🇺🇸 The Strokes (ザ・ストロークス)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Is This It (イズ・ディス・イット)

2001年 1stアルバム

 ストロークスは1999年に米国ニューヨークで結成しました。ジュリアン・カサブランカス(Vo)、ニック・ヴァレンシ(Gt)、アルバート・ハモンドJr.(Gt)、ニコライ・フレイチュア(B)、ファブリツィオ・モレッティ(Dr)の5人から成ります。
 2000年代前半に突如ブームとなったガレージロック・リバイバルムーブメントの火つけ役となったストロークス。それまでポストロックだとか音響系の作品も増えていて、音が様々加工され隙間なく埋められるような音楽が流行っていた時代にリリースされた本作は、時代にそぐわないスカスカな音作りでした。本国米国よりも先に英国で火がつき、ガレージロックバンドが続々と登場するきっかけになりました。

 アルバム発売前から相当持ち上げられたことから「Is This It (これがそれ?)」と皮肉を込めたタイトルがついたそうです。しかしそれが過大評価になることないその実力、シンプルなロックンロールがとてもよく聴こえるのはジュリアンの優れたメロディセンスの為せる業でしょう。全曲がジュリアンの作曲です。ゴードン・ラファエルのプロデュース。
 ボーカルのジュリアンのしゃがれた声質がルー・リードにそっくりなせいか、音のシンプルさも相まってヴェルヴェット・アンダーグラウンドをモダンにしたかのような印象を受けました。テレヴィジョンからの影響を指摘する人もいますね。ストロークスもニューヨーク発ですし、ニューヨークパンクの系譜を継ぐ正統な後継者という感じです。

 表題曲「Is This It」で開幕。シンプルなギターにドラム。音はスッカスカで、ボーカルも冷め切った歌を披露します。でもメロディがとても良くて、聴けば聴くほど虜になっていきます。後半に加わるグルーヴ感のあるベースもカッコいい。続く「The Modern Age」はテンポを上げてノリの良い楽曲です。熱量のある楽曲ですが、ジュリアンのボーカルは叫んでいてもどこか冷めた感じ。アルバム通してこんな感じで、クールな印象を抱きます。「Soma」はツインギターの絡みや展開にテレヴィジョンを彷彿とさせます。「Barely Legal」は個人的に最も好きな1曲です。メリハリのあるノリの良いサウンドに浸っていたら、サビでは別の楽曲のようなメロディ変化。まるで2つの曲をくっつけたかのように、一粒で二度美味しいという印象を抱きます。「Someday」はテンポは早めですがメロディ重視な印象を受けます。間奏のベースソロがたまりません。「Alone, Together」は前半に音の隙間を強く感じます。スッカスカです。でも渋さとスタイリッシュさを兼ね備えているという。後半激しくなる展開がアツく、ギターの熱量が凄いです。「Last Night」はレトロな雰囲気の楽曲。ドラムを中心にベースやリズムギターも一体になって作り出すリズム感が気持ち良くて、身体が自然と動きます。「Hard To Explain」はリードギターがざらついていて、明るくもノイジーです。これもリズム感が心地良い。続く「When It Started」では前半の雰囲気が少し影があってポストパンクのよう。後半は明るいですけどね。笑 「Trying Your Luck」ではギターにテレヴィジョンのような雰囲気を感じます。サウンドを引き締めるベースが渋くてカッコいい。「Take It Or Leave It」でアルバムを締めますが、最後までスカスカで、最後までノリが良く、メロディが良い。素晴らしい作品です。

 アルバムトータルでも40分満たないし、音作りも至ってシンプル。しかしシンプルさがメロディの良さを引き立てるのか、終始心地よく、あっという間に聴き終わってしまう作品です。作風としては1960年代くらいのロックンロールに回帰しているものの、野暮ったさや芋臭さは感じられず、むしろモダンさがあるというかスタイリッシュに仕上げられている感じです。だからこそ逆に真新しくてムーブメントに繋がったのかもしれません。
 ガツンと来るタイプではないのですが、メロディが良く、聴けば聴くほど自分の中での評価が上がっていきます。じわじわとくるスルメ盤です。

Is This It
The Strokes
 

Room On Fire (ルーム・オン・ファイア)

2003年 2ndアルバム

 ロック界に大きな影響を与えた前作。2000年代の名盤として評論等でも前作が取り上げられることが多いように思いますが、本作も前作を踏襲したシンプルな作風はそのままに、クオリティも維持しています。スタイリッシュに感じるのは、どこか冷めた感じがあるからでしょうか。当初は、レディオヘッド等を手掛けたナイジェル・ゴドリッチがプロデュース予定でしたが意見が合わず、最終的に前作同様ゴードン・ラファエルがプロデュースしています。全てがジュリアン・カサブランカスの作曲で、ポップな楽曲が並びますが、しゃがれ声で歌うこのギャップ。

 オープニング曲は「What Ever Happened」。しゃがれ声で叫ぶジュリアン・カサブランカスは、前作同様に程よく冷めた印象。サウンドも前作の延長にあって、前作が好きな人は安心して聴けます。続く「Reptilia」はキャッチーなギターがとても心地よい1曲で、強烈に存在感を示すベースとセットでとても魅力的なサウンドです。ボーカルよりバックのサウンドの方が目立っていますね。実は初めて聴いたとき、可愛いという印象を受けました。媚びてる訳でもなんでもないんですが、ギターのキャッチーな音色にそう感じたのかもしれません。本作ではこの楽曲が一番好みです。「Automatic Stop」は強烈なベースの上で、トーンの明るいギターと暗いギターがうまく絡んで何とも言えない哀愁を生み出しています。メロディアスな1曲です。続く「12:51」ではキーボードのような角の取れたギターが聴けます。…というより、最初キーボードだと思いました。ポップで聴きやすい楽曲ですね。「You Talk Way Too Much」では一転して、ギターはエッジを効かせてざらついた感触。間奏では金切音を立てますが、少しノイジーなサウンドはメロディアスな歌と合わさって心地良さを感じます。「Between Love & Hate」はビート感のあるドラムがダンサブルな雰囲気を作ります。でもドラム以外の楽曲はレトロな雰囲気でじっくり聴かせるという、少しギャップがありますね。「Meet Me In The Bathroom」はバキバキのメタリックなベースが非常にカッコいい1曲。ジュリアンの歌は気だるげですね。ゆったりとした「Under Control」はメロディアスな楽曲。1970年代の楽曲のような、少し古臭いけど温もりを感じるサウンドには安らぎを覚えます。前曲から一転してハードな楽曲「The Way It Is」を挟んで、「The End Has No End」は始まり方も終わり方も唐突な1曲です。序盤の音は隙間だらけ。途中からキーボードのような音色のギターが加わりますが、その音色はガンズ・アンド・ローゼズの「Sweet Child O’ Mine」を彷彿とさせます。ラストはテンポの速い「I Can’t Win」。でも楽曲のスピードに合うようなアツさは感じず、どこか冷めています。そこがストロークスの、クールでカッコいいところでもありますね。

 ギターの鳴らし方にも少し変化に富んだり、メロディにも全体的にポップさが増加していて、むしろ前作よりも取っつきやすさは向上しているかもしれません。30分強の短い作品で、サクッと聴けるのも良い点です。

Room On Fire
The Strokes
 
 
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