入門盤5選:Progressive Rock

プログレッシヴロック入門盤5選

Pink Floyd (ピンク・フロイド) | The Dark Side Of The Moon (狂気)
1973年 8thアルバム

 ピンク・フロイドは現在までに2億3千万枚以上を売り上げるモンスターバンドで、プログレの枠に収まらない活躍を見せました。初期は実験的なサウンドを繰り広げ、後期はバンドのフロントマン ロジャー・ウォーターズのワンマンバンドとして社会批判的な姿勢を貫きつつ大衆化を果たしていきます。
 そんなピンク・フロイドの歴史的ヒットアルバムが『狂気』です。米国のビルボード200に741週(15年間)に渡ってチャートインし続けたという、世界一のロングセラーアルバムとしてギネス記録を持つ作品で、総売上枚数は諸説ありますが、3500万枚とも5000万枚とも言われています。こんなバカ売れした作品なのだからさぞかし素晴らしい内容なのだろうと思って聴くと、心臓の鼓動やレジスターのSEなどギミック満載な不可思議な世界が広がっていて「一体なんだこれは?」という感覚が襲います。しかし何度か聴くうちに、私はこの不思議な作品の虜となってロックの面白さを知り、ロックを開拓しようと思うキッカケになった作品なので、思い入れも深いです。そして歌詞も深くて、「ある日お前は10年の月日が過ぎ去っていたことに気づく 誰もいつ走ればいいのかなんて言わなかったし、お前はスタートのピストル音も逃したのだ」(Time)なんてグサリと突き刺さりますね。

 プリズムが描かれたジャケットアートがとても有名ですが、これはヒプノシスというデザイナー集団によって作られました。ピンク・フロイドに限りませんが、1970年代のロックの名盤にはヒプノシスによる抽象的なジャケットも数多くあり、ジャケットアートも楽しみの一つです。

 なお本作は全編に渡って楽曲が繋がっているというトータルアルバムで、プログレ界隈の作品ではこういったアルバム1枚で繋がった1曲の作品だったり、色々な効果音でよくわからない世界が展開されているものも多いです。難解な作品が多いプログレというジャンルですが、本作はキャッチーな側面も強く、意外と聴きやすい作品です。「プログレとはなんぞや?」という問いに対して、まず真っ先に薦めたい1枚です。
 
 
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The Dark Side of the Moon
Pink Floyd
 

Yes (イエス) | Close To The Edge (危機)
1972年 5thアルバム

 プログレッシヴ・ロックにはプログレ四天王だとかプログレ5大バンドと呼ばれるバンドがあり、そのうちの一つがイエスです。このイエスの他ピンク・フロイドキング・クリムゾンエマーソン、レイク&パーマー(通称ELP)を加えてプログレ四天王、そこにジェネシスを加えたのがプログレ5大バンドで、プログレというジャンルを聴くのであればまず押さえておきたいバンド群です。

 さて本作『危機』は、プログレファンの間ではキング・クリムゾンの『クリムゾンキングの宮殿』と人気を二分する、プログレ最高峰に位置する作品です。
 本作はたったの3曲しか入っておらず、約19分、10分、9分の濃密な3曲構成。その高い演奏力と構成、そして全編を通して保ち続ける高い緊張感が本作の評価を押し上げています。テクニック重視でインストゥルメンタル重視の、展開の読めない楽曲構成はプログレの特徴の一つですが、本作はメロディアスで、ハードロック的な明瞭さもあり、かなり聴きやすい作品となっています。そしてイエスは本作で味を占めて大作群を次々と発表しますが、取っつきやすさでは本作が随一ですね(個人的には難解と言われる『海洋地形学の物語』を最高傑作に推しますが)。
 ロックでクラシックを演じているかのような、緻密な構成の表題曲「Close To The Edge」は、意外とゲーム音楽が好きな人にも受け入れられるのではないでしょうか。またイエスに近いアプローチをしたELPはファミコンなどの黎明期ゲーム音楽にもかなり影響を与えています。複雑な曲構成という意味ではラッシュも音楽的に比較的近いので、こちらもおすすめです。

 内ジャケットに広がるロジャー・ディーンの幻想的な世界観は、イエスをはじめとしたプログレのファンタジックな音楽の世界観とうまくマッチするようで、前述のピンク・フロイド『狂気』を手掛けたデザイナー集団ヒプノシスと並んで、ロジャー・ディーンはプログレバンド御用達のジャケット画家となりました。ジャケットアートの芸術も、プログレの魅力の一つではないでしょうか。

 大作3曲からなる『危機』。テクニックは複雑ながらもキャッチーなメロディは魅力です。とにかくスリリングな作品で、プログレ入門向きの1枚です。
 
 
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Close To The Edge
Yes
 

King Crimson (キング・クリムゾン) | In The Court Of Crimson King (クリムゾン・キングの宮殿)
1969年 1stアルバム

