🇬🇧 Whitesnake (ホワイトスネイク)

スタジオ盤②

再結成以降

Restless Heart (レストレス・ハート)

1997年 9thアルバム ※海外盤はDavid Coverdale & Whitesnake名義

 ジミー・ペイジとのプロジェクト、カヴァーデイル・ペイジを解消した後、1994年に再結成して『グレイテスト・ヒッツ』を発売。これに伴うツアーを敢行します。その後デヴィッド・カヴァーデイルはソロ作品の制作を開始。しかしレーベル側の圧力により、本作はソロではなくホワイトスネイクの作品としてリリースされることになりました。先行リリースした日本盤はホワイトスネイク名義ですが、海外盤はDavid Coverdale & Whitesnake名義で、仕方なくホワイトスネイクを冠した感じがあります。
 エイドリアン・ヴァンデンバーグ(Gt)が全面的に作曲に参加。またガイ・プラット(B)、デニー・カーマッシ(Dr)、ブレット・タグル(Key)をメンバーに迎えて制作されました。デヴィッド・カヴァーデイルのセルフプロデュース。

 「Don’t Fade Away」で開幕。ゴージャスなヘヴィメタルではなく、AOR風のメロウでまったりとした音楽にビックリ。でもカヴァーデイルの渋い歌声をフィーチャーした良い楽曲なのですが、少し戸惑ったのも事実です。「All In The Name Of Love」はイントロのオルガンと、渋いベース音にブルースロック時代を期待しますが、ミックスはあくまで歌重視。ブルージーだけどキャッチーなメロディが印象的です。続いて表題曲「Restless Heart」。イントロから徐々に盛り上がっていくブルージーなサウンドと、渋くて色気のあるボーカルに魅了されます。前2曲とは異なり、演奏にスポットライトが当たっていてスリリングです。とにかく渋い。「Too Many Tears」はヴァンデンバーグのメロウなギターが良い味を出しています。メロディは哀愁に満ちていて、後半の感情に満ちたしゃがれ声が染み渡ります。派手に飾らず渋いですが、魅力的な楽曲です。「Crying」は初期のようなブルージーなハードロックです。スローテンポで泥臭い演奏を聴かせます。時折吠えるようなシャウトに、ロック魂は健在だとアピールするかのよう。「Stay With Me」も非常に渋いですが、R&Bシンガーのロレイン・エリソンのカバー曲だとか。ブルージーな雰囲気で、カヴァーデイルの感情がビシビシ伝わってくる歌唱に圧倒されます。どこかレッド・ツェッペリンっぽく感じるのはカーマッシのドラムがそう思わせるのでしょうか?渋いですが、とてもカッコ良い1曲です。「Can’t Go On」はアコギでしんみりとした雰囲気。そして不意のサビの転調にやられました。これは泣けます。「You’re So Fine」は軽快なノリのロックンロール。本作では数少ないアップテンポ曲です。ゴスペル風のコーラスでR&Bっぽさも出しています。「Your Precious Love」はまたスローテンポに戻り、まったりとした雰囲気です。メロウなギターと渋い歌声が良く合います。「Take Me Back Again」もスローテンポで、ジャジーでブルージーな渋さ全開。序盤は大人しいのですが、後半はカヴァーデイルのシャウトも含めてかなり激しく、鳥肌ものです。ラスト曲は「Woman Trouble Blues」。アコギで始まり、途中からバンドサウンドに変貌するブルース寄りのハードロックです。レッド・ツェッペリンっぽいかも。カッコ良いです。

 ゴージャスなヘヴィメタル時代の影はほとんど感じさせず、むしろ初期のブルースロック時代に近いです。序盤のAORっぽい楽曲に少し不安を覚えたのですが、楽曲が進むにつれて渋い楽曲の数々に魅了されました。派手さに欠けますが、非常に渋くてじっくり聴き浸れます。

Restless Heart
Whitesnake
 
Good To Be Bad (グッド・トゥ・ビー・バッド)

2008年 10thアルバム

 『レストレス・ハート』リリース後、1997年にまたも解散したホワイトスネイクは、結成25周年に向け2002年頃から動き出し、2003年に新しい編成で再び結集します。デヴィッド・カヴァーデイル(Vo)を中心に、新たなパートナーとしてダグ・アルドリッチ(Gt)が楽曲制作に貢献。この2人にマイケル・マッキンタイアーを加えた3人の共同プロデュース。メンバーはカヴァーデイルとアルドリッチのほか、レブ・ビーチ(Gt)、ティモシー・ドゥーリー(Key)、ユーライア・ダフィー(B)、クリス・フレイジャー(Dr)による6人編成です。

