🇯🇵 四人囃子 (よにんばやし)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

一触即発

1974年 1stアルバム

 四人囃子は日本のロックバンド。1969年、高校在学中に森園勝敏(Vo/Gt)と岡井大二(Dr)が出会い、そこに中村真一(B)が加わって「THE SANNIN」を結成しました。翌年には坂下秀実(Key)が加わって「四人囃子」に改名します。メンバー人数が変わってバンド名が三人から四人に変わったんですね。笑 「18歳の若さでピンク・フロイドの大曲Echoesを完璧に演奏できるバンド」として当時から名を馳せていたそうです。
 1973年にシングル「二十歳の頂点」でメジャーデビューし、翌年にフルアルバムとなる本作をリリース。ピンク・フロイドの影響がかなり色濃い作品です。

 「[hΛmǽbeΘ]」は「ハマベス」と読むそうです。45秒の短いインストゥルメンタルで、緊迫しつつもスペイシーな雰囲気を出しています。そのまま続く「空と雲」は穏やかで気だるげな印象。実験的な楽曲が淡々と進行します。「おまつり (やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)」は11分超の大曲。序盤はジャジーな雰囲気で、メロウなギターはデヴィッド・ギルモアを彷彿とさせます。途中加わるオルガンソロも心地良いですね。5分過ぎた辺りから急激にスリルを増し、その後またテンションは戻すものの9分手前で再びスリルを増します。歌詞は疎外感に溢れていて虚しい感じ。
 レコード時代のB面は表題曲「一触即発」で開幕。12分半の大曲です。ピンク・フロイドの「One Of These Days」や「Breathe (In The Air)」のフレーズを引用していてモロパクじゃん!とも思うのですが、演奏自体はピンク・フロイド以上の緊張感を持っていて、結構スリリングで楽しませてくれます。森園のボーカルもどことなくデヴィッド・ギルモアに通じますね。後半のインプロヴィゼーションではディープ・パープルをはじめとしたハードロックバンドからも影響がありそうな気がします。聴きごたえのある楽曲です。そしてラスト曲「ピンポン玉の嘆き」はインストゥルメンタルで、タイトルにもあるようにピンポン玉の跳ねる効果音が鳴り響きます。メロウで神秘的な雰囲気があり、中盤はチャイムとメロトロンが加わって壮大な演出がなされています。
 ここからはCD化に際し追加された1975年発表のシングル曲。なお1974年に茂木由多加(Key)の加入と中村(B)の脱退があり、後に名プロデューサーとして名を馳せることになる佐久間正英(B)が1975年に加わっています。5名体制で発表したシングル「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」、これが本作で一番魅力的ですね。シュールなタイトルが目を引きます。開始直後から畳み掛けるようなイントロがとてもスリリングですが、森園のギターが浮遊感に満ちた音色を奏でると緊張の糸がほどけ、キャッチーなメロディの歌が始まります。歌詞はシュールですけどね。ノリも良くて楽しい1曲です。続くインストゥルメンタル「ブエンディア」は前曲のカップリング曲。序盤と終盤はファンキーな楽曲をスペイシーなキーボードで中和して、心地良いグルーヴを生み出しています。中盤はエレピを中心にオシャレでまったりとした雰囲気ですが、時折ドラムがスリリングになります。フュージョンに通じるものがあります。

 和製ピンク・フロイド。森園のボーカルもヘタウマなデヴィッド・ギルモアといった雰囲気ですので、ピンク・フロイドファンは聴いてみる価値はあると思います。

左:2019年にデラックス・エディションがリリースされました。
右:レビューはこちらになります。

一触即発 デラックス・エディション
四人囃子
一触即発+2 (紙ジャケット仕様)
四人囃子
 
 
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