🇬🇧 The Style Council (スタイル・カウンシル)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Café Bleu (カフェ・ブリュ)

1984年 1stアルバム

 スタイル・カウンシル、通称スタカン。イングランド出身のロックバンドです。元ザ・ジャムのポール・ウェラー(Vo/Gt/Key)と、ミック・タルボット(Key)を中心に1982年末に結成しました。メンバーは流動的ですが、スティーヴ・ホワイト(Dr)や、ポールの当時の彼女であるD.C.リー(Vo)もメンバーに数えられます。
 ジャズやソウルを取り入れたオシャレな楽曲は、ネオアコースティックやソフィスティポップに位置づけられます。ザ・ジャムのラストアルバムを手掛けたピーター・ウィルソンと、ポール・ウェラーの共同制作。アルバムは全英2位を獲得しました。なお米国では同名シングルのヒットにあやかって『My Ever Changing Moods』というタイトルに改題されています。

 「Mick’s Blessings」はミックの弾く、軽快なタッチのピアノを楽しめる小曲です。バックのタンバリンも合わせてノリノリですね。続く「The Whole Point Of No Return」はポールのメロディアスな歌をフィーチャーした楽曲で、エレアコを静かに鳴らす演奏は落ち着いています。小気味良くて優しいですね。「Me Ship Came In!」はインストゥルメンタル。華やかなサックスとトランペット、ジャジーなピアノを鳴らして、終始ドラムがジャジーかつリズミカルに刻みます。ジャズ演奏に浸れますね。「Blue Café」もインストゥルメンタルで、まったりとしてジャジーな演奏を優雅なストリングスで彩ります。ノスタルジーを感じられ、レトロ映画の一場面のBGMのようです。「The Paris Match」ではエヴリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンとベン・ワットが参加、トレイシーのアルト声は少年のような歌声です。スローテンポでゆったりとした楽曲で、時折流麗なピアノに癒やされます。「My Ever Changing Moods」はピアノ伴奏に乗せて、ポールが高音キー主体のハスキーでソウルフルな歌を聴かせてくれます。途中から感情たっぷりの演奏に合わせてピアノも熱量を増すものの、激しい音ではありません。「Dropping Bombs On The Whitehouse」は「ホワイトハウスへ爆撃」という物騒なタイトルとは裏腹に、オシャレでノリノリなジャズを聴かせます。トランペットとサックスのユニゾンに、ジャジーなベース・ドラムが加わって、スウィングするような躍動感ある演奏で楽しませます。
 レコードB面に突入すると、それまでの流れとはうって変わります。「A Gospel」ではファンキーなダンスソングを展開、あまりの変貌っぷりに驚きます。グルーヴ抜群のベースに打ち込みのビート、そこにラップ的な歌唱を乗せます。合いの手に加えてハンドクラップも入ってきたり…。続く「Strength Of Your Nature」もニューウェイヴ全開の、ノリノリのダンスチューンです。華やかなシンセサイザーの大胆な活用に加えて、同じようなフレーズの反復、ファンキーなギターにグルーヴィなベース、更には電子ドラムも使っているようです。ぶっ飛んでいますが、やみつきになる中毒性があります。一転して「You’re The Best Thing」はアルバム前半の延長のような、まったりとリラックスした雰囲気が漂います。パーカッションには強めの残響があり、そして柔らかなアコギやメロディアスかつソウルフルな歌にゆったり癒やされます。「Here’s One That Got Away」は牧歌的かつ小気味良い楽曲で、ギターポップ的ですね。躍動感あるリズム隊に、アコギとヴァイオリンが爽やかな風を吹かせます。続く「Headstart For Happiness」は、リズミカルでノリノリな演奏に加えて、トランペットやピアノ等も加わって華やか。でもアコギだけは憂いというか落ち着いたトーンですね。ポールとD.C.リーによるソウルフルなデュエットを聴かせます。最後の「Council Meetin’」はインストゥルメンタル。小気味良く刻むドラムに加えて、オルガンの音色が気持ち良いです。

 全体的に落ち着いたジャズ・ボサノバ風味ですが、場違いなノリの良いダンスチューン「A Gospel」と「Strength Of Your Nature」がアルバムの流れを阻害します。でもこの2曲があるからアルバムが締まるような気もします。

