🇯🇵 the brilliant green (ザ・ブリリアント・グリーン)

レビュー作品数: 7
  

スタジオ盤

the brilliant green

1998年 1stアルバム

 the brilliant green、通称「ブリグリ」は日本のロックバンドです。同級生だった奥田俊作(B)と松井亮(Gt)が、川瀬智子(Vo)をスカウトして1995年に京都で結成。1997年にシングル「Bye Bye Mr. Mug」でメジャーデビューを果たします。3rdシングル「There will be love there -愛のある場所-」がオリコン1位の大ヒットを果たし、同年リリースされたフルアルバムとなる本作『the brilliant green』はミリオンセラーとなりました。
 オアシスらブリットポップの影響を色濃く受けた作風で、ローファイなサウンドプロダクションや英語詞の楽曲が大半を占めること、そして上手くはないものの川瀬のアンニュイで唯一無二の声も特徴的です。バンドと笹路正徳の共同プロデュース作。ドラムやキーボードはゲストミュージシャンを招いています。

 オープニング曲「I’m In Heaven」は重厚なギターを鳴らしますが、ストーン・ローゼズ風のグルーヴィなリズム隊はノリノリで爽快。そして川瀬の舌足らずで気だるげな歌唱は可愛らしいです。続く「冷たい花」は気だるげで重たい演奏に、アンニュイで憂いを帯びた歌を聴かせます。サビのキーの高さがちょうど浮遊感を感じさせる心地良さ。「You & I」はグルーヴィな演奏が耳心地の良い1曲。大きな起伏は無いのですが(浸るにはちょうど良い感じ)、終盤は転調してJ-POP的なドラマチックな演出を狙おうとしたのでしょうか。「Always And Always」はアコギやパーカッションが小気味良くて、リズミカルで陽気な演奏は自然と身体が動き出します。歌は相変わらずメランコリックで気だるいですね。「Stand by」はイントロのギターがオアシスっぽいですが、良い具合に高揚感を煽ります。ベースも爽快。でもエンジン全開となることはなくて、ルースで気だるく、そして優しい印象です。続いて、弾けるようなイントロで始まる「MAGIC PLACE」。グルーヴィなイントロは弾けているものの、歌が始まると低血圧気味のローテーションで、サビに向けて少しずつテンションを上げていきます。ドラムやヘヴィなオルガンが良い味を出しているのですが、どちらも外部ミュージシャンなんですね…。「“I”」も緩くて気だるい感じ。日本語詞ですが滑舌が悪いため、英語でも日本語でも雰囲気はあまり変わりません。良い意味で楽器のように耳心地の良い声質だと思います。「Baby London Star」は本作唯一の疾走曲。パンキッシュで粗削りな演奏はローファイなプロダクションのおかげで荒ぶっており、スリリングでハイテンション。でも川瀬の歌は変わらずアンニュイなスタイルで、テンションの差があります。そして名曲「There will be love there -愛のある場所-」。アコギでしっとり始まり、低く低く沈んでいく歌メロ。バンド演奏が加わると重厚感が増しますが、サビではメランコリックな歌をストリングスが彩り、美しくドラマチックに仕立て上げます。可愛らしくて切ない歌唱が魅力的です。ラスト曲は「Rock’n Roll」。アコギ一本のシンプルな演奏と淡々とした歌メロで、「Rock’n Roll」のタイトルとは裏腹に躍動感や勢いはなく、じっくり聴かせる感じ。後半エレキギターが加わるものの、ブルージーで渋いです。

 なんちゃってオアシスというかUKロックの影響色濃くて気だるい演奏と川瀬のアンニュイな歌。突出した楽曲は「There will be love there -愛のある場所-」くらいですが、全体的に心地良い佳作です。

the brilliant green
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TERRA2001

1999年 2ndアルバム

 前作よりもバラエティ豊富になりキャッチーさを増した本作。前作同様の制作体制で、大半を奥田俊作が作曲、「SEPTEMBER RAIN」と「Round and Round」のみ松井亮の作。作詞は全て川瀬智子が手掛けます。前作に引き続きシングル以外はほぼ英語詞で、そのシングルでは「そのスピードで」がオリコン1位を獲得しています。

