🇬🇧 The Exploited (ジ・エクスプロイテッド)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

Punks Not Dead (パンクス・ノット・デッド)

1981年 1stアルバム

 スコットランド出身のハードコアパンクバンド、エクスプロイテッド。真っ赤に染めたモヒカンヘアという、ハードコアを象徴する出で立ちのワッティー・バカン(Vo)を中心に、1979年に結成しました。他のハードコアパンクバンド同様にメンバーの入れ替わりが激しいですが、本作のラインナップはワッティーと、ビッグ・ジョン・ダンカン(Gt)、ゲイリー・マコーマック(B)、グレン・キャンベル(Dr)。
 ポストパンク/ニューウェイヴのブームとともに「パンクは死んだ」という風潮が漂う中、「パンクは死んでない」というメッセージとともにパンクの初期衝動に忠実な演奏を展開。全英20位を記録し、同年の英国インディーズ系リリース作の中ではベストセラーになったそうです。

 オープニングを飾るタイトル曲「Punks Not Dead」。野太いコールに始まり、ひりついたスリリングなハードコア楽曲を展開。続く「Mucky Pup」はゴリッゴリのベースリフで開幕。速くてパワフルですが緩急ついた演奏で、ギターソロも含まれる面白い楽曲です。「Cop Cars」はメタリックで荒々しい演奏を繰り広げます。ノイジーな演奏とは対象的に、ボーカルは結構ハキハキして明瞭な印象。「Free Flight」は比較的テンポは遅めで、ヘヴィな重低音がザクザクと刻んできます。そして中盤からテンポを上げて、シャリシャリしたシンバルを多用するドラムに対してギターとベースが低い音を唸らせます。ラストは野太いコーラスで終了。「Army Life」は軍靴を鳴らして更新するようなSEから、突如鋭利でメタリックな疾走曲を繰り広げます。鋭いギターとドラムが焦燥感を煽り、歌でも焚き付けます。スリリングでカッコ良い良曲です。「Blown To Bits」はカッコ良いイントロが始まったかと思えば途中で止めてしまい、何度か演奏しては止め…を繰り返すリハーサル風景を映します。1分過ぎからようやく幕開け。そして「Sex & Violence」はひたすらタイトルを連呼するだけですが、ダイナミックなドラムに乗せられてノリが良く、妙に耳に残るんですよね。
 アルバム後半のオープニングは「S.P.G.」。ワッティーの煽り立てるようなボーカルに始まり、アグレッシブな疾走曲を展開します。特に時折高速で連打するドラムがスリリングで魅力的。続く「Royalty」も速いテンポで煽ります。人を蔑むような笑い声がセックス・ピストルズを想起させ、ワクワクするんです。「Dole Q」はタッタカタッタカと駆け抜けるようなドラムに支えられ、ワッティーが吠える吠える。メタリックなベースもカッコ良い。そして「Exploited Barmy Army」はバンド名を関した楽曲です。疾走感のあるスリリングな演奏をバックに、耳に残る歌を繰り広げます。ライブだと盛り上がりそうですね。「Ripper」はダイナミックなドラムが高揚感を掻き立てます。そこまでメロディ重視じゃないですが、なんとなくキャッチーな感触です。そして「Out Of Control」ではゲイリーの爆音ベースが強引に牽引。攻撃的ですが、サビでの合唱はノリノリです。「Son Of A Copper」は鋭利ですがロンドンパンクの香りも残す、攻撃的かつポップセンスも感じられるキャッチーな1曲です。そして最後は「I Believe In Anarchy」。怒気を含んだ攻撃的な歌唱に、ヘタだけど楽しそうなコーラス。ザクザク攻撃的な演奏ですが、ロックンロール的なノリの良さも内包しています。

 パンクとハードコアの中間くらいの、鋭利だけどキャッチーさも含まれる楽曲の数々。スリリングでテンションが上がる佳作です。

Punks Not Dead
Deluxe Digipak
The Exploited
 
Troops Of Tomorrow (トゥループス・オブ・トゥモロー)

1982年 2ndアルバム

 ドラマーが交代して、スティーヴ・ロバーツ(Dr)が参加しています。おかげでビート感が強まりましたが、残念ながら彼も本作限りで去ってしまいます。前作と比較するとメタリックな質感に変わり、焚きつけるような強靭なリズムビートも相まって、スリリングなハードコアパンクを展開します。

