🇬🇧 Free (フリー)
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
1970年 3rdアルバム
フリーはイングランド出身のロックバンドで、英国や日本で人気を誇ったバンドです。ポール・ロジャース(Vo)、ポール・コゾフ(Gt)、アンディ・フレイザー(B/Key)、サイモン・カーク(Dr)の4人で1968年に結成。1971年に解散後、1972年に再結成して1973年に解散しますが、再結成時のメンバーとして日本人ベーシストの山内テツが活躍しました。
本作はオリジナルメンバーによる作品で、フリーとの共同プロデューサーとしてロイ・トーマス・ベイカーとジョン・ケリーが関わっています。ブルージーで老成した音楽性ながら、本作の先行シングル「All Right Now」がヒットした当時のメンバーの平均年齢は20歳というギャップも話題になったそうです。
表題曲「Fire And Water」でオープニング。ブルージーなギターを中心に、スローテンポの気だるげなロックンロールを展開します。ボーカルもサウンドも含めてあまりに渋い。間奏では鋭利なギターソロが聴けます。「Oh I Wept」は哀愁漂う1曲。ロジャースが渋い歌声で哀愁のメロディを歌い、コゾフのギターも派手さはないもののムードを作ります。続く「Remember」も緩いテンポの渋い楽曲。ソウルフルな声で歌うメロディはキャッチーで、スカスカだけどリズム隊の作るグルーヴ感は中々気持ち良かったりします。「Heavy Load」はブルージーなバラード。淡々としたサウンドは熱砂のようなイメージを持ちます。男の哀愁って感じの渋い歌が響く。終盤の泣きのギターと激しいドラムが感傷的な気分を煽ります。
アルバム後半は「Mr. Big」で開幕。ハードロックバンドのミスター・ビッグ、このバンド名の由来となった楽曲ですね。フレイザーのベースラインが特徴的で、後半では縦横無尽に駆け巡ります。また、コゾフの泣きのギターソロも良いですね。終盤は凄まじい緊迫感です。「Don’t Say You Love Me」は哀愁漂うバラード。渋いですがメロディが美しく、染み入ります。ラスト曲は「All Right Now」。本作の中ではかなりキャッチーでノリの良い楽曲です。音はスカスカですがギターリフは印象的で、またロジャースのソウルフルで力強い歌唱で聴かせます。後半に進むにつれサウンドは激しくなり、スリリングになります。
名盤と呼ばれる作品ですが、渋すぎるというか地味な印象が強く、取っ掛かりに時間がかかります。この渋さに慣れてくると、泣きのギターや哀愁の歌とか聴きどころに気付けるんですけどね。中々耳が馴染むまでが辛い。ブルースロックが好きな人には受けるんでしょうか。
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フリー解散後にポール・ロジャース(Vo)とサイモン・カーク(Dr)が結成。
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