 開幕「BYE! MY BOY!」はイントロからダーティなギターとベースが重低音を響かせ、ヘヴィなグルーヴを効かせます。ブリットポップからハードロックへ変わった感じ。そして川瀬は声量が足りないながらも吐き捨てるような歌い方で、カッコ良さを出そうとしつつキュートさが残ります。続く「愛の♥愛の星」は爽やかで少し切なげな演奏に、物憂げで気だるい歌が乗ります。彼らにしてはポップになりましたが「♥」が付くほど弾けてる訳ではなく、センチメンタルでなんとなく心地良いメロディに浸れる1曲になっています。「Brownie the cat -魅惑の猫ルーム-」は晴れやかでポップな楽曲です。アコギ主体の明るいロックサウンドに乗せて、囁くように優しい歌声がドリーミーで、全体的にフワフワとしています。続く「CALL MY NAME (ENGLISH VERSION)」はダンサブルなドラムで開幕。イントロの高揚感は中々に爽快です。歌が始まると松井の骨太なベースと、ファンキーなドラムが特徴的。力強いリズム隊に張り合おうとするヒステリック気味の歌は、少しのっぺりした印象。「Maybe We Could Go Back To Then (76 VERSION)」はアコギと歌のみのシンプルな構成ですが、3拍子のゆったりとした演奏とアンニュイな歌は心地良いです。「SEPTEMBER RAIN」も3拍子ですがこちらはバンド演奏があり、ほどよくヘヴィで爽快な演奏。オールドロック的な少し渋くて懐かしいサウンド。そして川瀬の歌も聴き取りやすく、キャッチーだけど優しいメロディで魅せてくれます。「FUNNY GIRLFRIEND!!」オアシスのような楽曲で、躍動感と気だるさを両立した演奏にキャッチーなメロディが耳心地良い。多重コーラスもポップさを引き立てます。隠れ名曲といった感じでしょうか。一転して「Round and Round」はダークな雰囲気です。憂いを帯びたアルペジオから暗い歌が始まり、ヘヴィなオルガンやストリングスが楽曲を引き立てます。でも川瀬のアンニュイな歌声は演奏のようにどん底な雰囲気にはなりきれなくて、暗い曲調の中に唯一安らぎを与えてくれます。そしてヒットシングル「そのスピードで」。演奏は分厚いものの比較的明るい雰囲気で、歌は相変わらずアンニュイ。メロディアスなサビを歌う川瀬の声は小悪魔的というべきか、気だるげでキュートです。続く「CAN’T STOP CRYIN’」は跳ねるようにリズミカルな演奏でノリノリなロックンロール。でも歌は演奏のテンションと温度差があって、眠そうな感じ。ラスト曲「長いため息のように」はカウントから始まり、重厚なギターがズンズンと刻みます。低すぎじゃないかってくらいキーの低い歌は、メランコリックなサビで浮上。そしてサビはストリングスがドラマチックに彩ります。エンディングに向いた良曲ですね。そして、これを更に洗練させたのが次作の「Hello Another Way -それぞれの場所-」だと思っています。

 ブリットポップの影響が色濃い「洋楽っぽい」彼らの特徴は残しつつ、J-POP的なキャッチーさも取り入れています。全体的に前作よりも聴きやすいです。

TERRA2001
the brilliant green
 
Los Angeles

2001年 3rdアルバム

 本作では英語詞を無くして全編日本語詞を採用しています。ではJ-POP的になったかと言えばそんなことはなく、ブリットポップ路線を脱してグランジやヘヴィメタルに接近、ヘヴィで荒々しく変貌しました。『Los Angeles』というタイトルが示すように、英国ロックではなく米国オルタナに触発されたのでしょうか。