 オープニング曲「Best Years」でいきなり、ヘヴィで強烈なサウンドに圧倒されます。ミドルテンポで3連符のリズムに乗せた力強い演奏。カヴァーデイルのボーカルはしゃがれていますが渋さがあり、分厚いサウンドも後押ししてカッコ良いと思わせてくれます。「Can You Hear The Wind Blow」は軸となるギターリフが印象的。初期のようなブルージーさ・渋さを持ちながらも、サーペンス・アルバスのようなゴージャスさを融合しています。続く「Call On Me」はダーティなリフがカッコ良い1曲で、中盤から雰囲気が変わる場面転換もスリリングです。終始シャウト気味のボーカルですが、そこまで衰えは感じません。「All I Want All I Need」はブルージーなバラード。渋い歌声は少し苦しそうですが、哀愁たっぷりのメロディの良さでカバーしています。表題曲「Good To Be Bad」は流石タイトルを背負うだけはあります。最盛期のようなゴージャスでキャッチーなヘヴィメタルサウンドで心を掴む、とてもカッコ良いロックンロールです。本作のハイライトと言えるでしょう。「All For Love」は比較的テンポの速い楽曲ですが、ヘヴィなサウンドに乗る、少し影のあるメロディアスな歌で切ない気分にさせます。そして間奏のビーチのギターソロの美しいこと。その後の転調するメロディも含めて憎いですねぇ。「Summer Rain」はアコギ主体のしっとりとした渋い歌で魅せてくれます。サビからはエレキも加わって盛り上げていく。激しさは控えめですが、円熟味のある歌を活かした魅力的な1曲です。「Lay Down Your Love」は比較的キャッチーな1曲。ヘヴィな演奏がカッコ良いです。「A Fool In Love」はブルージーなイントロから、スローテンポでヘヴィな楽曲を展開。自身の「Crying In The Rain」にも似た雰囲気ですね。一転して「Got What You Need」はアップテンポでグイグイ攻めるロックンロールです。曲の展開だけだと大昔のロックンロールですが、モダンなヘヴィメタルサウンドで聴きやすく、カッコ良く仕上げています。ラスト曲「’Til The End Of Time」はアコギ主体で湿っぽい歌を聴かせます。渋くて、そして癒されます。

 演奏はサーペンス・アルバスのようなゴージャスさを持ちつつも、カヴァーデイルの歌声は年相応の渋さを発揮していて初期ブルースロック時代のようでもあります。賛否両論ありますが、個人的にはなかなかの良作だと思います。

Good To Be Bad
Whitesnake
 
Forevermore (フォーエヴァーモア)

2011年 11thアルバム

 前作の編成からベースとドラムが交代し、マイケル・デヴィン(B)とブライアン・ティッシー(Dr)が加入。またティモシー・ドゥーリー(Key)はゲスト扱いで、またデヴィッド・カヴァーデイルの息子ジャスパー・カヴァーデイルもゲストボーカルとして参加しています。
 前作同様カヴァーデイルと、ダグ・アルドリッチ(Gt)、マイケル・マッキンタイアーの共同プロデュース。楽曲もカヴァーデイルとアルドリッチの共作です。

 開幕「Steal Your Heart Away」からヘヴィなサウンドで攻めます。ただ楽曲自体は初期のブルースロック時代に通じる部分があり、それをモダンなヘヴィメタルサウンドで演じているかのよう。続く「All Out Of Luck」はダーティなギターリフが魅力的です。コーラスワークも活かした歌メロは、カヴァーデイルのシャウト気味のボーカルが光ります。「Love Will Set You Free」は出だしのトリッキーな変拍子からノリの良いロックンロールに繋げます。アップテンポでキャッチーなので結構耳に残ります。「Easier Said Than Done」はテンポを落としてじっくり聴かせる楽曲。歌はメロディアスで、哀愁が漂います。ギターも良い味を出していますね。続いて「Tell Me How」はヘヴィなサウンドが炸裂します。コーラスで飾ったサビはゴージャスな印象を受けつつも、メロディは少し影があります。AC/DCのようにシンプルなリフで始まる「I Need You (Shine A Light)」はノリの良いブルージーなロックンロール。リフだけでなくノリもAC/DCっぽいですね。アコギ主体の「One Of These Days」で爽やかさと円熟味の混じった楽曲を披露した後、骨太のリフを響かせる「Love And Treat Me Right」。サビメロがキャッチーです。続いてノリの良いロックンロール「Dogs In The Street」ではキレの良いギターや、力強いドラムが魅力的です。「Fare Thee Well」は一転してアコギでシンプルにスタート。途中から盛り上がりますが、派手に飾らず渋い歌を聴かせてくれます。「Whipping Boy Blues」はダーティな感じがガンズ・アンド・ローゼズのようでもあったり。カッコ良いです。「My Evil Ways」では開幕テイッシーの強烈なドラムが炸裂。そこからノリノリのロックンロールを展開します。年齢を感じさせないパワフルな楽曲で、とても爽快です。最後に表題曲「Forevermore」。アコギでしっとりと始まり、カヴァーデイルの渋い歌声が染み渡ります。このまましっとり終わる…はずがないですね。後半は哀愁を帯びたハードな演奏で壮大になっていきます。スケールの大きい1曲です。

