rdアルバム『Mind Travel』に収録されますが、続くのは未収録の名曲「Roll Over The Rainbow」。「お台場合衆国2010」のテーマ曲となりました。偏向報道と翌年の「嫌なら見るな」事件以降フジテレビは観ていませんが、観ていた頃を思い出させる最後の楽曲がこれだったりします(「やさしい気持ちで」もそうですね)。ローリング・ストーンズ直系の爽快なロックサウンドで、オルガンやキラキラとしたピアノが飾り立てる楽曲はとても魅力的。そしてキャッチーな歌メロは思わず口ずさみたくなります。
そしてDisc2は「Cover Songs:Complete Best ‘TRACK 3’」と題した洋楽カバー集。これまでSuperflyはシングルのカップリング3曲目に洋楽カバーを収録しており、それらが「’TRACK 3’」の由来だとか。
「Fooled Around And Fell In Love」はエルヴィン・ビショップのカバー。華やかなホーンで幕を開け、ゆったりとした演奏にソウルフルな歌唱で聴かせます。「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」はアレサ・フランクリンのカバー。ピアノ主体の落ち着いた演奏に、越智の緩急ある歌唱が乗ります。サビのハイトーンがお見事で、圧倒的な歌唱力を見せつけてくれます。続いてハンブル・パイの「Hot ‘N’ Nasty」。リズミカルなドラムにファンキーなギターやオルガンが爽快です。攻撃的な歌唱に、男性コーラスも特徴的。「(Please Not) One More Time」はロジャー・マッギンのカバー。明るいトーンのキャッチーな歌メロが際立ちます。そして「Rhiannon」はフリートウッド・マックの名曲。Superflyカバーでこの名曲を知りました。クールでカッコ良い歌唱に躍動感あるドラムなどこのカバーも素敵ですが、原曲フリートウッド・マックのスティーヴィー・ニックスが見せる可憐で小悪魔的な歌唱はもっと魅力的なので是非聴いてほしいです。
ここからライブ録音が続きます。「Honky Tonk Women」はローリング・ストーンズの名曲。気だるげなのに心地良いノリを生み出すギターやパーカッションは、聴いていると身体が自然とリズムを刻んでしまいます。そしてキャッチーなメロディラインをパワフルな歌唱で気持ち良く歌い上げ、思わず口ずさみたくなりますね。「Bad, Bad Leroy Brown」はジム・クロウチのカバー。小気味良いピアノを中心に、リズミカルで跳ねるような演奏を繰り広げます。続いてニール・ヤングの「Heart Of Gold」。渋い曲調にハーモニカが更に渋みを増しますね。声量があるからか、哀愁ある歌の存在感が大きいです。「Desperado」はイーグルスの名曲で、平井堅やコブクロなど日本人アーティストも数多くカバーしています。越智の力強く哀愁に満ちた歌唱は、原曲のメロディの良さがよく伝わってきますね。
ここからまたスタジオ録音です。「My Brother Jake」はフリーのカバー。リズミカルな演奏に、穏やかな歌唱で心地よく聴けます。続いてリック・デリンジャーの「Rock And Roll Hoochie Koo」。ハードな演奏で、暴力的なベースやドラムが痺れますね。そんな骨太な演奏陣に合わせて、だみ声気味にパワフルに歌うのがワイルドでカッコ良いです。「Late For The Sky」はジャクソン・ブラウンのカバーで、攻撃的な前曲とは対照的にしっとりとした雰囲気。優しいピアノに乗るメロディアスな歌がじんわりと染み入ります。途中加わるストリングスが感傷的な気分にさせます。「Piece Of My Heart」は越智が敬愛するジャニス・ジョプリンのカバー曲。武道館公演時のライブ録音のようで、会場に響き渡るイントロがド迫力。賑やかな演奏にも埋もれず存在感を放つ歌唱力が圧倒的です。
そしてここからは本作用の新録曲。「Bitch」は再びローリング・ストーンズですが、有名どころを少し外したややコアな選曲で本当に好きなんだなと思います。原曲よりも演奏が骨太な印象で、越智のハイテンションな歌唱も勢いに満ちています。キレのある良カバーで、正直原曲を上回っていると思います。最後の「The Water Is Wide」はカーラ・ボノフのカバー。アコギの優しい音色に、子守唄のように囁くような歌が心地良いです。静かに夢心地で本作を締め括ります。
