🇯🇵 UNISON SQUARE GARDEN (ユニゾン・スクエア・ガーデン)

レビュー作品数: 12
  

スタジオ盤①

インディーズ時代

新世界ノート

2006年 1stミニアルバム

 日本のスリーピースロックバンド、UNISON SQUARE GARDEN。通称「ユニゾン」、または「USG」。斎藤宏介(Vo/Gt)が、高校時代のバンド仲間だった田淵智也(B)と鈴木貴雄(Dr)に声を掛けて2004年に結成。結成時はユニゾンを名乗ったそうですが、同年にUNISON SQUARE GARDENに改名しています。本作の全ての楽曲の作詞作曲を田淵が手がけ、それだけでなく今後もほぼ全ての作詞作曲を田淵が担います。
 2005年にデモCDをリリース、2006年にはライブ会場限定1000枚で本作『新世界ノート』をリリースしました。2008年に次作『流星前夜』のリリースと合わせてリマスタリングし再発、その後廃盤になっていましたが2019年に再々発しました。

 7分の大曲「アナザーワールド」でアルバムは開幕。スペイシーなSEを一瞬流した後に、スローテンポのヘヴィなロックを展開します。斎藤の歌唱は後のメジャー時代に比べるとトゲがある印象。またミックスのせいか生々しいドラムが結構前面に出ていますね。間奏では荒々しいギターソロを聴かせます。最後にドラムがカウントを刻むと、そのまま次曲「センチメンタルピリオド」に流れ込みます。2008年にメジャーデビューシングルとしてリリースされる楽曲です。ギターが奏でる、シリアスで緊迫感のあるメインフレーズがカッコ良い。勢いがあって爽快な演奏と、少し哀愁を纏ったキャッチーなメロディが魅力的です。メジャー版の方がより洗練させていて聴きやすいですけどね。「さよなら第九惑星」では田淵のベースがグルーヴィに唸り、鈴木の手数の多いドラムもカッコ良い。粗削りな音がゴチャッと詰め込まれていてノイジーな印象ですが、緊張の張り詰めた演奏はスリリングです。冥王星について歌われていますが、同年に冥王星が惑星から準惑星に降格される出来事がありました。続く「サーチライト」は一転して静かに聴かせます。音数少ないですがリラックスできるサウンド、そしてファルセットを活用した優しい歌唱に癒されます。ゆったりとしていますが、じわりじわりと盛り上げていきます。「ライトフライト」は清涼感のある疾走曲。イントロやサビで炸裂するサウンドが爽快感に溢れています。最後に「箱庭ロック・ショー」。粗削りながらも洒落た雰囲気の楽曲で、彼らの引き出しの多さを感じさせてくれます。リズミカルで軽快なビートを刻むドラムに、心地良いギターやキャッチーな歌メロに魅せられます。

 全6曲31分のミニアルバムです。全体的に粗削りな印象ですが、所々に光るものがあります。

新世界ノート
UNISON SQUARE GARDEN
 

流星前夜

2008年 2ndミニアルバム

 2007年に初のワンマンライブをこなし、その勢いのままにリリースされたインディーズ時代のミニアルバム第二弾。本作リリース時に、限定販売だった前作『新世界ノート』も再発売されました。まだ粗削りな感じは残っているものの前作よりも洗練され、技術力・表現力の向上に伴って楽曲のバラエティも豊富になった印象です。ここで成功を掴んだUNISON SQUARE GARDENは、同年7月にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビューを果たすことになります。

 オープニング曲は「流星前夜」。ギターを中心にした、メロウでゆったりとした演奏。そこに斎藤宏介の朗読が乗る独特の楽曲です。サビ部分はメロディアスな歌に分厚いコーラスを重ねてじっくりと聴かせます。僅か1分半程度の短い楽曲ですが、印象に残る1曲です。そして続く「フルカラープログラム」、これがカッコ良い。キレ味抜群の斎藤のギターに、スコンスコンと力強くも軽快な鈴木貴雄のドラムがとても爽快です。勢いのあるサウンドだけでなく、キャッチーなメロディも魅力的ですが、この楽曲を含む全曲の作詞作曲は田淵智也によるもの。ちなみにアンサーソングとして「プログラムcontinued」が『DUGOUT ACCIDENT』に収録されることになります。続いて、テレビ(?)のチャンネルを変える効果音から展開される疾走曲「水と雨について」。シャウト気味のボーカルが攻撃的な印象。全編通してダイナミックなドラムや間奏でのギターなど、演奏がとてもスリリングです。なおこの楽曲はミュージックビデオが制作されています。「2月、白昼の流れ星と飛行機雲」はゆったりとして哀愁漂うバラードです。力強い演奏をバックに、切ない歌唱を聴かせます。なおこの楽曲にも続編があって、「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」が『Dr.Izzy』に収録されています。「MR.アンディ」はポップな楽曲で、リズミカルで軽快な演奏とキャッチーなメロディ、そこに乗る語感の良い歌詞がとても心地良い。田淵の作詞作曲のセンスが光ります。ラスト曲は「流星行路」。小気味良いカッティングに勢いのある演奏、それでいて陰を感じる雰囲気にポストパンク的な印象を受けました。メロディラインがちょっと独特で、哀愁を纏いつつも少しひねたポップセンスを感じます。

