🇯🇵 白い朝に咲く (しろいあさにさく)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

lumino (us)

2022年 1stミニアルバム

 徳島県出身のインディーロックバンド、白い朝に咲く。2012年、河野多恵(Vo/Gt)を中心に「血眼」という名のガールズバンドを結成、2015年に改名して現バンド名になったそうです。河野以外のメンバーは変わり、2017年に飯塚祐太朗(B)とシマコ(Dr)が加入。同年にシングル『日々の泡』をリリースするも、河野が難病を患い活動休止になりました。
 河野が体調を戻したことで、2022年にバンドは活動再開。クラウドファンディングを通じて資金を集め、1stミニアルバムである本作のリリースに至ります。CDは通販サイトBaseで購入可能です。

 「summer」は、ゆったりとしたアコースティック曲。古いラジオを通したようなローファイで温もりある音質だからか、優しい歌メロのおかげなのか、どこか民謡にも似た懐かしい雰囲気を醸し出します。続く「Heaven’s girl」は、冒頭の力強いドラムとノイズで歪んだギターで、ガラリと雰囲気を変えます。オルタナ感たっぷりですが、河野の歌は可憐で透明感に溢れていて、ゆったりとした心地の良い空気が流れています。そして名曲「9383」。素朴でポップな歌が魅力的で、リズム隊主体の演奏が歌メロの良さを引き立てます。口ずさみたくなるようなポップさですね。またサビでは包み込むようなサウンドに、浮遊感とポップさを両立した歌に癒やされます。「Fantasy」はギターと歌で浮遊感に溢れていますが、途中からリズム隊が躍動感を加えて気分を高揚させてくれます。透明感のあるアンニュイな歌が魅力的で、歌に意識が向かいがちですが、飯塚の弾く骨太なベースや、シマコのパワフルなドラムもカッコ良いです。「nostalgia」は幻覚的なギターサウンドがサイケデリックな浮遊感を生み出しますが、リズム隊のおかげで地に足ついた感じに。憂いのある儚い歌声が切なさを誘います。「intro (生活)」はインストゥルメンタル。環境音にエフェクトをかけて、それをアンビエントな演奏で包み込みます。幻覚的な音に包まれていますが、懐かしい印象を抱きます。そして最後に「海へ」。イントロでは本作中最もノイジーな音を奏でますが、ノスタルジックな歌が始まると、包み込むような優しい音になります。そしてサビでは儚げな声ながらも力強い歌唱を聴かせます。

 儚くて透明感のある歌声を活かす、ゆったりとしたオルタナ的な演奏は終始心地良いです。27分という絶妙な短さも、また聴きたいと思わせる要因でしょうか。今後が楽しみなバンドです。

lumino (us)
白い朝に咲く
 
 

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 2023年より、シマコ(Dr)がサポートとして参加。

 
 
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