🇺🇸 Toto (TOTO)

レビュー作品数: 7
  

スタジオ盤

Toto (TOTO~宇宙の騎士)

1978年 1stアルバム

 TOTOはボズ・スキャッグスのバックバンドとして集められたスタジオミュージシャンが結成しました。元々スタジオミュージシャンとしての経歴を重ねたメンバーが揃っているため実力は折り紙つきです。メンバーはボビー・キンボール(Vo)、スティーヴ・ルカサー(Gt/Vo)、デヴィッド・ハンゲイト(B/Gt)、デヴィッド・ペイチ(Key/Vo)、スティーヴ・ポーカロ(Key/Vo)、ジェフ・ポーカロ(Dr)。バンド名の由来は諸説あって、そのうちの一つに、来日時にリップサービスで「TOTOの便器が気に入った」とか言ったそうです。日本でのバンド名表記が「トト」でもなく「Toto」でもなく「TOTO」としたのはこの辺のエピソードもあるかもしれませんね。しかし後年「トイレメーカーと一緒の名前で嫌だった」というインタビュー記録もあるそうで。笑
 キャッチーな楽曲の多くはデヴィッド・ペイチによる作曲で、TOTOのセルフプロデュース作。

 名インストゥルメンタル「Child’s Anthem」で始まります。キャッチーで、そして高揚感を煽るオープニングは耳に残りますね。とてもカッコ良い1曲だと思います。比較的最近、CMで流れていましたね。続く「I’ll Supply The Love」はストレートなロックで、時折ファンキーでグルーヴ感のあるパートを挟んでメリハリをつけます。爽やかな歌声はキンボールによるものですが、複数のボーカル担当がいるのもTOTOの特徴でしょう。そして本作のハイライト「Georgy Porgy」は、ピアノ主体のゆったりとした曲調でとてもお洒落な楽曲です。ここではルカサーがボーカルを取り、またサビでは女性ゲストボーカルのシェリル・リンによるソウルフルな歌唱を堪能できます(特に終盤は圧巻)。それを引き立てるようなメロウでジャジーな演奏が、お洒落さを演出しています。このオープニング3曲の流れがとても良いんです。続いて「Manuela Run」は軽快な1曲。イケボのペイチが歌うポップで甘いメロディも魅力的ですが、ジェフ・ポーカロのドラムも聴いていて気持ち良いんですよね。「You Are The Flower」は少し色気のあるメロウな楽曲。キンボールの渋くてソウルフルな歌も魅力です。
 レコード時代のB面、アルバム後半は「Girl Goodbye」で開幕。スペイシーなイントロから、フュージョン的なスリリングな演奏を展開。ですが歌が始まると爽やかでキャッチーな、メリハリのついたロックンロールといった趣に変わります。ジェフ・ポーカロのドラムとハンゲイトのベースが生み出す抜群のグルーヴ感が特に良いですね。スティーヴ・ポーカロがボーカルを取る「Takin’ It Back」はゆったりまったりとしています。1980年代中期に流行った楽曲を先取りしているかのよう。じっくりと聴かせる楽曲です。続く「Rockmaker」はアップテンポの明るい1曲。ルカサーのギターソロが良い味を出しています。そして後半のハイライト「Hold The Line」。3連符を刻む洗練されたキーボードに、程良くハードなギターが印象的です。粗さのない洗練されたハードロックといった感じ。メロディもキャッチーで耳に残ります。最後はバラード曲「Angela」。AORの代表格ともされるTOTO、メロウで胸に響くバラードをじっくりと聴かせます。ただしハードな一面もあって、中々聴きごたえのある楽曲です。

 とにかくポップセンス溢れる楽曲で、とても聴きやすい作品です。TOTOはこれか『TOTO IV~聖なる剣』が傑作だと思います。

 なおリマスターについては、Culture Factory製のものが良いという評価を見かけて買ったところ、リマスター以前のCDと比べ劇的に音質が向上しました。音像がくっきりして靄が晴れたかのような感じ。リマスターで買い換えた作品はいくつかあるものの、ここまで明確に効果が出たと思うものも珍しいです。同様に『ハイドラ』と『聖なる剣』も買い直しましたがいずれも大当たりでした。レコード風のCDレーベルや紙ジャケもなかなかしっかりしていて、パッケージCDとして買う場合、TOTOはCulture Factory製リマスターがおすすめです。