Café Bleu
The Style Council
 
Our Favourite Shop (アワ・フェイバリット・ショップ)

1985年 2ndアルバム

 スタイル・カウンシル唯一の全英1位を獲得アルバムで、商業的に最も成功した作品です。前作よりも歌ものとしての側面を強めています。米国では『Internationalists』というタイトルに改題され、収録曲も一部差し替えられていますが、ここで追加された「Shout To The Top」という楽曲が名曲なんです。『アワ・フェイバリット・ショップ』だと再発盤やデラックスエディションのボーナストラックとしてこの楽曲を聴くことができますが、オリジナルには含まれていなかったそうです。

 オープニング曲「Homebreakers」はファンク色が強い楽曲で、ゆったりとしたテンポでグルーヴ感の強いベースを刻みます。華やかなホーンが彩りを加えますが、オルガンの味付けやブルージーなギターは旧き良きロックを想起させる渋さがあります。そして低音を効かせたダンディな歌声を聴かせます。「All Gone Away」は陽気なパーカッションとアコギにより、トロピカルなムードが漂います。リラックスした楽曲に、ポール・ウェラーの甘いボーカルが優しいですね。続く「Come To Milton Keynes」もリズミカルかつ明るい雰囲気で、ポップで牧歌的な歌メロをオルガンやピアノ、ストリングスなどの彩り豊かな音色で飾ります。レトロ映画の挿入歌のような印象を受けますが、時折サイケな音色を織り交ぜています。そして米国盤ではタイトルトラックとなる「Internationalists」。ファンキーなギターを鳴らしながらもキレのある演奏、そして力強くソウルフルな歌唱もメリハリがあってアルバムを引き締めます。テンション高くスリリングな楽曲なのでカッコ良いですね。「A Stones Throw Away」は優雅だけど憂いを帯びたストリングスで幕開け。ポールの歌もアンニュイです。続く「The Stand Up Comic’s Instructions」は僅か1分半の楽曲です。黒っぽい楽曲で、ファンク色の強烈な演奏にだみ声の歌を乗せます。渋くてカッコ良い。「Boy Who Cried Wolf」は感傷的なシンセや電子ドラムの音色に、悪い意味での時代を感じます。ファンキーなギターが楽曲を引き立てています。
 アルバム後半は「A Man Of Great Promise」で幕開け。チャペルの鐘の音から、躍動感あるポップな楽曲を繰り広げますが、メランコリックなメロディにより感傷的な気分を誘います。「Down In The Seine」はアコギをかき鳴らしながら3拍子の気持ちの良いワルツを繰り広げます。アコーディオンによる味付けも良いアクセント。「The Lodgers (Or She Was Only A Shopkeeper’s Daughter)」は女性ボーカルで始まり、グルーヴ感のあるポップな演奏をバックにR&B風の歌を展開。黒っぽいコーラスも用いて哀愁漂うメロディを歌います。続いて「Luck」は爽やかなポップ曲ですが、楽器の音色のせいか古臭さを感じてしまいます。「With Everything To Lose」はバカンスな空気が漂う陽気で明るい楽曲です。ピアノが楽曲に透明感を与え、パーカッションやメロウなギターが南国っぽい風を吹かせます。そして表題曲「Our Favourite Shop」。ダーティでグルーヴィな重低音を鳴らしながら、リズミカルな演奏を繰り広げるインストゥルメンタルです。怪しげですがノリノリで、スリリングなので中々カッコ良いです。「Walls Come Tumbling Down!」は晴れやかで華やかなポップ曲。弾けるようなキレのある演奏はブラスに彩られてキラキラしており、パワフルな歌をソウルフルに聴かせてくれます。
 そして前述の通り、CD再発盤のボーナストラックとして聴ける「Shout To The Top (USA Mix)」、これが突出した名曲なんです。CM曲としても使われていたみたいですね。ストリングスが焦燥感を煽り、跳ねるようなベースが躍動感を生み出します。メロディアスな歌メロも印象的です。

 全体的にファンク色が強く、1980年代ポップス風味に味付けされたR&Bという印象に仕上がっています。ストリングスやシンセがちょっと古臭くて、悪い意味での時代を感じます。

Our Favourite Shop
Deluxe Edition (2CD)
The Style Council
Our Favourite Shop
The Style Council
 
 

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