 全6曲25分と前作より短いミニアルバムですが、充実度合いはこちらの方が数段上ですね。メジャー1stアルバムと比べても遜色ない良質な作品です。

流星前夜
UNISON SQUARE GARDEN
 

メジャーデビュー

UNISON SQUARE GARDEN

2009年 1stアルバム

 2008年にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビューを果たしたUNISON SQUARE GARDEN。翌年にはセルフタイトルを冠したフルアルバムとなる本作をリリースします。インディーズ時代の楽曲も3曲収録していますが再レコーディングしており、より洗練された仕上がりになっています。
 
 
 斎藤宏介のキレのあるギターで開幕する「カラクリカルカレ」。陰のあるメロディを歌う歌唱スタイルもやや攻撃的な印象で、緊張感漂うスリリングな楽曲です。アークティック・モンキーズとかポストパンク系の影響も色濃い気がします。続く「センチメンタルピリオド」も攻撃的だけど影のあるメロディアスなイントロがスリリングです。疾走感に溢れていますが哀愁漂うサビメロのギャップが魅力的。インディーズ時代の楽曲でメジャーデビューシングルとなるこの楽曲は、インディーズとアレンジは変えてはいないものの、再録でより洗練させて聴きやすくなりました。「サンポサキマイライフ」はイントロがとてもカッコ良い。鈴木貴雄のダイナミックなドラムと田淵智也のグルーヴ感のあるベースがスリリングな躍動感を生み出し、そこに斎藤のギターが切り込みます。緊迫感に溢れていて、正直歌メロよりも演奏の方が魅力の1曲。「デイライ協奏楽団」は、ファンクの要素を取り込んだリズミカルなギターが小気味良くて印象的。リズミカルな演奏に合わせて、歌もリズミカルで楽しげな雰囲気ですね。鈴木のドラムソロで開幕する「等身大の地球」。素朴だけどポップなメロディで、AメロBメロはほぼベースとドラムだけのシンプルな演奏です。時折入るギターの音色はまったりとしてリラックスできますね。イントロや間奏では田淵のベースソロも聴かせたり、ジャムセッションを楽しんでいるような感じ。「MR.アンディ -party style-」はインディーズ時代のアレンジ。元々ポップな楽曲でしたが、斎藤の柔らかくなった歌唱スタイルやシンセポップ風の可愛い味付けで、更にキャッチーな仕上がりになっています。反復される「君が残像に」をはじめ、語感の良い歌詞は耳に残りますね。「WINDOW開ける」はグランジ風の1曲。静と動の対比が激しく、静かな演奏と淡々とした歌が進行しますが、サビではノイジーな轟音と怒気を含んだシャウト気味の歌唱で圧倒。破壊力抜群の激しい演奏がとても強烈です。「マスターボリューム」は焦燥感を煽る疾走曲。キレ味のあるスリリングな演奏と攻撃的な歌唱で尖っていますが、哀愁のメロディが切ない気分を誘います。一転して「いつかの少年」はスローテンポなバラードに。序盤はシンプルな演奏で斎藤の歌をフィーチャーし、じっくりとメロディアスな歌メロを聴かせます。優しくて強い憂いを帯びた歌唱は、後半徐々に盛り上がる演奏によって感傷的な気持ちになります。「箱庭ロック・ショー」はインディーズの再録。粗削りなインディーズ版よりも洗練されて聴きやすくなり、楽曲が元々持っていた洒落た雰囲気がより引き立ち、魅力的になった感じです。ラスト曲は「クローバー」。躍動感のあるドラムに乗せて、柔らかい音色とメロディアスな歌メロを聴かせます。キレのある楽曲が多い本作ですが、最後は心地良い雰囲気でアルバムを締め括ります。
 
 
 キレ味の鋭い尖った演奏がスリリングですが、田淵の作るメロディはキャッチーで、また独特の言葉選びで語感の良い歌詞も印象的です。このスタイルを保ったまま、今後のアルバムでどんどん洗練されていきます。

UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN
 
JET CO.