 アルバムは「Jimmy Boyle」で幕開け。パワフルなリズム隊が焦燥感を煽り立て、ビッグ・ジョン・ダンカンのギターはメタリックでざらついた演奏を繰り広げます。そして、ワッティー・バカンの歌唱はドスが効いていて迫力があります。「Daily News」は強靭なビートを刻む楽曲で、スティーヴのドラムとゲイリー・マコーマックのゴリッゴリのベースを中心に、スリリングでカッコ良い演奏を展開。続く「Disorder」も叩きつけるような強靭なビートを刻みます。ですがワッティーの怒鳴るような歌は、そんなパワフルな演奏よりもうるさくて(笑)、すごい存在感。「Alternative」は躍動感溢れるドラムにメタリックなベースとギターが加わり、高揚感を煽りつつも叩きつけるような力強さも感じます。そして「U.S.A.」はリズミカルなドラムと、対象的にギターは暗くてダーティな雰囲気を醸します。ミドルテンポで始まりますが、ワッティーの怒号とともに疾走感溢れるハードコアへ変貌。歌詞の中では「Fuck The USA」を連呼して米国を罵倒しています。「Rapist」はゴリゴリ重低音を唸らせながら、爆音で駆け抜けます。速弾きのギターソロも含んだ楽曲です。そしてタイトル曲「Troops Of Tomorrow」。珍しく5分近くもある楽曲で、足音のようなドラムを軸に、テンポは遅くも重厚感たっぷりの演奏で恐怖感を植え付けます。歌よりも緊迫感のある演奏がメインの1曲です。
 アルバム後半は「UK 82」で幕開け。ビッグ・ジョンのメタリックなギターがカッコ良く、パワフルで激しい演奏を繰り広げますが、ワッティーがそれ以上の超パワフルな声量で圧倒します。騒がしくてカッコ良い。「Sid Vicious Was Innocent」セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスについて歌った楽曲です。恋人の殺害容疑をかけられながら薬物中毒で亡くなった彼を「シド・ヴィシャスは無実だった!」と声高に主張しています。「War」は重低音を刻む、ほぼリズムだけのような演奏をバックに、怒号のようなボーカルスタイルで歌っています。「They Won’t Stop」はスリリングなベースリフから、メタリックで破壊力のある楽曲を展開。ゴリゴリした演奏に加えて、怒鳴るようなワッティーのボーカルが威嚇してきます。続く「So Tragic」も荒く疾走感のある演奏で煽り立てます。最後の「Germs」はダーティなリフが影を落としますが、これが中々カッコ良い。そんなメタリックな演奏に負けじと、吐き捨てるように怒鳴り散らします。そして楽曲が終わったかと思えば、高速のハードコア楽曲を繰り広げます。

 演奏はよりヘヴィになりましたが、ドスの効いたパワフルなボーカルは激しい演奏以上に目立っています。迫力満点です。

Troops Of Tomorrow
Deluxe Digipak
The Exploited
 
Let's Start A War... Said Maggie One Day (レッツ・スタート・ア・ウォー)

1983年 3rdアルバム

 ジャケットがカッコ良い本作。Maggieとはマーガレット・サッチャー首相のことで、『戦争を始めましょうと、ある日サッチャー首相が言った』という過激なタイトルです。当時の政権が始めたアルゼンチンとの戦争(フォークランド紛争)に対し、疑問を投げかけるプロテストソング・反戦歌が本作の表題曲です。ちなみにエクスプロイテッドだけでなく、いくつものパンク系バンドがこの戦争に対する反戦ソングを歌っているようです。
 なおバンドメンバーに変更があり、ワッティー・バカン(Vo)、ビッグ・ジョン・ダンカン(Gt)は変わらないものの、ベースはウェイン・ ティアズ(B)、ドラムはウィリー・バカン(Dr)に変わりました。

 オープニングを飾る表題曲「Let’s Start A War (Said Maggie One Day)」。ラジオのようなSEを流してから突如、ヘヴィでメタリックな演奏が始まります。うねるようなベースに叩きつけるようなドラムと、高速で激しい演奏を繰り広げますが、負けじとワッティーの怒鳴り声が凄まじい迫力で圧倒します。続く「Insanity」はザクザクと鋭利なギター、そして陰りのあるフレーズが焦燥感を掻き立てます。ハードコアにしては遅めのパートと、疾走パートを交互に繰り返して緩急をつけてきます。カッコ良い。「Safe Below」は高速で駆け抜ける楽曲に、怒鳴り声で焚き付けます。スリリングな演奏にぶっ飛ばされますね。「Eyes Of The Vulture」は鋭利でダーティなギターに極太なベース、プリミティブでダイナミズム溢れるドラムが焦燥感たっぷり。他の楽曲より若干速さは抑えめですが、ゾクゾクと鳥肌が立つようなスリルたっぷりの演奏に痺れます。「Should We, Can’t We」はハードコアにエキゾチックなフレーズを持ち込んで、独特のスリルがあります。そしてメンバーで合唱しますが、暗い雰囲気が漂います。ベースが中々カッコ良い。続いて「Rival Leaders」は速くて超攻撃的な演奏に乗せ、マシンガンのように怒鳴りつけるワッティーのボーカルが凄まじいです。
 アルバム後半は「God Saved The Queen」で幕開け。イギリス国歌…ではなく「Save」じゃなく「Saved」なんですね。ドラムのビートが強烈でスリルがありますが、楽曲自体は結構単調な構成です。続く「Psycho」はカッコ良いリフから突如ワッティーの絶叫、そこから歌が始まります。激しい演奏に加えて、「Psycho」を連呼する歌が強烈に煽ってきます。「Kidology」は唸りを上げるベースがカッコ良いハードコア楽曲。そして間奏では速弾きギターソロも披露します。「False Hopes」は、躍動感と疾走感がある演奏が爽快。でもワッティーの歌は怒りに満ち溢れています。そして「Another Day To Go Nowhere」はザクザクと鋭利なギターに叩きつけるようなドラムで、ハードコアだけでなくスラッシュメタル的な印象も受けます。ラスト曲「Wankers」は強烈なビートを刻むドラムが焦燥感を煽ります。そしてひりついた緊迫した演奏に怒号のようなボーカルはスリル満点です。

 ラジオのようなナレーションや効果音をA面の各楽曲冒頭に設けることで、アルバムの流れに一貫性を持たせています。全編通してカッコ良い楽曲が詰まった良作です。

Let’s Start A War… Said Maggie One Day
The Exploited
 
 
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