 老いても喉の調子は良いのか、苦しそうな楽曲もありません。前作の延長線上にある作品で、前作を気に入った方はこちらも楽しめると思います。

Forevermore
Whitesnake
 
The Purple Album (ザ・パープル・アルバム)

2015年 12thアルバム

 セルフカバー芸人デヴィッド・カヴァーバージョン…もといデヴィッド・カヴァーデイルが、自身の古巣ディープ・パープルをセルフカバーした作品です。リッチー・ブラックモアと、亡きジョン・ロードへの感謝とリスペクトから制作に至ったのだとか。実のところ『ライヴ・イン・ジャパン』を除くどのディープ・パープルのアルバムよりも魅力的だと思っています。
 以前、本家ディープ・パープルの2005年くらい(?)の映像を見ましたが、老いたイアン・ギランの苦しそうなシャウトは正直聴くに耐えないものでした。本作において、カヴァーデイルのしゃがれて老いた声は確かに劣化したものの渋味という魅力を得ていますし、何よりレブ・ビーチ(Gt)、ジョエル・ホークストラ(Gt)、マイケル・デヴィン(B)、トミー・アルドリッジ(Dr)らによる分厚い迫力ある演奏が、魅力的な作品にしています。キーが下がっていても聴かせる歌は胸に響きますし、モダンでメタリックな迫力の演奏は、音が古い全盛期のディープ・パープルよりも聴きごたえがあります。

 超名曲「Burn」で開幕。キーも下がっているし、カヴァーデイルのしゃがれ声は老いています。でも迫力あるメタリックなサウンドにカヴァーデイルの渋い声が加わって、老いてもなおカッコ良いのです。グレン・ヒューズは居ませんが、コーラスワークも原曲の雰囲気を感じさせます。ワクワクさせてくれる楽曲です。続いて「You Fool No One」ではメタリックなリフに圧倒された後、アルドリッジの力強いドラムがファンキーなノリを生み出します。中盤の間奏で展開されるヘヴィな演奏のハーモニーにはうっとり。「Love Child」は第4期トミー・ボーリン時代の楽曲です。原曲は聴いたことがなかったのですが、ヘヴィなリフが印象的で、デヴィンの唸るベースがカッコ良いです。「Sail Away」はダークな雰囲気のアコギに乗せて渋いボーカルが活きる。このセルフカバーで魅力を大きく増した1曲で、しっかり聴かせる円熟味のある歌は哀愁たっぷり。涙を誘います。「The Gypsy」はリフをはじめ重厚な雰囲気で、迫力満点です。元のメロディの良さを活かしつつモダンな音色で蘇ったので、じっくりと聴き浸ることのできる1曲です。続いて重厚かつ疾走感溢れる「Lady Double Dealer」。少し息苦しそうでもありますが、力強いボーカルを披露するカヴァーデイルに感服。バックの演奏は爽快です。「Mistreated」はディープ・パープルからレインボーにも受け継がれた名曲ですね。本バージョンではカヴァーデイルがドスの利いたしゃがれ声で聴かせます。少し苦しそうだけども、強い説得力があって説き伏せるかのようです。「Holy Man」ではクリアなアコギが美しい音色を奏でます。そしてサビでは迫力の演奏で盛り上げます。盛り上げ方がずるいですね…感動的です。「Might Just Take Your Life」は原曲の黒っぽさは少ないですが、バッキバキの硬質なサウンドはカッコ良いです。哀愁漂う「You Keep On Moving」を挟んで、アコギに渋い声でしんみり歌う「Soldier Of Fortune」。サウンドがシンプル故にメロディの良さが響きます。ファンキーさが欠けて別の楽曲のような「Lay Down Stay Down」は本作中唯一、コレジャナイ感を覚えた1曲です。他の楽曲のアレンジは良いんですけどね。ラストに控える「Stormbringer」はイントロからぶっ飛ばされます。これはヘヴィメタルなアレンジが非常にカッコ良い。歌はキツそうですが、サウンドの魅力がマイナスな印象を払拭してくれます。