 オープニング曲「THE LUCKY STAR ☆☆☆」は松井亮がノイジーな轟音ギターをかき鳴らし、グランジやヘヴィメタルにも通じるヘヴィさ。重苦しくスリリングですが、そんなヘヴィな演奏にも埋もれず、川瀬智子の物憂げでキュートな歌声はこれまでより存在感を増しました。重低音を響かせる演奏と比べ、比較的高音キーのメロディも彼女の存在感を引き立てていると思います。続く「YEAH I WANT YOU BABY」も蹂躙するかのような轟音で、激しく荒ぶった演奏を繰り広げます。演奏は高いテンションが張り詰めますが、それに対してアンニュイな歌声は色っぽい。カッコ良い楽曲です。「angel song -イヴの鐘-」は古びたラジオを通したようなこもったアコギをバックに、音像は明瞭だけど物憂げな歌が切ない雰囲気を作ります。サビはメロディアスかつキャッチーですが、バックではノイジーな演奏が繰り広げられます。静と動の対比が強烈なグランジ曲ですね。ここまでオープニング3曲がノイジーで驚かされますが、「サヨナラ summer is over」は爽やかな演奏を聴かせます。川瀬の歌は囁くように優しく、メロディアスな歌を心地良く聴かせてくれます。続く「ヒドイ雨」では再び轟音ギターが唸ります。でも歌は優しい歌唱で、そして憂いがたっぷり。サビでは演奏を間引いて、心地良いアコギがキュートで儚げな歌声を引き立たせます。「☆FALLING STAR IN YOUR EYES」はテンション低めの心地良い1曲。エコーがかったパーカッションが落ち着いた独特の音空間を作り、気だるげな歌を聴かせます。ここでひと息つくと、「IT’S UP TO YOU!」で歪んだギターがざらついた音を立てています。サビはパンキッシュに弾けますが、衝撃的なオープニング2曲に比べれば程良いハードさで聴きやすいです。「黒い翼」はイントロから強い哀愁が漂います。歌も暗く沈んでいくようでひたすらダーク。どんより重たい空気で存在感のある楽曲です。そしてタイトル曲「LOS ANGELES」。ノイジーなインストゥルメンタルで、グランジーでダークな雰囲気が漂うスリリングな演奏を聴かせます。カッコ良い。そして「Hello Another Way -それぞれの場所- (Album Mix)」。本作の雰囲気からは少し浮いていますが、the brilliant greenでも屈指の名曲だと思っています。重厚なイントロから名曲臭が漂い、そして憂いを帯びた歌はサビでメランコリックなメロディを聴かせ、サビメロはストリングスがドラマチックに彩ります。スケール感のある楽曲で、聴いていると鳥肌が立ちます。素晴らしい1曲です。最後は「I can hold your hand baby」で、メロウで落ち着いた演奏と、エコーがかったウィスパーボイスがドリーミーで心地良い。

 演奏はヘヴィに全振りしていますが、ミックスのおかげか川瀬の声は埋もれることなく、魅力的な声でメロディアスな歌を聴かせます。アルバムトータルのバランスも良い名盤です。屈指の名曲「Hello Another Way -それぞれの場所-」が入っているのもポイント。

Los Angeles
the brilliant green
 
THE WINTER ALBUM

2002年 4thアルバム

 川瀬智子のソロプロジェクトTommy february6を経て、真夏に発表された『THE WINTER ALBUM』。このTommy february6の活動が影響してか、これまでとはまた作風が変わった印象です。本作後に川瀬がTommy february6とTommy heavenly6の活動に本格シフトし、活動休止というかたちでthe brilliant greenとしての活動も冬を迎えることになります(実はこれら2つのTommyに奥田俊作と松井亮も別名義で参加しており、看板と作風を変えたブリグリなのだと後に判明します)。また、奥田と川瀬は2003年に結婚しています。

