🇬🇧 XTC

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Drums And Wires (ドラムス・アンド・ワイアーズ)

1979年 3rdアルバム

 XTC(エックス・ティー・シー)は英国のロックバンドです。バンド名は「Ecstasy(エクスタシー)」をもじったものと言われています。パンクを昇華して独特のひねたポップ感覚を見せ、ニューウェイヴの代表的なバンドとして知られます。また、後のブリットポップムーブメントにも大きな影響を与えました。途中挫折したものの、ブラーのプロデュースにも関わっていますね。
 アンディ・パートリッジ(Vo/Gt)、コリン・モールディング(Vo/B)、テリー・チェンバーズ(Dr)、バリー・アンドリューズ(Vo/Key)で結成。1977年にデビューを果たします。1979年にバリーが脱退し、デイヴ・グレゴリー(Gt/Key)を加えたラインナップで、本作『ドラムス・アンド・ワイアーズ』が制作されました。XTCを顔文字に見立てたジャケットが印象的です。

 全楽曲がアンディ、またはコリンの作曲です。プロデューサーにはスティーヴ・リリーホワイトを迎えています。ポストパンク/ニューウェイヴ期を代表する名プロデューサーです。
 オープニングを飾る「Making Plans For Nigel」から不思議なポップ感覚があります。エコーを利かせたドラムのリズム感覚がまず独特で、その上に乗る歌メロも癖があるけれども耳に残るキャッチーさがある。ギターもなんかすっきりしないのですが、面白いんです。続く「Helicopter」もポップ感覚溢れるんですが、歌はなんか変。一癖も二癖もあるのに、中毒性のあるキャッチーさ。キーボードも中毒性を生み出すのに一役買っている気がします。独特としか表現しようがないのですが、「When You’re Near Me I Have Difficulty」もひねたポップ感が楽しい。また「Day In Day Out」や「Roads Girdle The Globe」では独特のベースラインが際立ちますね。
 アルバムはレコードでいうB面、後半に突入。「Real By Reel」で始まります。次曲「Millions」もそうですが、パーカッシブなドラムのせいか、どことなくプリミティブな雰囲気を感じます。どちらの楽曲もギターが良い味を出しています。リズムチェンジが奇妙な感覚に陥る「That Is The Way」、パンクをストレートではなくひねくれた演奏をしたような疾走曲「Outside World」、そのひねくれ具合を更に推進したヘンテコ疾走曲「Scissor Man」と続きます。ラスト曲「Complicated Game」も売れ線とは一線を画す前衛的な感じ。アルバム終盤に向かうにつれてアンディ作の楽曲の比率が増えていきますが、それと比例するように楽曲もどんどんひねくれていく気がします。

 一癖も二癖もある変な楽曲が並びますが、妙な中毒性があります。歌メロだけでなく、各楽器、特にベースラインが独特な気がします。ひねたポップセンスが光る、面白い作品です。

Drums And Wires
XTC
 

Black Sea (ブラック・シー)

1980年 4thアルバム

 タイトルは適当に付けられたものだそう。タイトルに合わせて潜水服を着たジャケットアートが採用されています。
 前作に引き続き、スティーヴ・リリーホワイトのプロデュース。同年発表の『ピーター・ガブリエル III』で用いられた、革新的な手法「ゲートリバーブ」。ドラム音にエコー処理を施し、残響音をバッサリ切るという手法ですが、この手法を本作でもいち早く採用しています。プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトとエンジニアのヒュー・パジャムという、『ピーター・ガブリエル III』と同じタッグですしね。

 「Respectable Street」で開幕。アクの強いボーカルはコーラスワークによって多少和らげている印象。変だけどキャッチーですね。ギターが良い感じ。「Generals And Majors」では所々に口笛を聴かせて陽気な感じ。ドラムのリズムが気分を高揚させます。そして本作のハイライト「Living Through Another Cuba」。XTCの代表曲の1つです。サンバ風のリズムに乗せてひたすら連呼する「リビスゥアナーザーキューゥ…ッバ!」はどうしたって耳に残りますね。ドラムが作り出すスリリングなリズム感。ノリも良くて中毒性も高い、楽しい1曲です。続く「Love At First Sight」は同じフレーズの反復が用いられていて、歌も耳に残ります。ギターのエッジが効いています。
 レコード時代でいうB面、アルバム後半1曲目は「Towers Of London」。アクの強いボーカルではあるものの、メロディアスな歌を聴かせてくれます。このひねたポップ感覚、ブラーに受け継がれていると思います。「Paper And Iron (Notes And Coins)」はダイナミックなドラムが印象的なアップテンポ曲。躍動感があって、リズムに合わせて自然と身体が動きます。レゲエのリズムを取り入れたノリの良い「Burning With Optimism’s Flames」ではギターとドラムがレゲエ風ですが、その中で存在感を示すベースがカッコいい。「Sgt. Rock (Is Going To Help Me)」はキャッチーな1曲。もう少しストレートならば万人受けしそうですが、XTCらしさというか、ひねた感じが個性的な1曲に仕上げています。ラスト曲「Travels In Nihilon」は7分に渡る大作。ゲートリバーブによるドラム音が強烈なインパクト。プリミティブなイメージを抱きます。怪しさと陰鬱さがあって、人を寄せ付けないような緊迫感があります。

 手持ちの音源だと、「Towers Of London」の手前にボーナストラックが3曲ぶち込まれていました。リマスター時に後ろに持ってきて、本来のボーナストラックに位置づけられたようですが。1曲目「Smokeless Zone」は疾走感が気持ち良い1曲です。ほどよく哀愁を醸し出していますが、そんな楽曲の雰囲気よりも、こだまするエコー処理やらガチャガチャしたバックの演奏の方が気になる。。続く「Don’t Lose Your Temper」は変な歌に目を瞑れば、ストレートなロック曲。明るい雰囲気で楽しいです。最後「The Somnabulist」は暗く重苦しい1曲です。

Black Sea
XTC
 
 
 類似アーティストの開拓はこちらからどうぞ。