🇺🇸 Cyndi Lauper (シンディ・ローパー)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

She's So Unusual (シーズ・ソー・アンユージュアル)

1983年 1stアルバム

 1980年代を代表するアーティストの一人、シンディ・ローパー。1953年6月22日生まれ、米国ニューヨーク州出身の歌手兼女優です。フルネームはシンシア・アン・ステファニー・ローパーと言います。
 1978年にブルー・エンジェルというバンドを結成して1980年にメジャーデビューするも、商業的成功を得られずに解散。自己破産に陥り、小売店で生活費を稼ぎながら活動を続けた彼女は、恋人兼マネージャーのデヴィッド・ウルフの力添えでメジャーレーベルとの契約にこぎ着けます。30歳という遅咲きながら本作『シーズ・ソー・アンユージュアル』でソロデビューを果たし、先行シングルや翌年以降シングルカットした楽曲が軒並み大ヒット。結果的に本作も全世界で1600万枚以上を売り上げる大ヒットとなり、1980年代を代表する1枚に数えられます。ザ・フーターズのエリック・バジリアン(Gt/B/Sax)とロブ・ハイマン(Key)がレコーディングに全面協力。
 同時期にデビューしたマドンナと比較されがちですが、色気を前面に出したマドンナに対して、シンディ・ローパーはオレンジに染めた髪や奇抜なファッションなどの個性的でガーリーなスタイルで売り出していました。

 オープニングを飾る「Money Changes Everything」は、ザ・ブレインズというポストパンクバンドのカバー曲です。カラッとしたギターにシンセが絡んで明るい音色を奏でます。そしてシンディのちょっと舌足らずな歌に無邪気さを感じますね。ラストはどこまでも伸びるロングトーンが圧倒的。続く「Girls Just Want To Have Fun」はシンディの代表曲です。元はロバート・ハザードの楽曲カバーで、本人に許諾を取って、元々男性目線だった歌詞をシンディが女性目線の歌詞に変えているのだとか。メリハリのあるドラムに派手なシンセなどカラフルなサウンドに乗せて、パワフルですがキュートさも兼ね備えた歌で楽しませてくれます。「When You Were Mine」はプリンスのカバー。ダンサブルなビートが爽快ですね。歌は可愛らしくも力強くてキンキンしています。そして大ヒット曲「Time After Time」はメロディアスで落ち着いた楽曲です。憂いのある静かな歌は、共作のロブ・ハイマンのコーラスを受けてサビでは力強い印象に変わります。
 ここからアルバム後半へ突入。「She Bop」はゲートリバーブを効かせた強烈なダンスビートに、怪しげな旋律が絡みます。歌はメランコリックですが、時折怪しい雰囲気を醸し出します。続いて「All Through The Night」はジュールズ・シアーのカバー曲。キラキラとしたシンセにメロディアスな歌を乗せ、序盤は落ち着いていています。ですがドラムが加わると明るく優しい雰囲気が加わり、ポップなメロディに浸れます。「Witness」はスカのリズムを取り入れており、ギターやパーカッションがリズミカルな演奏を展開。ポップな歌メロも相まって、陽気でノリの良い楽曲に仕上がっています。「I’ll Kiss You」はノリの良いダンスポップ曲で、キレのあるビートやグルーヴィなシンセが爽快。少しひねた感じのポップさが癖になりそうです。「He’s So Unusual」は1920年代の楽曲カバーで、僅か40秒ほど。意図的にノイズを加えてレトロ感を出しています。すると突然、目の覚めるような強烈なドラムで「Yeah Yeah」へ。ミカエル・リックフォースのカバー曲です。バックコーラスとの掛け合いやオルガンの音色もあってコミカルな雰囲気で、ノリの良いキャッチーなポップ曲に仕上がっています。

 半分以上がカバー曲となりますが、彼女なりの解釈を加えて大胆なアレンジを加えているのだそう。ポップな楽曲が詰まっていて楽しめる作品です。

She’s So Unusual
30th Anniversary Celebration (2CD)
Cyndi Lauper
She’s So Unusual
Cyndi Lauper
 
 
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