2010年 2ndアルバム

 前作リリース後に、3マンライブ/ワンマンライブで全国22ヶ所でのツアー行脚を実施。数多くのライブをこなすことで成長したUNISON SQUARE GARDENが取り組んだ2ndアルバムが本作です。元四人囃子の佐久間正英をプロデューサーに迎えています。
 本作に収録されたシングルは「cody beats」だけで、それ以外はアルバム曲という一見攻めた構成…ですが、元々シングルのリリース頻度自体少なく、他のアルバムでもシングルの収録は2曲とかそれくらいだったりします。
 
 
 ロックンロール「メッセンジャーフロム全世界」で開幕。演奏はゴリゴリとして武骨ですがリズミカルで気持ち良い。またタイトルを叫ぶサビをはじめ、口ずさみたくなるくらいキャッチーな歌も魅力的ですね。2分強の短い1曲ですが耳に残ります。続く「コーヒーカップシンドローム」はガレージロック風の荒っぽくて躍動感のある演奏を展開。特に鈴木貴雄のスコンスコンと叩くスネアにシンバルを多用したドラムが良い感じ。荒っぽいとは言うものの、技術力不足からくるインディーズ時代の粗さとも違って、技術を身につけた上での荒さというか…激しくても聴きやすいんですよね。「チャイルドフット・スーパーノヴァ」は田淵智也の地を這うようなベースと鈴木の小気味良いドラムを中心に、淡々としつつリズミカルな演奏を展開。そこに斎藤宏介の歌うキャッチーなメロディが乗ります。この歌メロが良いんですよね。また後半で長尺の間奏を聴かせる場面、ドラムのリズムに乗せてホイッスルが「ピッピッピーッ」と鳴る部分が好みです。「cody beats」は本作中唯一のシングル曲。疾走感のある楽曲ですが、シングルとしてはややパワー不足な感じがします。でも最終盤に、取って付けたようにリズムと雰囲気をガラリと変える展開は好き。笑 シングルの本楽曲が突出してない代わりに、数々の魅力的なアルバム曲が本作を牽引します。ここまで勢いのある楽曲が並びますが、「気まぐれ雑踏」は穏やかな1曲。斎藤は子守歌のように優しく歌い、演奏も穏やかでまったりとしています。間奏の口笛とシロフォンも心地良い。そして歪んだヘヴィなギターで開幕する「キライ=キライ」。ノイジーなギターがとにかくカッコ良く、また荒っぽいドラムも魅力的。全体的にヘヴィな演奏を展開しますが、ボーカルはそこまで尖っていなくて、キャッチーさを残して聴きやすいんですよね。そしてキャッチーな名曲「ライドオンタイム」。ひたすら「ライドオンタイム」を連呼する歌メロが抜群にキャッチーで、つい口ずさみたくなります。鈴木の手数の多いドラムが作り出す、リズミカルで軽快なビートも気持ち良いですね。続く「meet the world time」はメタリックな1曲。鈍重なリフがザクザク切り込み、ドラム(太鼓と表現するのが正しいかも)を力強く叩きつける、強烈にヘヴィな演奏がカッコ良い。斎藤の歌唱スタイルもここではかなり攻撃的ですね。そして頭サビで緊迫した3連符を展開する「夜が揺れている」。サビ以外は穏やかなのですが、サビの演奏は激しくて非常にスリリング。音の密度が凄まじいです。「アイラブニージュー」はポップでキャッチーな印象。斎藤の表現力の賜物で、早口気味のポップな歌で楽しませてくれます。語感の良い歌詞も魅力的ですね。そして斎藤が歌い切れることを見越してか、田淵の書く歌詞はどんどん詰め込まれ、早口な楽曲も今後増えていきます。「スノウアンサー」ではトーンを落として、哀愁漂う歌を聴かせます。終盤は煌びやかな演出も加わります。最後は「23:25」で、キレのある疾走曲。清涼感の溢れる楽曲で、鈴木のテクニカルなドラムが軽快なビートを刻みます。後半の間奏では、短いながらもインプロヴィゼーション的な展開で楽しませます。ほんのり切なさが漂うものの全体的に爽やかな良曲です。
 