Toto
Toto
 

Hydra (ハイドラ)

1979年 2ndアルバム

 TOTOは、ボストンやジャーニーらとともに、プログレハードあるいは産業ロックに分類されることもあります。そのいわれの根拠であろう本作は若干プログレに寄った作品ですが、あくまでエッセンスに少し加えた程度でプログレのような難解さはないです。ポップさは相変わらずですが、若干の荒々しさと、そして憂いや美しさを纏ったアルバムに仕上がっています。トム・ノックス、レジー・フィッシャーとTOTOのプロデュース。なおジャケット写真の剣を持った男はスティーヴ・ポーカロだそうです。

 オープニングを飾る表題曲「Hydra」は7分半に渡る楽曲で、展開が少しプログレ風味。静寂の中に金属音が一瞬響き、そこからシンセがリードするメロディアスで壮大なイントロが始まります。そして歌が入る頃にはファンクっぽいグルーヴ感に満ちた楽曲へと変わり、時折ハードロックっぽさも出してくる。変化に富んでいますが、主軸の歌メロがキャッチーなので聴きやすいです。終盤はテクニカルな演奏を見せつけます。続く「St George And The Dragon」も前曲のようにファンタジーなテーマで、メロディアスで聴きやすい楽曲です。程良くハードで、ジェフ・ポーカロの激しいドラムや、スティーヴ・ルカサーのギターソロが魅力的。そしてキャッチーさを加えるキーボードの味付けが中々良い。そして本作で一番目を引くのはやはりヒット曲「99」でしょうか(表題曲も甲乙つけがたいですが)。ピアノの音色が美しいバラードで、ほのかな哀愁が漂います。リードボーカルはスティーヴ・ルカサー。メロディアスな歌にピアノも魅力的なのですが、意外とバックのリズム隊がいい味を出してるんですよね。デヴィッド・ハンゲイトのベースにジェフ・ポーカロのドラムがグルーヴィです。これら前半3曲が特に魅力的なのです。続く「Lorraine」は哀愁が漂う序盤から、ノリの良い軽快なロック曲へと変わります。
 後半も佳曲揃いです。軽快なハードロック曲「All Us Boys」で幕開け。デヴィッド・ペイチがボーカルを取るこの楽曲は、ずば抜けてカラッとしていて陽気。アメリカンな楽曲ですね。後半のキャッチーな歌の反復も耳に残ります。続いて「Mama」はジャジーでメロウな楽曲。お洒落なサウンドで、特にジェフ・ポーカロのドラムが魅力的です。そしてボーカル専任のボビー・キンボール、彼のソウルフルなハイトーンが大人びた雰囲気を助長します。「White Sister」はノリの良いハードロック曲。終盤、ルカサーのギターがギュンギュン鳴り、TOTOは単なるお洒落なだけのバンドではないと言わんばかりに、ハードロック的な側面も見せつけます。 そしてラストの「A Secret Love」はスティーヴ・ポーカロのボーカル曲。シンセやピアノが折り重なり、しっとりとしたバラードを披露。派手さはありませんが幻想的です。

 本作はボーカル以外は一発録りのようで、スタジオミュージシャンとして活躍していたメンバー皆の実力の高さがよくわかる作品です。特にジェフ・ポーカロのドラムが凄い。
 『宇宙の騎士』や『聖なる剣』に比べるとやや派手さに欠くものの、佳曲揃いの本作。聴き込めばその良さはじわじわと伝わってくるのではないでしょうか。

Hydra
Toto
 

Turn Back (ターン・バック)

