🇯🇵 ついったー東方部 (ついったーとうほうぶ)

レビュー作品数: 2
  

同人作品:東方アレンジ

Night Butterfly

2019年 14thアルバム

 ついったー東方部は、東方ジャズアレンジを主とした音楽サークルです。2009年頃から活動をしています。
 本作でのメンバーは、tanigon(Pf)、crow(Sax)、2416(B)、中正樹(Dr)で、ジャケットイラストは赤津豊が手掛けます。原曲を踏襲したメロディを軸にしつつ、楽曲中盤にはアドリブを挟む感じのジャズアレンジです。東方Projectオンリーの同人即売会、第16回 博麗神社例大祭で頒布されました。

 「亡き王女の為のセプテット」は比較的テンポが速めの、オシャレなジャズアレンジです。ピアノがリズム隊と合わさって跳ねるような演奏を展開し、主旋律を主にサックスが奏でます。中盤はアドリブ要素が加わり、サックス、ピアノ、リズム隊の順に見せ場がありますが、洒落ていてとても耳心地がいいです。終盤に元のメロディに戻る展開にはグッと来ますね。
 続いて「芥川龍之介の河童 ~ Candid Friend」は、ゆったりと落ち着いたサックスに加えて、微睡むような幻想的なエレピが心地良いです。3拍子のリズムとノスタルジックなメロディという原曲由来の要素も合わさって、白昼夢のような浮遊感があります。中盤にはベースソロもあり、ゆったりとした中にも聴きどころがありますね。
 「Necrofantasia 2」は「ネクロファンタジア」のアレンジ。冒頭から透明感あるピアノが奏でる、あまりに美しい主旋律に涙しそうになりますが、かと思えばすぐさま渋いサックスが加わって大人なムードを演出します。バーで流れていそうなメロウなアレンジですね。後半の、静かなパートで響くウッドベースの音色にも味があります。
 続く「春の湊に」はファンキーなベースソロで始まる、躍動感溢れる楽曲です。ご機嫌なサックスが主旋律を奏でますが、やはりベースとドラムの掛け合いがこの楽曲のハイライトでしょうか。後半のピアノ独壇場も聴きごたえがありますね。テンポも速くてテンション高めの、爽快なジャズアレンジです。
 そして「紅楼 ~ Eastern Dream」は冒頭ゆったりと始まります。静かな空間に渋いサックスの低音が響く落ち着いた雰囲気ですが、1分半を過ぎた頃からややリズミカルな演奏へと変化。落ち着いて大人びた雰囲気は保ちつつも、心地良い躍動感があります。終盤は「ネクロファンタジア」のメロディを入れたりする遊び心もありますね。
 最後に「死霊の夜桜」。サックスの優しい音色がどこかノスタルジックで感傷的な気分を誘います。そして、中盤の透明感溢れるピアノパートが美しいですね。

 カフェやバーで流れていそうなオシャレなジャズアレンジです。全体的にメロウですが、時折スリリングな演奏を繰り広げます。

Night Butterfly
ついったー東方部
 
Bhava:Agra

2020年 15thアルバム

 本作のテーマは様々な「有頂天」だそうです。東方オンリーの同人即売会、第17回博麗神社例大祭で頒布されました。なまる の描くジャケットイラストに惹かれて本作のクロスフェードを試聴したのが、ついったー東方部との出会いでしたが、テンション高い「ピュアヒューリーズ~心の在処」のジャズアレンジが魅力的だったので手に取りました。

 「Intro」はノスタルジックで陰りのあるtanigonのピアノソロです。そしてテンションを上げてきたところで次曲へ繋ぎます。
 「ピュアヒューリーズ~心の在処」は冒頭からとてもスリリングなんです。主旋律を奏でるcrowのサックスが、これから始まるぞと言わんばかりに高揚感を掻き立てつつ、テンポの速いリズム隊はバックで焦燥感を煽り立てる…掴みが最高すぎます。その後に高速かつ高いテンションで、激しい演奏バトルを繰り広げます。カッコ良すぎる白熱の演奏に釘付けです。
 続いて「メイドと血の懐中時計」。原曲は3連符の多用が特徴的ですが、原曲を意識してしまうと、本アレンジはリズムの刻み方がかなりトリッキーに感じます。ピアノとドラムで意図的にリズムパターンをずらしているのでしょうが、良い意味でそのズレが気になり続け、更にサックスもまたずらしてくるので、リズムを追いかけているうちに混乱してきます。笑 でもサビ部分(?)は息ぴったりに、ワルツのような心地良いリズムで揺さぶってくれます。原曲との違い・違和感で妙に印象に残る良アレンジです。
 「おてんば恋娘」は前2曲の激しさとはうって変わり、まったりとメロウなムード。優しいサックスが主旋律を奏で、落ち着いた演奏と相まってノスタルジックな感触です。中盤はサックスがテンションを上げ、そこからはtanigonのピアノや、2416の弾くウッドベースの見せ場が待っています。
 続く「Oriental Magician」は怪しげな冒頭を経たのち、サンバのようなリズムで、テンション高めの演奏が始まります。中正樹の叩く、パタパタと忙しないドラムが楽曲に勢いと躍動感をもたらし、ご機嫌なサックスやピアノがそれぞれ主導権を取りながら、ノリの良い演奏を繰り広げます。
 一転して「Song for Mystia」は、ゆったりとしたテンポで、大人びた雰囲気が漂います。渋くてメロウなサックスが奏でるメロディアスな旋律、静かに楽曲を引き立てるオシャレなピアノ、落ち着いてジャジーなリズム隊がしっとりと聴かせてくれます。
 ラスト曲「緋想天」は冒頭から緊張感がありますが、途中から6/8拍子の心地良い演奏で揺さぶってくれます。そしてソロパートを交えつつテンション高い演奏で楽しませてくれます。

 前作に比べると全体的にテンション高めです。スリリングな演奏とゆったりとした演奏を繰り広げて緩急をしっかりつけます。

Bhava:Agra
ついったー東方部
 
 
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