 
 技術力が向上して聴きやすくなり、また田淵のメロディセンスにも更に磨きが掛かってきました。次作以降の傑作群には一歩及ばないものの、本作も中々の名盤です。

JET CO.
UNISON SQUARE GARDEN
 

Populus Populus

2011年 3rdアルバム

 タイトルは「ポプラ・ポプラ」と読みます。これまで全楽曲の作詞作曲を田淵智也が担っていましたが、本作においては唯一「スカースデイル」で斎藤宏介が作詞作曲に挑戦しています。ですが本作以降はまた天才メロディメイカー田淵による単独体制に。
 アニメ『TIGER & BUNNY』のタイアップによりヒットしたシングル「オリオンをなぞる」を収録していて、彼らの出世作とも言える名盤です。全体的にキャッチーなつくりとなっています。本作も素晴らしい出来ですが、ここで勢いをつけて、本作以降も脂の乗った名盤を次々リリースすることになります。
 
 
 タイトルどおり(?)3分ジャストの「3 minutes replay」で幕を開けます。鈴木貴雄のダイナミックなドラム、田淵のバキバキとメタリックなベース、斎藤の爽やかなギターが奏でるスリリングで爽快な演奏。そして歌メロもキャッチーですね。続く「kid, I like quartet」は田淵の造語。「kid, I like」とは喜怒哀楽の語呂合わせで、四つの感情による四重奏…ということみたいですね。イントロから躍動感に溢れる演奏を展開し、更に早口気味の歌詞によって勢いを増すという、とにかく聴いていて爽快な名曲です。後半の超早口パートが強烈ですが、ライブでもトチらず歌い切るどころか、更に息のあったコーラスまで見せるという驚異的な1曲です。ちなみにOVA『夜桜四重奏 ~ホシノウミ~』のタイアップが付き、『夜桜四重奏』とは今後も関わりながら名曲を生み出すことになります。そして「プロトラクト・カウントダウン」も疾走曲。斎藤のノイジーにかき鳴らすギターから始まり、全体的に轟音まみれです。ですがヘヴィさよりも、BPMの速い演奏による焦燥感を煽られるような感覚の方が強いです。攻撃的な歌詞も含めてとにかくスリリングで、とてもカッコ良い。ここまで緊張感のある疾走曲が続きましたが、「きみのもとへ」では手拍子が加わってキャッチーでノリの良い印象。テンポはかなり速いですけどね。リズミカルな演奏とポップな歌メロで高揚感を煽り、楽しい気分にさせてくれます。続く「僕らのその先」はピアノや美しいコーラスが加わった優しくポップな1曲。コーラスワークによって幻想的でドリーミーな感覚を生み出しますが、メリハリのあるバンドサウンドが現実に引き戻します。「スカースデイル」は切なさを含んだ勢いのある楽曲です。スカースデイルとは、帰国子女である斎藤の故郷、米国ニューヨーク州の地名だそうです。その斎藤が作詞作曲を担っており、田淵作の楽曲群の中にもうまく馴染んでいると思います。続く「ワールドワイド・スーパーガール」はリズミカルな演奏に語感の良い歌詞が乗っかり爽快。とにかくノリが良く、そしてキャッチーなので一緒に歌いたくなります。歌詞も含めて魅力的な楽曲ですね。「CAPACITY超える」は渋くて洒落た楽曲。ゴリゴリベースやテンポの速さはロック色が強いですが、雰囲気はジャズっぽい。でも歌詞が面白くて「とって置きのプディング 我慢を重ねて とって置きすぎて腐ってる」、「大嫌いなあのユニゾンスクエアなんとかも」など、大人びた雰囲気なのに子どもっぽさのある歌詞のギャップで楽しませてくれます。そしてカウントから「場違いハミングバード」が始まりますが、いきなり高速ドラムや警告音のような轟音ギターなど、強烈に緊迫した演奏が展開。非常にスリリングな演奏ですが、歌が始まるとキャッチーでおどけた感じも見せます。「カウンターアイデンティティ」もスリリングな疾走曲。陰のある雰囲気で演奏はピリピリと強い緊張が張りつめているという、「センチメンタルピリオド」の路線を継承した名曲です。スリリングな疾走曲が続きましたが、メロディアスでポップなラブソング「未完成デイジー」でひと息。サビメロの美しいメロディを引き立てる演奏と切ない歌詞は、聴いているとこみ上げてくるものがあります。UNISON SQUARE GARDENの楽曲はスリリングだったり楽しめたり…というのは多いですが、泣けるタイプの楽曲はここで初めて登場したかもしれません。ここでしんみりとさせた後は、超名曲「オリオンをなぞる」。前述のとおりヒットシングルで、個人的にはこれと「桜のあと (all quartets lead to the?)」がUNISON SQUARE GARDENの名曲2トップだと思っています。軽快なピアノで始まる、清涼感に溢れる楽曲です。マシンガンのようなドラムの高速連打にキューンと唸るギターなど、演奏にも聴きどころが沢山あります。ですがキャッチーな歌メロはもっと魅力で、「オリオンをなぞる こんな深い夜~」と口ずさみたくなりますね。最高にカッコ良い楽曲です。タイアップ先のアニメ『TIGER & BUNNY』も面白いので、合わせてオススメしたいです。笑 ラスト曲は「シュプレヒコール ~世界が終わる前に~」。最後に相応しいメロディアスな楽曲ですが、テンポは速くてノリの良い印象。少し切ない余韻を残しつつも、爽やかにアルバムを締め括ります。
 
