🇬🇧 Amy Winehouse (エイミー・ワインハウス)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Back To Black (バック・トゥ・ブラック)

2006年 2ndアルバム

 イングランド出身のソウル・R&Bシンガー、エイミー・ジェイド・ワインハウス。1983年9月14日生まれ、2011年7月23日没(享年27歳)。アルコール依存が原因で若くして亡くなった彼女は、(27歳で死亡するミュージシャンが多いことから)「27クラブ」に数えられます。そんな彼女の命日に本作をレビューします。
 2003年にアルバム『フランク』でデビューし、これがヒットして一躍有名になったエイミー。当時恋人で後に結婚するブレイク・フィールダー・シビルとの一時的な別居が、悲しみや罪悪感といった感情を生んで本作制作の原動力になったようです(2007年には結婚するものの、旦那の影響で薬物依存へと足を染めることになり、それがキッカケで結婚生活自体も2年ほどで終えてしまいます)。さて本作は、本国英国においては21世紀に入って2番目に多く売り上げた大ヒット作で、全世界でも1600万枚以上を売り上げています。1950〜60年代ガールズグループのポップスに影響を受けているのだそうで、レトロで懐かしい感じがする作品です。マーク・ロンソンとサラーム・レミによるプロデュース。

 アルバムは「Rehab」で幕開け。グラミー賞を受賞したこの代表曲は、アルコール依存からのリハビリ施設入所の経験を歌にしたものだそうです。イントロもなく始まり、渋くしゃがれたソウルフルな歌声を披露。リズミカルなドラムに華やかなホーン、そして中盤からはオーケストラが加わり、どんどん豪華になっていきます。歌メロも耳に残るんですよね。続く「You Know I’m No Good」は跳ねるようなベースとリズミカルなドラムが心地良く、ホーンも歌を引き立てます。ですが歌メロは憂いを帯びていて、どこかノスタルジックでアンニュイな感じ。レトロな哀愁漂うメロディラインが魅力的です。「Me & Mr Jones」は昔の映画音楽のような、旧き良きメロディが懐かしい感じです。レコーディング当時22歳前後だと思いますが、もっと歳を重ねたような(笑)貫禄のあるボーカルがとてもソウルフルです。「Just Friends」はリラックスしてトロピカルな雰囲気です。スカのようなズッチャッ ズッチャッというノリの良いブラスに、レゲエ的な爽快なドラムに乗せて、まったりとした優しい歌を聴かせます。そして表題曲「Back To Black」。ピアノとドラムがリズミカルかつ少し陰のある雰囲気を作ります。エイミーのボーカルはメランコリックで、そしてコーラスが歌を引き立てます。メロウで渋いですね。後半はストリングスが優雅に楽曲を彩ります。2分半の短い「Love Is A Losing Game」はゆったりとしたテンポで、落ち着いてメロウな楽曲を披露します。優しくアンニュイな歌が心地良い。「Tears Dry On Their Own」はチキチキ打つドラムが気持ち良いですね。明るい雰囲気でどんどん盛り上がっていきますが、底抜けの明るさではなく切なさが残ります。歌詞では失恋を歌っているようです。続く「Wake Up Alone」は3拍子の演奏が心地良く揺さぶります。幻覚的な演奏とどこか懐かしさのあるギターが、ノスタルジックな感覚と微睡むような浮遊感を与えてくれます。ベースラインが心地良い「Some Unholy War」では渋くて憂いのある歌を聴かせます。2分強の短さですぐ終わってしまうと、続く「He Can Only Hold Her」はイントロから明るく躍動感があります。サウンドプロダクションがレトロな感じで、ノスタルジックで心地良く、ブラスも明るい雰囲気で楽しませてくれます。ラストに「Addicted」。スコンスコンと爽快なドラムに、キャッチーかつメロディアスな歌に惹かれますね。リズミカルでノリノリです。

 個人的にR&Bはほとんど聴かないため評価も難しいんですが、年齢にそぐわない渋く貫禄のある歌声だと思いました。リズミカルかつレトロでポップな楽曲は懐かしく楽しく、そして哀愁漂う歌が魅力的です。

Back To Black
Deluxe Edition (2CD)
Amy Winehouse
Back To Black
Amy Winehouse
 
 
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