🇯🇵 カシオペア
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
1982年 7thアルバム
カシオペアは日本のフュージョンバンドで、1977年に結成しました。2006年に活動休止しますが、2012年にはCASIOPEA 3rdと改名して活動を再開しています。バンド名はカシオペア座(Cassiopeia)が由来ですが、英語表記は異なっています。
リーダーの野呂一生(Gt)と櫻井哲夫(B)を中心にメンバーチェンジを経ながらリリースされた本作はヨーロッパ進出を見据えた作品で、オリジナルアルバムとしては7作目となります。カシオペアのライブの評価の高さから既存の楽曲をホールで録音したものになりますが、拍手などはカットされ、スタジオ録音と見紛うような処理が施されています。このときのメンバーは野呂と櫻井、向谷実(Key)、神保彰(Dr)。
オープニング曲は「テイク・ミー」。最初AORのような落ち着いてクールな雰囲気を見せつつも、ギターやベースはファンキーでノリノリ。聴いていると身体がリズムに乗せられます。続く「朝焼け」はキャッチーな名曲。ファンキーで程良い疾走感が心地良いリズムを刻み、野呂のギターはファンキーだったりポップなメロディを奏でたりしています。途中で速弾きも聴かせたりとキャッチーさの中にテクニカルな側面も見せてくれますね。シンセもポップに楽曲を彩ります。「ミッドナイト・ランデブー」はベースがとてもカッコ良い。櫻井のベースと神保のドラムが絶妙な相性で生み出す、跳ねるようなリズムがとにかく爽快です。リズム隊にばかり意識がいきがちですが、キーボードソロやギターソロも中々スリリングですね。「タイム・リミット」は込み入った演奏に程良い緊張感が漂います。キャッチーさは残しつつもスリリング。
アルバム後半は「ドミノ・ライン」で幕開け。7分超と本作では長めの楽曲ですが、リズミカルな演奏は楽しくて長さを感じさせません。ギターが主導しメロディアスなフレーズを奏で、次いでシンセが華やかな音色を聴かせます。続いてベースソロ、ドラムソロと、それぞれの楽器の見せ場が用意されているのが良いですね(ドラムソロでヒューヒューと観客のノイズが入るのでライブ録音だとわかります)。最後は楽器が一体になってアンサンブルを聴かせます。ここまでアップテンポな楽曲が並びますが、「ティアーズ・オブ・ザ・スター」はゆったりとした雰囲気。メロウな演奏をゆったり聴かせますが、序盤のギターは結構テクニカルな感じです。終盤に向けて緊張感を高めていきますが、その後一気に大人しくなります。ラスト曲「スウェアー」はファンキーでノリの良いリズムに加えて、キーボードが南国風のトロピカルで心地良い音色を奏でます。でも盛り上げる場面では程良い緊張感を放つので飽きさせません。終盤スリリングなドラムソロに合わせて歓声が上がる場面はゾクッとします。
取っつきやすさを兼ね備えていながら、演奏はスリリングでカッコ良いです。全体的にアップテンポ気味でかつ36分というサクッと聴ける長さも好印象。フュージョン入門に良さそうです。
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