🇯🇵 UI-70 (ユーアイ ナナジュウ)

同人作品:東方アレンジ②

夢裡櫻花 ~ perfeitas flores de cereja/unplugged

2011年 18thアルバム

UI-70『夢裡櫻花 ~ perfeitas flores de cereja/unplugged』 夏のコミケC80で頒布された本作は、東方妖々夢オンリーのアコースティックアレンジ作品です。東方妖々夢オンリーアレンジと言えば、自身の『妖蝶乱舞 ~Deadly Dancing Butterfly~』が高い壁として立ちはだかりますが、アコースティック/アンプラグドに徹した本作も負けず劣らず魅力的な作品に仕上がっています。大半が如日のアレンジですが、2曲majinnが手掛けています。ジャケットアートは前作に引き続いて八梅の作。

 オープニング曲「妖々夢 ~ Snow or Cherry Petal」はアコギをジャカジャカかき鳴らしてテンポも速いですが、主旋律はゆったりと落ち着いた趣です。
 そして「無何有の郷 ~ Deep Mountain」はシンバルを多用したドラムも激しく、「アコースティック」という言葉のイメージからは少し遠い印象を受けました。憂いのあるアコギがメインを張っていますが、全体的にロック色が強くて躍動感があります。ノリが良いので好みではあります。
 「クリスタライズシルバー」は前曲に比べるとテンポを落としてアコースティックという言葉がよく似合います(でもドラムは引き続き激しめです笑)。2分足らずの短さですが、アコギの温もりも感じられる良アレンジです。
 「遠野幻想物語」は『妖蝶乱舞』には収録しなかった1曲ですね。シンバルの炸裂するドラムが疾走感を生み出しつつ、哀愁の漂う切ないメロディにアコギの柔らかい音色がよく似合います。
 「ブクレシュティの人形師」はmajinnのアレンジ。寂寥感漂う原曲の空気感が再現されていて、アコギの魅力を存分に発揮しています。アコギ主体の演奏ですが鍵盤類も用いられており、ひんやりとした原曲のイメージに近いです。美しくて聴き惚れてしまいますね。
 続く「天空の花の都」もmajinnの編曲。主旋律を奏でるアコギの繊細で柔らかな音色と、メランコリックなメロディがとても魅力的です。ドラムが控えめで、時折アコギだけになる瞬間もあるのでアコギの音がよく引き立っています。
 「幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble」はオルタナ風の寂寥感や哀愁が漂う演奏です。アコースティックな編成ですが、ズズンとベースも響いたりして若干重厚感がありますね。渋くて切ないです。
 「東方妖々夢 ~ Ancient Temple」はアコギを重ねて幽玄な原曲の雰囲気を帯びつつ、時折ラテンっぽさも垣間見える瞬間があります。また力強いリズム隊が下支えするおかげで程良い躍動感も兼ね備えています。
 「アルティメットトゥルース」は3拍子に乗せて悲しげなメロディを奏でるアコギが切ないですね。2分足らずの短さで、もう少し長く浸りたいところでしたが、間もなく次曲へ。
 そして「幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life」はパタパタとしたパーカッションが楽曲を支え、軽快なアコギはラテンのフレーバーが香ります。アコーディオン等も活用して、途中ホイッスルも鳴っちゃうし笑、全体的にカーニバルのような賑やかな感じに仕上がっています。
 ラスト曲「さくらさくら ~ Japanize Dream…」も、前曲のお祭りムードを引き継いで、容器で賑やかな雰囲気です。異変を解決して白玉楼で宴を楽しんでいるのかな、なんて想像を掻き立てます。『妖蝶乱舞』とは違って本作には隠しトラックは含まれず、この楽曲で終わります。

 少しハードな印象の楽曲も多いですが、温もり溢れるアコースティックギターが奏でる東方妖々夢の世界観は魅力たっぷりです。これも毎年春になると聴きたくなる、個人的に大好きな作品です。

 
cross the Great Divide

2013年 22thアルバム

UI-70『cross the Great Divide』 全楽曲が如日とmajinnの共同アレンジとなる本作は、東方永夜抄、風神録、地霊殿、神霊廟から選曲されています。アルバムタイトルは「この世とあの世の境界を越える(=他界する)」の意味で、境界を操る程度の能力を持つ大妖怪・八雲紫のジャケットが印象的ですね。ジャケットイラストは同人サークル 老いぼれ協同組合のIMOによる作。夏のコミケC84にて頒布されました。

 「永夜の報い」は透明感のある哀愁のアコギで始まり、オーケストラのように様々な楽器で盛り上がりを見せた後、ヘヴィなベースが引き締めます。時折緊張を高めますが、全体的には落ち着いた印象。終盤のメロディアスなギターソロが爽快です。
 「稲田姫様に叱られるから」はぶっといベースが重低音を響かせます。メタリックですが、キーボードを用いたりループトラックを用いるなどクラブミュージック風の要素も挿し込んでいてノリノリです。終盤リズムチェンジをかまして、変化に富んでいます。
 続く「夜雀の歌声」はシンセや泣きのギターに浸った後、1分過ぎてからスリリングなメタル曲へと変貌。カラフルで、そしてちょっとクサい。笑
 「運命のダークサイド」はギラついたメタル曲。ギュインギュインとギターが唸りを上げ、アクセントとしてパーカッションやシンセを用いることで華やかな印象に仕立てます。
 「ハルトマンの妖怪少女」はトリッキーなリズムを刻む原曲の再現度が高いです。ギターが主旋律を弾いてメタリックではあるものの、シンセを用いて原曲の雰囲気に寄せています。後半に唐突にピアノソロパートを挿し込んで緩急つけてきます。良アレンジです。
 「プレインエイジア」はシンセが暗くメロディアスな雰囲気を作り出し、ザクザク刻む金属質なギターが重厚感を増します。後半はゴージャスに盛り上がります。
 そして良アレンジ「少女さとり」。原曲のメランコリックでおどろおどろしい空気感を保ちながら、そこにUI-70特有のメタル要素がダークな雰囲気を倍増させてスリル満点です。クサくて疾走感があって、緩急ついていて魅力的です。
 続く「明日ハレの日、ケの昨日」はピアノとアコギを用いたシンプルで落ち着いた冒頭に癒やされますが、そこからメタリックな演奏へと変わります。とは言え派手に加速することはなく、重厚感を増す演出のよう。
 「古きユアンシェン」は速弾きギターで幕を開け、疾走感があります。何度か場面が変わると楽器も変更し、様々な表情を見せます。
 ラストの「佐渡の二ッ岩」はベースが際立つスリリングなリズム隊に始まり、ギターが和風のメロディを奏でます。祭囃子のような雰囲気も持ちつつスリリングなメタルを繰り広げます。

 原曲に寄せたmajinnのアレンジに如日のギターソロが加わると、ゴージャスでギラついたヘヴィメタルに仕上がりました。

 
 

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 共作『彼岸花葬 ~the view of spiral riverside~』ほか、双方で楽曲提供を行うなど交流も深いです。

 
 
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