 プログレの元祖とも呼ぶべき作品、それがキング・クリムゾンの『クリムゾン・キングの宮殿』です。ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に影響を受けた1枚ですが、プログレ黎明期に発表された本作は、明確にプログレというジャンルの方向性を示しました。ジャズとロックを融合したような楽曲や、オーケストラ風の音を出す「メロトロン」と呼ばれる楽器の使用、不協和音の採用など、そのスタイルは後発のプログレバンドにも多大な影響を与えました。
 ロバート・フリップ(Gt)を中心としたキング・クリムゾンはメンバーチェンジの激しいバンドで、一作ごとにメンバーも音楽性も大きく変わっていきます。難解な音楽性だけでなく、次に何をするかわからないという姿勢も「プログレッシヴ(=前衛的、進歩的)」なロックバンドですね。入門としては本作をオススメするものの、フュージョン畑の人には『太陽と戦慄』、メタラーには『レッド』あたりも入門(かつ、人によっては最高傑作)としてオススメできます。

 ピンク・フロイドの『狂気』やイエスの『危機』よりも難解で奇怪な印象を受ける本作ですが、これを受け入れられるとプログレの世界が大きく開けます。本作に近い作風のものを探していくと、ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターや、イタリアのアレアPFMなども魅力的に映るかもしれません。また、初期ジェネシスもキング・クリムゾンの影響を受けながらも、よりファンタジー風のアプローチで成功しています。
 
 
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In the Court of the Crimson King: 40th Anniversary Series
King Crimson
 

Boston (ボストン) | Boston (幻想飛行)
1976年 1stアルバム

 順当にいけばプログレ5大バンドのELPジェネシスを紹介すべきところですが、5大バンドだけだと取っつきにくいジャンルで終わってしまいそうなので、趣向を変えてこちらを4枚目に。これまで紹介したバンドはいずれも英国出身ですが、こちらは米国ボストン出身のバンドで、その名もボストン。分かりやすい名前ですね。笑

 プログレハードというジャンルにカテゴライズされますが、プログレのテクニカルな面と、ハードロックのハードな両面を併せ持つボストンのサウンドは、アメリカンらしくとてもカラッとしていて聴きやすいです。スペイシーなサウンドで、メロディ重視のとても聴きやすい音楽。カンサスとともにアメリカのプログレ界を牽引しました。
 また、ボストンの影響があったかなかったか、ジャーニーTOTO、スティクス等メロディアスなバンドがデビューします。しかし彼らは「産業ロック」と一括りにされ揶揄されることも(日本の渋谷陽一氏の発言だそうです)。これはディスコ音楽の隆盛に押され気味だった1970年代末の米国ロックシーンにおいて、レーベルがロック活性化のために万人向けの音楽を彼らバンドに求めたことも要因だったようです。でもこれらバンドはどれもキャッチーでとても聴きやすく、洋楽初心者向けにぴったりだと思います。

 そしてボストンは、8年に1度しか作品を出さないという寡作なバンドですが、デビュー作で全世界で2000万枚以上を売り上げる大ヒット。またアルバムも出すたびに大ヒットするので、レーベル的には寡作でもやむなしでしょうか。笑
 
 
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Boston
Boston
 

Asia (エイジア) | Asia (詠時感~時へのロマン)
1982年 1stアルバム

 元キング・クリムゾン、元イエス、元ELPという英国プログレ界の大御所が集まったスーパーバンド、エイジア。メンバーのキャリアだけ聴くと凄まじいテクニックを期待してしまいますが、繰り広げられる音楽はとてもキャッチーでメロディアスな音楽です。プログレのエッセンスを凝縮して3分台に纏め上げた名曲「Heat Of The Moment」をはじめ、コンパクトで取っつきやすい楽曲の数々はプログレポップとでも呼べばよいでしょうか。

 プログレは1970年代前半が最盛期でしたが、プログレッシヴ(=前衛的)といいながら徐々にスタイルが凝り固まって停滞してきたことに加えて、オイルショックなどの不況の影響もあり、1970年代末には廃れてしまいました。多くのプログレバンドが解散やポップ化を遂げることになりましたが、そんな解散したプログレ大御所バンドのメンバーが結集し、1980年代という時代に合わせたサウンドを展開した本作は大ヒットしました。
 往年のプログレバンドのようなテクニックひけらかしのような展開はありませんが、難解さは全くありません。本作がプログレかと言われれば少し異なるものの、エイジアから遡ってプログレに入っていくというのもありだと思います。もちろん、エイジアからプログレを離れて1980年代ポップサウンドに向かっても良いでしょう。プログレ界隈から出てきたとてもキャッチーなバンドで、ロック入門に適しています。
 
 
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Asia
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プログレッシヴロック開拓のすすめ

 プログレッシヴロックのアーティスト一覧はこちらに纏めています。