 僅か1分の小曲「intro -THE WINTER ALBUM-」で幕開け。アコギ主体の幻想的なサウンドと、川瀬のリズミカルかつ優しい歌メロが、しんしんと降る雪と温もりある暖炉をなんとなく想起させます。続く「Holidays!」は晴れやかでポップな1曲。演奏はオルタナの影響を受けていますが、明瞭で聞き取りやすい歌はJ-POP的ですね。彼らにしては珍しく、歌も明るい雰囲気。「Flowers」はアコギとストリングスで明るく彩ります。川瀬のキュートな声質はそのままに、滑舌悪くアンニュイな最初期よりも聴きやすく明瞭になりました。キャッチーですが、ブリグリの独自性は少し薄まってしまったかも。「I’M SO SORRY BABY (album mix)」はゴリゴリベースにドタバタしたドラムなど、躍動感あるバンド演奏がリードする、ブリグリ節全開の爽快なロックンロール。ギターも時折キンキン唸りを上げます。そして名曲「Forever to me 〜終わりなき悲しみ〜 (album mix)」は壮大なバラードです。暗く沈みような哀愁のメロディを繰り広げます。そしてメランコリックなサビメロは非常にドラマチックで、ドラムが3連符をダイナミックに乱れ打ち、そして分厚い演奏が圧倒。オルガンの味付けも良い味を出しています。スケール感があり感動的な1曲です。「That boy waits for me」は打ち込みを導入、ビートは軽くて弾けるような感覚です。そして歌メロはメロディアスなのですが、メロディそのものなのかノリの良いビートと合わさったからか、少し古臭さも感じます。一転して「The night has pleasant time」はアコギでしんみりムード。哀愁のメロディを淡々と低いテンションで歌いますが、徐々にストリングスが加わって楽曲を引き立てます。「Day after day」は浮遊感のあるポップで優しい1曲。苦しみの中で前を向こうと心に言い聞かせるような歌詞で、優しい歌い方も含めて心が温まります。シンプルですが好みです。「Rainy days never stays (album mix)」はデジタルサウンドを導入したダンサブルな楽曲。物憂げな歌は、サビではかなりキャッチーになり、分厚い鍵盤が華やかに飾ります。路線が大きく変わって、個人的には若干抵抗感があります…。晴れやかでポップな雰囲気「I’M JUS’ LOVIN’ YOU (album mix)」を挟んで、「Running so high」は打ち込みのビートに乗せて川瀬の歌をフィーチャーした、ファンキーでダンサブルな楽曲を展開。ですがサビではギターをはじめ騒がしい演奏で雰囲気を変えます。ラスト曲「escape」は冬っぽい柔らかな演奏。声を張り上げた歌唱法で歌う切ないメロディが印象的です。

 J-POP的でキャッチーな楽曲も増え、バラエティ豊富ですが若干とっ散らかった印象。歌は聴きやすくなったし好みの楽曲もいくつかあるのですが、打ち込み楽曲が増えて方向性がよくわからなくなっていまいました。

 本作をもってバンドは活動休止。2007年のシングル「Stand by me」での再始動までしばらく待つことになります。

THE WINTER ALBUM
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BLACKOUT

2010年 5thアルバム

 活動再開後にリリースしたベスト盤『complete single collection ’97-’08』を間に挟んで、フルアルバムとしては『THE WINTER ALBUM』以来約8年ぶりとなります。また2020年現在の最新オリジナルアルバムでもあります。
 2010年に松井亮(Gt)が脱退、脱退前のシングル「LIKE YESTERDAY」のみ松井が唯一参加していますが、他は全て奥田俊作(B)がギターも兼任しています。Tommy heavenly6の経験も活きているのか、メタルやパンク寄りのヘヴィな音が特徴的です。