1981年 3rdアルバム

 TOTO流へのへのもへじ。シンプルなのはジャケットだけでなく、サウンドもシンプルです。ギターを引き立てた、ややハードでストレートなロックを展開します。日本では受け入れられたそうですが、全米41位とこれまでの2作を下回り、本国ではいまいち振るわない作品だったようです。AORを脱却しつつあったことも要因かもしれません。次作はAORに回帰した大傑作を生み出すことになります。
 本作のプロデュースはジェフ・ワークマンとTOTO。ちなみにジョー・ポーカロがゲスト参加でパーカッションを叩きますが、彼はポーカロ三兄弟(Drのジェフ・ポーカロ、後に加入するBのマイク・ポーカロ、Keyのスティーヴ・ポーカロ)の父親です。

 オープニング曲はピアノが軽快なロックンロール「Gift With A Golden Gun」。ボビー・キンボールの爽やかな歌声が、疾走感溢れる楽曲とマッチしてとても爽快です。続く「English Eyes」は、スティーヴ・ルカサーの荒いギターリフに合わせてオルガンもユニゾンして独特のリズム感を作り出し、これをリズム隊と甘い歌メロが引き立てます。ひたすら反復するフレーズが妙に耳に残ります。「Live For Today」はアメリカンなハードロック。シンプルでほどよくブルージー、そしてメロディアスな歌が良いですね。「A Million Miles Away」は煌びやかなイントロからしっとりムードのバラード曲。デヴィッド・ペイチのソングライティングが光ります。ただ音量の強弱が極端すぎるかな。静かな場面は極端に静かで、音量を上げるとサビが爆音になってしまうという。
 アルバム後半は「Goodbye Elenore」で幕開け。キャッチーで、躍動感に溢れるロック曲です。ジェフのドラムが激しいですね。そしてキンボールのハイトーンが爽やかに響き渡ります。間奏のグルーヴ感に溢れる演奏も気持ち良いです。ここからはラスト曲まで3曲繋がったメドレーになっています。まず「I Think I Could Stand You Forever」は憂いのあるアコースティックな序盤から、荒いギターが主導するロック曲へ。テンポはゆったりしていますが、力強いドラムが強烈。そして表題曲「Turn Back」。シリアスな雰囲気のイントロから、少し暗い歌が始まります。時折シンセが彩りを与えますが、全体的にヘヴィなサウンドでスリリングです。そして「If It’s The Last Night」はメロウなバラード。音の強弱は結構はっきりしているものの、メロディがやや地味な印象ではあります。

 爽やかな楽曲が多くて、聴き心地が良いです。ただ突出した名曲には欠ける印象で、個人的には手に取る回数は少なかったり。

Turn Back
Toto
 

Toto IV (TOTO IV~聖なる剣)

1982年 4thアルバム

 TOTOのセルフプロデュース作。本作はグラミー賞6部門を受賞した大ヒットアルバムで、TOTOの代表作であるとともに、1980年代を代表する名盤の一つです。「Rosanna」と「Africa」という必殺のキラーチューンを収録した、洗練されてとてもオシャレな作品です。BGMとして流すのに向いている心地よいアルバムですね。「Africa」は最近ウィーザーがカバーして話題になりました。