 
 ライブの定番曲も多い名曲揃いの本作。ですがその中でも「オリオンをなぞる」があまりに突出していて、数々の名曲をすっ飛ばしてラスト2曲ばかり聴いてしまいます。笑 「kid, I like quartet」や「場違いハミングバード」、他にも名曲揃いですし、全体的に疾走曲が多くて爽快なので是非オススメしたい名盤です。

Populus Populus
UNISON SQUARE GARDEN
 
CIDER ROAD

2013年 4thアルバム

 シングル「オリオンをなぞる」(前作収録)で知名度を上げたこともあってか、本作で初のオリコントップ10入りを果たしました。その「オリオンをなぞる」を踏襲してピアノやストリングスを積極的に導入して聴きやすく仕上げていることと、元々のキャッチーなメロディが相まって、全キャリア中最もポップに仕上がった印象です。UNISON SQUARE GARDEN最初の1枚としてオススメできる大傑作です。ハリネズミのジャケットアートも可愛いですよね。
 UNISON SQUARE GARDENとの出会いの1枚が本作だったこともあり、個人的にも思い入れの深い作品です。次作と並んで最高傑作候補ですね。
 
 
 イントロからワクワクするような高揚感を煽る「to the CIDER ROAD」で幕開け。強力な牽引力を持った、全作品中最高のオープニング曲だと思います。清涼感に満ち溢れたキレのあるサウンドは、タイトルにあるようにサイダーのような弾ける感覚。また演奏だけでなく、斎藤宏介によるキャッチーで早口気味の歌で、程よくスリリングな印象を与えます。勢いがあって躍動感に溢れた、晴れた日の外出時に聴きたい名曲です。前曲から間髪入れず続く「ため息 shooting the MOON」。速弾きギターから矢継ぎ早に繰り出される早口な歌詞。田淵智也による歌詞は詰め込みすぎだろとツッコミを入れたくなるくらいに密度が濃いですが、そんな歌詞を斎藤は難なく歌いこなします。キレのあるギターだけでなく、鈴木貴雄による手数の多いスリリングなドラムも魅力的で、それによって心地良い疾走感を味わうことができます。そしてアニメ『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』の主題歌に起用された「リニアブルーを聴きながら」。オリコントップ10入りした初のシングルです。爽やかで少し切ないメロディを奏でるイントロのギターから引き込まれます。アコギやオルガンなども加わったカラフルな音色が、ギターやボーカルの歌うキャッチーなメロディを引き立てています。清涼感に満ちた爽快な楽曲です。ここまでのオープニング3曲に爽やかなアップテンポ曲が並び、一気に爽快な気分にさせてくれます。
 ここで少し趣向を変えて、ポップな「like coffeeのおまじない」が続きます。とは言えテンポは相変わらず煽り立てるような速さですが。笑 ホーンセクションを導入した賑やかな楽曲で、リズミカルな演奏とホーンで楽しませます。歌は可愛らしさもあるポップな印象。間奏のキューンと唸るギターとホーンの掛け合いも良いですね。「お人好しカメレオン」はメロディアスな1曲。冒頭とラストはアコギの弾き語りで、それ以外は爽やかなバンドサウンドです。テンポは速いものの、前曲までと比べると少し大人しめな印象で、切なさを含んだ歌メロを引き立てます。アクセントとして加わるオルガンの味付けが心地良いですね。そしてミドルテンポの「光のどけき春の日に」でようやくひと息。メロディアスな歌をじっくり聴かせるバラードです。斎藤の歌は優しいトーンで、またコーラスワークも柔らかな印象です。「クロスハート1号線 (advantage in a long time)」はじわじわと始まり、軽快なトーンで駆け抜けます。