🇬🇧 Tony Banks (トニー・バンクス)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

A Curious Feeling (ア・キュリアス・フィーリング)

1979年 1stアルバム

 アンソニー・ジョージ・”トニー”・バンクス、1950å¹´3月27日生まれ。英国のプログレバンドジェネシスのキーボーディストとして活躍しています。ショスタコーヴィチやマーラーに影響を受けているそうで、メロトロンによる幻想的な演出や、シンセによるカラフルな彩りを与えたりとジェネシスの世界観構築に大きな影響を与えています。ライブでは若干危なっかしい速弾きプレイも聴きどころ。笑 緻密なアレンジも彼の魅力で、『トリック・オブ・ザ・テイル』では全編に渡り作曲に携わり、ピーター・ガブリエル脱退によるバンドの危機を乗り越えた名盤となりました。
 本作はそんなトニー・バンクスのソロ1作目となります。ジェネシスの作品を手がけたデヴィッド・ヘンチェルのプロデュースで、キム・ビーコン(Vo)と、ジェネシスのサポートミュージシャンとしてお馴染みチェスター・トンプソン(Dr)が参加。キーボードだけでなくギターとベースもバンクスによる演奏です。

 インストゥルメンタル「From The Undertow」で開幕。電子ピアノが重厚な雰囲気を醸し出し、繊細で悲しげな音色を奏でます。そしてシンセが電子ピアノのバックで色鮮やかに演出。「Lucky Me」は序盤まったりとした雰囲気ですが、分厚い鍵盤がメランコリックな歌メロを引き立てて、感傷的な気分にさせます。キム・ビーコンのかすれ気味な声も悪くないのですが、正直フィル・コリンズに歌ってもらいたかったです。それだとジェネシスですけどね。笑 続いて「The Lie」はリズミカルなドラムが心地良い1曲。全体的に明るい雰囲気ですが、どこか憂いを帯びています。場面転換が多く、時にスリリングな一面を見せてくれます。「After The Lie」は憂いを帯びた序盤からドラマチックに盛り上げていきます。盛り上がったところでみせるバンクスのシンセソロと、チェスター・トンプソンのドラムがスリリングで、焦燥感を煽ります。これがカッコ良いんです。そして表題曲「A Curious Feeling」はまったりとしてポップな楽曲。パーカッションとカラフルなシンセが、明るくて心地良い雰囲気を作り出します。「Forever Morning」は華やかで分厚いシンセを聴かせるインストゥルメンタル。テンポはゆったりとしていますが、バンクスの鍵盤の洪水に埋もれたい人にはとても楽しめる楽曲でしょう。
 アルバム後半は「You」で開幕。強い憂いに満ちた楽曲で、前半は「Ripples…」に雰囲気が似ています。件の楽曲ほどサビメロにパワーはないですが…。そしてなんと言っても聴きどころは後半の演奏パート。歌メロが終わると突如テンポアップして始まるスリリングな演奏はあまりに魅力的です。トンプソンのドラムに支えられ、「The Cinema Show」にも似たカラフルなシンセの独壇場。バンクスのソロにこういうのを期待していたんですよね!続く「Somebody Else’s Dream」は8分近い楽曲。テンポはゆっくりですが力強いドラムをバックに、鍵盤のドリーミーな音色が飛び交います。キム・ビーコンの歌唱も力強いですね。本家で翌年リリースする『デューク』に入っていそうな楽曲です。「The Waters Of Lethe」はインストゥルメンタル。電子ピアノが切なくも心地良い音色を奏でますが、途中から華やかなシンセがメランコリックな感覚を伴いながら盛り上げ、ギターも加わります。これも『デューク』収録曲っぽい雰囲気です。6/8拍子で展開する「For A While」は優しい雰囲気で、まったりポップな感じ。そしてラスト曲「In The Dark」はピアノが優しく、またシンセがドリーミーな音色を奏でますが、どこか寂寥感が漂います。

 アルバム序盤の大人しいイメージが強く、勝手に地味な印象を抱いてあまり聴いていませんでした。しかし聴き直してみると中盤以降はスリリングな楽曲も多く、特に「After The Lie」や「You」では速弾きシンセで楽しませてくれます。バンクスがジェネシスのサウンドの要だと知らしめてくれる好盤ですね。

A Curious Feeling (CD+DVD)
Tony Banks
 
 

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