 タイトル曲「BLACKOUT」でアルバムの幕開け。以前よりヘヴィになって、重低音を響かせるメタリックなサウンド。ギターリフがカッコ良いです。川瀬智子の歌は滑舌が良くなり、クールに気取っていますがガーリッシュな声質も兼ね備えていて魅力的です。続く「BLACK DARK NIGHT」はダーティで疾走感溢れる暴力的な演奏がカッコ良い。ドタバタと暴れる魅力的なドラムは、これまでの作品でも多くのドラムを担当してきた佐野康夫によるもの。そして演奏に負けずメロディアスで疾走感ある歌も良いです。「I’m sick of this place」は爽やかなアップテンポ曲です。メタリックな前2曲に比べるとほどよいハードさで、歌を引き立てています。「Talk to me」はパンク曲。ノリの良い演奏が、ヘヴィに切り込みつつも跳ねるような爽快さを生み出しています。そして川瀬の歌もキュート。「Blue Daisy」はストリングスを用いたドラマチックなバラードで、再始動前の楽曲のような雰囲気。そして滑舌の良くなった川瀬の歌唱によって、メロディアスな歌の魅力が更に引き立っています。「Break Free」はアコギを小気味良くかき鳴らす、3拍子のゆったりとしたナンバー。メロディアスで心地良い歌と、異国情緒のある演奏はリラックスして聴くことができます。「Going Underground」は爽やかで少し切ない雰囲気で進みますが、哀愁漂うサビは歌い方のせいもあり心地良い浮遊感も持ち合わせています。「WHIRLWIND」はダンサブルかつダイナミックなドラムが終始楽曲を牽引。勢いあるハードな演奏に比べると、歌は若干間延びしてるというかゆったりめな印象。でもメロディアスなサビメロは耳に残りますね。「Spring Gate」は爽やかなアップテンポ曲です。川瀬の低いキーでの優しい歌唱は少し小松未歩っぽい。 「Song 2」ブラーのカバー曲で、キーを変えている以外は原曲にかなり忠実。グランジーな演奏で楽しませてくれます。川瀬の「Woo-hoo」だけはなんか違和感があるんですが、低いトーンで気だるい歌は原曲の雰囲気が出ています。「I Just Can’t Breathe…」はアコギがシリアスな雰囲気を作ります。歌メロは哀愁に満ちていますが、メランコリックなサビは川瀬の魅力的な声質のおかげで不思議と心地良いです。後半の盛り上げ方がドラマチック。そして名曲「LIKE YESTERDAY」。優しくも憂いを帯びた歌はメロディラインが特に秀逸で、メロディアスなサビは特に胸に染み入ります。「星のない夜も」と歌いますが、星が煌めくような透明感。また、ストリングスによる演出もこの歌の良さを引き立てています。最後はアコースティックな「BLUE SUNRISE」。シンプルで淡々とした演奏に乗る、メランコリックな歌が切ないです。

 これまでのようなヒット曲はありませんが、アルバムとしての完成度はとても高いです。ここにきて傑作が生まれました。オススメです。

BLACKOUT
初回限定盤 (CD+DVD)
the brilliant green
BLACKOUT
通常盤 (CD)
the brilliant green
 
 

編集盤

complete single collection '97-'08

2008年

 the brilliant green結成10周年記念の一環でリリースされたベスト盤で、『THE WINTER ALBUM』以来6年ぶりとなります。再始動後の名シングル「Ash Like Snow」や「Stand by me」といった本作にしか収められていない名曲に加え、ヒットを飛ばしていた頃のシングルも年代順で聴くことができます。