メロディアスな歌は恋愛を歌っており、「君が僕を好きなこと知ってるはずなのに」嫌われることに怯えて一歩踏み出せないもどかしさが切ないですね。続く「セレナーデが止まらない」は躍動感に溢れたロック曲。ナイフのような切れ味鋭いギター、ダイナミズムに溢れるドラム、2番で大暴走するベースなど、演奏はとてもスリリングで初期のような荒々しさがあります。しかしメロディはキャッチーで程よく切ない。恋愛を歌ったかなり奥手な印象の歌詞は、荒々しく尖った演奏に比べるとギャップがありますが、それがまたこの楽曲の魅力なのかもしれません。続いて本作収録のもう一つのシングル曲「流星のスコール」。軽快なテンポで、Aメロからサビに向かってじわりじわりと盛り上げていきます。サビではメロディアスでキャッチーな歌と、ジャカジャカかき鳴らすギターが爽快な印象を与えます。「Miss.サンディ」は趣向を変えて、可愛らしいポップ曲。斎藤の歌は表現力は幅がありますね。元が高音域なので、優しく歌えばポップ曲もいけるし、力強く歌えばスリリングなロック曲にもなりうるという。また歌だけでなく、軽快なビートも魅力的。とてもノリノリなリズムビートで、自然と身体がリズムに乗せられます。楽しい楽曲ですね。そして「crazy birthday」も楽しい楽曲。勢いに満ちたハードな演奏はノリノリで、そこに乗る語感の良いキャッチーな歌詞がとにかく耳に残る。田淵の言葉遊びは耳心地が良いですね。「せーの、バカ!」は一瞬ビックリしますが、聴き慣れてくると一緒に叫びたくなる魅力があります。笑 ライブの即興演奏のようなパートを挟んだり、一緒に楽しめる楽曲です。「君はともだち」はメロディアスでしっとりとしたバラードです。終盤に向けて締めに掛かってきている感じですね。ストリングスに彩られて壮大です。最後に名曲「シャンデリア・ワルツ」。元々シングルカットを考えていたそうですが、結果シングルにはならず、ですが代わりに『夜桜四重奏 ~ツキニナク~』のタイアップを獲得。ワルツと名が付くものの、4分の4拍子の、ダイナミズムに溢れる爽快なロック曲です。これがとてもカッコ良くて、オープニング曲にも負けないくらいの名曲です。繰り返される「ハローグッバイ ハローグッバイ」と、矢継ぎ早に繰り出される早口気味な歌詞も、とてもキャッチーです。サイダーのようにスカッとしたオープニング曲に始まり、スカッとしたエンディングで爽快に締め括ります。
 
 
 一気に惹き込むオープニング3曲と、素晴らしきラスト曲。それだけにとどまらず、キャッチーで魅力的な楽曲の宝庫で非常に完成度が高いです。ポップな印象ですが躍動感は失っておらず、取っつきやすくなったというのが適切でしょうか。入門に適した素晴らしい傑作です。

CIDER ROAD (初回限定盤) (CD+DVD)
UNISON SQUARE GARDEN
CIDER ROAD (通常盤)
UNISON SQUARE GARDEN
 
Catcher In The Spy

2014年 5thアルバム

 前作発表後に全国ツアーを行い、またシングル「桜のあと (all quartets lead to the?)」と「harmonized finale」をリリース。その後、斎藤宏介のポリープ摘出手術のため、UNISON SQUARE GARDENは2014年3月から1ヶ月半ほど活動休止になります。斎藤が無事復帰した後、満を持して5thアルバムとなる本作がリリースされました。
 1stから4thにかけて順当にポップ化というかキャッチーなロックへと進化していきましたが、『CIDER ROAD』でキャッチー路線の完成系がみえた反動か、本作はロック色の濃い作品に仕上がりました。初期のような尖った楽曲も多く、とてもスリリングです。個人的には今のところ最高傑作だと思っています(前作とも非常に悩むのですが…!)。
 
