🇦🇺 Courtney Barnett (コートニー・バーネット)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit (サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット)

2015年 1stアルバム

 オーストラリアの女性シンガーソングライター、コートニー・バーネット。1987年11月3日生まれで、フルネームはコートニー・メルバ・バーネットといいます。シドニーで生まれて、後にメルボルンへ移りました。左利きギターを弾き叙情的な詩を歌うスタイルはニルヴァーナのカート・コバーンと比較され、デビュー時から大きな話題となった新世代のギターヒロインです。カート・コバーンも同じく左利き、そして彼女が初めて買ったCDはニルヴァーナの『ネヴァーマインド』だとか。そしてコートニーという名も、カート・コバーンの妻コートニー・ラブを連想させますね(赤の他人ですが)。
 2012年にデビューEPをリリースし、翌年リリースした2ndEPでメディアからも注目を浴びるようになったようです。そして2015年にフルアルバムとなる本作をリリース。バックバンドにはデイヴ・マディー(Dr)、ボーンズ・スローン(B)、ダン・ラスコーム(Gt)。バーク・リードを共同プロデューサーに迎え、コートニーとダン、そしてバーク・リードによる共同プロデュース。

 オープニング曲は「Elevator Operator」。力強いリズムがノリの良いアップテンポ曲に仕立てますが、コートニーの歌は気だるげで抑揚が少ない感じ。そんなアンバランスさを持ちながらもキャッチーな印象です。ノイジーなギターで幕を開ける「Pedestrian At Best」は荒々しいサウンドが強烈ですがノリが良く、ノイジーでキャッチーなリフは耳に残ります。また力強い歌は抑揚が少なくて、激しく躍動感のある演奏に比べるとギャップを感じます。でも不思議と印象に残るという、とにかくカッコ良い1曲です。「An Illustration Of Loneliness (Sleepless In New York)」はグルーヴ感のあるベースが印象的。スカスカなサウンドはリズミカルで心地良く、そこに気だるげな歌を聴かせます。続く「Small Poppies」はブルージーな楽曲。泥臭いサウンドは8分の6拍子の揺さぶるようなリズムを刻み、アンニュイな歌はゆったりとした雰囲気。しかし徐々に荒ぶり、緊張を高めていきます。終盤はとても緊迫しています。そんな緊張を解すかのような次曲「Depreston」は、アコギ主体の穏やかなサウンド。ゆったりとした歌を聴かせます。続いて「Aqua Profunda!」は目の覚めるような爽快なアップテンポ曲。程良くノイジーで、キレのあるサウンドは躍動感に満ちています。メロディもキャッチーで、晴れた日の外出にもってこいの楽曲です。僅か2分なのが物足りない感じ。「Dead Fox」もアップテンポでキャッチーな楽曲。抑揚のない気だるい歌が心地良いです。続く「Nobody Really Cares If You Don’t Go To The Party」は躍動感に溢れるノイジーな爆音サウンドが爽快。ベースがゴリゴリうねります。「Debbie Downer」はポップな印象です。明るく軽快な演奏に、気だるげながらもキャッチーな歌メロが光ります。そして本作最長の7分近い「Kim’s Caravan」。静かな演奏に呟くようなアンニュイな歌が淡々と続き、独特の浮遊感を生みます。同じフレーズをひたすら反復しながらどんどんノイジーになり、後半に向かうにつれて緊張感を増していきます。とてもスリリングな1曲です。ラスト曲は「Boxing Day Blues」。静かで落ち着いた歌をしっとり聴かせて終了。

 ノイジーながらも躍動感のある爽快なサウンドに、抑揚のない気だるげな歌というギャップ。ですがキャッチーで心地良く、爽快な作品です。

Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit
Courtney Barnett
 
 
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