初回限定盤のみDisc3として「Fooled Around and Fell In Love 〜acoustic ver.〜」(エルヴィン・ビショップ)が8cmシングル形態で付属しますが、私は通常盤を買ったのでこちらは割愛。
聴きごたえのある作品で、Superflyファンだけでなくオールドロックのファンやこれからオールドロックを聴いてみようという方にもオススメできます。シングル4曲をそれぞれモチーフにしたというジャケット写真も、個人的にお気に入りです。
2011年 3rdアルバム
10thシングル『Wildflower & Cover Songs:Complete Best ‘TRACK 3’』をアルバムとカウントすると4作連続のオリコン1位となる本作。ラテンを取り入れてみたり、少しクラシカルな楽曲もあったりとバラエティが増しました。ただ、全体を通すと若干散漫な印象もあります。
オープニング曲「Rollin’ Days」はジャカジャカかき鳴らすギターに躍動感に溢れるドラムが爽快。オールドロック風の演奏に、越智志帆のキャッチーな歌メロが乗っかります。続く「Beep!!」も跳ねるようなビートが爽快な楽曲です。後半は分厚くなるものの中盤まではスッカスカで音数少なく、シンプルかつ躍動感に満ちた演奏でロックの魅力を伝えます。メロディは弱いですが、熱量のある歌唱で攻めてきます。「Fly To The Moon」はラテンを取り入れたロック曲で、跳ねるようなビートに加えてホーンが華やかな音色で賑わしています(騒がしいくらい笑)。メロディラインは少しメランコリックですが、とても賑やかな演奏はご機嫌な感じです。続いてSuperfly屈指の名曲「タマシイレボリューション (Extended ver.)」。シングルと比べてイントロと間奏がアレンジされ、20秒ほど拡張されています。これもワイルドなパーカッションのおかげでラテン風味がありますね。演奏も、越智の歌唱も、とにかくエネルギッシュ&パワフルでカッコ良い。2010年のNHKサッカーのテーマ曲に採用されましたが、血が騒ぐような本楽曲が似つかわしくピッタリです。「Eyes On Me」はストリングスやハープ、オーボエなどの若干クラシカルな演奏が優美な雰囲気を作ります。しっとりとしてメロディアスな楽曲なのですが、ロック色が薄いことに違和感があって、個人的にはあまり好きではなかったり…。「Deep-sea Fish Orchestra」はレッド・ツェッペリンの「Kashmir」のような重厚な雰囲気が漂います。件の楽曲に比べるとメロディがかなり弱くて、なんちゃって感は否めませんが…。「Secret Garden」は序盤まったりとしたメロウな雰囲気で、越智の歌は囁くように優しいです。ホーンが華やかに盛り上げるサビは、レトロな映画サントラのよう。「Sunshine Sunshine」は透明感のあるアコギにエレキギターが絡んで、ほのぼのと牧歌的なポップ曲が繰り広げられます。素朴で背伸びしない、リラックスした雰囲気が心地良い佳曲です。そしてフォーキーなアコギに乗せて、優しく甘い歌声で聴かせる「Morris」が続きます。若干緩やかな空気になりますが、ロック色の強い「Wildflower」が耳に残るギターリフを奏でると空気が引き締まります。歌はキャッチーで聴きやすいですね。続く「Free Planet」でSuperflyの本領発揮。ディープ・パープル直系の疾走ハードロック曲で、速い演奏に合わせてまくしたてるような歌が爽快でカッコ良いです。「悪夢とロックンロール」は名前の通りの旧き良きロックンロールを奏でます。引き締まった演奏の上をご機嫌なピアノが軽やかに駆け抜け、そして力強くもキャッチーな歌メロで楽しませます。「Only You」はメロウな楽曲で、3拍子のまったりとした演奏をホーンが飾り立てます。歌は優しいトーンかつソウルフルな印象。ラスト曲「Ah」はピアノ伴奏に乗せて、越智の「アアア…」だけで美しいメロディを優雅に歌います。途中の分厚いコーラスワークはスケール感があって感動的。これに歌詞がついた「あぁ」が後にシングルカットされます。