 
 3分に満たないオープニング曲「サイレンインザスパイ」がとてもスリリング。暴風のような暴力的なサウンドから、斎藤の「カモン、イエーイ!」を皮切りに鋭利なギターがザクザクと切り込んできます。異様な緊迫感に満ち溢れた演奏は、初期楽曲のように尖っていてかつ陰のある雰囲気を持っています。ポストパンクっぽい楽曲ですね。焦燥感を煽り立てる高速な演奏と、まくし立てるような早口で攻撃的な歌。非常にスリリングでカッコ良い名曲です。間髪入れず続く疾走曲「シューゲイザースピーカー」。ノイジーな轟音に甘いメロディが特徴のシューゲイザーとは少し違うかな。オープニング曲に似たキレッキレの鋭い演奏は少し陰があり、近寄りがたい尖った雰囲気です。ベースもゴリゴリと唸ってメタリックですね。ロック色の強い演奏ですが、田淵智也の書く歌メロはキャッチーなので聴きやすさも持っている。そんな絶妙なバランスが、スリリングな良曲に仕上がっているのかもしれません。そして超名曲「桜のあと (all quartets lead to the?)」。個人的には「オリオンをなぞる」にも匹敵するUNISON SQUARE GARDENのツートップで、世に溢れる様々な桜ソングの中でも一番好きかもしれません。合唱から始まる歌メロはとてもキャッチーだけど、少し切なさも含んでいます。鈴木貴雄のダイナミックなドラムを中心とした勢いのある演奏と、斎藤の早口気味な歌詞で、煽り立てるように一気に駆け抜けます。そして弾けるようなサビがとても爽快だけどメロディアスでもあり、これがたまらなく良いんです。またオルガンの味付けが、この楽曲の持つメランコリックな側面を増幅させます。なお歌詞には「with 喜怒哀楽」というフレーズが含まれていますが、同じく『夜桜四重奏』でタイアップした楽曲「kid, I like quartet」を意識したそうです。ほぼ全ての楽曲を田淵が書くことで統一した世界観を保てるから、他の楽曲と歌詞のどこかで繋がっているという遊びが色々な楽曲で見られます。
 オープニング3曲の持つ緊張感があまりに凄まじいので、必然的に次曲には落差を感じてしまうんですが、ここで「蒙昧termination」というひねた楽曲を持ってきています。ギターやベースがヘヴィでノイジーな重低音を響かせますが、乗っかるメロディはひねくれポップ。連呼される「蒙昧termination (もうまいターミネーション)」のフレーズが強烈に耳に残り、不思議と中毒性があります。続く「君が大人になってしまう前に」でひと息。個性の強い楽曲群の中では少し地味ですが、穏やかな曲調で優しく癒やします。タイトルにインパクトのある「メカトル時空探検隊」はリズミカルで軽快な楽曲。語感の良い歌詞が魅力的なポップ曲で、キャッチーな歌は口ずさみたくなります。「全人類に愛とチョコレートを!」のコーラスも面白いですね。間奏ではギターソロからスリリングなバンド演奏を繰り広げます。
 ここから勢いのある楽曲が連続していて、まずはハードロック曲「流れ星を撃ち落せ」。斎藤のギターリフが楽曲を大きく牽引しますが、激しいリズム隊も中々魅力的。勢いのある演奏に負けず、歌も攻撃的な雰囲気ですね。終盤の「君はマジでヤバイ ヤバイ ヤバイ ヤバイ ヤバイ」も強烈です。笑 そして「何かが変わりそう」はドラムが激しいですね。Aメロは大人しくてベースがリードしますが、ノイジーなギターや手数の多いドラムが激しく盛り上げていきます。早口気味の歌も、勢いのある演奏と合わさって焦燥感を煽るような感覚です。続く「harmonized finale」はアニメ『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』の主題歌。流麗なピアノが印象的ですが、テンポはかなり速いしバンド演奏は激しくてスリリングです。感傷的な気分を誘うメランコリックな歌を、勢いのある演奏で煽りながら盛り上げていきます。感情が込み上げるというか、込み上げさせられるような感じの良曲です。そして、とどめに凄まじい緊張感を放つ「天国と地獄」。オープニング曲のように張り詰めた、カミソリのようにキレッキレの演奏はとてもスリリング。勢いのある演奏は焦燥感を煽り立てます。でも、尖った演奏なのに親しみを覚えるのはキャッチーな歌メロのおかげでしょうね。田淵のメロディセンス、言葉選びの賜物でしょう。ここでスリリングな疾走曲のターンは終わり、キャッチーで親しみのある「instant EGOIST」。張り詰めた緊張を解きほぐし、楽しい気分にさせてくれます。軽快な演奏はリズミカルで心地良く、メロディもポップな印象です。ラスト曲は「黄昏インザスパイ」。開放感のある爽やかな楽曲で、アコギも小気味良いのですが、どこか空虚というか切なさが漂います。
 
