🇯🇵 ZARD (ザード)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

永遠

1999年 8thアルバム

 ZARDは坂井泉水を中心とした音楽ユニットです。1991年に結成し、当初はバックバンドも含めたユニットでしたが、途中から坂井泉水のソロプロジェクトのような立ち位置へと変わっていきます。ZARDは多くの作品がミリオンセラーとなり、1990年代に最も売れた女性アーティストとなりました。
 本作はオリジナルアルバムとして最後のミリオンセラー獲得作。シングル/カップリング曲で9曲を占めます。全作詞を坂井が手掛け、作編曲は同レーベルのメンバーらが手掛けます。

 アルバムは表題曲「永遠」で幕開け。個人的にはZARDで一番好きな楽曲です。「大人の恋愛」をテーマにした歌詞を歌う坂井の声は色気を感じさせます。また、作曲の徳永暁人によればイーグルスの「Hotel California」にインスパイアされたものだそうで、メロディがとても魅力的。ストリングスに彩られつつもアコースティックなサウンドが優しく、そして後半はコーラスによって壮大な仕上がりです。続く「My Baby Grand 〜ぬくもりが欲しくて〜」もシングル曲。ザクザクとヘヴィなギターに透明感のあるピアノが映えますね。そして、憂いを帯びたキャッチーなメロディが良い感じ。「WAKE UP MAKE THE MORNING LAST〜忘れがたき人へ〜」はストリングスで華やかに彩られた楽曲で、力強いドラムがリズミカルに刻みます。時折シタールのような音でエキゾチックな空気を醸します。実験的な感触。続いて「Brand New Love」はWANDSへの提供曲のセルフカバー。スクラッチを交えたヘヴィなサウンドで、若干シリアスなラウドロック風味。ZARDのイメージとは異なる意外性のある楽曲で、クールでロックしている坂井の魅力を楽しめます。そして名曲「運命のルーレット廻して」。アニメ『名探偵コナン』のOP曲です。スパニッシュなギターイントロからキャッチーな頭サビで幕開け。歌が始まるとバリバリ打ち込みですが、途中からバンドサウンドが楽曲をスケールアップさせて盛り上げていきます。中盤以降のドラムは躍動感たっぷりで爽快。「遠い星を数えて」はボサノヴァ風味の、まったりとしたトーン。6分に及ぶ「新しいドア 〜冬のひまわり〜」は、メロディが良いものの、場面転換がやや唐突な印象の楽曲です。リズミカルな冒頭から一転、歌が始まるとリズムチェンジして、アコースティックで落ち着いた雰囲気に。そしてサビメロでは急激にドラマチックなメロディを紡ぎます。「GOOD DAY」は哀愁のある力強いバラード。ギラついたギターの主張が強いですね。「I feel fine, yeah」は躍動感溢れる楽曲で、ゴリゴリ爆音ベースと弾けるようなドラムが楽曲を牽引。そして坂井の歌声からは少女のようなキュートさが溢れ出ていて、力強いリズム隊とは対照的に爽やかさを持っています。そして「少女の頃に戻ったみたいに」。映画『名探偵コナン 14番目の標的』のタイアップ曲で、メロディアスなバラードです。温かい眼差しを向けるかのような優しい歌声を、ドラマチックなバンド演奏で盛り上げます。続く「息もできない」はアニメ『中華一番!』のOP曲で、個人的にはZARDで2番目に好きな楽曲です。アップテンポな恋愛ソングで、サビメロは思わず口ずさみたくなるほどのキャッチーさ。「負けないで」や「DAN DAN 心魅かれてく」あたりにも似たメロディを持っていて、聴いていると元気が湧いてきます。「風が通り抜ける街へ」はハンドクラップを交えた賑やかでノリの良い演奏ですが、グルーヴィな演奏でも坂井の歌はいつものトーンというか、クールな感じです。そしてラスト曲は「フォトグラフ」。陰りのあるメロディをアンニュイな声で歌います。エンディングに相応しいメロディでアルバムを締め括ります。

 妻がZARDの大ファンなんですが、一方の私はライトユーザーなのでベスト盤くらいしか聴かないんですよね。そのうえで本作はシングル曲が多くてライトなファンの私でも取っつきやすく、かつ名曲が詰まっている好盤です。

永遠
ZARD
 
 

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 船上ライブをサポートした、古井弘人や岡本仁志の所属する音楽ユニット。

 
 
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