🇬🇧 Greenslade (グリーンスレイド)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Greenslade (グリーンスレイド)

1972年 1stアルバム

 グリーンスレイドはイングランド出身のプログレッシヴロックバンドです。元コロシアムのデイヴ・グリーンスレイド(Key)を中心に1972年に結成しました。トニー・リーヴス(B/Cb)、デイヴ・ローソン(Key/Vo)、元キング・クリムゾン(リザード期)のアンドリュー・マカロック(Dr)の4人組で、ギター不在のツインキーボードという独特なバンド編成が特徴です。また、イエスとの仕事で知られるロジャー・ディーンがアートワークを担当し、ジャケットに描かれた6本腕の魔人はグリーンスレイドのシンボルマークとなりました。デイヴ・グリーンスレイドとリーヴス、スチュアート・テイラーの共同プロデュース作。

 「Feathered Friends」は冒頭少し怪しげながらも、グルーヴ抜群の気持ちの良い演奏で幕を開けます。ツインキーボードは分厚く、それでいて骨太なベースや手数の多いドラムなどリズム隊も負けていません。歌が始まるとゆったりとしたトーンに変わり、ローソンの歌は最初ファルセットを多用し、中盤以降はパワフルに歌い上げます。続いて「An English Western」はトリッキーなリズムを刻みながらも軽快な6/8拍子を展開するインストゥルメンタルです。先の読めない複雑な展開ですが、カラフルなオルガン/ピアノに加えて、主張の強いリズム隊による演奏はキャッチーで中々楽しいです。そして「Drowning Man」は序盤、落ち着いた演奏が囁くような優しい歌を引き立てて、子守唄のような心地良さがあります。ゆったりと揺さぶる楽曲は中盤からテンポアップし、リズムチェンジに変拍子を駆使した演奏を見せつけます。終盤またゆったりテンポに戻しますが、歌は少し力強くなっています。「Temple Song」はビブラフォンを用いてドリーミーな感覚を持たせています。フワフワしていますが、太いベースががっちり支えています。
 アルバム後半は7分半に及ぶ「Mélange」で幕開け。躍動感があってかつ音色豊かな鍵盤に彩られており、トリッキーながらも楽しげな演奏を繰り広げます。リードベースと呼べるくらいにベースの見せ場もあってカッコ良い。2分辺りから少し落ち着いて、コーラスを駆使しながらゆったりとした演奏を展開。終盤はメロトロンも活用してメランコリックな雰囲気が漂います。続く「What Are You Doin’ To Me」はローソンのパワフルな歌唱が際立つ楽曲で、リズム隊もヘヴィで力強いです。リズムチェンジを駆使しながら、全体的にピンと張り詰めた空気が立ち込めるスリリングな1曲です。そして最後に控える「Sundance」は9分近い大作。ピアノが憂いのある旋律を奏で、感傷的な気分を誘います。そして2分手前辺りからバンド演奏が怪しげに始まり、手数の多いドラムに感心しているとツインキーボードが緊張を高めます。中盤はスローテンポでゆったりとしていますが、6分手前あたりからヒートアップして、グルーヴィでスリリングした演奏バトルを見せつけます。ラストは憂いのあるピアノでしっとりと締め括ります。

 変拍子やリズムチェンジなどの複雑さもありながら、意外にキャッチーで聴きやすい印象です。

Greenslade
Expanded & Remastered Edition (2CD)
Greenslade
 
Bedside Manners Are Extra (ベッドサイド・マナーズ・アー・エクストラ)

1973年 2ndアルバム

 前作が高い評価を受け、バンドを続けるのに十分な商業的成功も得たグリーンスレイド。1stアルバムと並び人気の高い本作は、入念なリハーサルのもとオーバーダブを最小限に留めたスタジオライブ録音スタイルで制作されました。前作同様にロジャー・ディーンのアートワークを採用しています。

 オープニングを飾るのは表題曲「Bedside Manners Are Extra」。トニー・リーヴスの骨太なベースをバックに、デイヴ・ローソンがメロディアスな歌を歌います。ポップセンスのある歌メロが純粋に魅力的で、演奏については激しさはなく落ち着いていますが、後半に向かうにつれてカラフルな鍵盤が息づき始めます。続く「Pilgrim’s Progress」はインストゥルメンタル。冒頭でフルートのような鍵盤の音色がノスタルジックな感覚を与えますが、それも束の間、アンドリュー・マカロックのリズミカルなドラムに牽引されてノリノリな楽曲へと変わっていきます。デイヴ・グリーンスレイドとローソンによる二人の鍵盤の掛け合いは色鮮やかで、フルートのような音色やオルガン、シンセにメロトロンと様々な音色が飛び交います。「Time To Dream」はイントロからヘヴィな重低音を鳴らしてオルガンが唸り、ドラムも緊張を煽るスリリングな疾走曲です。歌が始まっても焦燥感を掻き立てます。中盤にリズムチェンジを噛ますとテンポは落とすものの、鍵盤を爆音で唸らせて威圧。そして再加速していきます。カッコ良い。
 レコード時代のB面、アルバム後半は9分近いインスト曲「Drum Folk」で幕開け。冒頭は実験的な演奏に置いてけぼりを喰らうのですが、1分半辺りから疾走感のあるドラムに煽られ、鍵盤がカラフルな音色で楽曲をリードすると途端にスリリングな楽曲へ変貌。中盤にはマカロックのドラムソロパートも交えて、手数の多いドラムで楽しませます。後半パートではヘヴィなオルガンが強烈な哀愁を誘い、最終盤でまたドラムソロを聴かせて終了。続いて「Sunkissed You’re Not」は、歌メロパートでローソンの甘い歌声に浸れますが、聴きどころは実はスリリングな間奏パートだと思います。ヘヴィなオルガンやゴリゴリのベースなど、テンション高い演奏を繰り広げます。そしてラスト曲「Chalkhill」はインストゥルメンタル。前半はスペイシーな鍵盤が独特ですね。後半はスウィングする感覚というか、跳ねるような気持ちの良い演奏に魅せられます。ヘヴィで荒っぽいオルガンが気持ち良く感じさせるのは、リズミカルなドラムが支えているのも大きいです。

 前作に比べると歌を聴かせる楽曲やソロ演奏パートなど、各メンバーをフィーチャーする部分も目立ちます。前作とも甲乙つけがたい良質な作品です。

Bedside Manners Are Extra
Expanded & Remastered Edition (CD+DVD)
Greenslade
 
 
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