 熟練の老兵とでも言うべきか、老いてまた違った魅力を発揮するセルフカバーアルバム。賛否両論の作品ですが、個人的には大好きな作品です。

The Purple Album
Whitesnake
 
Flesh & Blood (フレッシュ・アンド・ブラッド)

2019年 13thアルバム

 スタジオ盤としては『ザ・パープル・アルバム』から4年、カバーではないオリジナルアルバムでは8年ぶりとなる新作。デヴィッド・カヴァーデイルを支えるメンバーは、前作に引き続いてレブ・ビーチ(Gt)、ジョエル・ホークストラ(Gt)、マイケル・デヴィン(B)、トミー・アルドリッジ(Dr)、更に2015年にミケーレ・ルッピ(Key)が加わり6人体制となりました。ホワイトスネイクとしてのキャリアも40年を超え、よくぞリリースしてくれましたという感じです。正直リリースしてくれるだけでありがたいという低い期待値で聴きましたが、期待を大幅に上回る出来。キャリアの中でも指折りの名盤に仕上がっています。

 オープニング曲「Good To See You Again」はソリッドでキャッチーなリフで幕開け。老いたカヴァーデイルの歌声も好調で、メタリックでモダンなサウンドに負けていません。ノリノリで爽快なロックンロールで、好感の持てる1曲目です。続く「Gonna Be Alright」はダークで少し哀愁が漂いますが、躍動感のあるリズムで牽引。重厚なサウンドにアクセントのように入るアコギが良い感じです。「Shut Up & Kiss Me」はアップテンポ曲。煽り立てるようなリズムが爽快で、ギターも軽快に舞い上がっています。キャッチーで元気を貰える1曲で、年齢を感じさせないカヴァーデイルの歌も良い。そしてヘヴィなリフがカッコ良い「Hey You (You Make Me Rock)」。ダーティな感じですが、サビでのワイルドなコールはキャッチーでアメリカンな雰囲気ですね。「Always & Forever」は軽快で爽やか。それでいながら少し切ない雰囲気も合わせ持つメロディアスな楽曲です。続く「When I Think Of You (Color Me Blue)」はとてもキャッチーなメロディのバラード。ギターの奏でる音色はコッテコテのキャッチーなメロディで、これだけでも名曲ですが、カヴァーデイルの渋い歌声が哀愁を誘う。素晴らしいです。「Trouble Is Your Middle Name」は緊迫感に満ちたダーティなロックンロール。中々スリリングで、間奏の速弾きギターには圧倒されます。でもサビメロは耳に残るキャッチーさを持ち合わせています。そして表題曲「Flesh & Blood」。余裕に満ち溢れた雰囲気を感じます。当時のゴージャスなサウンドが少しだけモダンになった感じで、全盛期の楽曲と見紛う仕上がりです。続いて「Well I Never」はリズミカルで抜群にノリの良いオープニングで、合唱したくなるような楽しさがあります。ですが楽曲が進むと重厚な雰囲気が前面に出てきます。終盤またノリの良さを取り戻して終了。「Heart Of Stone」はスケール感のある楽曲。3拍子のリズムを刻み、アルペジオが美しくも暗鬱です。湿っぽい歌をじっくり聴かせ、サビでは分厚い演奏で盛り上げます。終盤はギターとドラムの掛け合いが非常にスリリングです。そして本作随一のノリの良い「Get Up」。シンプルでストレートなロックンロールですが、若々しさすら感じられる楽しげなカヴァーデイルの歌は、聴いていて楽しい気分になります。一転して「After All」はアコギが小気味良い牧歌的な1曲。優しい雰囲気でポップなメロディ。そして若干速めのテンポが心地良いです。最後は「Sands Of Time」。クラシカルな演奏はゴージャスかつ重厚。雰囲気はシリアスですが、豪華なサウンドにニヤリとします。

 「若い」というのが第一印象です。67歳という年齢を感じさせないカヴァーデイルの声、そしてカヴァーデイルを支えるメンバーの、メタリックでモダンな演奏。全盛期にすら匹敵しそうな素晴らしい仕上がりで、聴いていてワクワクする作品です。

Flesh & Blood
Whitesnake
 
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