Superfly最強の1曲「タマシイレボリューション」が大きく牽引しますが、これまでの作品に比べ歌メロが弱い印象も。全体通すと好きな曲とそうでない楽曲がわかれ、個人的には聴く回数が少ないです。
2012年 4thアルバム
デビュー5周年を記念した本作は4形態での発売となりました。デビューから5作連続のオリコン首位を獲得し、これは女性ソロアーティストという枠では史上4人目の快挙。ロック色の強い作品で、個人的には本作がSuperfly最高傑作だと思っています。
アルバムはタイトル曲「Force」で幕開け。レッド・ツェッペリンを想起させる、泥臭くてハードロッキンなギターリフ。この超カッコ良いリフ1本で楽曲全編を組み立ててしまうんです。そしてカッコ良いのはギターだけではありません。越智志帆のパワフルでワイルドな歌唱も負けず劣らず魅力的で、力強く連呼する「Force, force」は合唱したくなりますね。越智の圧倒的な歌唱力だから成立する、ロックの魅力に満ちた素晴らしい名曲です。「Nitty Gritty」は疾走曲で、こちらはディープ・パープルっぽいか。ギターリフが印象的ですが、唸りを上げるベースもカッコ良いですね。歌メロは少しメランコリックな感じ。続く「No Bandage」はブルージーなギターに躍動感あるリズム隊がノリノリの演奏を繰り広げます。重低音が響くリズミカルな演奏がとても楽しく、そしてキーの低い演奏とは対照的に、高音キーのキャッチーでパワフルな歌も存在感があります。「輝く月のように」はピアノやオルガンが心地良い、ポップかつメロディアスなナンバー。ロック色はやや控えめの、J-POP的な取っつきやすい楽曲で、メロディラインがとても魅力的な1曲です。続く「愛をくらえ」で再びロック色を強めます。重厚な演奏で、特に重低音を轟かせるベースが暴力的でカッコ良い。そして越智はドスが利いたソウルフルな歌唱で色気と力強さを見せつけます。カッコ良いです。そして「終焉」はロック色の強い本作では珍しく、越智の歌をフィーチャーした楽曲です。ピアノ伴奏やストリングスなど大人しい演奏で、そこに抜群の歌唱力で緩急ついた歌をじっくり聴かせます。続いて、タイトルにインパクトのある「平成ホモサピエンス」。ファンク全開の1曲で、思わず手拍子したくなるような横ノリのグルーヴが強烈で爽快。メロディよりもノリ重視の楽しい楽曲です。「Get High!! ~アドレナリン~」はイントロのヘヴィなギターリフからワクワクさせてくれます。パワフルなハイトーンボイスと、重低音をかき鳴らす演奏が掛け合いを行いながら展開。ハイテンションの爽快なハードロック曲です。続く「919」は本作の発売日9月19日と「クイック」を掛けているのだとか。力強いドラムやアクセントとして加わるギターにロックの色合いを残しますが、デジタルサウンド全開でヘヴィなグルーヴを響かせる、Superflyには珍しいタイプのダンスチューンです。「The Bird Without Wings」は哀愁漂うメロディアスな楽曲です。演奏はそこまで派手ではありませんが、越智の圧倒的な歌唱力のおかげで壮大でドラマチックに仕上がっています。サビの英語の発音が良くて、海外のアーティストのような雰囲気。最後は「スタンディングオベーション」で、リズミカルに刻むドラムと手拍子がクイーンの「We Will Rock You」等のような名曲を想起させます。ノリが良くて明るい雰囲気で、手拍子や合唱したくなる楽しさがあります。また後半はテンポアップして、速弾きオルガンソロなどスリリングな演奏で魅せてくれます。充実感のあるラスト曲です。
なお初回限定盤には本編と全く同じ曲目・曲順でのライブ盤がDisc2として付属。本作のリリース2ヶ月前に行われた、ファンクラブ限定公演の音源が収録されたもので、出来が良くて聴きごたえがあります。またレコードが付属する5周年記念盤や、DVDが付属するローソン限定盤など全4種類。私はライブ盤が付属するバージョンを選びました。
Superflyの魅力が最大限発揮された、ロック色の強い傑作アルバムです。シングル向けの楽曲は少ないものの、カッコ良い名曲が詰まっています。
関連アーティスト
「i spy i spy」でコラボした、オーストラリアのロックバンド。
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