 1曲目の「Rosanna」はTOTOの代表曲で、とてもオシャレな名バラードです。ジェフ・ポーカロ(Dr)によるとても心地の良いドラム。このリズムパターンはハーフタイム・シャッフルと呼ばれ、かなり高度なテクニックをしれっとこなしているのだそうです。ドラムだけでなく歌メロもキャッチーで、この楽曲ではスティーヴ・ルカサー(Gt/Vo)とボビー・キンボール(Vo)がボーカルを担当。コーラスワークも含め「ロザーナ」の連呼で耳に残ります。そして間奏の華やかなシンセとギターも気持ち良い。続く「Make Believe」は流麗なピアノとハードなギターの対比が爽快。お洒落でメロディアスです。そして終盤のメロウなサックスも良い味を出していますね。「I Won’t Hold You Back」は大人びた感じのバラードです。ルカサーがボーカルを取る1曲で、サビ部分の哀愁に満ちたメロディアスな歌と美しいコーラスワーク、オーケストラを起用した壮大な演奏が強く印象に残ります。泣きのギターもぐっときますね。「Good For You」は一転して、軽快なリズムが心地良いポップな1曲です。そして「It’s A Feeling」で少し落ち着いた雰囲気になります。アダルティな雰囲気のこの楽曲でボーカルを取るのはスティーヴ・ポーカロ(Key/Vo)。
 アルバムは後半に突入。「Afraid Of Love」はストレートで軽快なロックンロールです。乾いたギターとタイトなドラムを中心に、アメリカンな陽気さを演出。途中からシンセで煌びやかさも加わりますね。そして途切れずに続く「Lovers In The Night」もストレートなロック曲です。ボーカルはデヴィッド・ペイチ(Key/Vo)が担当。間奏のルカサーのギターソロはカッコ良いですね。「We Made It」は、少しトリッキーなリズムを刻みますがキャッチーな楽曲です。サビの跳ねたリズムとコーラスワークが爽快で、聴いていると元気を貰えます。「Waiting For Your Love」はデヴィッド・ハンゲイト(B/Gt)のファンキーなベースが映えますね。グルーヴ感を持たせつつも大人びた雰囲気です。そしてラストに名曲「Africa」。ペイチがボーカルを取ります。パーカッションにほんのりとアフリカンなテイストを加えつつも、自然な感じで取り入れていて、とても聴きやすいサウンドです。そしてコーラスワークの美しいサビでは、どこまでも広がりを見せるアフリカの広大な大地、雄大な自然を想起させます。TOTO最大のヒット曲となりました。

 TOTO最高の2曲が収められていることに加え、全体的な水準が高く、耳触りの良い佳曲揃いです。メロディアスなお洒落ポップなので、とても聴き心地がよいです。AORの名盤です。

 なお本作リリース直後に、デヴィッド・ハンゲイトが脱退し、代わりにマイク・ポーカロ(B)が加入することになります。ポーカロという姓がまたも出てきましたが、長男ジェフ・ポーカロ(Dr/Vo)、次男マイク・ポーカロ(B)、三男スティーヴ・ポーカロ(Key/Vo)という三兄弟がTOTOに揃うことになるのでした。

Toto IV
Toto
 

Isolation (アイソレーション)

1984年 5thアルバム

 前作発表直後にデヴィッド・ハンゲイトからマイク・ポーカロへのベーシスト交代がありましたが、更に本作の制作途中にボビー・キンボールが脱退し、ファーギー・フレデリクセン(Vo)が加入するという専任ボーカリストの交代もありました。TOTOの場合はボーカル兼任メンバーも多いのですが、とはいえリードボーカルが変わるとイメージは結構変わりますね。そんな新加入のフレデリクセンは本作限りの参加です(アルバムが前作に比べると不発だったこともあり、ファーギーと他メンバーの険悪化が原因だとか)。
 ジャケットアートからR&Bっぽい楽曲を連想するものの、蓋を開けると産業ロックとも言えるような、メロディアスなハードロック全開。躍動感に溢れる作品です。TOTOのセルフプロデュース作。

