🇫🇷 Ange (アンジュ)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Au-Delà Du Délire (新ノア記)

1974年 3rdアルバム

 アンジュはフランスのプログレッシヴロックバンドで、1969年に結成。本作のラインナップはクリスチャン・デカン(Vo/Key)、フランシス・デカン(Key)のデカン兄弟に加え、ジャン=ミシェル・ブレゾヴァル(Gt)、ダニエル・ハイス(B)、ジェラール・ジュルシュ(Dr)。クリスチャン・デカンのピーター・ガブリエルのようなシアトリカルなボーカルや、幻想的なサウンドは初期ジェネシスにも通じるものがあります。母国フランスでは高い人気を誇るそうです。
 バンド名は「Angel (天使)」、本作の原題は「Beyond The Delirium (錯乱を超えて)」の意味だそう。『新ノア記』とは…。

 オープニング曲は「Godevin Le Vilain」、邦題「農夫ゴドウィン」。ジャケットアートはこの楽曲がモチーフでしょうか。ヘヴィでダークな音色でシンフォニーを奏でます。続く「Les Longues Nuits D’Isaac」は本作のハイライト。ヘヴィなギターリフが切り刻み、ベースが暴れ回る。その後はメロトロンが悲壮感溢れるサウンドを奏で、ヘヴィなシンフォニーに乗るクリスチャン・デカンのボーカルは、喜怒哀楽がはっきりした強烈なインパクトを放つシアトリカルなものです。鳥肌が立ちます。「Si J’étais Le Messie」はフランス語による語り。メロディのない歌を彩るサウンドも、パーカッションを中心にあまりメロディは目立ちません。間奏のアンサンブルにのみ、そのメロディが表れます。「Ballade Pour Une Orgie」はアコギを中心にした柔らかな楽曲。牧歌的で癒されます。パワフルなドラムで始まる「Exode」はファンファーレのような音色が包みます。歌が始まるとアコギとメロトロンが心地良い空間を作ります。終盤加速して、ギターによるずっと俺のターン。なかなかスリリングです。
 レコードB面、アルバム後半は「La Bataille Du Sucre (La Colère Des Dieux)」で幕開け。声色を使い分けるクリスチャン・デカンのボーカルはやはりピーター・ガブリエルを想起させます。終盤の狂気をはらんだギターが不気味。「Fils De Lumière」はロックの躍動感に溢れる1曲。力強いベースやドラムがなかなか良い。そして1音1音上がっていくメロトロンと合わさってドライブ感を生み出します。そのまま続く「Au-Delà Du Délire」は9分の大作。序盤はアコギが優しく、ダークな楽曲を抜けた後の安堵感に包まれているような感じがします。後半はヘヴィなロックサウンドに変貌するのでスリリングです。

 アンジュの最高傑作に上げられることも多い本作は、フランス語によるダークファンタジーが展開されます。毒のあるおとぎ話のような雰囲気です。

Au-Delà Du Délire
Ange
 
 
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