🇬🇧 The Jesus And Mary Chain (ジーザス&メリー・チェイン)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Psychocandy (サイコキャンディ)

1985年 1stアルバム

 ジーザス&メリー・チェインは英国スコットランド出身のロックバンドで、通称ジザメリ、またはJAMC。兄ウィリアム・リード(Gt)と弟ジム・リード(Vo)のリード兄弟を中心に結成し、1984年にダグラス・ハート(B)とマレイ・ダーグリッシュ(Dr)が加わります。その後マレイが脱退したため、プライマル・スクリームのボビー・ギレスピー(Dr)が加入します。
 リリースされた『サイコキャンディ』は「セックス・ピストルズ以来の衝撃」と評されました。「イエスと聖母マリアの絆」というバンド名とは程遠い、ノイズまみれの轟音に甘いメロディというノイズポップを展開。そんなジザメリは後のシューゲイザーに大きな影響を与えることになります。

 「Just Like Honey」で開幕。音が遠くに聞こえるシャリシャリしたドラムに、歪んでノイジーな音を立てるギターは不快な印象もあったり。ですがジムの気だるく囁くような歌声はどこか心地良かったりします。歌唱スタイルはストーン・ローゼズにも継承されたか、後発のローゼズにも似た雰囲気を感じます。そんな1曲目を上回る衝撃を与える「The Living End」。核となる楽曲は昔のロックンロールなのですが、ウィリアムのギターが異常。音が割れんばかりにノイジーで金属質な音をかき鳴らすギターは、聴いていると強い嫌悪感を覚えるほど。良くも悪くも凄まじいインパクトです。続く「Taste The Floor」も轟音ギターが強烈にノイジーな音を出しています。耳障りなのですが、ヘタウマな歌は安らぎを与えてくれるというギャップ。「The Hardest Walk」は不快音は気持ち控えめに(聞けるレベルになっただけでノイジーですが笑)、メロディアスな側面を強調していますね。優しい歌は魅力的で、ノイズにやられた耳を少しだけ癒してくれます。「Cut Dead」はノイズを取り去り、アコースティックな雰囲気で優しいですね。他の楽曲もそうであるように、強いエコーのかかった音処理には時代を感じさせます。そしてキンキンとしたヒス音で始まる「In A Hole」。バックではロックンロールっぽい曲が展開されていますが、ザラザラしたノイジーなギターが大音量で歌をかき消して台無しです。笑 「Taste Of Cindy」も凄まじくノイジーですが、演奏と大きなギャップを持つポップなメロディは結構良かったりします。「Never Understand」はリズミカルなドラムが軽快さを生み、またキャッチーな歌メロも魅力的です。しかし相変わらずノイジーなギターを終始轟音でかき鳴らしていてキンキンしています。「Inside Me」はジョイ・ディヴィジョンにも通じる鬱々とした歌が特徴的。しかし耳をつんざくノイズはかなり酷く、耳を塞ぎたくなるほどの不快音のせいで折角のメロディが聴けません。そのため、次曲「Sowing Seeds」がクリーンで美しく聞こえるほど(これも単曲だとそれなりにノイジーです)。憂いを帯びたメロディアスな歌が魅力的です。「My Little Underground」は歌はローテンションですが、ノリの良いサウンドが爽快です。後半に向かうにつれてノイズ音が酷くなり、混沌としています。続く「You Trip Me Up」は、音のバランスを変えれば聴きやすい良曲になりそうですが、あまりに耳障りな音でダメでした…。「Something’s Wrong」もジョイ・ディヴィションを凄まじくノイジーにした感じ。メランコリックなメロディを抽出するととても心地良いんですけどね。ラスト曲「It’s So Hard」もキンキンと金属質な不快音が際立ちますね。歌は気だるげですが、終盤に向けて狂ったように叫びます。

 並のバンドでは全く敵わない、不快ですらあるノイジーなサウンドはとても強い衝撃を与えます。歌は意外に聴きやすいんですが、あまりにノイジーで人を選ぶ作品です。私は馴染めませんでした…。

Psychocandy
The Jesus And Mary Chain
 

Darklands (ダークランズ)

1987年 2ndアルバム

 前作の後ダグラス・ハート(B)が脱退、またボビー・ギレスピー(Dr)もプライマル・スクリームの活動に専念するために脱退してしまいます。ドラマー不在の穴はドラムマシーンを用い、ベースはジム・リード(Vo)、ウィリアム・リード(Gt)の2人が弾くことで対応しています。ノイジーな前作は相当の衝撃でしたが、本作ではけたたましいノイズを封印。個性を自ら捨ててしまいましたが、こちらの方が普通に聴きやすいですね。全英5位と、バンドのチャート最高位を記録しました。ウィリアムと、ビル・プライス、ジョン・ロダーの共同プロデュース。

 アルバムは表題曲「Darklands」で幕開け。轟音は息を潜め、普通のロックになった演奏は、爽やかながら切なさを持ち合わせています。メロディアスで心地良いですね。音の鳴らし方は1990年代を先取りしたような感じもします。「Deep One Perfect Morning」は低音ボイスでメロディアスな歌を聴かせます。前曲同様癒やし系。続く「Happy When It Rains」は爽やかなアップテンポ曲。トーンの低い歌はサビではトーンを上げて、そこに爽やかなギターが合わさり、開放的でキャッチーな印象を与えます。「Down On Me」はドライブ感のある軽快な疾走曲。歌だけは低血圧な感じでギャップがありますが、爽やかで浮遊感のある演奏は心地よい気分にさせてくれます。「Nine Million Rainy Days」は音数少なく、ベースの生々しい音に、呟くような暗鬱な歌が響き渡ります。歌は暗いですが、サウンドにはそこまでの暗さはなく、程良い心地良さを提供してくれます。続いて個人的には一番好みの「April Skies」。小気味良いギターで始まってドラムもリズミカル。ノリの良い演奏に揺られながら聴くメロディアスな歌が魅力的なんです。爽やかな演奏にジムの気だるげな歌唱で、心地良くて明るい気分にさせてくれます。「Fall」はジャカジャカかき鳴らすギターが、爽やかで程良くハードな印象。後半、エコーをかけて多重に響くボーカルが幻覚的な感覚を生み出しています。「Cherry Came Too」は甘いメロディが優しい良曲です。メロディアスな音色を奏でるギターも心地良い。「On The Wall」は同じフレーズを淡々と反復しています。気だるげな歌唱も含めて子守歌のような心地良さを感じます。ラスト曲は「About You」で、アコギが心地良い1曲。気だるげな声で歌う憂いのあるメロディが、優しく癒してくれます。

 前作を知った上で聴くと没個性的という印象を持ちますが、全体的にメロディアスで、時に軽快で、普通に良質なロックです。収録時間は前作とそこまで大差ないですが、すんなり聴けるからかトータル36分全10曲があっという間に感じられます。

Darklands
The Jesus And Mary Chain
 
 
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