 アルバムは「Carmen」で開幕。イントロから、シンセや音づくりに時代を感じさせます。そして少しハードなサウンドを展開。フレデリクセンとデヴィッド・ペイチがボーカルを交互に交わす疾走感のある楽曲です。続く「Lion」は少しファンキーでお洒落な楽曲。シンセで華やかに彩られた豪華なサウンドに、フレデリクセンの高音が響き渡ります。続く「Stranger In Town」はダンスビートの効いたアッパーな楽曲です。前2曲のハイトーンを聴いていると、この楽曲にペイチの低いイケボは少しギャップがあったり(合ってない訳じゃないです)。強いビートを刻むジェフ・ポーカロのドラムが爽快感を生み出します。「Angel Don’t Cry」はメロディアスなハードロック。緊迫感はあるものの爽快な楽曲で、特にサビは煌びやかな印象です。間奏はシンセやギターソロがゴージャスな感じ。「How Does It Feel」はスティーヴ・ルカサーがボーカルを取るバラード。ノリの良い楽曲群の中でひと息つける1曲です。
 アルバム後半に入り、「Endless」はグルーヴ感のあるリズム隊が気持ち良い1曲。フレデリクセンの高音を活かしたR&Bっぽさもある楽曲です。続いて表題曲「Isolation」。ストレートなハードロックでルカサーのギターがカッコ良く、またピアノやシンセがカラフルに彩ります。そして歌はメロディアスでポップ。コーラスも効果的に用いてとてもキャッチーです。「Mr. Friendly」はリズム隊とフレデリクセンの掛け合いが爽快なハードポップ。キャッチーで煌びやかなサウンドですが、程よい緊張感を保ちスリリングな一面もあります。どことなくエイジアっぽい。続く「Change Of Heart」もキャッチーなハードロック。メロディは少し弱いものの、キレのあるサウンドとハイトーンボイスによって、とても爽やかな印象です。最後の「Holyanna」。煽り立てるようなジェフ・ポーカロのリズムビートが爽快。軽快なサウンドとは対照的にペイチの歌声は大人びていて落ち着いていますが、この組合せが意外と合うんですね。

 『ターン・バック』と並んでハードな作品で、更にシンセの煌びやかな味付けが加わったことで、よりキャッチーで産業ロック然としていますね。時代を感じる作風ではありますが、ジャーニーとか好きな人にはたまらないんじゃないかと思います。個人的には中々の良作です。

Isolation
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Fahrenheit (ファーレンハイト)

1986年 6thアルバム

 ファーギー・フレデリクセン(Vo)が脱退して、ジョゼフ・ウィリアムズ(Vo)が加入。更にゲストとしてジャズの帝王マイルス・デイヴィス(Tp)やイーグルスのドン・ヘンリー(Vo)など豪華ミュージシャンを招いて制作されました。TOTOのセルフプロデュース作。アルバム全体の纏まりの無さを指摘されることも多い作品で、バラエティ豊富と取るか散漫と取るかで評価が分かれる部分だと思います。

 オープニングを飾る「Till The End」は早速新任ウィリアムズのボーカル曲。ファンキーなリズム隊がとてもグルーヴィで、かつホーンも鳴り響くお洒落な楽曲ですが、ウィリアムズの歌声もこの大人びた楽曲にぴったり。終盤は反復がややくどい印象ですが、魅力的な楽曲です。「We Can Make It Tonight」は時代を感じさせる煌びやかなシンセと、哀愁のメロディ。サビに向けて徐々に高まっていく感じがあります。ブンブン唸りを上げるベースも聴きどころでしょうか。「Without Your Love」はメロウなバラード。ゆったりとしていて、リズム隊が際立つ音作りになっています。ボーカルはスティーヴ・ルカサーが担当しています。続く「Can’t Stand It Any Longer」はシンセで味付けされたレゲエ風のナンバー。ノリの良いリズムですが、シンセが過剰装飾気味な気もします。「I’ll Be Over You」はルカサーがボーカルを取るバラードです。しっとりとしていてメロウなAORサウンド。こういう落ち着いたメロディアスなバラードはTOTOの真骨頂とも言えますね。そして表題曲「Fahrenheit」はガラリと雰囲気を変えて、ダンサブルなシンセポップにシフト。TOTOらしからぬ楽曲ですが、これが意外といける。ピコピコと鳴る派手なサウンドは楽しいし個人的にかなり好みですが、アルバムを通しで聴いていると雰囲気が変わりすぎて少しビックリします。続く「Somewhere Tonight」ではまた大人びた雰囲気に戻り、とてもジャジーで円熟味のある楽曲に変わります。こういうじっくり聴かせる楽曲は特にスティーヴ・ポーカロの上手いドラムが活きてきますね。「Could This Be Love」もメロディをじっくり聴かせるタイプですね。ボサノバ風のバラード「Lea」では、囁くような歌声とまったりムードの楽曲でじっくり聴かせます。最後にマイルス・デイヴィスと共演したインストゥルメンタル「Don’t Stop Me Now」。色気のあるトランペットが鳴り響く、お洒落なジャズ曲です。実力者揃いのTOTOだから、ジャズも平然と演奏しますね。