 オープニング2曲はいずれも英語詞の楽曲で、アルバム収録は今作が初となります。まずは「Bye Bye Mr. Mug」。ドラムは躍動感があるものの、どこか哀愁のある演奏。そして川瀬智子の歌は舌足らずで気だるく、それが心地良かったりします。「goodbye and good luck」は粗削りながらも、分厚く重厚感のある演奏を繰り広げます。川瀬の気だるくキュートな歌唱は小悪魔的な感じ。
 そしてここからは日本語詞になります。「There will be love there -愛のある場所-」はブリグリ最大のヒット曲。低く沈んでいくような歌は、耳に残るサビではメロディアスになり、ストリングスが彩ります。ブリットポップに影響を受けた演奏と、滑舌が悪いうえにアンニュイな歌唱で洋楽っぽいという独自性を打ち出しました。上手くはないですが強い個性で印象に残ります。続く「冷たい花」は暗鬱でダウナーな楽曲。気だるげな歌唱はやらせなさが滲んでくるような感じですが、同時に心地良さも感じられます。「そのスピードで」はオルガンやギターが入り混じった、オールドロック風のローファイなサウンドがやけに心地良い。そして、アンニュイだけれどもポップさも兼ね備えた心地良い歌メロに癒やされます。「長いため息のように」は壮大なバラード。ズンズンと低く刻むギターとベース、そして力強いドラムが足場を固めます。川瀬はサビまで恨みがましい感じに低すぎるキーで歌いますが、サビメロは浮上してメランコリックな歌を聴かせ、それをストリングスが彩ります。フェードアウトしていくアウトロが少しサイケっぽい。「愛の♥愛の星」はクリーンなアコギが爽やかで、憂いを帯びた歌を比較的ポップに聴かせます。特有の哀愁はそのままですが、毒気が少し抜けた印象です。続いて「CALL MY NAME (JAPANESE VERSION)」、日本語バージョンはアルバム初収録となります。ダンサブルなドラムがリードしてイントロから高揚感を煽り、奥田俊作のグルーヴィなベースも存在感を見せつけます。そんなノリノリの演奏に張り合うように、ややヒステリック気味に歌っています。「BYE! MY BOY!」はイントロからヘヴィでダーティなリフがカッコ良く、ブリティッシュハードロック風の古びた演奏に痺れます。川瀬の歌も吐き捨てるように攻撃的ですが、声質の可愛らしさはそのままというギャップが素敵です。そして「Hello Another Way -それぞれの場所-」はブリグリ屈指の名曲。スケール感のある楽曲で、松井亮の弾くギターをはじめ重厚なイントロから名曲臭が漂います。そしてストリングスが飾り立てる壮大なサビは、メロディが良いうえに川瀬の哀愁に満ちた歌が感動的なのです。間奏での泣きのギターソロも熱い。ドラマチックで鳥肌ものの、素晴らしい1曲です。「angel song -イヴの鐘-」は静かな演奏をバックに物憂げな歌を聴かせますが、サビは強烈に歪んだ轟音が響きます。静と動の対比が強いグランジーな演奏ですが、毒気のすっかり抜けた歌はかなりキャッチーで聴きやすいです。「Forever to me 〜終わりなき悲しみ〜」も壮大な楽曲です。強い哀愁が漂う歌メロ。サビでは大仰な演奏が悲壮感のある歌をドラマチックに盛り上げ、佐野康夫のドラムは3連符でダイナミックに叩きます。スケールの大きさに圧倒されます。「Rainy days never stays」は川瀬のソロプロジェクトTommy february6での活動も影響したか、打ち込みやシンセを導入した意欲的な1曲。メロディもキャッチーですが、大きな変化が個人的には若干抵抗があったり…。「I’M SO SORRY BABY」は再びロックサウンド全開。ドタバタと疾走感のあるドラムやハードなギターなど演奏は爽快です。そしてこの楽曲を最後に、2002年末に活動休止へ。
 ここからは2007年の再始動後のシングルが並びます。「Stand by me」、これが復帰シングルとして十分すぎる名曲です。小気味良いアコギをバックに、キャッチーな歌メロをなぞる毒気のすっかり抜けたキュートな歌声がとても魅力的。そしてサビのメランコリックなメロディもたまりません。活動休止前の楽曲と比べても全く見劣りしないどころか、5本の指に入る素晴らしい楽曲です。「Enemy」は泥臭いギターが唸り、哀愁漂うメロディは暗く重たい空気が漂います。ですが最初期のような恨みがましい歌唱はなく、毒気の抜けた可愛らしい歌声のおかげで聴きやすいです。そしてラスト曲「Ash Like Snow」は『機動戦士ガンダム00』1stシーズンの後期OP曲に起用されました。前期OPはL’Arc~en~Ciel、後期はブリグリと豪華な音楽に加え、アニメ本編も2000年以降のガンダムでは一番好みの当たり作品でした。そしてこの「Ash Like Snow」、気合いの入った1曲でブリグリ最高傑作ではないかと思っています。ヘヴィメタル化を遂げ、重低音を響かせるギターとベース。そして疾走感のあるドラムと焦燥感を煽るシリアスな歌メロも合わさって、楽曲をスリリングに仕立てます。でもメロディはキャッチーさも兼ね備えていて耳に残るという。オリジナルアルバム未収録なのが勿体ない名曲です。