 
 また、初回限定盤には『UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2014 “桜のまえ”at Zepp Tokyo 2014.03.22』と銘打ったライブ盤が付属します。音質が良い上に、演奏も歌も絶好調ですね。
 キレのあるギターリフで始まる「メッセンジャーフロム全世界」。一定のリズムを反復して単調だけど心地良く、そこにキャッチーな歌メロが乗っかり楽しませてくれます。「23:25」ではイントロから会場のコールでノリノリ。田淵のベースがブンブン唸っており、間奏ではカッコ良いベースソロも聴かせますが、張り合うように斎藤のギターソロが続きます。そしてノリの良さを保って疾走曲「kid, I like quartet」へ。勢いがあって早口気味な楽曲ですが、ライブでも難なく再現されています。数多くのライブをこなして場慣れしてるんでしょうね。終盤の早口ラップをコーラスも含めてトチらないのは流石です。「セク×カラ×シソンズール」もキャッチーで、「ハロハロウィーイェー」のコーラスなどノリノリで楽しませてくれます。その後トークをカットしたのか、少し間をおいて「流星のスコール」へ。前曲まで続いたアップテンポ曲と比べ少しだけテンポを落とし、キャッチーだけど少し切ない歌を届けます。全体的にかなり高音域の歌ですが、ギターを弾きながらでもブレない斎藤の歌唱力が凄いですね。続く「ため息 shooting the MOON」は、即興的な演奏を繰り広げた後に聞き慣れたイントロに繋げます。手数が多くて、またバスドラムがズシンと響く鈴木のドラムがスリリングでカッコ良い。また、詰まりに詰まった歌詞をミスらずに早口で歌い切るのも凄いですね。「マスターボリューム」はカミソリのように切れ味抜群のギターで開幕。グルーヴィに唸るメタリックなベース、シンバルを多用したけたたましいドラムなど、全体的に激しい演奏がスリリングです。「きみのもとへ」はリズム隊が特に強調されていて、リズミカルなビートが爽快。キャッチーな歌メロ、そして後半は手拍子も加わり、身体が自然とリズムに乗せられます。そして鈴木による「ドラムソロ~セッション」。ライブならではの醍醐味ですね。鈴木は普段の楽曲でもとても上手い印象ですが、ドラムソロでも手数が多くダイナミックなドラムを聴かせ、とてもスリリングで楽しめます。途中から田淵のベースが加わってマッチョな音を響かせ、斎藤のノイジーなギターが加わって一段落したら唐突に「シャンデリア・ワルツ」。イントロのパワーに気圧されます。歌が始まるとキャッチーなメロディで楽しませてくれます。この後「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」が少し流れるのですが、残念ながらすぐフェードアウト…。アルバムでのお披露目は翌年の『DUGOUT ACCIDENT』までお預けです。そして「ワールドワイド・スーパーガール」。跳ねるようにリズミカルな演奏と語感の良い歌で、ノリが良くてとても楽しい1曲です。終盤に奇声を上げているのは田淵でしょうか?笑 続いて、超速で込み入ったイントロが非常にスリリングな「場違いハミングバード」へ。歌が始まると緊迫感は後退して、キャッチーさが前面に出てきます。メロディも魅力的です。最後に、ツアータイトル「桜のまえ」の元ネタ「桜のあと (all quartets lead to the?)」。コーラスが楽しいキャッチーな歌メロと、煽り立てるように疾走するスリリングな演奏の絶妙なバランスが、抜群の高揚感を生み出します。ノリが良いだけでなくメランコリックな感覚も刺激し、聴き終えた後に溜め息が出るほど心地良い余韻を残します。実に素晴らしいライブ盤でした。
 
 
 トータル的な完成度の高さでは前作に劣るものの、緊張感の瞬間最大風速は本作が抜きん出ていて、異様なまでの凄まじいスリルがあるからこそ本作が最高傑作だと思っています。このスリルを味わいたくて良く手を伸ばします。
 初回限定盤のみに付属するライブ盤も完成度が高くてオススメできます。

Catcher In The Spy (初回限定盤) (2CD)
UNISON SQUARE GARDEN
Catcher In The Spy (通常盤)
UNISON SQUARE GARDEN