🇯🇵 幽閉サテライト (ゆうへいサテライト)

レビュー作品数: 2
  

同人作品:東方アレンジ

色は匂へど 散りぬるを

2010年 1stアルバム

 幽閉サテライトは同人音楽サークルで、2010年夏に結成しました。創設者の嵯峨飛鳥に加えて、Senya(Vo/Lyrics)、ikuo(Gt)、Iceon(Key/Arr)、でいたらぼっち(Arr)、Autobahn(Arr)、かませ虎(Lyrics)らがメンバーとして参加しています。看板違いのサークルがいくつかあり、幽閉サテライト(東方アレンジ)のほか、2011年より兄弟サークルとして幽閉カタルシス(同メンバーだが東方以外のアレンジやオリジナル曲を手掛ける)、2014年より姉妹サークルとして少女フラクタル(東方アレンジを行うがボーカリストが異なる)も並行して活動しています。
 同人サークル満福神社が手掛ける東方Project非公式同人アニメ『東方万華鏡』シリーズに、いくつかのテーマ曲を提供していることもあってか、当初から大型新人のような扱いだった記憶があります。幽閉サテライトの楽曲はカラオケでも人気が高く、東方系楽曲ランキングでも上位を占めているのだそう。さて本作ですが『東方万華鏡』のOP曲にも採用された「色は匂へど 散りぬるを」を収録した、幽閉サテライトの1stアルバムです。ジャケットイラストは北原朋萌。が担当。

 表題曲にして幽閉サテライトの代表曲の一つ「色は匂へど 散りぬるを -Full Version-」。原曲は「神々が恋した幻想郷」で、Senyaの透明感のある歌声が原曲踏襲のメロディアスなフレーズを歌います。ピアノやストリングスをはじめ奥行きのある演奏は幻想的でありながら、リズムビートは力強くダンサブルで、キャッチーな印象を兼ね備えています。前半はスケール感がありますが、後半に向かうにつれてダンスチューン的な色合いが強まっていきます。
 続いて、「感情の摩天楼 ~ Cosmic Mind」をトランスアレンジした「感情ケミストリー」。冒頭のエレピは幻想的ですが、そこから強烈なビートが焦燥感を煽り立てます。歌声には靄のようなエフェクトをかけ、更に低音を効かせたSenyaの歌は前曲とはまるで雰囲気が異なります。
 「加速する恋は誰も止められない」は「少女さとり ~ 3rd eye」のアレンジ。毒性の強いダンサブルなリズムビートに乗せて、恨みがましく粘っこい歌を披露。時折ヒステリックに叫びます。
 続く「零れ桜」は「幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life」のアレンジ。原曲のメロディ故か西行寺幽々子をイメージしたのか、艶っぽく大人びた歌唱で魅せます。楽曲は相変わらずダンサブルですが、歌を活かして別路線にしても良かったのではとも思います。
 そして「ネクロファンタジア」をアレンジした「ダフネ幻想歌」。冒頭はおどろおどろしいものの、そこからビートとシンセが強烈なメリハリを生み出すダンスチューンが展開されます。
 ラスト曲「孤独月」は「U.N.オーエンは彼女なのか?」のアレンジ。ダンス色は残しつつもポップさを強調した楽曲で、Senyaの歌を堪能できます。小悪魔っぽい歌い方で原曲踏襲のキャッチーなメロディを歌う、魅力的な1曲です。

 当時幻想的な表題曲目当てで手にしたら、俗っぽいダンスチューン揃いで驚いた記憶があります。個人的に好みな表題曲とラスト曲が、アルバムの中では若干浮いている感じ。楽曲により透明感があったり恨みがましく粘っこく歌ったりと、表現力豊かなSenyaの歌唱は魅力的ですね。

色は匂へど 散りぬるを
幽閉サテライト
 
月に叢雲華に風

2011年 6thアルバム

 満福神社による同人アニメ『東方万華鏡』シリーズに表題曲が採用されています。この「月に叢雲華に風」は音ゲーにも積極的に採用されている幽閉サテライトの代表曲の一つで、例に漏れず私も『東方ダンマクカグラ』という音ゲーでこの神曲の存在を知って本作を聴くに至りました。笑 ジャケットイラストはミユキルリア。古明地さとりが描かれていますが、収録楽曲的には古明地こいしのイメージです。

 「ラストリモート」をアレンジした屈指の名曲「月に叢雲華に風」で幕を開けます。哀愁たっぷりの原曲踏襲のメロディラインを、ABメロでは儚くも恨みがましく歌ったかと思えば、Cメロあたりから力強さを増しつつメランコリックになっていきます。サビメロに向かって盛り上げる展開はドラマチックで、Senyaの歌はとかく素晴らしいし、間奏ではアツいギターソロも堪能できます。初めて聴いたときから強く惹きつけられる名曲です。
 続く「スクリーミング・テンペスト」は「星の器 ~ Casket of Star」のアレンジ。憂いを帯びた艶っぽい歌声は強めのエフェクトをかけて天井から響くようなイメージで、一方でリズムビートは叩きつけるように強烈に脈打っています。
 「ハルトマンの妖怪少女」をアレンジした「背徳のAgape」は、少女のような無垢な歌い方を聴かせます。楽曲はビートの強いダンスチューンで、歌と演奏のギャップが印象的ですね。
 コインの散らばる音で始まる「退屈サティスファクション」は「ラクトガール ~ 少女密室」のアレンジ。浮遊感たっぷりのウィスパーボイスと無機質に反復するビートのギャップで印象づけ、ビートが消え去っても小気味良い歌が余韻を与えます。メロディが薄くてもインパクトがあります。
 続いて「狂気の瞳 ~ Invisible Full Moon」をアレンジした「ペルソナ」。艷やかでメランコリックなSenyaの歌で幕を開けたあと、リズミカルなノイズが侵食します。歌が魅力的なだけに、アレンジがもう一歩な印象でした。
 ラスト曲は「Bad Apple!!」をアレンジした「小悪魔りんご(EUROBEAT Remix)」。シンセが飛び交う騒がしくて賑やかな演奏に乗る、キャッチーな歌メロ。演奏に張り合って歌も高音や低音、早口のコーラス等を重ねたりして情報量が過剰です。笑 激しいですがノリノリで楽しませてくれます。

 名曲「月に叢雲華に風」があまりに突出しているものの、ダンスアレンジも幅が広がって楽しませてくれます。

月に叢雲華に風
幽閉サテライト
 
 
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