🇬🇧 The Rolling Stones (ザ・ローリング・ストーンズ)

ブートレッグ

Nasty Music

1977年

 ブートレッグ(海賊盤)は反則だろうと思いつつ、あまりに出来が良いのでレビューします。笑 数多くのロックバンドの中でもローリング・ストーンズは特にブートが多いことで知られていますが、そのストーンズのブートの中でも世界的に有名なのが本作。ミック・テイラー在籍期のライブで、ミック・テイラーのリードギターが凄すぎてキース・リチャーズとミック・ジャガーが嫉妬したので、この時期のライブが表に出てないという噂も。確かに完全にお株を奪っちゃっています。
 この時のメンバーはミック・ジャガー(Vo)、キース・リチャーズ(Gt/Vo)、ビル・ワイマン(B)、チャーリー・ワッツ(Dr)、ミック・テイラー(Gt)。1972年と1973年の公演からセレクトされており、楽曲の切れ目がぶつ切りだったり音質がガラリと変わる場面もあるものの、ブートにしてはかなり良好です。
 
 
 歓声の中始まるオープニング曲「Brown Sugar」は、会場の手拍子もあってイントロから既にノリノリです。原曲同様サックスも入るので、賑やかでとても楽しいです。続く「Happy」はイントロのキースのギターからしてキレッキレですね。血管ブチ切れのがなるようなシャウトもスリリングです。ツインギターの分厚いサウンドが高揚感を煽り、またスタジオ盤だとあまり聞き取れないビルのベースも心地良いリズムを刻んでいます。「Gimme Shelter」ではミックの哀愁の歌メロをかき消すくらいのツインギターやリズム隊が、緊張感を持ちつつも心地良い気だるさを提供してくれます。そんな演奏に負けじと、ミックの歌も野太くシャウト気味になって張り合っていますね。「Tumbling Dice」はルースで、そして晴れやかな雰囲気です。高音域を動き回るベースラインが魅力的。後半は手拍子もあって臨場感があり楽しいですね。「Heartbreaker」は音量控えめにシンプルに始まりますが、キャッチーなサビメロに入るとドライブ感のある演奏に惹き込まれます。そして後半のミック・テイラーのリードギターが凄い。スタジオ盤に比べてかなり出しゃばっていますが、スリリングでメロディアスなギターは魅力的です。続く「You Can’t Always Get What You Want」では聖歌隊も女性コーラスも不在です。ミックのソロ歌唱にメンバーのコーラスがあるだけ。ですが分厚い演奏によって物足りなさを感じさせません。全体的にメロウな雰囲気で、後半は色気のあるオシャレな長尺サックスソロをじっくりと聴かせます。「Dancing With Mister D」は気だるげな演奏を聞かせます。スタジオ盤だと目立たないベースが、ここではグルーヴを生み出すのに大活躍。続いて名バラード「Angie」。ミックの歌は高音が出ておらず少し不安定ですが、哀愁のピアノやメロディアスなギターなどの演奏は良い感じ。特にミック・テイラーのギターソロは魅力たっぷりです。

 Disc2は「Honky Tonk Women」で幕開け。気だるげに始まりますが、チャーリーのドラムと会場の手拍子によって一気にノリノリな印象へと変わります。キャッチーな歌メロは言わずもがな、賑やかな演奏やグルーヴィなリズム隊も魅力的です。ハーモニカが鳴り響くと「Midnight Rambler」が始まります。序盤からハイテンションで、かなり速くてノリノリな演奏を展開。間奏パートは演奏バトルと形容するべき、焦燥感を煽るとてもスリリングな演奏が展開されます。高速で大暴れする演奏バトルがとてもカッコ良く、かと思えば急激にスローダウンしてラウドな演奏と会場を煽るミック、そして会場とのやり取り。終盤は引きずるようにヘヴィな演奏を展開した後、最終盤で加速しノリノリのロックンロールで締め。約13分ありますが、緩急つけたメリハリのある演奏によって長さを感じさせません。「All Down The Line」は疾走気味のロックンロール。勢いのある演奏がとてもスリリングですが、これは少し音質が良くないかも。「Bye Bye Johnny」はチャック・ベリーのカバー曲。古臭いロックンロールですが、前曲に引き続き高いテンションでノリノリ。陽気で楽しい1曲です。一転して渋いブルース「Love In Vain」へ。これはロバート・ジョンソンのカバーです。音数の少なさ故に若干音質の悪さが目立つのは残念ですが、まったりとした演奏の中でメロディアスなギターをこれでもかと弾き倒すミック・テイラーのプレイは強烈です。ミック・ジャガーとキースを完全に食ってる。笑 「Sweet Virginia」はアコースティックで牧歌的なナンバー。サックスが魅力的です。そしてここから超ハイテンションのラストスパートへ。高速ロックンロール「Rip This Joint」で勢いをつけます。叩きつけるような力強いドラムに乗せて、歌うようなノリの良いベースに切れ味鋭いギター。サックスも激しいですね。ミックの歌も終始シャウト気味です。そのまま「Jumpin’ Jack Flash」へ。キャッチーなメロディと爽快なノリで、自然と楽曲に乗せられてしまいますね。原曲より速くて、音も分厚くてとてもスリリングな演奏に思わずガッツポーズ。素晴らしいです。そしてラスト曲「Street Fighting Man」。白熱した演奏で、バンド演奏と会場の手拍子が生み出す最高のノリ。そしてベースが効いていてグルーヴ感も抜群。臨場感のある演奏で熱気がよく伝わってきます。最後は加速を続けてテンションを極限まで高めて終了。最高のライブでした。
 
 
 オフィシャルではないのであまり大っぴらに薦められませんが、とてもスリリングで出来は凄まじくよいです。個人的には『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』や『ラヴ・ユー・ライヴ』より好みです。興味があれば中古ショップや西新宿あたりで探してください。笑

 
 

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 ロン・ウッド(Gt)がローリング・ストーンズ加入前に在籍していたバンド。

 
 
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