 アルバムの統一感は全くないし、またキラキラしたシンセにも時代を感じます。ですが、レゲエやシンセポップ、ジャズといった意外性のある楽曲群は、新鮮で驚かされます。

Fahrenheit
Toto
 

The Seventh One (ザ・セブンス・ワン~第7の剣~)

1988年 7thアルバム

 前作の後、スティーヴ・ポーカロ(Key/Vo)が脱退しますが、本作にはゲストとして参加しています。また本作を最後にジョゼフ・ウィリアムズ(Vo)も脱退、更に次作製作中に、TOTOサウンドの軸を作り上げてきたジェフ・ポーカロ(Dr)が急逝してしまいます。本作を区切りにTOTOに大きな変化が訪れますが、それもあってかTOTOは1stから本作7thまでという意見も多いです。そんな意見に流され、私は7th以降は聴いていません。
 『宇宙の騎士』や『TOTO IV~聖なる剣』に並び傑作と名高い本作。AOR基調のサウンドに回帰したことが、これら名盤に並ぶ共通点だと思います。ついでに言うとジャケットに剣が出てくる点も共通点でしょうか?笑 プロデューサーにはジョージ・マッセンバーグとビル・ペインを起用しています。

 オープニング曲は「Pamela」。またもTOTOお得意の(?)女性名シリーズ。笑 メロウで大人びた雰囲気でお洒落なポップです。ウィリアムズのボーカルもこの楽曲にピッタリだし、ジェフ・ポーカロのドラムは洗練されたお洒落さを生み出します。続いて「You Got Me」はダンサブルなシンセポップですが、前作の「Fahrenheit」ほどには尖っておらず、R&BっぽさというかTOTOらしさを残しています。グルーヴ感もあって爽快です。「Anna」はスティーヴ・ルカサーがボーカルを取るバラード曲。落ち着いていてメロディアスですね。間奏のギターソロも良い感じ。続く「Stop Loving You」は本作のハイライトとも言える楽曲です。マイク・ポーカロとジェフ・ポーカロによるベースとドラムがグルーヴ感抜群。そしてウィリアムズの歌う、爽やかでほんのり哀愁のあるメロディはとても素晴らしい。優れたポップソングです。「Mushanga」は少し民族音楽的なリズムが気持ち良い。ジェフ・ポーカロというのが優れたドラマーで、ジャズも力強いハードロックも、この楽曲のようにパーカッションの多用でエスニックな雰囲気もいける。そして上手いのです。「Stay Away」はややメタリックなロックナンバー。ハードなルカサーのギターと、ゴリゴリのマイク・ポーカロのベースが特にカッコ良い、クールな1曲です。ウィリアムズの歌も力強いですね。なおコーラスを担うのはゲスト参加のリンダ・ロンシュタット。続いて「Straight For The Heart」はベースソロから始まるノリの良い1曲。軽快なビートに、少し時代を感じるキラキラとしたシンセの味付けがされています。ハードポップ曲「Only The Children」はメロディアスでキャッチーですね。うねるベースが良い。メロウで落ち着いた雰囲気の「A Thousand Years」を挟んで、ルカサーのボーカル曲「These Chains」。レゲエのリズムに乗せてゆったりとした楽曲を展開し、これが心地良い。そしてラスト曲「Home Of The Brave」はウィリアムズとデヴィッド・ペイチの共同ボーカル。明るくて、サビに向けてどんどん盛り上がっていきます。サビは少し哀愁もあるものの、開放感があって爽やかです。

 AOR路線の名盤で、ハードポップ曲も多くキャッチーで聴きやすいです。『宇宙の騎士』や『TOTO IV~聖なる剣』でハマった人は是非聴くべき作品でしょう。

The Seventh One
Toto
 
 
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