 邪道ですが、ベスト盤がベスト。楽曲はリリース順に並んでおり、the brilliant greenの軌跡を追いかけることができます。入門にも最適ですね。

complete single collection ’97-’08
初回限定盤 (CD+DVD)
the brilliant green
complete single collection ’97-’08
通常盤 (CD)
the brilliant green
complete single collection ’97-’08
Blu-spec CD
the brilliant green
 
THE SWINGIN' SIXTIES

2014年

 奥田俊作と川瀬智子の2名体制による、1960年代をテーマにオールドロック風のアレンジがされたセルフカバーアルバムです。アンプラグド風という評価も見かけますが、エレキギターも結構使われてます。ただ全体的には大人しめの優しいトーンに仕上がっています。
 元々は2013年に川瀬のデビュー15周年企画の一環としてTommy february6とTommy heavenly6、the brilliant greenの3作品を制作予定だったものの、前者の制作遅れにより企画が仕切り直しとなり、翌2014年にセルフカバーというかたちで本作がリリースされました。2020年現在これが最新作となります。

 「There will be love there 〜愛のある場所〜」はピアノやアコギを中心とした柔らかいサウンドで奏でられます。途中普通にエレキギターも加わりますが、原曲よりは少し大人しめ、程度のアレンジですね。川瀬の歌は当時より上手くなりましたが、サビの歌い回しは当時の方が魅力的かも。「冷たい花」は原曲のダウナーな雰囲気は残しつつも、アコギやカホーンの優しい音が毒気を薄めて心地良い仕上がりです。メロディアスな歌がまたいい感じ。「You & I」はレトロな鍵盤の音色が心地良い1曲。キュートでアンニュイな歌声は色気を感じます。続く「Rock’n Roll」はアコースティックで静かに奏でられる原曲よりも逆にロック色が強まって、躍動感に溢れています。ビートルズの「Get Back」に似たリズムビートが爽快です。そして名曲「Hello Another Way -それぞれの場所-」は、アコースティックなサウンドのおかげで歌メロの良さが引き立っています。重厚でドラマチックな原曲が大好きですが、シンプルで素朴な本作アレンジもまた違った良さがあり、胸に染み入る良アレンジです。続く「Stand by me」は元々アコギをかき鳴らしていたので、序盤はさほど違いを感じず、ドラムが優しいパーカッションになったくらいでしょうか。サビではマンドリンの音色がトラッド風味で心地良いです。「Bye Bye Mr.Mug」はレトロ風味なエレキギターをかき鳴らしたリズミカルなアレンジで、古びたアレンジが逆に新鮮ですね。彼らのオリジナル曲なのに、洋楽のカバーのようにも聴こえます。「そのスピードで」は原曲のような毒気のあるアンニュイな歌唱を受け継ぎつつも、アコースティックな柔らかな音色が優しく癒やしてくれます。「Blue Daisy」は神秘的で怪しげな演奏を繰り広げ、歌も哀愁に満ちて暗い雰囲気。メランコリックなサビはダウナーな演奏と対照的な高温キーで際立っています。「長いため息のように」はイントロが若干トロピカル風味。全体的にリラックスした演奏で、ベースが中々良い感じ。そこに憂いを帯びた歌が乗ります。そして最後の「A Little World」は新たに書き下ろされた新曲です。小気味良いアコギを中心とした演奏は跳ねるような印象で、そこにフワフワとした可愛らしいポップな歌メロ。全く毒気のない歌は彼ららしくはないのですが、優しくキュートで結構好みです。

 原曲を超えてる楽曲はほぼありませんが、温もりのあるアレンジで心地よく聴くことができます。「Bye Bye Mr.Mug」だけは原曲の印象が薄いこともあり本アレンジが新鮮だったのと、新曲「A Little World」がポップで良い。

THE SWINGIN’ SIXTIES
the brilliant green
 
 
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